千年杉でインディアンフルートを製作中 1
先日、山形県米沢市で神職をされているきさらぎ深雪さんから依頼をうけて、 樹齢1000年の杉材や1300年の桜の枝材で笛を製作中です。
杉材は、天童市鈴立山若松寺の千年杉で、2012年4月爆弾低気圧で倒れたものです。
桜材は、西置賜郡白鷹町の薬師桜で樹齢1300年とも言われて今も健在し、20年前に折れた枝を保存してあったものです。
(・写真上 杉材 写真下 桜枝材)
杉材は茶色く油分を含み、虫喰いもなく、緻密な年輪は間隔が0.4㎜程で比重は0.34。
刃当りはとても良く、切削は容易です。
(写真・杉材の外形仕上ターニング中 ・杉材の木目が美しい)
桜材は、エドヒガン系の直径80㎜程の枝材で年輪数は25年程、比重は0.62です。
外観からも虫喰いがひどく、旋盤で挽いて行くとボロボロと虫喰い部がはがれて行き、全部ダメかと思われましたが、
芯近くは笛にするほどは残りました。十数か所の虫穴は樹脂と木粉で埋めることにします。
(・桜枝材の曲がりを取るため、鉈ではつったところ 虫喰いが激しい。 ・桜枝材を荒ターニングしても、虫喰いが深い。この後、かなり削って虫喰いはほぼなくなった。)
杉材からは、インディアンフルートのA管、バードはウグイス形。
桜材からは、横笛B♭管。どちらも管内は朱漆、外面は拭漆仕上です。
うまくいくかどうかの鍵をにぎる最初の筒穴通し(直径8㎜のオーガリング)はどちらもうまく行きました。
10本に1~2本は必ず失敗しますから、失敗が許されない今回の分は大変緊張して、作業を進めましたが、御加護があったようで、うまくいきました。
(・芯通しのオーガリングは両押しでうまくいった。 ・オーガリング後 筒穴を広げてテーパー削りを行った。)
その後筒穴広げ、テーパー削り、外形仕上ターニング、歌口穴あけと出来ています。
(・上が杉材 下が桜枝材 荒ターニング後 ・上が杉材のインディアンフルートA管 下が桜枝材の横笛B♭管の歌口穴を開けたところ) ・
出来上がった笛は、神社や寺院での奉納演奏や講演会で使用されるそうです。
完成まで まだまだ気が抜けません。