日々、思うことをサラサラと。

日頃、イイな、とかおかしいゾ、とかキレイだなと思うことをサラサラと書き出してみたい。

加瀬くんのモヒカン刈り

2010年03月07日 | 映画
「インスタント沼」
期待どおりの面白さだった。
麻生久美子・風間杜夫・加瀬亮・笹野高史・・・のキャスティングで見ないという
選択は有り得ない。私の中の豪華メンバーである
麻生久美子は雑誌の編集者を辞めたばかり。カッパが見えるという不思議オーラ
を放つママ(松坂慶子)の娘だけあってこの人も面白いキャラを持つ。

なんだかんだの経緯を経て、まだ見ぬ実の父親がいることを知ることに
なり尋ねてみることにしたのだが・・・
その父がこれ↓骨董屋を営む風間さんの見事な落ち武者風ヘアー。アっと驚くと共に
笑っちゃいました。いかにも近づかない方がいいオジさんって感じですね。

でも、この人の眼差しってどういう役をしても”性格の品の良さ”と知性が
感じられる(平田満しかり)
そこが基本にあるので、ずる賢くペテン気味でも余裕を持って笑える。
その行動の底には大事なナニかが潜んでいるのね?と・・。
(当の風間さんには迷惑な思惑だと思うのだが


そして、見事、加瀬ファンのイメージを外してくれましたモヒカン姿

見事にトサカが起ってます
これがあの俳優かい?と疑うような変貌ぶりにヤケッパチで拍手
賀須電器会社のガスくんだ。訥弁で一つひとつのセリフが短い。だが、その短い
セリフの中身は結構濃いのだ。ちら、と加瀬くんの静かで繊細な青年オーラが
横顔に出てきたりする。

風間・麻生の親子の息はピッタリ。離れて暮らしていてもそこは親子
バカさ加減が似たもの同士なのだ
殊にテンションを上げるための”水道ゲーム”は可笑しい。
蛇口を捻ったままで外に飛び出し、水が溢れる前にジュースを買って帰って
くるというゲーム。その高テンションでバタバタと駆け廻る様子が愉しい
いつもの時間、いつもの通りで麻生の住む窓枠から狂態?を目撃してしまう温水洋一
さんも可笑しかった(こういう可笑しみを瞬時に引き出す演技って難しいと思うのだが)

余談だが・・・
麻生久美子ファンである理由の一つに、どんな衣装でも着こなすことが出来る!
ことを上げる。
どんな色でもデザインでもこの人はよく似合ってしまう。
別格なプロポーションを持つワケでもないのだが・・・恐らくこのフツーよりは
ちょっと綺麗なプロポーションというところがいいのか?
これで、胸が大き過ぎたりしたらここまでは何でも着こなせない。
程よく足が長く、程よく痩せていて、程よく動きが綺麗。
この程の良さが映像の中で活きている。
例えばこの作品の中での麻生久美子は実に多彩な衣装を身につけ、どれも浮いていない。
着物ばりの色のバリエーションだ


久し振りに全編緩い笑いが絶え間なく押し寄せ、愉しい時を得た。







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強烈な印象・・・チェイサー

2010年03月07日 | 映画
やはり、強烈だった。

「チェイサー」は公開前から充分気持ちの上で引っかかっていた。
だが、こちらの気持ちのコンディションがしっかりしてないと引っ張られて
しまうゾ、という警戒心があった。

2008/韓国 監督・脚本ナ・ホンジン 出演キム・ユンソク ハ・ジョンウ ソ・ヨンヒ

売春の元締めをしている元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)
悪辣だが派遣させた女性の危機には目配りする良心を持つ。
最近、派遣させた女性が姿を消すという不審な出来事が起こっていた。
ある日、病身を訴えて休んでいた女性ミジン(ソ・ヨンヒ)を無理に客に引き合わせて
しまう。その客ヨンミン(ハ・ジョンウ)は相当、危ない男だった。


一見、草食系で柔な感じだ。無為に時間を過ごしていそうな軽い印象。
こういうのが豹変するとその落差で相当怖い。
何の迷いもなく平然と、金槌とノミで生身の体を傷める。
この迷いのない金槌の一撃は身の毛がよだつ。この凶器はローカルなだけに余計に
ナイフより銃より強烈なインパクトを持つ。
こういう怖さの演出表現は鮮やかだ。
この凶器がミジンの頭の上にも襲いかかる・・・・。
(以下ネタバレになります)

ジュンホの追う姿勢がド迫力だ。元刑事の立場を最大限活用(悪用)し
追い込んでいく姿は度を越して()過激だ。ミジンへの仄かな
気持ちと病身の身を強制させたという悔恨がここまで駆り立てるのか。
それにしても、犯人ヨンミンの異常性格者役のハ・ジョンウは凄い。
(韓国の役者ってホント、上手い人が揃っている)
結局、警察組織の悪弊が絡みヨンミンは釈放されてしまうのだが・・・
この時、ほぼ時を同時にしてミジンは奇跡の生還を果たしていた。
もしかしてまだ生きている?いや、生きていても脳に重度の障害が残るだろう
という懸念を払う見事な生還だった。のに・・・・。

あと数十分釈放が遅れていたらミジンは救われた、通報で直ぐに警察が
動いていたら、店の女主人が喋らなければ・・・と次から次へと悔恨の仮定が
気持ちに襲いかかる。
たばこ屋の奥で、打ちひしがれてヨンミンを迎えるミジンの哀切に震える姿は
後世脳裏から消されることはないだろう。
あまりに救いのない結末だった。「助けて」と叫ばない、ただ力弱くうな垂れて
一撃を受け入れるしかないミジンの哀しみが深く深く刻まれる。













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