お腹が張ってきた。マットの上で何度も寝返りを打つ。
お尻に尻尾を付けた、生まれたままの姿で僕は朝を迎えた。おとといの午後から着衣を許されていない。この家では、常にパンツ一枚の裸でいることを義務付けられているが、お尻の尻尾が肛門から取れない間は、そのパンツすら穿かせてもらえないのだった。
夕べ、自室に戻ると、部屋からベッドか消えていて、代わりに黒いマットがあった。掛け布団は、ない。箪笥から衣類がきれいすっかりなくなっていた。タオル、ハンカチの類まで、部屋じゅう探しても見つからなかった。Y美が僕を庭の離れのトイレに閉じ込めた夜、片付けたのだと言う。
朝から晩まで、晩から朝まで、一人僕だけがいつも全裸で生活するのは苦痛だったが、昨日の昼くらいから、もう一つの問題が僕を悩ませ始めていた。肛門に埋められたゴム状の球体が栓となって、うんちが出せないのだった。
明け方、トイレに行き、和式便器に跨って踏ん張った。しかし、どんなに下腹部に力を込めて踏ん張っても、肛門に付着した球体を外へ押し出すことはできなかった。結局、おしっこだけして部屋に戻った。
今日の夕方、肛門科の医師に診察してもらえる。医師は必ず取ると約束したそうだ。おば様が特別に仕事のスケジュールを調整して、僕を病院に連れて行く時間を割いてくれるのだった。お腹は張っているけど、我慢できないほど苦しい状態には、まだなっていない。なんとか持ち堪えそうだ。
月曜日の朝。僕は尻尾が肛門に埋まったままであることから、今日一日、学校を休むことになっていた。マットでお腹をさすりながらごろごろしていると、ドライヤーの音が聞こえてきた。Y美が朝の身支度をしている。
学校を休むとはいえ、僕に課せられた朝の仕事が免除される訳ではないだろう。もしかするとおば様が「今日はいいわよ。部屋で休んでて」と手を振って、朝食の準備に取り掛かろうとする僕を止めてくれるかもしれない。あるいは、ポストからおば様のために新聞を取りに行こうとする僕の肩を叩いて、「部屋で休んでいなさい」と、優しく微笑んでくれるかもしれない。いずれにせよ、学校を休むことを理由に勝手に部屋から出ないでいると、後でY美からこっぴどく叱られ、恥かしい懲罰を受けるに違いない。僕は部屋を出て、まず自分の身支度から始めた。
普段ならパンツ一枚の裸のままで朝の仕事をし、朝食を食べ、学校に行く直前に裏口から出て、家屋の外壁に横付けされた棚の籠にある制服とアンダーシャツ、靴下、靴を身に着ける。パンツ一枚の裸でも恥かしく惨めな気持ちにさせられるのに、今朝はそのパンツすら穿かせてもらえない丸裸、しかもお尻から尻尾を垂らした格好のまま、僕は居間のドアをあけるのだった。
「遅い。あんたは休みかもしれないけど、私とお母さんは休みじゃないんだからね。のんびりしてるんじゃないよ」
制服に身を包んだY美かコップにジュースを注ぎながら、叱った。
「朝から怒られて、あなたも大変ね。丸裸のままで悪いだけど、新聞取ってきて」
忙しそうに立ち回りながらおば様が僕に微笑む。今朝もまだ小雨が降っていた。新聞を取って戻ってくると、Y美とおば様はパンにバターを塗っていた。
「あなたも早く食べなさい」と、おば様が僕のために食卓の椅子を引いてくれた。僕の左にはY美がいつも学校で見る制服姿で、時間を気にしながら、サラダを小皿に盛っている。右にはおば様がグレーのスーツ姿で新聞を読んでいる。ほのかに香水のよい香りがした。二人に挟まれて、全裸の僕は肩をすぼめていた。
いよいよ出掛ける段になって、Y美は僕に裏口から外に出るように言った。裏口の鍵が中から閉められた。玄関に回ると、おば様が玄関の鍵を閉めていた。Y美が登校しようとしているので、僕は慌てて止めた。
「待ってください。僕を中に入れてください」
小雨の中、素っ裸で放り出されるのは、つらい。
「駄目だよ。あんたは拘束でもしていない限り、一人で家の中に置いとけない。あんたの家の借金の証書とか、大切なものがいっぱいあるからね。どうせ三時頃には帰ってくるから、それまではあのトイレの中とかに隠れて、うんちでもしてなよ。平日の昼間は人通りもそんなにないから、庭にいても人に見られないと思うってお母さんが言ってた。もし、人が来たら、そこのアジサイの後ろにでも隠れたらどうかな」
では行ってきます、と傘を開いてY美が門の外に出た。おば様も「じゃ行ってくるね。電話は出なくていいからね」と言って、迎えの車に乗り込んだ。変なことを言う。庭に締め出しておいて、電話に出るもないじゃないか。外の通りを集団登校の黄色いレインコートの小学生たちが賑やかに通っている。
僕はトイレに隠れて、これからの長い時間を思った。
トイレに隠れていながら、うんちを出したくとも出せない状態にいる。この忌々しいっ尻尾のおかげでうんちが溜まったお腹をさすっていると、庭に誰かが入ってきた。
「ごめんください」昨日の二人組の男の人だった。ベージュの作業服を着て、玄関の呼び鈴を何度も鳴らしている。
昨日は、庭に回りこんで中を覗いた彼らに、お尻を吊られた四つんばいのままおしっこをしている恥かしい姿を見られてしまった。今日は絶対に見つかりたくない。僕はトイレの戸を音を立てないようにしっかり閉めると、息を殺して外の様子をうかがった。
「今日も留守かな。昨日、この部屋で男の子が裸で罰を受けてたよな」
「この家の主人も恐ろしいよ。一体どんな悪いことしでかして、あんなひどい目に遭ったんだろう」
昨日とまったく同じように二人は、庭に回ってきて、昨日と同じ光景があると思ったのか、和室を覗いた。
「ああ、今日はいない。さすがに許されて学校に行ったんだろう」
「そうだろうとも。そんなにいつまでも裸でいる訳がないもん」
帰ろうとしている。ほっとしたその時、一人が「俺、トイレに寄ってく」と、体の向きをこちらに回した。
「トイレなんかあるかよ」
「あるよ。そこだ」
男たちが来て、戸を開けようとした。僕は内側で戸を押さえていた。
「おかしいな。ここのトイレ、昨日は鍵なんかなかったけどな」
男は次第に力を込めてきた。僕は必死になって戸を押さえていたが、ついに男が乱暴に戸をがたがたと揺らし始めたので、柱を残して四方の羽目板がみんな倒れてしまった。
「なんだ!」男が目をくりくりさせる。
便器の横で素っ裸の僕が小さく蹲っていた。男たちは、僕が昨日の肛門から出た尻尾を鴨居に吊るされて悶えていた男の子と同一であると認めると、たいそうな驚きの声を上げた。そして、その尻尾が未だにお尻に付いているのを見て、眼鏡の男が
「なんだ、君はまだ罰を受けているのか」と、聞いた。僕はこくりと頷いた。
「また朝から裸にされて、罰を受けているのか」と、丸顔の男が僕の裸をじろじろ眺め回してから、問う。
「ずっとこのように丸裸でいます。この尻尾が取れない限り、僕は服を着ることができません」
「そうか。取れないのか。取ってあげるから見せてごらん」
「いや、いいです。取れませんから」
「いいから遠慮するな。こっちに来い」と丸顔の男が急に乱暴に僕の肩をつかんで、囲いの板を無くしたトイレから僕を引っ張り出した。入れ代わり眼鏡の男がトイレに入ってチャックを下ろした。肩や背中に雨粒がぽつぽつと当たる。
僕は丸顔の男に命ぜられるまま、蓮の葉のような大きく平らな庭石の上で、四つんばいになり、股を開いた。指が肛門を探っている。眼鏡の男が、このポーズでは見づらいからと、僕に仰向けになるように指示した。庭石が僕の背中に当たった。腰を上げさせられ、足が左右に大きく開かれる。
二人の男は上から僕の肛門をやおちんちんの袋を覗き込んでいた。冷たい雨が剥き出しにされたその部分へ容赦なく当たる。丸顔の男がいきなり強く尻尾を引っ張った。僕は激痛に顔をゆがめる。丸顔の男は、ぐいぐいと力まかせに引っ張るのだった。
痛いってこんなに叫んでいるのに、丸顔の男は「我慢しろ」の一点張りで、引く手を緩めようとしないのだった。ついに僕は大声を上げて泣き出した。
「おいおい、女の子みたいに泣くじゃないか。ほんとに女の子みたいだけどな。そのおちんちんがないと、まるっきり女の子みたいな体つきだぞ」と、眼鏡の男が平らな胸を掴みながら言うと、丸顔の男が「まったくそうだよな。そんなに泣くなよ。取れるものも取れなくなっちまったじゃないか」と、僕のお尻を撫でる。僕は彼らの手を払って庭石の上に向き直ると、しゃくりあげた。
「もういいんです。どうせ今日、病院に連れてってもらうんだし。だからおじさんたち、僕をこれ以上傷つけないでください」
「悪かったよ。もうやめるよ。怖い女主人が帰ってきたら、伝えてくれ。受注した仕事のことで相談に来たけど、また連絡するって」
男たちは、いつまでもしゃくりあげる僕を庭石の上に残して、去った。
囲いの板を柱に立てかけて、僕は便器の横で夕方になるのを待っていた。時間がまったく分からなかった。もうお昼はすぎたのだろうか。まだだろうか。
永遠とも思える時間が流れていた。僕は溜まったうんちでお腹が痛かった。
雨の降りがまた強くなったようだった。狭いトイレの中で向きを変えると、板が倒れてしまった。一枚の板が倒れると連鎖的に四枚全部倒れる。
僕はまた外に出て、板を立てた。畑のおばさんに裸を見られた。
門の外の通りを明るい柄の二つの傘が通っていた。Y美が帰ってきた。もう一つの傘も門の中に入ってきた。雪ちゃんだった。二人とも楽しいお喋りをしてきたようで、表情に屈託のない笑顔が浮かんでいる。
トイレの囲い板はわずかな風にも倒れてしまい、直しに出るたびに畑のおばさんに裸を見られ、そのうちおばさんの友だちらしい人が集まってきたので、僕はトイレから離れて、アジサイの花の後ろに隠れていたのだった。
Y美は僕を雪ちゃんの前に引っ張り出して、正座して挨拶するように命じた。
「いらっしゃいませ」僕は深々と頭を下げた。
「おもしろい。チャコちゃん、土曜日のあの午後から、もしかして、ずっと」と、大きな目でY美に訊ねる。
「そうだよ。土曜の午後、川で鉱石を取った時からずっと」
「ということは、もう二日も経っているんだよね。二日間ずっと?」
「そうずっと、素っ裸のまま、一度も服を着ていない」Y美が笑い出した。
「ずっと丸裸でいたんだ。すごいよ。ほんとに犬みたいになっちゃったんだね」幸ちゃんが感動のこもった声で、僕の頭を撫でる。
二人は僕のうんちが溜まった下腹部を押して、きゃっきゃっと嬉しそうな声を上げた。
うんちが出そうで出せない痛みが強くなると、おちんちんが自然に大きくそそり立つのだった。Y美は雪ちゃんに勃起したおちんちんを見せたくて連れて来たのだと言った。
四つんばいのまま、何度も庭を往復させられ、お尻を上げて尻尾を振らされた。二人の女の人は縁側に腰かけていた。彼女たちには庇が覆っていて雨が当たらない。僕は生まれたままの素っ裸を雨に打たれながら、次々と女の人たちが要求する芸をこなしていた。
「恥かしい? 恥かしくないの? もう慣れた?」雪ちゃんが上目遣いに僕に尋ねる。
「慣れてなんかいません。だからもう」許してくださいと続けようとすると、「はい。じゃあもう一度」と雪ちゃんがリクエストするのだった。
「はい。もう一度だよ」Y美が命じた。
夕方になっておば様が門に車を横付けにすると、僕に車に乗るように言った。
何か着る物を、と僕は言った。おば様は腰を屈めて、庭でしゃがんでいる僕の目をじっと見た。そして、「裸のままでいいみたいだよ。気さくな先生でね。尻尾をつけて犬みたいだから、ずっと素っ裸のままにしてあるのって言ったら、膝を叩いて大笑いされてね。結構結構、裸のまま連れて来なさいだって。よかったわね」と、笑った。
Y美がトランクを開けて待っていた。僕にここに入るように命じた。
僕が困っておば様のほうを向くと、おば様は「急いで」と、顎をしゃくった。僕は相変わらずの素っ裸のまま、トランクの中に入った。トランクが閉められた。
お腹がうんちで破裂しそうだった。
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お尻に尻尾を付けた、生まれたままの姿で僕は朝を迎えた。おとといの午後から着衣を許されていない。この家では、常にパンツ一枚の裸でいることを義務付けられているが、お尻の尻尾が肛門から取れない間は、そのパンツすら穿かせてもらえないのだった。
夕べ、自室に戻ると、部屋からベッドか消えていて、代わりに黒いマットがあった。掛け布団は、ない。箪笥から衣類がきれいすっかりなくなっていた。タオル、ハンカチの類まで、部屋じゅう探しても見つからなかった。Y美が僕を庭の離れのトイレに閉じ込めた夜、片付けたのだと言う。
朝から晩まで、晩から朝まで、一人僕だけがいつも全裸で生活するのは苦痛だったが、昨日の昼くらいから、もう一つの問題が僕を悩ませ始めていた。肛門に埋められたゴム状の球体が栓となって、うんちが出せないのだった。
明け方、トイレに行き、和式便器に跨って踏ん張った。しかし、どんなに下腹部に力を込めて踏ん張っても、肛門に付着した球体を外へ押し出すことはできなかった。結局、おしっこだけして部屋に戻った。
今日の夕方、肛門科の医師に診察してもらえる。医師は必ず取ると約束したそうだ。おば様が特別に仕事のスケジュールを調整して、僕を病院に連れて行く時間を割いてくれるのだった。お腹は張っているけど、我慢できないほど苦しい状態には、まだなっていない。なんとか持ち堪えそうだ。
月曜日の朝。僕は尻尾が肛門に埋まったままであることから、今日一日、学校を休むことになっていた。マットでお腹をさすりながらごろごろしていると、ドライヤーの音が聞こえてきた。Y美が朝の身支度をしている。
学校を休むとはいえ、僕に課せられた朝の仕事が免除される訳ではないだろう。もしかするとおば様が「今日はいいわよ。部屋で休んでて」と手を振って、朝食の準備に取り掛かろうとする僕を止めてくれるかもしれない。あるいは、ポストからおば様のために新聞を取りに行こうとする僕の肩を叩いて、「部屋で休んでいなさい」と、優しく微笑んでくれるかもしれない。いずれにせよ、学校を休むことを理由に勝手に部屋から出ないでいると、後でY美からこっぴどく叱られ、恥かしい懲罰を受けるに違いない。僕は部屋を出て、まず自分の身支度から始めた。
普段ならパンツ一枚の裸のままで朝の仕事をし、朝食を食べ、学校に行く直前に裏口から出て、家屋の外壁に横付けされた棚の籠にある制服とアンダーシャツ、靴下、靴を身に着ける。パンツ一枚の裸でも恥かしく惨めな気持ちにさせられるのに、今朝はそのパンツすら穿かせてもらえない丸裸、しかもお尻から尻尾を垂らした格好のまま、僕は居間のドアをあけるのだった。
「遅い。あんたは休みかもしれないけど、私とお母さんは休みじゃないんだからね。のんびりしてるんじゃないよ」
制服に身を包んだY美かコップにジュースを注ぎながら、叱った。
「朝から怒られて、あなたも大変ね。丸裸のままで悪いだけど、新聞取ってきて」
忙しそうに立ち回りながらおば様が僕に微笑む。今朝もまだ小雨が降っていた。新聞を取って戻ってくると、Y美とおば様はパンにバターを塗っていた。
「あなたも早く食べなさい」と、おば様が僕のために食卓の椅子を引いてくれた。僕の左にはY美がいつも学校で見る制服姿で、時間を気にしながら、サラダを小皿に盛っている。右にはおば様がグレーのスーツ姿で新聞を読んでいる。ほのかに香水のよい香りがした。二人に挟まれて、全裸の僕は肩をすぼめていた。
いよいよ出掛ける段になって、Y美は僕に裏口から外に出るように言った。裏口の鍵が中から閉められた。玄関に回ると、おば様が玄関の鍵を閉めていた。Y美が登校しようとしているので、僕は慌てて止めた。
「待ってください。僕を中に入れてください」
小雨の中、素っ裸で放り出されるのは、つらい。
「駄目だよ。あんたは拘束でもしていない限り、一人で家の中に置いとけない。あんたの家の借金の証書とか、大切なものがいっぱいあるからね。どうせ三時頃には帰ってくるから、それまではあのトイレの中とかに隠れて、うんちでもしてなよ。平日の昼間は人通りもそんなにないから、庭にいても人に見られないと思うってお母さんが言ってた。もし、人が来たら、そこのアジサイの後ろにでも隠れたらどうかな」
では行ってきます、と傘を開いてY美が門の外に出た。おば様も「じゃ行ってくるね。電話は出なくていいからね」と言って、迎えの車に乗り込んだ。変なことを言う。庭に締め出しておいて、電話に出るもないじゃないか。外の通りを集団登校の黄色いレインコートの小学生たちが賑やかに通っている。
僕はトイレに隠れて、これからの長い時間を思った。
トイレに隠れていながら、うんちを出したくとも出せない状態にいる。この忌々しいっ尻尾のおかげでうんちが溜まったお腹をさすっていると、庭に誰かが入ってきた。
「ごめんください」昨日の二人組の男の人だった。ベージュの作業服を着て、玄関の呼び鈴を何度も鳴らしている。
昨日は、庭に回りこんで中を覗いた彼らに、お尻を吊られた四つんばいのままおしっこをしている恥かしい姿を見られてしまった。今日は絶対に見つかりたくない。僕はトイレの戸を音を立てないようにしっかり閉めると、息を殺して外の様子をうかがった。
「今日も留守かな。昨日、この部屋で男の子が裸で罰を受けてたよな」
「この家の主人も恐ろしいよ。一体どんな悪いことしでかして、あんなひどい目に遭ったんだろう」
昨日とまったく同じように二人は、庭に回ってきて、昨日と同じ光景があると思ったのか、和室を覗いた。
「ああ、今日はいない。さすがに許されて学校に行ったんだろう」
「そうだろうとも。そんなにいつまでも裸でいる訳がないもん」
帰ろうとしている。ほっとしたその時、一人が「俺、トイレに寄ってく」と、体の向きをこちらに回した。
「トイレなんかあるかよ」
「あるよ。そこだ」
男たちが来て、戸を開けようとした。僕は内側で戸を押さえていた。
「おかしいな。ここのトイレ、昨日は鍵なんかなかったけどな」
男は次第に力を込めてきた。僕は必死になって戸を押さえていたが、ついに男が乱暴に戸をがたがたと揺らし始めたので、柱を残して四方の羽目板がみんな倒れてしまった。
「なんだ!」男が目をくりくりさせる。
便器の横で素っ裸の僕が小さく蹲っていた。男たちは、僕が昨日の肛門から出た尻尾を鴨居に吊るされて悶えていた男の子と同一であると認めると、たいそうな驚きの声を上げた。そして、その尻尾が未だにお尻に付いているのを見て、眼鏡の男が
「なんだ、君はまだ罰を受けているのか」と、聞いた。僕はこくりと頷いた。
「また朝から裸にされて、罰を受けているのか」と、丸顔の男が僕の裸をじろじろ眺め回してから、問う。
「ずっとこのように丸裸でいます。この尻尾が取れない限り、僕は服を着ることができません」
「そうか。取れないのか。取ってあげるから見せてごらん」
「いや、いいです。取れませんから」
「いいから遠慮するな。こっちに来い」と丸顔の男が急に乱暴に僕の肩をつかんで、囲いの板を無くしたトイレから僕を引っ張り出した。入れ代わり眼鏡の男がトイレに入ってチャックを下ろした。肩や背中に雨粒がぽつぽつと当たる。
僕は丸顔の男に命ぜられるまま、蓮の葉のような大きく平らな庭石の上で、四つんばいになり、股を開いた。指が肛門を探っている。眼鏡の男が、このポーズでは見づらいからと、僕に仰向けになるように指示した。庭石が僕の背中に当たった。腰を上げさせられ、足が左右に大きく開かれる。
二人の男は上から僕の肛門をやおちんちんの袋を覗き込んでいた。冷たい雨が剥き出しにされたその部分へ容赦なく当たる。丸顔の男がいきなり強く尻尾を引っ張った。僕は激痛に顔をゆがめる。丸顔の男は、ぐいぐいと力まかせに引っ張るのだった。
痛いってこんなに叫んでいるのに、丸顔の男は「我慢しろ」の一点張りで、引く手を緩めようとしないのだった。ついに僕は大声を上げて泣き出した。
「おいおい、女の子みたいに泣くじゃないか。ほんとに女の子みたいだけどな。そのおちんちんがないと、まるっきり女の子みたいな体つきだぞ」と、眼鏡の男が平らな胸を掴みながら言うと、丸顔の男が「まったくそうだよな。そんなに泣くなよ。取れるものも取れなくなっちまったじゃないか」と、僕のお尻を撫でる。僕は彼らの手を払って庭石の上に向き直ると、しゃくりあげた。
「もういいんです。どうせ今日、病院に連れてってもらうんだし。だからおじさんたち、僕をこれ以上傷つけないでください」
「悪かったよ。もうやめるよ。怖い女主人が帰ってきたら、伝えてくれ。受注した仕事のことで相談に来たけど、また連絡するって」
男たちは、いつまでもしゃくりあげる僕を庭石の上に残して、去った。
囲いの板を柱に立てかけて、僕は便器の横で夕方になるのを待っていた。時間がまったく分からなかった。もうお昼はすぎたのだろうか。まだだろうか。
永遠とも思える時間が流れていた。僕は溜まったうんちでお腹が痛かった。
雨の降りがまた強くなったようだった。狭いトイレの中で向きを変えると、板が倒れてしまった。一枚の板が倒れると連鎖的に四枚全部倒れる。
僕はまた外に出て、板を立てた。畑のおばさんに裸を見られた。
門の外の通りを明るい柄の二つの傘が通っていた。Y美が帰ってきた。もう一つの傘も門の中に入ってきた。雪ちゃんだった。二人とも楽しいお喋りをしてきたようで、表情に屈託のない笑顔が浮かんでいる。
トイレの囲い板はわずかな風にも倒れてしまい、直しに出るたびに畑のおばさんに裸を見られ、そのうちおばさんの友だちらしい人が集まってきたので、僕はトイレから離れて、アジサイの花の後ろに隠れていたのだった。
Y美は僕を雪ちゃんの前に引っ張り出して、正座して挨拶するように命じた。
「いらっしゃいませ」僕は深々と頭を下げた。
「おもしろい。チャコちゃん、土曜日のあの午後から、もしかして、ずっと」と、大きな目でY美に訊ねる。
「そうだよ。土曜の午後、川で鉱石を取った時からずっと」
「ということは、もう二日も経っているんだよね。二日間ずっと?」
「そうずっと、素っ裸のまま、一度も服を着ていない」Y美が笑い出した。
「ずっと丸裸でいたんだ。すごいよ。ほんとに犬みたいになっちゃったんだね」幸ちゃんが感動のこもった声で、僕の頭を撫でる。
二人は僕のうんちが溜まった下腹部を押して、きゃっきゃっと嬉しそうな声を上げた。
うんちが出そうで出せない痛みが強くなると、おちんちんが自然に大きくそそり立つのだった。Y美は雪ちゃんに勃起したおちんちんを見せたくて連れて来たのだと言った。
四つんばいのまま、何度も庭を往復させられ、お尻を上げて尻尾を振らされた。二人の女の人は縁側に腰かけていた。彼女たちには庇が覆っていて雨が当たらない。僕は生まれたままの素っ裸を雨に打たれながら、次々と女の人たちが要求する芸をこなしていた。
「恥かしい? 恥かしくないの? もう慣れた?」雪ちゃんが上目遣いに僕に尋ねる。
「慣れてなんかいません。だからもう」許してくださいと続けようとすると、「はい。じゃあもう一度」と雪ちゃんがリクエストするのだった。
「はい。もう一度だよ」Y美が命じた。
夕方になっておば様が門に車を横付けにすると、僕に車に乗るように言った。
何か着る物を、と僕は言った。おば様は腰を屈めて、庭でしゃがんでいる僕の目をじっと見た。そして、「裸のままでいいみたいだよ。気さくな先生でね。尻尾をつけて犬みたいだから、ずっと素っ裸のままにしてあるのって言ったら、膝を叩いて大笑いされてね。結構結構、裸のまま連れて来なさいだって。よかったわね」と、笑った。
Y美がトランクを開けて待っていた。僕にここに入るように命じた。
僕が困っておば様のほうを向くと、おば様は「急いで」と、顎をしゃくった。僕は相変わらずの素っ裸のまま、トランクの中に入った。トランクが閉められた。
お腹がうんちで破裂しそうだった。
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楽しみにしてるんで更新頑張って下さいね!
僕のブログではターバン野口の折り方を紹介しています。
暇があったら是非どうぞ。
http://panicblog.blog109.fc2.com/?eid=3191
ブログ、拝見しました。
これからもちょくちょく伺いますね。