思い出したくないことなど

成人向き。二十歳未満の閲覧禁止。家庭の事情でクラスメイトの女子の家に居候することになった僕の性的いじめ体験。

パンツ一枚になること(その4)

2007-06-13 22:38:18 | 3.この家の決まり
 せめてパンツぐらいは穿きたかったが、Y美はそれすら許そうとせず、決まりを破った僕に対する罰を新たに考えるのだった。
 蛇口に付いたホースを引っ張ってきたY美は、芝生のほうに移動するように命じた。僕は一糸まとわぬ裸の身を回れ右すると、のろのろと芝生に向かって歩いた。芝生の上でY美に向き直る。
「泥だらけのその体を洗ってあげる。動いたら駄目だよ」
 Y美はそう言うと、ホースの先に取り付けたレバーを引いて、勢いよく水を放出させた。冷たい。水がいきなり胸に当たり、息が止まりそうになった。素足でしっかり踏ん張らないとよろめいてしまうほどの水圧だった。水が腕、肩、首からだんだん顔に向かう。
「ほらほら、顔をそむけるなよ。顔にも泥がついてるんだから」と、Y美が叱咤する。
 冷たい水が顔のみならず頭全体を、くまなく執拗に打つ。ふたたび首から下がって肩、胸、脇腹が狙われた。僕はおちんちんを手で隠しながら身をくねらせた。腹部の泥が洗い流されてゆく。水はおへそに溜まっていた泥もきれいに流した。
「後ろを向いて、両手を頭で組みなさい」
 激しい水の音に混じってY美の声が高く響いた。素っ裸でいいように洗われている自分が恥かしく、一刻も早くこの場から立ち去りたかったが、着衣を奪われている僕に逆らうことなど、とてもできない。Y美の命令に従って、僕は後ろを向いた。頭、肩、背中を水が直撃する。水を浴び続けているので、全裸の体が冷えてきた。泥にまみれているところもそうでないところも、等しく水の攻撃を受けている。水は今、僕のお尻の左右の肉を交互に叩いている。
 両手を頭の後ろで組みながら、僕は視線をフェンスの向こうの農道に向けた。女子中学生が五人六人、のんびりと歩いているのが見えた。どうかこちらに気づきませんように。幸い彼女たちはお喋りに夢中のようだった。もし、彼女たちが何かの拍子に30mほど先にある家に目を向けたら、おしまいだ。僕がおちんちんを無防備にさらして立っているのに気づき、黄色い声をけたたましく上げるだろう。しかし、僕はY美の許可がなければおちんちんを隠すことができない身。勝手に手をほどいて隠そうものなら、もっと恥かしくつらい目に遭わされる。
「前を向いて。両手は頭の後ろで組んだままね」
 ホースからの水はいささかも弱まることなく僕の裸身を打ち続けていた。Y美の一声で、知らない女子中学生たちにおちんちんを見られる不安は去ったものの、今度はY美の前におちんちんをさらけ出すことになる。僕は前回みたいに、股の間におちんちんを押し込んでから、Y美のほうを向き、両手を頭の後ろで組んだ。と、たちまち凄まじい水圧が僕の股間を襲った。
「つまんない真似して隠してるんじゃないよ。おちんちんにも泥がついていただろうが。私の目は節穴じゃないよ。ちゃんと出しなさいよ」
 水流が僕の頬を打ってから、すぐに股間に戻った。僕は観念して股をひらき、おちんちんをY美の前に出した。あまりの冷たさに小さく縮こまっている僕のおちんちんを見て、Y美が「的が小さいから、うまく洗い落とすのが難しいじゃん」と言った。そして、目を細めて狙いを定めた。
 ホースから一直線で届く水は、僕のおちんちんを右に左に揺らしている。Y美がホースを巧みに操って、そのようにしているのだった。後ろ手に組んだ手が少しでも下がると、僕の顔を水が直撃し、元に位置にしっかり戻すまで顔から離れないのだった。
 次には体をゆっくり回すように言われた。僕はその場で体を時計回りに回した。Y美は僕の体のどの一点も濡れていないところがないように、頭のてっぺんから足の裏まで念入りに水を浴びせた。二十周ぐらい回って、ようやく水を止めた。
 もっと近づくようにY美が言い、ずぶ濡れの全裸の体をY美の足元の砂利まで運ぶと、その場に正座させられた。細かい小石の粒が痛い。Y美はさっきこの家に上がった僕の友人を口汚く罵り始めた。
「一体何様のつもりなんだろうね。私がお茶運んでやっても、ろくに挨拶しなかったじゃないか。ちょっとばかり勉強ができると思って、人のことを馬鹿にしてるんでしょ」
 僕が黙って頭を下げていると、正座している僕の膝を踏みつけて、「あんたもあいつと同類なんだろ。二人で私のこと、馬鹿にしてたんだろうが」と言って、さらに力を加えるのだった。僕は痛みに歯を食いしばりながら、「そんなことありません」と答えた。
「嘘つけ。じゃあなんで私が部屋に入った時、急に会話を中断したんだよ」
 Y美の手にホースが握られていた。僕の両膝にY美が全体重を乗せる。
「知りません。それはたまたまです」小石が足に食い込む激痛から少しでも逃れようと、身悶えしながら僕は叫んだが、Y美はまるで信じていないようだった。
「正直に言え。あんたはこの家の不満を大袈裟並べ立てて、私と私のお母さんを悪者に仕立てていたんだろ。はっきり言いなよ」と言って、Y美はホースのレバーを引き、正座して震えている僕の頭の上から水をかけた。苛立たしげに僕の膝を踏みつけながら、水が勢いよく出ているホースの先を、僕の耳や鼻の穴、口などにも入れる。鼻の奥がツーンと痛む。水が器官の変なところに入って、咳き込んでしまった。
 その苦界から逃れる方法は、ただ一つ、素直に土下座することだった。
「申し訳ありませんでした」
 砂利の上に手をついて、何度も何度も頭を下げた。そして、今後は、たとえ友人が一緒でも、いつものようにパンツ一枚の裸になって家の中に入り、友人に奴隷のような今の生活を包み隠さず見せることを約束させられた。
「ほんとに、今度こそ約束守るんだよ」
 Y美が正座している僕の前で腕を組んで念押しをした。
「はい。絶対守ります」
「それじゃ誓いの印に、回覧板を届けてきて。パンツ穿いていいから」
 芝生にできた水溜りの中に、パンツが沈んでいた。僕は立ち上がり、びしょ濡れのパンツを拾い上げ、Y美の見ている前でパンツを穿いた。
 
 パンツ一枚を与えられたものの、家の中ではなく、外に出るのであった。Y美から回覧板を受け取ると、ここから40mほど先の家の郵便受けに入れて来いと言う。車道、その脇の歩道も夕方のこの時間帯は、通行量が少なくない。人に見られずに言って戻るのは、まず不可能と思われた。しかし、Y美はまるで意に介さない。
「いいんだよ。誰もあんたみたいなチビを中学生とは思わない。小学生の子供がパンツ一枚で川遊びした帰りなんだと思って、気にしないよ。実際にあんたはびしょ濡れだしね。早く行きなよ。さっきの反省は嘘だったの?」
 しかし、そうは言っても、人に見咎められたら、なんと返事をすればよいのか。僕は途方に暮れたまま、パンツ一枚の裸で門の外に出た。冷水を散々浴びた後だったので、体がぽかぽかと自らの体温で温まっていた。
 ひぐらしが鳴いている。目指すは40m先の隣家だ。軽トラックが僕の横を過ぎて行った。ずぶ濡れのパンツ一枚で歩いている僕を、ちらと運転手のおじさんが見た。
 道路沿いには桑畑が広がっていた。道路の向こう側には草が鬱蒼と茂っていて、川が流れている。素足に小石がちくちくした。
 また軽トラックが一台、今度は前方から来た。僕の横を過ぎる時、徐行して、助手席のおばさんが「パンツしか着るもんないの、あんた」と声を掛けてきた。「大丈夫です」と答えると、何事もなかったかのように走り去った。
 向かいから犬を散歩させているおじさん、さきほど農道にいた五人の女子中学生が歩いてきた。彼女たちは早くも、びしょ濡れのパンツ一枚だけを穿いて、公道を歩いている僕を見つけ、好奇の視線を向けていた。通り過ぎた時、一斉に女子中学生たちが笑い出した。僕が顔を真っ赤にして歩いているのがおかしかったらしい。犬が僕のパンツにくんくんと鼻を近づけてきた。おじさんが手綱を引っ張って、犬を離した。
 ようやく目的の家まで着いた。郵便受けの中に回覧板を押し込んでいると、庭で険しい表情の老人が僕を手招きしていた。
 恐る恐るその家の敷地内に入る。もしかすると裸の僕を不憫に思って、何か着せてくれるのかもしれない。しかし、そんな甘い考えはすぐに吹き飛んだ。このごま塩頭の老人はパンツ一枚の僕を目の前に立たせると、「たわけ」と一喝するのだった。
「きさまはいかなる理由があってパンツ一枚のこのような不埒な格好で、町内を歩いているのか」
 僕だって好きでパンツ一枚で歩いているわけではない。しかし、今初めて会った人に、いきなり個人的な事情を説明するのは気が引けた。そこで、Y美が言った通り、川遊びをしていて服を無くした、と答えた。
 すると、ごま塩頭の老人は顔を真っ赤にして体を振るわせた。
「このばかもの。泳ぐなら水着にするか裸にするか、どっちかにしなさい。パンツなどという下着で泳ぐとは、言語道断じゃ。脱げ。今すぐそのパンツを脱いで、素っ裸になってわしに土下座しろ。半端なことして申し訳ないと詫びるのじゃ。ほれ、早くそのパンツをこちらに寄越せ」
 つかつかと急ぎ足で来て、僕のパンツのゴムを引っ張った。老人とは思えない力だった。僕は驚きの悲鳴を上げて、「やめてください。放してください」と言って、老人の手からパンツを放させようとした。
 騒ぎを聞きつけて、家の中からぞろぞろと人が出てきた。みんな老人で、中にはお婆さんも混じっていた。ごま塩頭の老人の話を聞くと、みんなが異口同音に「そうだそうだ。パンツで泳ぐなんて罰当たりじゃ。水着が無いのなら裸じゃな」と言った。ごま塩頭の老人は後ろから僕のパンツを思い切り引っ張り、上方に持ち上げた。眉毛の濃い老人が前からパンツの上端部をつかむと、手前にゴムが切れるくらいに引き伸ばした。お婆さんがパンツの腰の辺りを負けじと引っ張った。
「やめてください。切れてしまいます」僕はパンツを押さえながら、必死に説得に努めた。「こんなことして、何になるんですか。誰が得をすると言うのですか。パンツで泳いで何が悪いんですか」
 パンツは50cm近く伸ばされている。このままでは破れてしまう。「やめて。裸にしないで」と叫ぶ僕の願いもむなしく、びりびりと音がして、腰の周りを微風が通った。布切れとなった僕のパンツが老人たちの手から手へ渡る。眉毛の濃い老人が丸裸に剥かれた僕をじろじろと見て、にたりと笑った。その隣りにごま塩頭の老人が箒を持って立っていて、僕に、
「素っ裸になったか?」と聞いた。
「見れば分かるじゃないですか」手でおちんちんとお尻をそれぞれ隠しながら、僕は半べそを掻いていた。と、箒の先でお尻を叩かれた。
「このばか者。素っ裸になったかどうか、聞いているのだから、素直に答えろ」
「なりました」と声を震わせて答えると、箒がさらに強く飛んできた。
「答えになっとらん。何になったのか、ちゃんと答えろ」
「素っ裸になりました」
「手をどこにやっとるのか。気を付けの姿勢で、もう一度言え。誰が素っ裸になったのか、わしには分からんぞ!」今度は箒の柄の部分でお尻を叩かれた。痛い。
「僕が素っ裸になりました」
 僕は気を付けの姿勢を保ったまま、僕を取り囲む老人たちに全裸を鑑賞されていた。この人たちは、一体何者なのだろうか。回覧板を届けただけなのに、なぜパンツを奪われ、知らない老人たちの前で恥かしい思いをしなければならないのか、その理不尽さに、僕は目まいを覚えるのだった。

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