スクール水着姿のメライちゃんと素っ裸の僕は、ほとんど身動きできない空間の中で互いに体をぶつけ合っているような感じだった。そのうち、僕の左肩がメライちゃんの背筋に入った。あと少しだった。スポッと腰が回り、やっとのことでメライちゃんと僕の体は背中合わせになった。メライちゃんのお尻が直接僕のお尻にぴたりとくっ付いた。薄い水着を通して、メライちゃんのお尻の形がはっきり感じられる。
「ナオス君、そこから扉を押して出られない?」
まさに僕の左側が回転扉であり、体重を掛けると少しだけ回転扉が動いて、隙間から誰もいないアトリエが見えた。それでもやっと指が三本入るぐらいの幅しかない。僕のすぐ後ろにいるメライちゃんの肉体が妨げとなって、これ以上開かないのだった。
「もうちょっと開けないと、出られない」
力を入れて押せば押すだけ、回転扉は背後にいるメライちゃんを圧迫することになる。メライちゃんの呻き声が痛々しくて、とても力が出せなかった。それよりもメライちゃんが僕を押したらどうだろう。その方が効率の良いやり方と言える。
「どう? まだ開かない?」
「もう少し」
背後からメライちゃんが僕をぎゅうぎゅうと押す。
気がつくと、メライちゃんはお尻を突き出すようにして僕を押していた。狭い空間の中では、これが一番力を出せるのだろう。メライちゃんの水着のお尻が僕の裸のお尻に密着し、僕を回転扉の外へ押し出そうとしている。
二人の力の相乗効果で扉が開きつつあったけれど、一つ問題があった。メライちゃんと背中合わせの僕は、メライちゃんがお尻で押してくると、否応なく腰を前へ突き出してしまう。このままでは、まずおちんちんが隙間から外へ出ることになる。
狭くて暑苦しい箱の中から自分を解放することで頭が一杯のメライちゃんは、当然ながらこんなことに気づくよしもなく、声を出しながら足を踏ん張って押してくる。そうこうしているうちに、回転扉の隙間におちんちんが入った。
「メライちゃん、ちょっと待って」
慌てて声を掛ける。扉の隙間が少し広がると同時に、ぐいぐいとお尻を押される。しまった、と思った時は遅かった。
ぷるん、とおちんちんが扉の外へこぼれた。
おちんちんを挟まれる恐怖が身内を駆け巡り、更に力を込めて隙間を広げておちんちんを引っ込めようとしたところ、メライちゃんに押されて、おちんちんの袋までがすぽっと扉の外に出てしまった。
「まずい。そのまま動かないで」
僕が悲鳴に近い声を上げて嘆願するので、メライちゃんは何事かと思ったようだ。腰を引き、今までとは逆の方向に力を入れる僕にメライちゃんが怪訝な声で「どうしたの」と訊ねる。抜けない。扉の隙間に嵌ったおちんちんがどうしても抜けない。
「外に出ちゃったの」
恥ずかしさに消え入りそうな声で答える。
「出ちゃったって、何が?」
狭くて蒸し蒸しする箱の中で、互いの体をぴったりとくっ付けていると、頭もうまく回転しない。僕は目をつむって一言、「おちんちん」と返した。
「嘘でしょ」
何やってんのよ、と非難するようなその声の調子は、僕を焦らせた。慌てて無理にでも引き抜こうとするのだけれど、痛いだけで、どうしてもおちんちんの袋が中に入ってくれない。外にはみ出てしまったおちんちんが小さく縮こまっている。
メライちゃんが体の向きを変えようと腰を回した。おちんちんが挟まっているのとは反対側の扉にメライちゃんの体がぶつかり、僕の側の扉が閉まろうとする。おちんちんの根元が圧迫される。僕は痛みに呻き声を漏らしながら、メライちゃんに反対側の扉を押さないように懇願した。
「もうちょっとで向きが変わるから、ちょっと我慢して」
「痛い。千切れちゃう。お願い」
頬を伝った涙が胸や足の甲に落ちた。メライちゃんがようやく動くのをやめた。体の正面を僕の背中に向けたのだった。メライちゃんの胸が背中に当たり、スクール水着の上からでは分からなかった柔らかな弾力が感じられる。メライちゃんは僕の腰の部分に手を当てると、ぎゅっと体を押し付けてきた。押して、扉を開けようとする。たしかにその方が隙間が広がり、おちんちんが締め付けられずに済む。このまま隙間が開いて、僕の体が外に出れば良いのだけど、まだ足を入れる余地もなかった。
回転扉におちんちんを挟まれた状態では、股関節が開いているので、どうしても自分の体を前へ押し出す力が出せなかった。このままではメライちゃん一人の力に頼ることになる。だから、とにかく一度嵌ってしまったおちんちんを抜き取り、僕も十全の力が出せるようにする必要があった。それに何よりも、おちんちんをいつまでも外部に晒していたくなかった。それで、うんと押して隙間を広げてから、素早く腰を引き、おちんちんを抜こうとするのだけれど、これがなかなかうまくいかない。
引き抜こうとして腰を引いた瞬間、メライちゃんの体がどうしても反対側の扉にも当たるので、たちまちにおちんちんが挟まれてしまう。特に僕が急いで腰を引くと、回転扉が勢いよく閉まってくる。非常な痛みに耐えなければならなかった。
ゆっくりと腰を引いても同じだった。腰を引くと、どんなにメライちゃんが力強く僕の体に密着しても、どうしても体がぶつかって扉が閉まってしまう。腰を引いて抜こうとする度に扉が閉まってきておちんちんを圧迫する。試みれば試みるだけ痛みに耐えなければならない。僕が悶えながらも何度も引き抜こうとするので、メライちゃんが心配そうに声を掛けてきた。しかし、僕はそれに答える余裕を持たず、ただ、「抜けない。どうしよう、抜けない」と、焦るばかりだった。
愚図愚図しているとY美たちが戻ってきてしまう。おちんちんが外にはみ出ていては、どんな酷い目に遭わされるか分かったものではない。それに、こんな見っともない姿をお姉さんや同性の鷺丸君に見せたくなかった。
「焦らないで。ゆっくりやろうよ。必ず抜けるから」
ドアに挟まれて何度痛い目に遭っても懲りずに執拗におちんちんを引き抜こうとする僕は、軽いパニック状態だったのかもしれない。メライちゃんが僕の気持ちを落ち着かせようと、優しく話し掛けてくれたけれど、あいにくと僕にはそれに応じる気持ちの余裕がなかった。メライちゃんが僕の肩に顎を乗せ、「ゆっくりやろう」ともう一度、言った。
「腰を引く時、二人の呼吸を合わせるのが大事だから。ね?」
メライちゃんの静かな声が息とともに僕の耳たぶをくすぐった。僕は深呼吸をすると、メライちゃんとともに、一、二、三のリズムで腰を引き、おちんちんを引き抜こうとした。が、またしても途中で閉まってきた扉に挟まれてしまった。二度試みて二度とも失敗。僕はメライちゃんのスクール水着を背中やお尻で感じながら、自由の制限された体をくねらせ、おちんちんを挟まれている痛みに耐えた。
アトリエのドアが不快な音を立てた。とうとうY美とお姉さんが戻ってきてしまった。緊張で体が硬くなる。それでも、おちんちんを抜こうとして腰を引き続ける。
「ねえ、お二人さん、まだ箱の中に入ってんの?」
Y美が声を掛ける。すかさずメライちゃんが「ここから出して、お願い」と、僕の後ろにぴったり体をくっ付けたまま呼びかけた。反応はなかった。と、突然お姉さんがくすくす笑い出した。
「ねえ、ちょっとY美ちゃん。これ見てよ」
僕は目をつむった。隠し部屋に近づく足音がする。
「嘘でしょ。信じられない」
「見事に出してるよ。抜けなくなっちゃったのかな?」
「何これ。ねえ、何出してんのかな。これ?」
ひゅるんとした冷たい手がおちんちんを触った。おちんちんの袋が手のひらに乗せられ、撫でられる。おちんちんが指で軽く摘ままれた。
「ねえ、そんなに私たちに見せたいの? 何で出してるの?」
扉の隙間からお姉さんが不思議そうに訊ねる顔が見えた。Y美がおちんちんをいじり、皮を引っ張った。
「痛い。やめて。引っ張らないで」思わず声を上げると、
「自分で勝手に出しておきながら、どういう口の利き方してんのよ」
舌打ちしたY美がおちんちんの皮を引っ張り、ぐるぐる回し始めた。僕はおちんちんの皮が千切られそうな痛みに泣き叫びながら、何度も「ごめんなさい」を繰り返して謝る。お姉さんが溜息をついて、「ナオス君、これじゃ苛められても仕方がないよね」と、呆れたような声を出す。
Y美が扉におちんちんの挟まった経緯を知りたがるので、ここから出ようとして扉を押していたら外に出てしまった、と答えると、Y美が「何が出てしまったの?」と重ねて訊ねた。「ねえ、何が扉の外に出てしまったの?」一目瞭然なのに、Y美はあえて僕の口から答えさせようとしているのだった。
「おちんちん、です」
すぐ後ろにいるメライちゃんを意識して小さく答えると、Y美が「聞こえない」と言った。「ねえ、今の聞こえた? 全然聞こえないよね」と、お姉さんにも確認する。「もっと大きな声で答えなさいよ」Y美が隙間から僕を睨みつけて怒鳴った。
おちんちんです、と大きな声で答えさせられた僕は、もう一度、おちんちんが扉の外に出てしまった理由をY美の求めに応じて説明しなくてはならなかった。
「でもさあ、ほんとにおかしいよね。すっごく受けるんだけど」
Y美が指で輪っかを作って、おちんちんを擦りながら言う。アクシデントによって想像もしなかった事態になったことをY美だけでなく、お姉さんまでも喜んでいるようだった。僕は外に出てしまったおちんちんをいじられている。感じてしまえば苛めをエスカレートさせるだけだと思って全力で感じないように歯を食いしばってきたものの、精液を出していない日が続いたこともあって、あえなく気持ち良くなってしまう。
おちんちんが段々硬くなる。お姉さんが「扉に挟まっても、感じるものは感じるんだね」と笑う。
「それにしても簡単に大きくなりすぎでしょ」Y美が勃起したおちんちんを上に向けて、裏筋を指の腹で撫でるように擦った。
「もしかして、逝きたい? メライちゃんにも聞こえるように頼んでごらんよ。逝かせてくださいって」
お姉さんが隙間から僕の羞恥に耐える顔を覗きながら、冷やかす。
「やめてください。それよりここから出してください」
喘ぎながらお願いするも、お姉さんは、これをあっさり無視して、「ねえ信じられる? ナオス君たらね、Y美ちゃんにおちんちんをいじられて、大きくしてんだよ」と、メライちゃんにわざわざ状況を伝えるのだった。
不意にY美の手がおちんちんから離れた。射精寸前で又しても止められたのだった。
悶える僕の呼吸は荒く、汗にまみれた一糸まとわぬ体を扉にぺったりとくっ付け、くねらせた。こんなことでおちんちんが引き抜けるとは思わないが、それでもじっとしていられなかった。と、僕にぴったりと体を寄せているメライちゃんが鼻をすすり始めた。
「ごめんね、ナオス君」声を震わせて謝る。
「私が、後ろから無理にお尻で押したから、こんなことになってしまって」
更なる性的な官能を求めて朦朧としていた僕は、何も答えられなかった。
「私、あんまり男の子の体のこととか、分からないし」
「別にメライちゃんのせいではないよ。気にしないで」
僕がそう言いかけた時、Y美が再びおちんちんに手を伸ばした。亀頭を軽くタッチされ、濡れた先端が亀頭全体に広げられるとともに、おちんちんにも塗られる。複数の指がおちんちんに絡むと、別の手がおちんちんの袋を揉みしだく。メライちゃんのほんのり膨らんだ胸が僕の背中の中で波打った。
「今度こそ逝かせてあげようか」
Y美が目を大きく見開いて扉の隙間から覗き込んだ時、アトリエの建てつけの悪いドアが大きな音を立てた。鷺丸君が入ってきた。
突然、Y美が金切り声を上げて逃げた。射精寸前だったおちんちんがまたしても途中で放置されてしまった。
「どうしたのよ、その蛇」
お姉さんが鷺丸君に言った。
鷺丸君は腕に大きな青大将を巻いていた。池を縁取る石と石の狭間で涼んでいるのを見つけた、と事もなげに答える。
「やめて。ちょっとこっちに来ないで」
「Y美ちゃん、大丈夫よ。ただの青大将だって。庭とかにたまに出るんだよね」
「やだったらやだ。こっち来たら本気で怒るからね」
「大袈裟だねえ。この子なんか小学一年生の頃から捕まえて遊んでたよ」
お姉さんが言って、鷺丸君の腕から首を伸ばす青大将の頭を撫でている。
Y美ほどではないものの、僕もまた蛇が苦手であり、怯えるY美を小気味良く眺める余裕は全くなかった。扉の隙間から鷺丸君の腕に大きな青大将がいるのを見た途端、恐怖のあまり、射精寸前だったおちんちんがたちまちに萎んだ。
鷺丸君が扉からはみ出ている僕のおちんちんに気付いた。怖がって近寄ろうとしないY美に代わってお姉さんが事情を話すと、快活な笑い声を立てる。アトリエの端に逃げたY美をよそに、喜々として青大将と戯れる。Y美が蛇を怖がるのを見てから、鷺丸君は自信を取り戻したようだった。その長い全長が少しでもY美のいる方に伸びると、鋭い悲鳴と怒りの声が響いた。
「早くどこかへやって。そうしないとあんたの舞台の時間を削るからね」
母親の権力を笠に着たY美のヒステリックな叫びは、助長しかかった鷺丸君のいたずらの矛先をたちまちに変えさせた。青大将を巻き付けたまま、鷺丸君が膝を曲げた。
「いやだ。やめて。お願いだからやめて」
鷺丸君のしようとすることを察した僕は、素っ裸の身をがくがく震わせながら訴えた。鷺丸君が面白そうに青大将のぬるぬるとした体をおちんちんに近づける。「青大将をちんちんに巻くのは俺も初めての体験だな」と、呑気そうに言う。僕は悲鳴を上げて許しを乞い、目をつむった。
ひんやりとしてぬるっとしたものが触れる。すべすべしたぶ厚い皮のようなものがおちんちんの上をゆっくりと這う。呻き声を漏らす僕は膝に力が入らず、まともに立てないのだけれど、おちんちんが挟まっているので腰を落とすことができない。後ろでメライちゃんが僕に密着させた体をくねらせた。扉の外で何か異常なことが起きていることに感づいたようだった。
「どうしたの?」
「蛇、蛇が」
それだけ言うと、僕は短く喘いで体を仰け反らせた。青大将がおちんちんの袋の下からおちんちんにかけて冷たくてぬるりとした鱗の付いた体を巻き付けてきた。
「嘘? 蛇?」
メライちゃんの体が一瞬にして硬くなった。
扉からはみ出て自由の利かないおちんちんに青大将の頭をくっ付け、チロチロと出る舌で舐めさせようとする。しかし、青大将はすぐに頭を別の方向へ向けてしまうようだった。舌打ちをする鷺丸君にお姉さんが話し掛けた。
「案外気持ち良くなるんじゃないの、この子」
「そうかな。俺は考えられないけどな」
鷺丸君がにやにや笑いながら答えると、姉の推測を実証しようとするかのように、青大将をいったんおちんちんから離し、頭と尾の方を掴んで、おちんちんの下に入れた。おちんちんの袋とおちんちんに蛇のぬるぬるした皮が当たる。皮の内側で何かが細かく動いているような気がする。
やだ、やめて、としか言えず、その後は言葉にならない声が続いた。細長い爬虫類の体でおちんちんが扱かれている。やがて、尾の先がおちんちんに絡み付き、きゅっと締め付けた。ひんやりとした感触は消えて、今や生温かく感じられる。青大将の頭がおちんちんの下に入り、袋に当たった。何かねちっこいものが突いてくる。おちんちんを扉から引き抜けないことが忌まわしい。考えたくないけれど、青大将の舌がちょろちょろと出ているのだろう。
再び蛇の首を掴んだ鷺丸君がもう片方の手で尾を持って広げると、くねる青大将の体を輪にしておちんちんに嵌めた。そのまま左右に揺する。蛇は体をくねらせて、おちんちんを締め付けたかと思うと、いきなり思わぬ方へびっしりとその鱗に覆われた身を擦り付ける。僕はおちんちんを扉に挟まれた体をよじり、喘いだ。「やっぱり感じてるみたいだね」と、お姉さんが勝ち誇ったように言った。
「どこまで変態なの、こいつ。勃起してきたよ」
Y美だった。蛇が怖くて離れていた筈なのに、いつまのにか近くに来ている。僕が蛇を使って性的に嬲られているのを見て、もっと苛めて楽しみたいという欲望を覚えたようだった。その欲望によって蛇への恐怖心をあっさりと克服したY美は、平然と顔を寄せ、青大将が身をくねらせて締め付けるおちんちんに目を凝らす。皮が剥け、亀頭の敏感な部分にも蛇の鱗が触れた。僕は悲鳴を上げて、体をぴくりと痙攣させる。
「慣れればどうってことないでしょ」熱心に見入るY美にお姉さんが話し掛けた。
「うん」目を片時もおちんちんから離さずにY美が答える。「見て見て。先っぽが濡れてきたよ。射精したくてたまらないみたいだね。ひくひくしてる」
気持ち悪さの中に気持ち良さが芽生え、少しずつ大きくなった。今は気持ち悪さと気持ち良さが混然一体となって、僕の頭を朦朧にしている。Y美はしかし、まだ僕を射精させる気はないようだった。
青大将の離れたおちんちんは、溜まった精液を放出するための最後の一扱きを求めて、仰け反るかのような形になっている。僕は扉に腰を押し付けてあえなく喘いでいた。メライちゃんが緊張で硬くなった乳房を僕の背中に埋める。僕が蛇への恐怖で取り乱したものと思ったらしい。心配そうに声を掛けてくれるのだけど、まさか性的な快楽に打ちのめされ、更なる刺激を求めて悶えているとは言えずに、ただ荒い呼吸の中に生返事を繰り返すばかりだった。
扉の外に引っ掛かっているおちんちんの袋に激痛が走り、僕は悲鳴を上げた。Y美だった。アトリエ用の上履きサンダルの足先でおちんちんの袋を下から蹴ったのだった。いつまでも勃起させているのが気に入らなかったらしい。突然の痛みにしゃくり上げていると、お姉さんが心配そうにおちんちんに触り、袋に異変がないか、揉んだり引っ張ったりして確かめた。まさか本気で蹴らないから心配いらない、とY美がお姉さんに言った。これまでにも何度も蹴ったから加減は知っているのだ、とお姉さんを安心させようとする。
Y美は女の人だからこの痛みを実感することはない。それなのに、涙を流して苦悶する僕を「大袈裟に痛がって、同情を買おうとしている」と言って、嘲笑する。今回もそうだった。鷺丸君に扉の隙間から青大将を覗かせて、中の狭い空間で体をくっ付け合っているメライちゃんと僕を威嚇するように仕向けた。青大将の大きな口が開いた。つっかえて、中に入り込むことはできないようだった。
蛇がいる、と僕から聞いていたメライちゃんは、扉の隙間から実際に青大将を見て、「いやあ」と一言鋭く発した。途端に体をがくがく震わせ、扉からスクール水着に包まれた柔らかい肉体をできるだけ遠ざけようとして、逆に素っ裸の僕の体を扉に押し付ける。メライちゃんの甘酸っぱい息の香りがした。
「もういや。ここから出して。お願いだから出して」
泣き声混じりにメライちゃんが訴える。その悲痛な声が逆にY美の嗜虐心を煽るのではないかと心配になった。射精寸前だったおちんちんは、今や皮の中に消えてしまいそうな程小さく縮んでいる。Y美がそれをぷるんぷるんと揺らして「やっと戻ったね」と微笑むと、不意に立ち上がり、腕に青大将を絡ませている鷺丸君を呼んだ。面白いことを思い付いた、と言う。
「メライさあ、そんなにここから出たいんだね? いいよ、出してあげる」
Y美のメライちゃんに投げかける声がアトリエ内の反響を伴って、威圧的な調子を帯びた。メライちゃんが消え入りそうな声で「はい」と答える。
「でもさ、条件があるよ」扉の隙間にぐっと顔を近づけて、Y美が続ける。「あんたの体を使って、チャコのおちんちんを勃起させるんだよ」
チャコがY美に命名された僕の奴隷名であることをメライちゃんは知らない。だが、すぐに察したようだった。
「勃起させるの。分かった?」Y美が念を押す。
メライちゃんの絶句が背中越しに感じられた。扉に挟まれたおちんちんは、メライちゃんはもちろん、僕も触れることができない。僕のお尻や乳首、首筋、耳の付け根付近などのあらゆる性感帯に刺激を加え、おちんちんを勃起させてみろ、というのだった。扉の外にいるY美やお姉さんは、その間、一切おちんちんに手を出さない。ひたすら、おちんちんの観察に徹すると言う。
「おちんちんがしっかり硬くなったら、外に出してあげる。でも、ずっとふにゃふにゃのままだったり、メライの頑張りが足りないって私が判断した時にはさ、この気持ち悪い蛇を中に入れちゃうからね。ええと」
言葉を切ると、Y美は扉の対面側上部、明かり取りの方を見るように言った。台座にでも乗っているのか、鷺丸君が明かり取りから顔を覗かせ、格子を二本引き抜いた。
「うわあ、窮屈そうだなあ、お前ら」
下を覗き込みながら、いかにも他人事のように言う。
狭い空間の中、回転扉の隙間に向く僕の背中にメライちゃんがぴったりと体の前面を密着させている。鷺丸君は慣れた手つきで青大将を持ち上げ、自分の首に巻きつけた。青大将が明かり取りから頭を差し入れた。
もしもこのまま青大将が下りてきたら、それは間違いなくメライちゃんと僕の体のあちこちを這い回る。しかも一度入ってしまえば、回転扉が開かない限り、青大将もまた外に出ることはできない。想像するだけでも気が変になりそうだった。
「やめて」
メライちゃんが金切り声を上げて、暴れ始めた。お尻を膝で蹴られる。背中をばしばし叩かれる。僕の体だけでなく、壁や扉にどしどしと不自由な体をぶつけて、「いや、いや、やめて」と叫ぶ。おちんちんの挟まっている側の扉が閉まってくる。
見上げると、青大将の体長は、ざっと2メートル近くあった。鷺丸君が体の半分くらいのところをしっかり押さえてくれてはいるものの、メライちゃんと僕の頭上すれすれの宙を青大将の鎌首が舌舐めずりしながら動き回っている。
生きた心地がしないメライちゃんは、僕を勃起させるどころではなかった。悲鳴を上げ、どしどしと回転扉に体をぶつけたり、足で押したりする。それがおちんちんの挟まっているのとは反対側だったから、たまったものではなかった。
すぐ頭の先では、蛇が頭を垂らしている。ぬるりとした爬虫類の体がいつ鷺丸君の手をすり抜けてしまうか分からない。パニックになるのも無理はなかった。おちんちんの挟まっているのとは反対側の扉に向かって、メライちゃんが遮二無二体をぶつける。僕の側の扉が閉じる方向に動き、おちんちんの根元が締め付けられる。
激痛に悲鳴を上げる。でも、メライちゃんも悲鳴を上げているし、僕の悲鳴も同じ蛇が原因だと思われたのか、メライちゃんは自分が反対側の扉を押していることになかなか気付いてくれなかった。とにかくこの隠し部屋から抜け出せることができれば、僕が多少痛い思いをしても構わないと思ったのかもしれなかった。
扉が閉まろうとしては挟まったおちんちんに弾き返される。ぱたんぱたんと扉が音を立てる。締め付けられる度におちんちんがぴくんぴくんと跳ねるのをY美やお姉さんは面白がって見ていたけれど、その激痛たるや半端ではなかった。僕は泣いて、誰にともなく痛みを訴え、やめるように哀訴し続けた。もう頭上の青大将などはどうでもよかった。それくらい、おちんちんの痛みは堪らなかった。
さすがに心配になったのか、お姉さんが鷺丸に言って青大将をいったん引っ込めさせた。メライちゃんに声を掛け、落ち着くように言う。
「メライちゃん、忘れちゃったかな。ナオス君は、おちんちんが扉に挟まっちゃってるんだよ。メライちゃんが反対側の扉を一所懸命押すから、可哀想にナオス君、扉に挟まれたおちんちんが痛くて仕方ないんだって。千切れちゃうかもよ」
メライちゃんは、ハッと気付いたようだった。頭上の蛇が引っ込んだことを確かめると、痛みにしゃくり上げる僕の肩に手を置いて、洟を啜りながら一言、「ごめんなさい」と謝った。そして、僕の肩に顎を置くようにして下を向きながら、「大丈夫?」と聞いた。僕が涙を拭いて頷くと、頭上から鷺丸君が「心配すんなよ」と、声を掛けてきた。
「こいつは俺がしっかり押さえてるから」と、腕に絡んだ青大将を撫でながら言う。
挟まれ、締め付けられたおちんちんに氷が当てられ、痛みが少し退いたところで、再開となった。明かり取りから青大将がするするとメライちゃんと僕の頭上近くまで下りてきて、鱗に蔽われた身をくねらせる。しかし、メライちゃんは最初と違い、だいぶ落ち着きを取り戻したようだった。少なくともパニックには陥ってなかった。
「ほら、早く始めなよ。愚図愚図してると、ほんとに蛇ちゃんを入れるからね」
Y美が僕の縮み切ったおちんちんを覗き込みながら、宣言する。
勃起させると言っても、おちんちんに触らずにどうすれば良いのか、メライちゃんは皆目分からないようだった。お姉さんが扉の隙間からメライちゃんに向かって、いろいろとアドバイスをする。メライちゃんは肩を震わせ、泣いていた。やはり頭上の青大将が怖くて仕方なく、この恐怖から脱するためには、どんな命令にも従わざるを得ないと諦めたのかもしれなかった。おもむろにメライちゃんの手が僕のお尻を撫で回し始めた。ぎこちなく、いやいや仕事をする時のような荒っぽい手つきでお尻の肉を掴む。
泣いているメライちゃんの口から漏れる息が少し粘っこく、熱くなってきた。メライちゃんの小さな乳房、恐怖で硬くなっていた二つの丘が揉みしだかれたように柔らかくなって、僕の背中に細かく場所を移しながら押し付けられる。
「ごめんね、ナオス君」
か細い声でかすかな吐息とともにそう漏らすと、命令されて、アドバイスされて、気が進まないけれど、従わないと蛇を入れられるから、仕方なくという感じで、恐る恐る僕の胸に腕を回し、ぎゅっと自分のスクール水着に覆われた体を密着させた。僕の首筋に頬をなすり付けるようにして、もう一度、「ごめんね」と言い、人差し指で僕の乳首を擦る。
扉におちんちんを挟まれているため、体をメライちゃんの方に向けることができないのが悔しかった。メライちゃんの、恐らく潤んでいるであろう目を見ることもできず、その口から吐き出される甘い熱っぽい息を直接、鼻腔から吸うこともできない。ただ、メライちゃんのスクール水着に包まれた肉体を背中で感じ取るだけだった。これしか、今の僕には許されていない。
首筋や頬にメライちゃんの唇の感触があった。初々しいけれど、自発的にしたことではない。おちんちんを勃起させるためにお姉さんに言われていやいやながらしたことなのだろう。それでも硬さの残る唇は、僕がおば様に感じた女の人の性質をわずかに感じさせ、妙に生々しかった。その唇がもう一度僕の首筋と耳の付け根に触れた。一度目のくすぐったいような感じは消えて、ほのかな熱を帯びて、僕の体内をも発熱させるような刺激が伝わってきた。
ただおちんちんを大きくさせればよい、それだけでメライちゃんをこの無理矢理させられている行為から解放できるのだから、と考えるのだけど、一方ではメライちゃんを不憫に思う気持ちが働き、これが僕を後ろめたくさせた。
メライちゃんは今、死んだような気持ちになって、僕の体をまさぐっている。それなのに、僕自身はあっさりと動物のように性的に反応してなんともないのか。こう反省すると、性的な官能に身を投じることに対して、これまでに感じたことのないような強い抵抗を覚え、不思議なほど理性的になれるのだった。
ためらいがちだった手の動きが少しずつ活発化し、愛撫の範囲を広げる。メライちゃんのことを思えば、少しでも早くおちんちんを勃起させた方がよいのだけれど、理性が邪魔をして、なかなか感じるまでに至らない。それに、乳首やお腹、お尻、太腿の内側などをいじり回す手は、やはりどこか幼く、拙かった。扉の外のY美やお姉さんの具体的な指示だけを実行しているのに過ぎないような、消極的な動きだった。メライちゃんが胸をぎゅっと背中に押し付けて、おちんちんの根元に触れる。これも遠慮がちだった。根元から先は扉に挟まっているので、袋の下側から指を伸ばし、ゆっくりと撫でる。
鼓動が速くなっているのが分かる。メライちゃんは相当にドキドキしているようだった。吐く息が首筋に感じられ、それがねっとりといつまでもまつわる。メライちゃんは愛撫するという行為にだいぶ没入し、お尻の穴にまで指を割り込ませてきた。中に入りかけたところで止まり、また別の部位を愛撫するために離れた。
手の動きが止まり、メライちゃんが「ひいいい」と、悲鳴を上げた。青大将が頭から首の辺りをするりと触れてきたようだった。Y美が鷺丸君に指示したらしい。おちんちんが少しも大きくならないので、Y美がメライちゃんの発奮を促すためにしたのだった。青大将は、僕の肩にところにも下りてきて、それからするすると明かり取りのところまで引っ込められた。
アトリエのドアが大きな軋みを立てた。一度アトリエから抜けたお姉さんが戻ってきた。Y美にビール瓶のような形をしたプラスチックの容器を手渡すのが隙間から見えた。
「まだ大きくなってないんだ」
と、お姉さんが言うと、Y美が、
「全然変わらないの」
とつまらなそうに答えて、メライちゃんに隙間の方へ手のひらを差し出すように命じた。メライちゃんの手のひらにどろりとした液体を注ぐ。これをメライちゃんと僕の体の間に塗り込めるように言う。
逆らうと本当に青大将を落とされる。メライちゃんは素直に従って、どろりとした液体をメライちゃんの胸と僕の背中が密着する部分に垂らした。サラダ油だと言う。
隠し部屋の中は二人の熱が籠って暑苦しく、二人とも汗だくだくだった。その体にサラダ油を擦り込ませ、スクール水着をぬるぬるさせる。僕の背中に押し付けられた乳房が密着したまま滑らかに動く。
かなり長いこと狭い空間の中に閉じ込められ、暑さで頭がぼうっとする。恥じらう気持ちがメライちゃんの中で徐々に薄らいだようだった。サラダ油に塗れて、体を上下に動かして乳房をなすり付けるメライちゃんに対し、Y美は水着をずらすように言いつけた。
「直接その平たい胸をなすり付けるんだよ。お前のぺったんこの胸は、水着の上からじゃ感じられないだろうが」
Y美が怒鳴る。この命令は、メライちゃんのどんな愛撫よりもおちんちんを反応させる効果があった。しかし、僕は背中を向けているので、メライちゃんが水着をずらして胸を露出ざても、見ることができない。裸の胸を見られる心配はないから、とお姉さんがフォローを入れて、メライちゃんを安心させようとする。僕の背中で何も言わず、メライちゃんがもそもそと体を動かしている。
体を締め付ける程の窮屈な水着は、なかなか脱ぎにくいようだった。ましてや狭い隠し部屋の中なものだから、ワンピースのスクール水着から腕を抜くのがどれだけ困難かは想像に難くない。肘を僕の背中に押し当てるようにしてようやく肩から水着を外すことができたようだった。大きく息を吐きながら、メライちゃんが水着を下している様子が背中越しに感じられる。と、いきなりぽつんした突起物がはっきり右の肩甲骨に感じられた。乳首だった。
命令されて、いやいやしていることだから、メライちゃんの口からは吐息とともに「いや、いや」と甘えるような声が漏れる。別に不思議でもなんでもないと思う。でも、メライちゃんの声を聞いていると、次第に忘我状態になる。水着越しにはやや硬く感じられた乳房ではあったけれど、直接なすりつけられるとそのような印象は消え、むしろ弾性と張りを併せ持った柔肉であることがしっかり伝わってくる。しかも塗りたくったサラダ油のために妙にぬるぬるすべすべしているのだった。僕はもう、メライちゃんの裸の胸だと思うだけで、メライちゃんを不憫に思う気持ち以上に性的な感動が高まってくる。
どうしたってこの体勢からではメライちゃんの剥き出しの乳房を見ることはできないのに、「いや、見ないで」と喘ぐように言って、僕の回した首を戻そうとする。僕が見ようとしたのは明かり取りの方向だった。さっきまで鷺丸君が首に巻き付けた青大将を下していたところから、Y美が顔を覗かせているのだった。Y美は更に格子を一本抜くと、細長い棒を差し入れた。それは午前中、眼鏡の男の子が池の中で立ち泳ぎを強いられたメライちゃんと僕を突いて、容易に池から出さず、ついには僕の使い捨てパンツに穴を空けた棒だった。
棒を使ってY美がメライちゃんの体から水着を完全に脱ぎ取ろうとしていた。背中に硬い物が当たるのを感じて、初めてメライちゃんはY美の魂胆を知ったようで、「ねえ、Y美さん、お願いだからやめて」と、割合にしっかりした声で言うのだけれど、どこか陶酔のさ中にあって無理に出したようなねっとりした、甘い声音だったから、Y美をいよいよ図に乗らせるのだった。
「脱いじゃえ脱いじゃえ。いっそのこと真っ裸になって愛撫するんだね。大丈夫、チャコにはお前の裸は絶対に見せないから。この状態じゃ、首を180度曲げない限り、お前の体は見られないんだからね」
Y美がこう言って、水着を引っかけた棒をずんずんと下へ押し込めてゆく。僕の背中に当たるメライちゃんの肌の部分が少しずつ広がった。体をくねらせ、水着を手で押さえるものの、Y美に叱られて、仕方なしに水着から離した手を少しためらった後、僕の体に回す。まるで無言のうちに助けを求めているようだった。お尻の辺りにもメライちゃんの素肌が接しているような気がする。
いや、と最後に一言鋭く叫んでからは、メライちゃんは膝の力が抜けたみたいになった。棒で押された水着がとうとうメライちゃんの足元に落ちたようだった。Y美がメライちゃんの体から引きずり下ろした水着を棒に引っ掛け、壁に押し当てるようにして持ち上げていく。僕は首を曲げて、メライちゃんの身に着けていたスクール水着が棒に押さえられたまま壁を上がっていくのを見た。
この狭い隠し部屋の中、僕だけでなく、とうとうメライちゃんも素っ裸になってしまったのだと思うと、体がかっと熱くなった。惜しむらくは、僕は今の状態ではどんなに首を曲げても後ろにぴったりと体をくっ付けているメライちゃんの裸を見ることかできないことだった。おちんちんを扉に挟まれて体の向きを変えることができない僕は、思わず手を後ろに回した。メライちゃんの裸の背中、それから少し下げると、お尻のぷりっとした柔らかい感触があった。と、すぐにメライちゃんに手を取られ、戻された。
「素っ裸のお二人さん」
Y美が明かり取りから顔を覗かせ、嬉しそうにメライちゃんと僕を見下ろした。
「仲良く体をくっ付け合ってるねえ。二人して感じ合ってるのかな?」
笑いながら冷やかしの言葉を投げかける。
Y美のメライちゃんに対する嫌がらせは、これだけでは済まなかった。明かり取りの隙間からモップを入れて、メライちゃんの背中やお尻と壁の狭い隙間に差し込んでは、ごしごしとメライちゃんのお尻から背中をこすり始めた。特にお尻の下、股の間にモップの白いもじゃもじゃした部分が当たるように執拗に動かす。
「メライの体をきれいにしてやるからね。感謝しなよ」
いや、やめて、と喘ぐように言うメライちゃんが僕の後ろで素っ裸の身をぴったりと寄せて、体をがくがくと前後に揺さぶる。サラダ油にまみれた裸体がうねうねと僕の背中を転がっているような気がする。メライちゃんは股間をモップでまさぐられる羞恥に動転したのか、僕の首筋をぺろぺろと舌で愛撫し始めたかと思うと、いきなり僕のお尻を掴み、お尻の穴にサラダ油の付着した指を入れた。
お尻の穴に指を入れると勃起するよ、とお姉さんが変なことを言い出したから、この苦しみから抜け出すためならもうなんでもするような気持ちになって、そうしたのだろう。僕が呻き声を上げて、許しを求める。メライちゃんも「いや、やめて」と苦悶に悶えながら、舌でぺろぺろと首を舐め、我を忘れてお尻に挿し入れた指を動かす。
しかも挿入されたのは一本ではなかった。二本同時に入れられた。これまでお尻の穴を拡張させられる苛めに散々遭ってきたおかげで、メライちゃんの可愛らしい小さな指ならば、二本同時でも造作なかった。ましてやサラダ油が付いているのだから、スムーズにずぶずぶと入ってしまう。
素っ裸にされたメライちゃんに体を寄せられ、お尻の穴にまで指を入れられ、知らぬうちにおちんちんもぴくりと反応しかかったようだけど、肝心なY美は台座に乗って明かり取りからモップでメライちゃんを苛めているし、お姉さんと鷺丸君は恐らく扉の前にいるのだろうけれど、隠し部屋の中で行われているあまりに異常なことに興味を奪われ、隙間に挟まっているおちんちんの変化には気づいていないのか、或いは気づいていない振りを決め込んでいるようだった。
モップで股間をまさぐられているうちにメライちゃんの体がどんどん熱くなって、吐く息も短くなって、「いや、いや」を連発する声も舌足らずの子供みたいになった。僕もまたお尻の中を指で刺激され、呼吸を荒くしている。そのうち、メライちゃんのもう片方の手がおちんちんの挟まっているところを指でなぞるように撫で回し始めた。お姉さんは、淫靡な苛めを受けるメライちゃんにかなり同情的であり、この性的な苛めから解放されたいのならば、やはりなんとしてでもおちんちんを勃起させるしかないと言って、メライちゃんに思いつく限りの様々な責めを教える。
お尻の穴が痛くなる。メライちゃんの遮二無二動かす指はどこか自暴自棄であり、性的な快楽に結びつくような刺激にはなかなかならなかった。痛みを訴える僕をメライちゃんは恥ずかしがっているものと誤解して、「いいから集中して、お願いだから」と制して、逆に早くおちんちんを大きくさせるよう促す始末だった。
手を回し、メライちゃんのお腹を触ると、すぐに手を取られ、「駄目、触らないで」と断られた。メライちゃんはモップで股間の辺りを擦られ続け、体を上下に一層激しく揺らすようになった。「やめて、駄目」と小さく叫びながら、喘ぎ、上からこぼれてきたサラダ油を背中やお尻に受けて、その油塗れの裸体をくねらす。
腕が疲れたという理由でメライちゃんへのモップ責めを中止したY美の代りに台座に上ったのは、鷺丸君だった。鷺丸君は青大将を明かり取りから入れながら、自分もしっかり中を覗いて、メライちゃんの全裸姿を拝んだ。僕がまだ見たことのないメライちゃんの裸を、鷺丸君がじっくり見ているのだった。
「わあ、メライの裸だ」
嘆息する鷺丸君の声を聞くと、自分が同級生の男の子に裸を見られていることを知ったメライちゃんが突然我に返ったかのようになって、「いや、やめて。見ないで」と、悲鳴を上げて、しくしくと泣き出した。「見ないで、お願い」を繰り返し、涙に濡れた顔を僕の背中に押し付けている。
「お前がいつまでもメライの愛撫に応えないから、とうとう可哀想にメライは鷺丸君に裸を見られることになったんだよ。全部、チャコのせいだよ」
Y美が僕にこんなことを言う。Y美が扉の前に戻った時には、一時大きくなりかかっていたおちんちんがまた元の大きさに戻っていた。裸を見られた恥ずかしさとショックで、もうメライちゃんは僕を勃起させるあらゆる試みができなくなってしまったようだった。お尻の穴に挿し入れた指も今では僕のお腹の辺りにそっと置かれている。
いつまでここに閉じ込められるのだろう、と思ったその時だった。
「好きよ、ナオス君」
いきなりメライちゃんが僕の耳元に口を寄せて、言った。信じられない。聞き違いかと思ったが、もう一度、「好き、私はナオス君のことが好き」と言う。
後ろ姿だけとはいえ、同級生の鷺丸君にまじまじと全裸を見られるのは、ショックなことに違いない。男の僕でもこれまで何度も味わわされたこの種の辛さは、到底忘れ難いほどなのだから、女の子であるメライちゃんのショックは、いか程ばかりだろうと想像にあまりがある。
その辛い状況の中での、いきなりの告白だった。おちんちんをまじまじと観察され、勃起させられたところも見られて、もう完全に嫌われたと思っていたのに。
同じように苛められる二人が連帯することで困難を乗り切ろうというメライちゃんの気持ちなのかもしれなかった。その「好き」という喘ぐような告白は、僕の体に甘い電流となって下腹部にも伝わり、これまで受けたどんな外的な刺激を与える愛撫以上の快感を僕にもたらした。
「僕もメライちゃんが好き。もっと言って」
「好きよ、ナオス君のことが大好きだからね。マジックの練習だって、ほんとはナオス君がやるって聞いたから、私」とまで言って、メライちゃんはまた声を上げて泣き始めた。そして、もう一度、「大好きなんだから」と、言った。
「だからお願い。私のこと、嫌いにならないで」
「もちろんだよ。メライちゃんも僕がこんな恥ずかしい目に遭わされているのに」
「私だって水着取られちゃったし。裸見られちゃったし」
明かり取りから相変わらず鷺丸君がメライちゃんの裸を見ていて、にやにや笑う。メライちゃんが裸の体を再びぎゅっと押し付けてきた。小ぶりの乳房がぺったりと僕の背中にくっ付いて形を崩す。
明かり取りから青大将が下りてきた。メライちゃんの裸に見とれているうちに、誤って蛇を放してしまったようだった。
「信じられない。こいつ、おちんちんを勃起させてるよ」
Y美が驚いたような声を上げた。
「あれだけ刺激を受けても変わらなかったのに、なんで今頃?」
お姉さんが首を傾げる。
理由はどうあれ、約束は約束だった。おちんちんが勃起したのだから、ここから出してもらわなくてはならない。青大将がメライちゃんの背中からお尻にかけてぬるぬるした体を忍び込ませたらしいけど、メライちゃんはぴくりと体を震わせただけだった。
ドアの隙間に近づいたY美が扉の上部に手を伸ばすと、回転扉はあっけなく開き、僕は転がるように外へ出た。回転扉には留め金があったようだった。道理でどんなに押しても隙間が広がらない筈だった。
出てきたところをいきなりお姉さんに目を塞がれたので、僕は背後のメライちゃんの裸をちらりとも見ることができなかった。お姉さんは、「女の子は男の子に裸を見られたくないものなんだよ」と、僕の顔に手拭いを巻いて目隠ししながら言い、勃起したままのおちんちんを指と指の間に挟んで上下にゆっくりと動かした。
全くこのお姉さんは身内に甘かった。男の子に見られないようにするとか言いながら、自分の弟である鷺丸君がまじまじと、今度は正面からメライちゃんの裸を見ることについては、特に止めもしないで、それどころか、「姉ちゃんの裸と、どっちがいい?」などと聞いて、へらへら笑っているのだから。
「もう許して。やめてよ」
嗚咽するメライちゃんの悲痛な声が聞こえ、僕は体を起こそうとしたけれど、お姉さんにがっしりと体を押さえられてしまった。手拭いで目隠しされているので、何が起こっているのか、分からない。
どうもメライちゃんはY美に羽交い絞めにされ、その水着を剥ぎ取られた裸をいろんな方向から検分されているようだった。鷺丸君に胸やお尻に撫でられたり揉まれたりして、むずがるメライちゃんの声を聞くと、僕はもうじっとしていられなくて、大きな声を上げ、渾身の力を振り絞って暴れた。たちまちY美にいやというほど背中やお腹を蹴られ、腕を背中に回され、動きを封じられてしまった。
鷺丸君は、メライちゃんの肌が白くてきれいだとしきりに感心する。すすり泣きのメライちゃんを無視して、小さな乳房の柔らかさ、サラダ油を塗られて艶々とした肌を絶賛している。まるで、目隠しされて見ることのできない僕のために解説してくれているみたいだった。
すぐにメライちゃんを解放し、水着を着せるように訴える。お姉さんに代わって僕を押さえる役を負った鷺丸君が、
「黙ってろよ。自分だけメライの裸を見せてもらえないからって、偉そうなこと言うなって。勃起してんじゃねえかよ。まあ、お前の裸はみんなに見られてるけど、メライは少なくともお前にだけは見られてないよな」
と言って、僕のお尻をぴしゃぴしゃと撫でる。僕は立たされ、ロープのようなもので背中に回された両の手首をきっちり結ばれた。背中をどんと押され、目隠しされて手も動かせない僕はよろめいた。お姉さんに「こっちだよ」と肩を掴まれると、肩が柔らかい裸の肉体に当たった。メライちゃんだった。メライちゃんの横に並んで立たされる。メライちゃんも両手を後ろで縛られているようだった。ただ、僕のようには目隠しされていない。Y美とお姉さん、鷺丸君は、メライちゃんと僕の隠しようのない素っ裸の体を見比べて、いろんなことを言い合った。
女と男の違いはあるけれど、身長も同じくらいの二人は、体つきがそっくりらしい。先ずお姉さんがそのように評すると、Y美が二人とも股間に毛が生えていないと指摘して面白がった。鷺丸君は、どちらも色が白くてなよっとしているけれど、僕の体のあちこちにはかすかな青痣があり、自分はやはりメライのほうに魅かれる、と言った。
前だけではなく、横、後ろも向かされた。メライちゃんと僕はお尻の形も似ているとのことだった。メライちゃんはY美に僕のお尻をよく見るように命じられ、自分のお尻と似ていると思うかとの質問に答えるよう強制される。メライちゃんは小さな声で「分かりません」と答えた。嗚咽の声が漏れる。僕は「もうメライちゃんは許してあげて」とY美に訴えた。
「なんでお前まで、泣いてんの? メライの裸が見られなくて悔しいの?」
馬鹿にしきったような調子でY美が訊ね、手拭いの下から零れ落ちた涙の一筋を指でなぞる。濡れた指先を小さく縮こまったおちんちんになすり付ける。
メライちゃんが短い悲鳴を上げた。隠し部屋の中から青大将が出てきたらしい。鷺丸君がすぐに立ち上がった気配がした。ずしりと冷ややかな、ぬるりとしたものを首に巻かれる。得体の知れないそれは、下腹へぬるぬると移動し、おちんちんを押し潰すようにして僕の太腿に絡むのだった。
サラダ油を更に胸やお腹、背中からお尻に塗り込まれたメライちゃんは、ぬらぬらした丸裸のまま、お姉さんの指示するいろんなポーズを取らされた挙句、お姉さんの美術作品のモデルになるように迫られる。
両手を頭に組んで胸を反らすようなポーズを取るように言われた時、メライちゃんは恥ずかしがってためらったようだった。Y美の「前歯、へし折っちゃおうかな」と、歌うような声が聞こえた。メライちゃんの口を無理矢理こじ開け、こつこつと指で白い歯を叩いているのだろう。目隠しをして後ろ手に縛られている僕は、生臭い青大将に太腿からおちんちんにかけて巻き付かれたまま、じっと立っているしかなかった。
メライちゃんからすすり泣きは聞こえなくなっていた。その一糸まとわぬ体を鷺丸君の好色な目でじろじろ見られながらも、気丈に振る舞っているのだろう。メライちゃんが僕のことを好きだと言った、あの瞬間を頭の中で再現する。メライちゃんが美術作品のモデルとなることを承諾する声が聞こえた。メライちゃんは僕のことを好きだと言った。僕はただそのことだけを思って、今の恥辱に耐える。
「ナオス君、そこから扉を押して出られない?」
まさに僕の左側が回転扉であり、体重を掛けると少しだけ回転扉が動いて、隙間から誰もいないアトリエが見えた。それでもやっと指が三本入るぐらいの幅しかない。僕のすぐ後ろにいるメライちゃんの肉体が妨げとなって、これ以上開かないのだった。
「もうちょっと開けないと、出られない」
力を入れて押せば押すだけ、回転扉は背後にいるメライちゃんを圧迫することになる。メライちゃんの呻き声が痛々しくて、とても力が出せなかった。それよりもメライちゃんが僕を押したらどうだろう。その方が効率の良いやり方と言える。
「どう? まだ開かない?」
「もう少し」
背後からメライちゃんが僕をぎゅうぎゅうと押す。
気がつくと、メライちゃんはお尻を突き出すようにして僕を押していた。狭い空間の中では、これが一番力を出せるのだろう。メライちゃんの水着のお尻が僕の裸のお尻に密着し、僕を回転扉の外へ押し出そうとしている。
二人の力の相乗効果で扉が開きつつあったけれど、一つ問題があった。メライちゃんと背中合わせの僕は、メライちゃんがお尻で押してくると、否応なく腰を前へ突き出してしまう。このままでは、まずおちんちんが隙間から外へ出ることになる。
狭くて暑苦しい箱の中から自分を解放することで頭が一杯のメライちゃんは、当然ながらこんなことに気づくよしもなく、声を出しながら足を踏ん張って押してくる。そうこうしているうちに、回転扉の隙間におちんちんが入った。
「メライちゃん、ちょっと待って」
慌てて声を掛ける。扉の隙間が少し広がると同時に、ぐいぐいとお尻を押される。しまった、と思った時は遅かった。
ぷるん、とおちんちんが扉の外へこぼれた。
おちんちんを挟まれる恐怖が身内を駆け巡り、更に力を込めて隙間を広げておちんちんを引っ込めようとしたところ、メライちゃんに押されて、おちんちんの袋までがすぽっと扉の外に出てしまった。
「まずい。そのまま動かないで」
僕が悲鳴に近い声を上げて嘆願するので、メライちゃんは何事かと思ったようだ。腰を引き、今までとは逆の方向に力を入れる僕にメライちゃんが怪訝な声で「どうしたの」と訊ねる。抜けない。扉の隙間に嵌ったおちんちんがどうしても抜けない。
「外に出ちゃったの」
恥ずかしさに消え入りそうな声で答える。
「出ちゃったって、何が?」
狭くて蒸し蒸しする箱の中で、互いの体をぴったりとくっ付けていると、頭もうまく回転しない。僕は目をつむって一言、「おちんちん」と返した。
「嘘でしょ」
何やってんのよ、と非難するようなその声の調子は、僕を焦らせた。慌てて無理にでも引き抜こうとするのだけれど、痛いだけで、どうしてもおちんちんの袋が中に入ってくれない。外にはみ出てしまったおちんちんが小さく縮こまっている。
メライちゃんが体の向きを変えようと腰を回した。おちんちんが挟まっているのとは反対側の扉にメライちゃんの体がぶつかり、僕の側の扉が閉まろうとする。おちんちんの根元が圧迫される。僕は痛みに呻き声を漏らしながら、メライちゃんに反対側の扉を押さないように懇願した。
「もうちょっとで向きが変わるから、ちょっと我慢して」
「痛い。千切れちゃう。お願い」
頬を伝った涙が胸や足の甲に落ちた。メライちゃんがようやく動くのをやめた。体の正面を僕の背中に向けたのだった。メライちゃんの胸が背中に当たり、スクール水着の上からでは分からなかった柔らかな弾力が感じられる。メライちゃんは僕の腰の部分に手を当てると、ぎゅっと体を押し付けてきた。押して、扉を開けようとする。たしかにその方が隙間が広がり、おちんちんが締め付けられずに済む。このまま隙間が開いて、僕の体が外に出れば良いのだけど、まだ足を入れる余地もなかった。
回転扉におちんちんを挟まれた状態では、股関節が開いているので、どうしても自分の体を前へ押し出す力が出せなかった。このままではメライちゃん一人の力に頼ることになる。だから、とにかく一度嵌ってしまったおちんちんを抜き取り、僕も十全の力が出せるようにする必要があった。それに何よりも、おちんちんをいつまでも外部に晒していたくなかった。それで、うんと押して隙間を広げてから、素早く腰を引き、おちんちんを抜こうとするのだけれど、これがなかなかうまくいかない。
引き抜こうとして腰を引いた瞬間、メライちゃんの体がどうしても反対側の扉にも当たるので、たちまちにおちんちんが挟まれてしまう。特に僕が急いで腰を引くと、回転扉が勢いよく閉まってくる。非常な痛みに耐えなければならなかった。
ゆっくりと腰を引いても同じだった。腰を引くと、どんなにメライちゃんが力強く僕の体に密着しても、どうしても体がぶつかって扉が閉まってしまう。腰を引いて抜こうとする度に扉が閉まってきておちんちんを圧迫する。試みれば試みるだけ痛みに耐えなければならない。僕が悶えながらも何度も引き抜こうとするので、メライちゃんが心配そうに声を掛けてきた。しかし、僕はそれに答える余裕を持たず、ただ、「抜けない。どうしよう、抜けない」と、焦るばかりだった。
愚図愚図しているとY美たちが戻ってきてしまう。おちんちんが外にはみ出ていては、どんな酷い目に遭わされるか分かったものではない。それに、こんな見っともない姿をお姉さんや同性の鷺丸君に見せたくなかった。
「焦らないで。ゆっくりやろうよ。必ず抜けるから」
ドアに挟まれて何度痛い目に遭っても懲りずに執拗におちんちんを引き抜こうとする僕は、軽いパニック状態だったのかもしれない。メライちゃんが僕の気持ちを落ち着かせようと、優しく話し掛けてくれたけれど、あいにくと僕にはそれに応じる気持ちの余裕がなかった。メライちゃんが僕の肩に顎を乗せ、「ゆっくりやろう」ともう一度、言った。
「腰を引く時、二人の呼吸を合わせるのが大事だから。ね?」
メライちゃんの静かな声が息とともに僕の耳たぶをくすぐった。僕は深呼吸をすると、メライちゃんとともに、一、二、三のリズムで腰を引き、おちんちんを引き抜こうとした。が、またしても途中で閉まってきた扉に挟まれてしまった。二度試みて二度とも失敗。僕はメライちゃんのスクール水着を背中やお尻で感じながら、自由の制限された体をくねらせ、おちんちんを挟まれている痛みに耐えた。
アトリエのドアが不快な音を立てた。とうとうY美とお姉さんが戻ってきてしまった。緊張で体が硬くなる。それでも、おちんちんを抜こうとして腰を引き続ける。
「ねえ、お二人さん、まだ箱の中に入ってんの?」
Y美が声を掛ける。すかさずメライちゃんが「ここから出して、お願い」と、僕の後ろにぴったり体をくっ付けたまま呼びかけた。反応はなかった。と、突然お姉さんがくすくす笑い出した。
「ねえ、ちょっとY美ちゃん。これ見てよ」
僕は目をつむった。隠し部屋に近づく足音がする。
「嘘でしょ。信じられない」
「見事に出してるよ。抜けなくなっちゃったのかな?」
「何これ。ねえ、何出してんのかな。これ?」
ひゅるんとした冷たい手がおちんちんを触った。おちんちんの袋が手のひらに乗せられ、撫でられる。おちんちんが指で軽く摘ままれた。
「ねえ、そんなに私たちに見せたいの? 何で出してるの?」
扉の隙間からお姉さんが不思議そうに訊ねる顔が見えた。Y美がおちんちんをいじり、皮を引っ張った。
「痛い。やめて。引っ張らないで」思わず声を上げると、
「自分で勝手に出しておきながら、どういう口の利き方してんのよ」
舌打ちしたY美がおちんちんの皮を引っ張り、ぐるぐる回し始めた。僕はおちんちんの皮が千切られそうな痛みに泣き叫びながら、何度も「ごめんなさい」を繰り返して謝る。お姉さんが溜息をついて、「ナオス君、これじゃ苛められても仕方がないよね」と、呆れたような声を出す。
Y美が扉におちんちんの挟まった経緯を知りたがるので、ここから出ようとして扉を押していたら外に出てしまった、と答えると、Y美が「何が出てしまったの?」と重ねて訊ねた。「ねえ、何が扉の外に出てしまったの?」一目瞭然なのに、Y美はあえて僕の口から答えさせようとしているのだった。
「おちんちん、です」
すぐ後ろにいるメライちゃんを意識して小さく答えると、Y美が「聞こえない」と言った。「ねえ、今の聞こえた? 全然聞こえないよね」と、お姉さんにも確認する。「もっと大きな声で答えなさいよ」Y美が隙間から僕を睨みつけて怒鳴った。
おちんちんです、と大きな声で答えさせられた僕は、もう一度、おちんちんが扉の外に出てしまった理由をY美の求めに応じて説明しなくてはならなかった。
「でもさあ、ほんとにおかしいよね。すっごく受けるんだけど」
Y美が指で輪っかを作って、おちんちんを擦りながら言う。アクシデントによって想像もしなかった事態になったことをY美だけでなく、お姉さんまでも喜んでいるようだった。僕は外に出てしまったおちんちんをいじられている。感じてしまえば苛めをエスカレートさせるだけだと思って全力で感じないように歯を食いしばってきたものの、精液を出していない日が続いたこともあって、あえなく気持ち良くなってしまう。
おちんちんが段々硬くなる。お姉さんが「扉に挟まっても、感じるものは感じるんだね」と笑う。
「それにしても簡単に大きくなりすぎでしょ」Y美が勃起したおちんちんを上に向けて、裏筋を指の腹で撫でるように擦った。
「もしかして、逝きたい? メライちゃんにも聞こえるように頼んでごらんよ。逝かせてくださいって」
お姉さんが隙間から僕の羞恥に耐える顔を覗きながら、冷やかす。
「やめてください。それよりここから出してください」
喘ぎながらお願いするも、お姉さんは、これをあっさり無視して、「ねえ信じられる? ナオス君たらね、Y美ちゃんにおちんちんをいじられて、大きくしてんだよ」と、メライちゃんにわざわざ状況を伝えるのだった。
不意にY美の手がおちんちんから離れた。射精寸前で又しても止められたのだった。
悶える僕の呼吸は荒く、汗にまみれた一糸まとわぬ体を扉にぺったりとくっ付け、くねらせた。こんなことでおちんちんが引き抜けるとは思わないが、それでもじっとしていられなかった。と、僕にぴったりと体を寄せているメライちゃんが鼻をすすり始めた。
「ごめんね、ナオス君」声を震わせて謝る。
「私が、後ろから無理にお尻で押したから、こんなことになってしまって」
更なる性的な官能を求めて朦朧としていた僕は、何も答えられなかった。
「私、あんまり男の子の体のこととか、分からないし」
「別にメライちゃんのせいではないよ。気にしないで」
僕がそう言いかけた時、Y美が再びおちんちんに手を伸ばした。亀頭を軽くタッチされ、濡れた先端が亀頭全体に広げられるとともに、おちんちんにも塗られる。複数の指がおちんちんに絡むと、別の手がおちんちんの袋を揉みしだく。メライちゃんのほんのり膨らんだ胸が僕の背中の中で波打った。
「今度こそ逝かせてあげようか」
Y美が目を大きく見開いて扉の隙間から覗き込んだ時、アトリエの建てつけの悪いドアが大きな音を立てた。鷺丸君が入ってきた。
突然、Y美が金切り声を上げて逃げた。射精寸前だったおちんちんがまたしても途中で放置されてしまった。
「どうしたのよ、その蛇」
お姉さんが鷺丸君に言った。
鷺丸君は腕に大きな青大将を巻いていた。池を縁取る石と石の狭間で涼んでいるのを見つけた、と事もなげに答える。
「やめて。ちょっとこっちに来ないで」
「Y美ちゃん、大丈夫よ。ただの青大将だって。庭とかにたまに出るんだよね」
「やだったらやだ。こっち来たら本気で怒るからね」
「大袈裟だねえ。この子なんか小学一年生の頃から捕まえて遊んでたよ」
お姉さんが言って、鷺丸君の腕から首を伸ばす青大将の頭を撫でている。
Y美ほどではないものの、僕もまた蛇が苦手であり、怯えるY美を小気味良く眺める余裕は全くなかった。扉の隙間から鷺丸君の腕に大きな青大将がいるのを見た途端、恐怖のあまり、射精寸前だったおちんちんがたちまちに萎んだ。
鷺丸君が扉からはみ出ている僕のおちんちんに気付いた。怖がって近寄ろうとしないY美に代わってお姉さんが事情を話すと、快活な笑い声を立てる。アトリエの端に逃げたY美をよそに、喜々として青大将と戯れる。Y美が蛇を怖がるのを見てから、鷺丸君は自信を取り戻したようだった。その長い全長が少しでもY美のいる方に伸びると、鋭い悲鳴と怒りの声が響いた。
「早くどこかへやって。そうしないとあんたの舞台の時間を削るからね」
母親の権力を笠に着たY美のヒステリックな叫びは、助長しかかった鷺丸君のいたずらの矛先をたちまちに変えさせた。青大将を巻き付けたまま、鷺丸君が膝を曲げた。
「いやだ。やめて。お願いだからやめて」
鷺丸君のしようとすることを察した僕は、素っ裸の身をがくがく震わせながら訴えた。鷺丸君が面白そうに青大将のぬるぬるとした体をおちんちんに近づける。「青大将をちんちんに巻くのは俺も初めての体験だな」と、呑気そうに言う。僕は悲鳴を上げて許しを乞い、目をつむった。
ひんやりとしてぬるっとしたものが触れる。すべすべしたぶ厚い皮のようなものがおちんちんの上をゆっくりと這う。呻き声を漏らす僕は膝に力が入らず、まともに立てないのだけれど、おちんちんが挟まっているので腰を落とすことができない。後ろでメライちゃんが僕に密着させた体をくねらせた。扉の外で何か異常なことが起きていることに感づいたようだった。
「どうしたの?」
「蛇、蛇が」
それだけ言うと、僕は短く喘いで体を仰け反らせた。青大将がおちんちんの袋の下からおちんちんにかけて冷たくてぬるりとした鱗の付いた体を巻き付けてきた。
「嘘? 蛇?」
メライちゃんの体が一瞬にして硬くなった。
扉からはみ出て自由の利かないおちんちんに青大将の頭をくっ付け、チロチロと出る舌で舐めさせようとする。しかし、青大将はすぐに頭を別の方向へ向けてしまうようだった。舌打ちをする鷺丸君にお姉さんが話し掛けた。
「案外気持ち良くなるんじゃないの、この子」
「そうかな。俺は考えられないけどな」
鷺丸君がにやにや笑いながら答えると、姉の推測を実証しようとするかのように、青大将をいったんおちんちんから離し、頭と尾の方を掴んで、おちんちんの下に入れた。おちんちんの袋とおちんちんに蛇のぬるぬるした皮が当たる。皮の内側で何かが細かく動いているような気がする。
やだ、やめて、としか言えず、その後は言葉にならない声が続いた。細長い爬虫類の体でおちんちんが扱かれている。やがて、尾の先がおちんちんに絡み付き、きゅっと締め付けた。ひんやりとした感触は消えて、今や生温かく感じられる。青大将の頭がおちんちんの下に入り、袋に当たった。何かねちっこいものが突いてくる。おちんちんを扉から引き抜けないことが忌まわしい。考えたくないけれど、青大将の舌がちょろちょろと出ているのだろう。
再び蛇の首を掴んだ鷺丸君がもう片方の手で尾を持って広げると、くねる青大将の体を輪にしておちんちんに嵌めた。そのまま左右に揺する。蛇は体をくねらせて、おちんちんを締め付けたかと思うと、いきなり思わぬ方へびっしりとその鱗に覆われた身を擦り付ける。僕はおちんちんを扉に挟まれた体をよじり、喘いだ。「やっぱり感じてるみたいだね」と、お姉さんが勝ち誇ったように言った。
「どこまで変態なの、こいつ。勃起してきたよ」
Y美だった。蛇が怖くて離れていた筈なのに、いつまのにか近くに来ている。僕が蛇を使って性的に嬲られているのを見て、もっと苛めて楽しみたいという欲望を覚えたようだった。その欲望によって蛇への恐怖心をあっさりと克服したY美は、平然と顔を寄せ、青大将が身をくねらせて締め付けるおちんちんに目を凝らす。皮が剥け、亀頭の敏感な部分にも蛇の鱗が触れた。僕は悲鳴を上げて、体をぴくりと痙攣させる。
「慣れればどうってことないでしょ」熱心に見入るY美にお姉さんが話し掛けた。
「うん」目を片時もおちんちんから離さずにY美が答える。「見て見て。先っぽが濡れてきたよ。射精したくてたまらないみたいだね。ひくひくしてる」
気持ち悪さの中に気持ち良さが芽生え、少しずつ大きくなった。今は気持ち悪さと気持ち良さが混然一体となって、僕の頭を朦朧にしている。Y美はしかし、まだ僕を射精させる気はないようだった。
青大将の離れたおちんちんは、溜まった精液を放出するための最後の一扱きを求めて、仰け反るかのような形になっている。僕は扉に腰を押し付けてあえなく喘いでいた。メライちゃんが緊張で硬くなった乳房を僕の背中に埋める。僕が蛇への恐怖で取り乱したものと思ったらしい。心配そうに声を掛けてくれるのだけど、まさか性的な快楽に打ちのめされ、更なる刺激を求めて悶えているとは言えずに、ただ荒い呼吸の中に生返事を繰り返すばかりだった。
扉の外に引っ掛かっているおちんちんの袋に激痛が走り、僕は悲鳴を上げた。Y美だった。アトリエ用の上履きサンダルの足先でおちんちんの袋を下から蹴ったのだった。いつまでも勃起させているのが気に入らなかったらしい。突然の痛みにしゃくり上げていると、お姉さんが心配そうにおちんちんに触り、袋に異変がないか、揉んだり引っ張ったりして確かめた。まさか本気で蹴らないから心配いらない、とY美がお姉さんに言った。これまでにも何度も蹴ったから加減は知っているのだ、とお姉さんを安心させようとする。
Y美は女の人だからこの痛みを実感することはない。それなのに、涙を流して苦悶する僕を「大袈裟に痛がって、同情を買おうとしている」と言って、嘲笑する。今回もそうだった。鷺丸君に扉の隙間から青大将を覗かせて、中の狭い空間で体をくっ付け合っているメライちゃんと僕を威嚇するように仕向けた。青大将の大きな口が開いた。つっかえて、中に入り込むことはできないようだった。
蛇がいる、と僕から聞いていたメライちゃんは、扉の隙間から実際に青大将を見て、「いやあ」と一言鋭く発した。途端に体をがくがく震わせ、扉からスクール水着に包まれた柔らかい肉体をできるだけ遠ざけようとして、逆に素っ裸の僕の体を扉に押し付ける。メライちゃんの甘酸っぱい息の香りがした。
「もういや。ここから出して。お願いだから出して」
泣き声混じりにメライちゃんが訴える。その悲痛な声が逆にY美の嗜虐心を煽るのではないかと心配になった。射精寸前だったおちんちんは、今や皮の中に消えてしまいそうな程小さく縮んでいる。Y美がそれをぷるんぷるんと揺らして「やっと戻ったね」と微笑むと、不意に立ち上がり、腕に青大将を絡ませている鷺丸君を呼んだ。面白いことを思い付いた、と言う。
「メライさあ、そんなにここから出たいんだね? いいよ、出してあげる」
Y美のメライちゃんに投げかける声がアトリエ内の反響を伴って、威圧的な調子を帯びた。メライちゃんが消え入りそうな声で「はい」と答える。
「でもさ、条件があるよ」扉の隙間にぐっと顔を近づけて、Y美が続ける。「あんたの体を使って、チャコのおちんちんを勃起させるんだよ」
チャコがY美に命名された僕の奴隷名であることをメライちゃんは知らない。だが、すぐに察したようだった。
「勃起させるの。分かった?」Y美が念を押す。
メライちゃんの絶句が背中越しに感じられた。扉に挟まれたおちんちんは、メライちゃんはもちろん、僕も触れることができない。僕のお尻や乳首、首筋、耳の付け根付近などのあらゆる性感帯に刺激を加え、おちんちんを勃起させてみろ、というのだった。扉の外にいるY美やお姉さんは、その間、一切おちんちんに手を出さない。ひたすら、おちんちんの観察に徹すると言う。
「おちんちんがしっかり硬くなったら、外に出してあげる。でも、ずっとふにゃふにゃのままだったり、メライの頑張りが足りないって私が判断した時にはさ、この気持ち悪い蛇を中に入れちゃうからね。ええと」
言葉を切ると、Y美は扉の対面側上部、明かり取りの方を見るように言った。台座にでも乗っているのか、鷺丸君が明かり取りから顔を覗かせ、格子を二本引き抜いた。
「うわあ、窮屈そうだなあ、お前ら」
下を覗き込みながら、いかにも他人事のように言う。
狭い空間の中、回転扉の隙間に向く僕の背中にメライちゃんがぴったりと体の前面を密着させている。鷺丸君は慣れた手つきで青大将を持ち上げ、自分の首に巻きつけた。青大将が明かり取りから頭を差し入れた。
もしもこのまま青大将が下りてきたら、それは間違いなくメライちゃんと僕の体のあちこちを這い回る。しかも一度入ってしまえば、回転扉が開かない限り、青大将もまた外に出ることはできない。想像するだけでも気が変になりそうだった。
「やめて」
メライちゃんが金切り声を上げて、暴れ始めた。お尻を膝で蹴られる。背中をばしばし叩かれる。僕の体だけでなく、壁や扉にどしどしと不自由な体をぶつけて、「いや、いや、やめて」と叫ぶ。おちんちんの挟まっている側の扉が閉まってくる。
見上げると、青大将の体長は、ざっと2メートル近くあった。鷺丸君が体の半分くらいのところをしっかり押さえてくれてはいるものの、メライちゃんと僕の頭上すれすれの宙を青大将の鎌首が舌舐めずりしながら動き回っている。
生きた心地がしないメライちゃんは、僕を勃起させるどころではなかった。悲鳴を上げ、どしどしと回転扉に体をぶつけたり、足で押したりする。それがおちんちんの挟まっているのとは反対側だったから、たまったものではなかった。
すぐ頭の先では、蛇が頭を垂らしている。ぬるりとした爬虫類の体がいつ鷺丸君の手をすり抜けてしまうか分からない。パニックになるのも無理はなかった。おちんちんの挟まっているのとは反対側の扉に向かって、メライちゃんが遮二無二体をぶつける。僕の側の扉が閉じる方向に動き、おちんちんの根元が締め付けられる。
激痛に悲鳴を上げる。でも、メライちゃんも悲鳴を上げているし、僕の悲鳴も同じ蛇が原因だと思われたのか、メライちゃんは自分が反対側の扉を押していることになかなか気付いてくれなかった。とにかくこの隠し部屋から抜け出せることができれば、僕が多少痛い思いをしても構わないと思ったのかもしれなかった。
扉が閉まろうとしては挟まったおちんちんに弾き返される。ぱたんぱたんと扉が音を立てる。締め付けられる度におちんちんがぴくんぴくんと跳ねるのをY美やお姉さんは面白がって見ていたけれど、その激痛たるや半端ではなかった。僕は泣いて、誰にともなく痛みを訴え、やめるように哀訴し続けた。もう頭上の青大将などはどうでもよかった。それくらい、おちんちんの痛みは堪らなかった。
さすがに心配になったのか、お姉さんが鷺丸に言って青大将をいったん引っ込めさせた。メライちゃんに声を掛け、落ち着くように言う。
「メライちゃん、忘れちゃったかな。ナオス君は、おちんちんが扉に挟まっちゃってるんだよ。メライちゃんが反対側の扉を一所懸命押すから、可哀想にナオス君、扉に挟まれたおちんちんが痛くて仕方ないんだって。千切れちゃうかもよ」
メライちゃんは、ハッと気付いたようだった。頭上の蛇が引っ込んだことを確かめると、痛みにしゃくり上げる僕の肩に手を置いて、洟を啜りながら一言、「ごめんなさい」と謝った。そして、僕の肩に顎を置くようにして下を向きながら、「大丈夫?」と聞いた。僕が涙を拭いて頷くと、頭上から鷺丸君が「心配すんなよ」と、声を掛けてきた。
「こいつは俺がしっかり押さえてるから」と、腕に絡んだ青大将を撫でながら言う。
挟まれ、締め付けられたおちんちんに氷が当てられ、痛みが少し退いたところで、再開となった。明かり取りから青大将がするするとメライちゃんと僕の頭上近くまで下りてきて、鱗に蔽われた身をくねらせる。しかし、メライちゃんは最初と違い、だいぶ落ち着きを取り戻したようだった。少なくともパニックには陥ってなかった。
「ほら、早く始めなよ。愚図愚図してると、ほんとに蛇ちゃんを入れるからね」
Y美が僕の縮み切ったおちんちんを覗き込みながら、宣言する。
勃起させると言っても、おちんちんに触らずにどうすれば良いのか、メライちゃんは皆目分からないようだった。お姉さんが扉の隙間からメライちゃんに向かって、いろいろとアドバイスをする。メライちゃんは肩を震わせ、泣いていた。やはり頭上の青大将が怖くて仕方なく、この恐怖から脱するためには、どんな命令にも従わざるを得ないと諦めたのかもしれなかった。おもむろにメライちゃんの手が僕のお尻を撫で回し始めた。ぎこちなく、いやいや仕事をする時のような荒っぽい手つきでお尻の肉を掴む。
泣いているメライちゃんの口から漏れる息が少し粘っこく、熱くなってきた。メライちゃんの小さな乳房、恐怖で硬くなっていた二つの丘が揉みしだかれたように柔らかくなって、僕の背中に細かく場所を移しながら押し付けられる。
「ごめんね、ナオス君」
か細い声でかすかな吐息とともにそう漏らすと、命令されて、アドバイスされて、気が進まないけれど、従わないと蛇を入れられるから、仕方なくという感じで、恐る恐る僕の胸に腕を回し、ぎゅっと自分のスクール水着に覆われた体を密着させた。僕の首筋に頬をなすり付けるようにして、もう一度、「ごめんね」と言い、人差し指で僕の乳首を擦る。
扉におちんちんを挟まれているため、体をメライちゃんの方に向けることができないのが悔しかった。メライちゃんの、恐らく潤んでいるであろう目を見ることもできず、その口から吐き出される甘い熱っぽい息を直接、鼻腔から吸うこともできない。ただ、メライちゃんのスクール水着に包まれた肉体を背中で感じ取るだけだった。これしか、今の僕には許されていない。
首筋や頬にメライちゃんの唇の感触があった。初々しいけれど、自発的にしたことではない。おちんちんを勃起させるためにお姉さんに言われていやいやながらしたことなのだろう。それでも硬さの残る唇は、僕がおば様に感じた女の人の性質をわずかに感じさせ、妙に生々しかった。その唇がもう一度僕の首筋と耳の付け根に触れた。一度目のくすぐったいような感じは消えて、ほのかな熱を帯びて、僕の体内をも発熱させるような刺激が伝わってきた。
ただおちんちんを大きくさせればよい、それだけでメライちゃんをこの無理矢理させられている行為から解放できるのだから、と考えるのだけど、一方ではメライちゃんを不憫に思う気持ちが働き、これが僕を後ろめたくさせた。
メライちゃんは今、死んだような気持ちになって、僕の体をまさぐっている。それなのに、僕自身はあっさりと動物のように性的に反応してなんともないのか。こう反省すると、性的な官能に身を投じることに対して、これまでに感じたことのないような強い抵抗を覚え、不思議なほど理性的になれるのだった。
ためらいがちだった手の動きが少しずつ活発化し、愛撫の範囲を広げる。メライちゃんのことを思えば、少しでも早くおちんちんを勃起させた方がよいのだけれど、理性が邪魔をして、なかなか感じるまでに至らない。それに、乳首やお腹、お尻、太腿の内側などをいじり回す手は、やはりどこか幼く、拙かった。扉の外のY美やお姉さんの具体的な指示だけを実行しているのに過ぎないような、消極的な動きだった。メライちゃんが胸をぎゅっと背中に押し付けて、おちんちんの根元に触れる。これも遠慮がちだった。根元から先は扉に挟まっているので、袋の下側から指を伸ばし、ゆっくりと撫でる。
鼓動が速くなっているのが分かる。メライちゃんは相当にドキドキしているようだった。吐く息が首筋に感じられ、それがねっとりといつまでもまつわる。メライちゃんは愛撫するという行為にだいぶ没入し、お尻の穴にまで指を割り込ませてきた。中に入りかけたところで止まり、また別の部位を愛撫するために離れた。
手の動きが止まり、メライちゃんが「ひいいい」と、悲鳴を上げた。青大将が頭から首の辺りをするりと触れてきたようだった。Y美が鷺丸君に指示したらしい。おちんちんが少しも大きくならないので、Y美がメライちゃんの発奮を促すためにしたのだった。青大将は、僕の肩にところにも下りてきて、それからするすると明かり取りのところまで引っ込められた。
アトリエのドアが大きな軋みを立てた。一度アトリエから抜けたお姉さんが戻ってきた。Y美にビール瓶のような形をしたプラスチックの容器を手渡すのが隙間から見えた。
「まだ大きくなってないんだ」
と、お姉さんが言うと、Y美が、
「全然変わらないの」
とつまらなそうに答えて、メライちゃんに隙間の方へ手のひらを差し出すように命じた。メライちゃんの手のひらにどろりとした液体を注ぐ。これをメライちゃんと僕の体の間に塗り込めるように言う。
逆らうと本当に青大将を落とされる。メライちゃんは素直に従って、どろりとした液体をメライちゃんの胸と僕の背中が密着する部分に垂らした。サラダ油だと言う。
隠し部屋の中は二人の熱が籠って暑苦しく、二人とも汗だくだくだった。その体にサラダ油を擦り込ませ、スクール水着をぬるぬるさせる。僕の背中に押し付けられた乳房が密着したまま滑らかに動く。
かなり長いこと狭い空間の中に閉じ込められ、暑さで頭がぼうっとする。恥じらう気持ちがメライちゃんの中で徐々に薄らいだようだった。サラダ油に塗れて、体を上下に動かして乳房をなすり付けるメライちゃんに対し、Y美は水着をずらすように言いつけた。
「直接その平たい胸をなすり付けるんだよ。お前のぺったんこの胸は、水着の上からじゃ感じられないだろうが」
Y美が怒鳴る。この命令は、メライちゃんのどんな愛撫よりもおちんちんを反応させる効果があった。しかし、僕は背中を向けているので、メライちゃんが水着をずらして胸を露出ざても、見ることができない。裸の胸を見られる心配はないから、とお姉さんがフォローを入れて、メライちゃんを安心させようとする。僕の背中で何も言わず、メライちゃんがもそもそと体を動かしている。
体を締め付ける程の窮屈な水着は、なかなか脱ぎにくいようだった。ましてや狭い隠し部屋の中なものだから、ワンピースのスクール水着から腕を抜くのがどれだけ困難かは想像に難くない。肘を僕の背中に押し当てるようにしてようやく肩から水着を外すことができたようだった。大きく息を吐きながら、メライちゃんが水着を下している様子が背中越しに感じられる。と、いきなりぽつんした突起物がはっきり右の肩甲骨に感じられた。乳首だった。
命令されて、いやいやしていることだから、メライちゃんの口からは吐息とともに「いや、いや」と甘えるような声が漏れる。別に不思議でもなんでもないと思う。でも、メライちゃんの声を聞いていると、次第に忘我状態になる。水着越しにはやや硬く感じられた乳房ではあったけれど、直接なすりつけられるとそのような印象は消え、むしろ弾性と張りを併せ持った柔肉であることがしっかり伝わってくる。しかも塗りたくったサラダ油のために妙にぬるぬるすべすべしているのだった。僕はもう、メライちゃんの裸の胸だと思うだけで、メライちゃんを不憫に思う気持ち以上に性的な感動が高まってくる。
どうしたってこの体勢からではメライちゃんの剥き出しの乳房を見ることはできないのに、「いや、見ないで」と喘ぐように言って、僕の回した首を戻そうとする。僕が見ようとしたのは明かり取りの方向だった。さっきまで鷺丸君が首に巻き付けた青大将を下していたところから、Y美が顔を覗かせているのだった。Y美は更に格子を一本抜くと、細長い棒を差し入れた。それは午前中、眼鏡の男の子が池の中で立ち泳ぎを強いられたメライちゃんと僕を突いて、容易に池から出さず、ついには僕の使い捨てパンツに穴を空けた棒だった。
棒を使ってY美がメライちゃんの体から水着を完全に脱ぎ取ろうとしていた。背中に硬い物が当たるのを感じて、初めてメライちゃんはY美の魂胆を知ったようで、「ねえ、Y美さん、お願いだからやめて」と、割合にしっかりした声で言うのだけれど、どこか陶酔のさ中にあって無理に出したようなねっとりした、甘い声音だったから、Y美をいよいよ図に乗らせるのだった。
「脱いじゃえ脱いじゃえ。いっそのこと真っ裸になって愛撫するんだね。大丈夫、チャコにはお前の裸は絶対に見せないから。この状態じゃ、首を180度曲げない限り、お前の体は見られないんだからね」
Y美がこう言って、水着を引っかけた棒をずんずんと下へ押し込めてゆく。僕の背中に当たるメライちゃんの肌の部分が少しずつ広がった。体をくねらせ、水着を手で押さえるものの、Y美に叱られて、仕方なしに水着から離した手を少しためらった後、僕の体に回す。まるで無言のうちに助けを求めているようだった。お尻の辺りにもメライちゃんの素肌が接しているような気がする。
いや、と最後に一言鋭く叫んでからは、メライちゃんは膝の力が抜けたみたいになった。棒で押された水着がとうとうメライちゃんの足元に落ちたようだった。Y美がメライちゃんの体から引きずり下ろした水着を棒に引っ掛け、壁に押し当てるようにして持ち上げていく。僕は首を曲げて、メライちゃんの身に着けていたスクール水着が棒に押さえられたまま壁を上がっていくのを見た。
この狭い隠し部屋の中、僕だけでなく、とうとうメライちゃんも素っ裸になってしまったのだと思うと、体がかっと熱くなった。惜しむらくは、僕は今の状態ではどんなに首を曲げても後ろにぴったりと体をくっ付けているメライちゃんの裸を見ることかできないことだった。おちんちんを扉に挟まれて体の向きを変えることができない僕は、思わず手を後ろに回した。メライちゃんの裸の背中、それから少し下げると、お尻のぷりっとした柔らかい感触があった。と、すぐにメライちゃんに手を取られ、戻された。
「素っ裸のお二人さん」
Y美が明かり取りから顔を覗かせ、嬉しそうにメライちゃんと僕を見下ろした。
「仲良く体をくっ付け合ってるねえ。二人して感じ合ってるのかな?」
笑いながら冷やかしの言葉を投げかける。
Y美のメライちゃんに対する嫌がらせは、これだけでは済まなかった。明かり取りの隙間からモップを入れて、メライちゃんの背中やお尻と壁の狭い隙間に差し込んでは、ごしごしとメライちゃんのお尻から背中をこすり始めた。特にお尻の下、股の間にモップの白いもじゃもじゃした部分が当たるように執拗に動かす。
「メライの体をきれいにしてやるからね。感謝しなよ」
いや、やめて、と喘ぐように言うメライちゃんが僕の後ろで素っ裸の身をぴったりと寄せて、体をがくがくと前後に揺さぶる。サラダ油にまみれた裸体がうねうねと僕の背中を転がっているような気がする。メライちゃんは股間をモップでまさぐられる羞恥に動転したのか、僕の首筋をぺろぺろと舌で愛撫し始めたかと思うと、いきなり僕のお尻を掴み、お尻の穴にサラダ油の付着した指を入れた。
お尻の穴に指を入れると勃起するよ、とお姉さんが変なことを言い出したから、この苦しみから抜け出すためならもうなんでもするような気持ちになって、そうしたのだろう。僕が呻き声を上げて、許しを求める。メライちゃんも「いや、やめて」と苦悶に悶えながら、舌でぺろぺろと首を舐め、我を忘れてお尻に挿し入れた指を動かす。
しかも挿入されたのは一本ではなかった。二本同時に入れられた。これまでお尻の穴を拡張させられる苛めに散々遭ってきたおかげで、メライちゃんの可愛らしい小さな指ならば、二本同時でも造作なかった。ましてやサラダ油が付いているのだから、スムーズにずぶずぶと入ってしまう。
素っ裸にされたメライちゃんに体を寄せられ、お尻の穴にまで指を入れられ、知らぬうちにおちんちんもぴくりと反応しかかったようだけど、肝心なY美は台座に乗って明かり取りからモップでメライちゃんを苛めているし、お姉さんと鷺丸君は恐らく扉の前にいるのだろうけれど、隠し部屋の中で行われているあまりに異常なことに興味を奪われ、隙間に挟まっているおちんちんの変化には気づいていないのか、或いは気づいていない振りを決め込んでいるようだった。
モップで股間をまさぐられているうちにメライちゃんの体がどんどん熱くなって、吐く息も短くなって、「いや、いや」を連発する声も舌足らずの子供みたいになった。僕もまたお尻の中を指で刺激され、呼吸を荒くしている。そのうち、メライちゃんのもう片方の手がおちんちんの挟まっているところを指でなぞるように撫で回し始めた。お姉さんは、淫靡な苛めを受けるメライちゃんにかなり同情的であり、この性的な苛めから解放されたいのならば、やはりなんとしてでもおちんちんを勃起させるしかないと言って、メライちゃんに思いつく限りの様々な責めを教える。
お尻の穴が痛くなる。メライちゃんの遮二無二動かす指はどこか自暴自棄であり、性的な快楽に結びつくような刺激にはなかなかならなかった。痛みを訴える僕をメライちゃんは恥ずかしがっているものと誤解して、「いいから集中して、お願いだから」と制して、逆に早くおちんちんを大きくさせるよう促す始末だった。
手を回し、メライちゃんのお腹を触ると、すぐに手を取られ、「駄目、触らないで」と断られた。メライちゃんはモップで股間の辺りを擦られ続け、体を上下に一層激しく揺らすようになった。「やめて、駄目」と小さく叫びながら、喘ぎ、上からこぼれてきたサラダ油を背中やお尻に受けて、その油塗れの裸体をくねらす。
腕が疲れたという理由でメライちゃんへのモップ責めを中止したY美の代りに台座に上ったのは、鷺丸君だった。鷺丸君は青大将を明かり取りから入れながら、自分もしっかり中を覗いて、メライちゃんの全裸姿を拝んだ。僕がまだ見たことのないメライちゃんの裸を、鷺丸君がじっくり見ているのだった。
「わあ、メライの裸だ」
嘆息する鷺丸君の声を聞くと、自分が同級生の男の子に裸を見られていることを知ったメライちゃんが突然我に返ったかのようになって、「いや、やめて。見ないで」と、悲鳴を上げて、しくしくと泣き出した。「見ないで、お願い」を繰り返し、涙に濡れた顔を僕の背中に押し付けている。
「お前がいつまでもメライの愛撫に応えないから、とうとう可哀想にメライは鷺丸君に裸を見られることになったんだよ。全部、チャコのせいだよ」
Y美が僕にこんなことを言う。Y美が扉の前に戻った時には、一時大きくなりかかっていたおちんちんがまた元の大きさに戻っていた。裸を見られた恥ずかしさとショックで、もうメライちゃんは僕を勃起させるあらゆる試みができなくなってしまったようだった。お尻の穴に挿し入れた指も今では僕のお腹の辺りにそっと置かれている。
いつまでここに閉じ込められるのだろう、と思ったその時だった。
「好きよ、ナオス君」
いきなりメライちゃんが僕の耳元に口を寄せて、言った。信じられない。聞き違いかと思ったが、もう一度、「好き、私はナオス君のことが好き」と言う。
後ろ姿だけとはいえ、同級生の鷺丸君にまじまじと全裸を見られるのは、ショックなことに違いない。男の僕でもこれまで何度も味わわされたこの種の辛さは、到底忘れ難いほどなのだから、女の子であるメライちゃんのショックは、いか程ばかりだろうと想像にあまりがある。
その辛い状況の中での、いきなりの告白だった。おちんちんをまじまじと観察され、勃起させられたところも見られて、もう完全に嫌われたと思っていたのに。
同じように苛められる二人が連帯することで困難を乗り切ろうというメライちゃんの気持ちなのかもしれなかった。その「好き」という喘ぐような告白は、僕の体に甘い電流となって下腹部にも伝わり、これまで受けたどんな外的な刺激を与える愛撫以上の快感を僕にもたらした。
「僕もメライちゃんが好き。もっと言って」
「好きよ、ナオス君のことが大好きだからね。マジックの練習だって、ほんとはナオス君がやるって聞いたから、私」とまで言って、メライちゃんはまた声を上げて泣き始めた。そして、もう一度、「大好きなんだから」と、言った。
「だからお願い。私のこと、嫌いにならないで」
「もちろんだよ。メライちゃんも僕がこんな恥ずかしい目に遭わされているのに」
「私だって水着取られちゃったし。裸見られちゃったし」
明かり取りから相変わらず鷺丸君がメライちゃんの裸を見ていて、にやにや笑う。メライちゃんが裸の体を再びぎゅっと押し付けてきた。小ぶりの乳房がぺったりと僕の背中にくっ付いて形を崩す。
明かり取りから青大将が下りてきた。メライちゃんの裸に見とれているうちに、誤って蛇を放してしまったようだった。
「信じられない。こいつ、おちんちんを勃起させてるよ」
Y美が驚いたような声を上げた。
「あれだけ刺激を受けても変わらなかったのに、なんで今頃?」
お姉さんが首を傾げる。
理由はどうあれ、約束は約束だった。おちんちんが勃起したのだから、ここから出してもらわなくてはならない。青大将がメライちゃんの背中からお尻にかけてぬるぬるした体を忍び込ませたらしいけど、メライちゃんはぴくりと体を震わせただけだった。
ドアの隙間に近づいたY美が扉の上部に手を伸ばすと、回転扉はあっけなく開き、僕は転がるように外へ出た。回転扉には留め金があったようだった。道理でどんなに押しても隙間が広がらない筈だった。
出てきたところをいきなりお姉さんに目を塞がれたので、僕は背後のメライちゃんの裸をちらりとも見ることができなかった。お姉さんは、「女の子は男の子に裸を見られたくないものなんだよ」と、僕の顔に手拭いを巻いて目隠ししながら言い、勃起したままのおちんちんを指と指の間に挟んで上下にゆっくりと動かした。
全くこのお姉さんは身内に甘かった。男の子に見られないようにするとか言いながら、自分の弟である鷺丸君がまじまじと、今度は正面からメライちゃんの裸を見ることについては、特に止めもしないで、それどころか、「姉ちゃんの裸と、どっちがいい?」などと聞いて、へらへら笑っているのだから。
「もう許して。やめてよ」
嗚咽するメライちゃんの悲痛な声が聞こえ、僕は体を起こそうとしたけれど、お姉さんにがっしりと体を押さえられてしまった。手拭いで目隠しされているので、何が起こっているのか、分からない。
どうもメライちゃんはY美に羽交い絞めにされ、その水着を剥ぎ取られた裸をいろんな方向から検分されているようだった。鷺丸君に胸やお尻に撫でられたり揉まれたりして、むずがるメライちゃんの声を聞くと、僕はもうじっとしていられなくて、大きな声を上げ、渾身の力を振り絞って暴れた。たちまちY美にいやというほど背中やお腹を蹴られ、腕を背中に回され、動きを封じられてしまった。
鷺丸君は、メライちゃんの肌が白くてきれいだとしきりに感心する。すすり泣きのメライちゃんを無視して、小さな乳房の柔らかさ、サラダ油を塗られて艶々とした肌を絶賛している。まるで、目隠しされて見ることのできない僕のために解説してくれているみたいだった。
すぐにメライちゃんを解放し、水着を着せるように訴える。お姉さんに代わって僕を押さえる役を負った鷺丸君が、
「黙ってろよ。自分だけメライの裸を見せてもらえないからって、偉そうなこと言うなって。勃起してんじゃねえかよ。まあ、お前の裸はみんなに見られてるけど、メライは少なくともお前にだけは見られてないよな」
と言って、僕のお尻をぴしゃぴしゃと撫でる。僕は立たされ、ロープのようなもので背中に回された両の手首をきっちり結ばれた。背中をどんと押され、目隠しされて手も動かせない僕はよろめいた。お姉さんに「こっちだよ」と肩を掴まれると、肩が柔らかい裸の肉体に当たった。メライちゃんだった。メライちゃんの横に並んで立たされる。メライちゃんも両手を後ろで縛られているようだった。ただ、僕のようには目隠しされていない。Y美とお姉さん、鷺丸君は、メライちゃんと僕の隠しようのない素っ裸の体を見比べて、いろんなことを言い合った。
女と男の違いはあるけれど、身長も同じくらいの二人は、体つきがそっくりらしい。先ずお姉さんがそのように評すると、Y美が二人とも股間に毛が生えていないと指摘して面白がった。鷺丸君は、どちらも色が白くてなよっとしているけれど、僕の体のあちこちにはかすかな青痣があり、自分はやはりメライのほうに魅かれる、と言った。
前だけではなく、横、後ろも向かされた。メライちゃんと僕はお尻の形も似ているとのことだった。メライちゃんはY美に僕のお尻をよく見るように命じられ、自分のお尻と似ていると思うかとの質問に答えるよう強制される。メライちゃんは小さな声で「分かりません」と答えた。嗚咽の声が漏れる。僕は「もうメライちゃんは許してあげて」とY美に訴えた。
「なんでお前まで、泣いてんの? メライの裸が見られなくて悔しいの?」
馬鹿にしきったような調子でY美が訊ね、手拭いの下から零れ落ちた涙の一筋を指でなぞる。濡れた指先を小さく縮こまったおちんちんになすり付ける。
メライちゃんが短い悲鳴を上げた。隠し部屋の中から青大将が出てきたらしい。鷺丸君がすぐに立ち上がった気配がした。ずしりと冷ややかな、ぬるりとしたものを首に巻かれる。得体の知れないそれは、下腹へぬるぬると移動し、おちんちんを押し潰すようにして僕の太腿に絡むのだった。
サラダ油を更に胸やお腹、背中からお尻に塗り込まれたメライちゃんは、ぬらぬらした丸裸のまま、お姉さんの指示するいろんなポーズを取らされた挙句、お姉さんの美術作品のモデルになるように迫られる。
両手を頭に組んで胸を反らすようなポーズを取るように言われた時、メライちゃんは恥ずかしがってためらったようだった。Y美の「前歯、へし折っちゃおうかな」と、歌うような声が聞こえた。メライちゃんの口を無理矢理こじ開け、こつこつと指で白い歯を叩いているのだろう。目隠しをして後ろ手に縛られている僕は、生臭い青大将に太腿からおちんちんにかけて巻き付かれたまま、じっと立っているしかなかった。
メライちゃんからすすり泣きは聞こえなくなっていた。その一糸まとわぬ体を鷺丸君の好色な目でじろじろ見られながらも、気丈に振る舞っているのだろう。メライちゃんが僕のことを好きだと言った、あの瞬間を頭の中で再現する。メライちゃんが美術作品のモデルとなることを承諾する声が聞こえた。メライちゃんは僕のことを好きだと言った。僕はただそのことだけを思って、今の恥辱に耐える。
個人的には、大切な人がオモチャにされたり寝取られたりして、メライちゃんも守れないナオス君が見てみたいです。
これからも楽しみに応援してます!
メライちゃんが脱がされてしまったのは残念ですが、この物語のヒロインになりつつありますね!
メライちゃんを応援したくなりました。
対照的にY美が只の嫌な女の子になってしまってますね!
個人的には、メライちゃんにも虐められる展開かなと予想しましたが、見事に裏切られました。
今後ともマイペースでお続け下さい。
やっと続きを書きました。
お待たせして申し訳ございません。
お読みいただければ大変うれしいです。
へろへろ様
しょうた様
応援ありがとうございます。
X様
鷺丸君は、気持ち悪くてごめんなさい。
どうしても男の人は出てきますが、工夫してみます。
女の人たちは自分たちの苛めの相手が男の人からも苛められることを望んでいるようです。
M.B.O様
いろいろと想像力豊かにお読みいただき、嬉しく思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。
赤シャツ様
いつも応援ありがとうございます。
明治の文豪の作品に出てくるお名前から、同じ文豪の随筆のタイトルが浮かんできます。
ともあれ、まだ先にはいろいろとありますので、お楽しみいただければ幸いです。