野外では微風はもちろん、かすかな空気の動きにも自分が真っ裸でいることに意識が向いてしまう。
途中何度か目が覚めたけど、起きても仕方がないので睡眠続行を選んだ。いつの間にか周囲は太陽の明るさに満ちて、目が覚めた僕は、眠りの甘美な世界から追放された悲しみに襲われた。土や小石を見つめながら、いつまでも硬い地面に横たわっていた。
ここが荒山さんという風紀委員の自宅の敷地内であることは分かっていた。昨夜おば様の運転する車の中で、風紀委員の家に僕が一晩貸し出されることが決まった。Y美と風紀委員、ヌケ子さんの三人に踏みつけられながら後部座席の床に横たわる全裸の僕を見て、風紀委員が犬に似ていると評し、親の許しが出ないばかりに犬を飼う夢が叶えられないと嘆いたことから、話が発展したのだった。
こうして朝を迎えても、僕は相変わらず素っ裸のままだし、なおかつ、おちんちんを縛られて移動の自由が制限されている。これは、昨夜からの地獄が終わっていないことの証しに他ならない。
帰りの車の中での出来事を思い出して、僕は胸が痛んだ。風紀委員の自宅に到着すると、Y美がロープを風紀委員に渡した。車から降りた風紀委員に引っ張られて、僕も車の外へ引きずり出された。風紀委員の両親は海外旅行中で、年の離れた姉が二人いるだけとのことだった。おば様が僕が世話になるのでお姉さんに挨拶したいと申し出たが、二人の姉はバイトからまだ帰ってなかった。おば様は一晩だけという条件で僕の貸与を認め、「お願いね」と言い残して、車に乗り込んだ。
走り去ろうとするおば様に駆け寄り、運転席の窓を叩いた僕は、車の中にあるはずの僕の服の返却を求めた。おば様は困った顔した。そして、言いにくそうに、
「どこかにあると思うだけど、どこに仕舞ったか、分からなくなった」
と、告げると、申し訳なさそうに頭を下げてから、窓を閉め、車を発進させた。
屋根にかかった月がミルクを容れたお皿に見えた。朝から裸で働かされ、夕方からはY美と風紀委員、N川さんの三人から酷いいじめを受けた僕は、くたくたに疲れていた。風紀委員は、家から鋏を持ってきて、僕のおちんちんの根元を縛り付けているロープを切ってくれた。おば様が風紀委員にロープの縛りが強すぎるから一旦切るように去り際に伝えたのだった。が、ほっとしたのもつかの間、風紀委員は再びロープでおちんちんの根元を縛り始めた。
今度は少し緩めにしたから、おちんちんにも優しいのだと風紀委員が説明した。確かに圧迫感はかなり軽減したが、おちんちんの袋に引っ掛かってロープを抜き取ることは、やはりできなかった。風紀委員はガラス戸から漏れる室内の明かりを頼りに、二十個以上も固い結び目を作り、そう簡単にはほどけないようにした。
そこから先のことは、よく覚えていない。確かなのは僕は一度も家に入れてもらえず、土が剥き出しの場所に連れて行かれたことだ。風紀委員はロープの端を排水溝の金具に結びつけると、格子状の蓋を閉めて南京錠をかけた。
暗闇の中で水が立ち上がってくるような気配がした。すぐ近くで小川が流れていた。幅の狭い割には豊かな水量を湛え、夜の生温かい空気を黒々とした水面が内側から圧していた。何もない夜の地面に真っ裸で放置された心細さは相当なもので、おちんちんを繋ぎ止められていることも忘れて風紀委員のいる母屋へ歩いたが、すぐにロープがぴんと張って、おちんちんにロープが食い込み、僕自身の可動範囲を知らせるのだった。
この忌々しいロープは、どうしても素手ではおちんちんから抜き取ることができない。諦めた僕は、一本の樹木に身を寄せて、横たえた体を丸めた。土は硬く、そのうえ、日中に溜め込んだ太陽の熱を早々に夜空へ奪い取られて意外な程に冷たかったが、しばらくじっと動かずにいると、僕自身の体温で土が温まるのが感じられた。
こうして朝を迎えた僕は、体のあちこちが土で汚れているのに気付きながらもそれを払う気力もなく、青葉の茂る桜の幹にもたれて、朝から感じられる夏の熱気にだらしなく包まれていた。
パジャマ姿の風紀委員が眠そうな目をして南京錠の鍵を取り出し、格子状の蓋をあけてロープを解いた。そして、そのまま何も言わずにぐいぐいと母屋の方へ引っ張ってゆく。縁側のガラス戸が朝の光に輝いていた。縁側の近辺にだけ芝生が生えていて、僕をそこまで連れてくると、風紀委員は僕に石鹸を投げて寄こした。
蛇口をひねってホースから勢いよく水を出した風紀委員は、ホースの先を僕に向けた。
「眠い眠い。あんたのために早起きしてんだからね。有難いと思ったら、さっさと洗いなさいよ」
冷たい水を全身にかけられ、小さく叫んで逃げ回る僕を風紀委員が欠伸しながら見つめる。細いロープがおちんちんの袋に食い込んで、僕の可動範囲を一層狭くした。石鹸を体じゅうに塗った僕は、渡された雑巾で体を洗った。それから、歯を磨いた。
石鹸で洗髪まで強要された僕は、びしょ濡れのまま、乾いたタオルを待った。しかし、風紀委員は僕から雑巾をひったくると、そのまま元の場所へ僕を連れて行こうとした。タオルを求める僕に激しい罵声を浴びせるのだった。
「甘ったれないでよ。どうせ真っ裸なんだから濡れてたって構わないでしょ」
「でも、学校へ行くんだし」
「寝ぼけたこと言わないで。あんたは今日も休むことになってるの」
「そんな。一日ここにいろって言うんですか」
眼鏡のレンズを光らせて風紀委員が頷く。排水溝の金具にロープを縛り付け、その上に格子状の蓋を嵌め、南京錠を掛ける。風紀委員のきびきびとした動きは、まさに僕をここに拘束するのはずっと昔から決まっていたかのような印象を与えた。濡れた体のまま剥き出しの土に座り込む僕のそばに来て、風紀委員が言った。
「おちんちん、朝は大きくなるって聞いてたのに、すごく縮んでる」
それは冷たい水を浴びせたからだと言い訳する間もなく、風紀委員の手がおちんちんに伸びてきた。いやがる僕のおちんちんを扱く。お尻を地面につけて股を開かされた僕は、風紀委員の冷たい指につままれたおちんちんが熱を帯びて、強制的に性的な欲望を駆り立てられる理不尽な思いに苦しんだ。
「男の子っておもしろい。どんな状況でも刺激を与えれば必ず反応するんだね」
とりあえず勃起だけさせてみた、という感じで風紀委員がおちんちんから手を放した。亀頭に触れた指が糸を引いていた。立ち上がると、「そろそろ支度しなくちゃ」と独り言を言いながら、風紀委員が母屋に向かった。僕は勃起させられたおちんちんを手で隠しながら、こんな場所に放置しないよう何度も風紀委員の背中に向かって呼びかけたが、ついに一度も振り向いてくれなかった。
しばらくして、制服に着替えた風紀委員が食パンと水を持ってやってきた。白いブラウスが朝の光の中で純白に輝き、中学一年らしい普通の女の子に見えた。地面にうずくまって全裸を恥かしがる僕に冷たい視線を浴びせる。
おしっこやうんちは僕のすぐ後ろを流れている川にすること、昼の食事は遅くなるので我慢すること、日中この家に出入りする人がいるけど説明が面倒なので見つからないように努力すること、特に母屋でまだ寝ている二人の姉、出入りする造園事業の大人たちには絶対見られないようにすることなどを僕に説くと、風紀委員は膝を屈めて、「いい子で留守番してるんだよ」と、耳元で囁いた。
周りには桜の木が一本あるだけで、とても隠れられるものではない。人が入って来た時に、僕がここにいる理由を説得力を持って説明できるように、何か着る物を貸してほしいと懇願したものの、風紀委員は眼鏡の奥の目を神経質そうに細めて首を横に振った。
「私は犬を飼いたいと思ってたからあんたを預かることにしたの。犬に服は必要ないでしょ。悪いけど丸裸のままでいてよ。その方がリアルだから」
「いやです。だいたい人が来たら絶対に見つかってしまいます」
いつの間にか風紀委員に対しても当たり前のように敬語を使っている自分に気付く。服を着た人たちに交じってずっと素っ裸でいると気持ちが卑屈になってくる。
「見つからないようにするのよ。川の中に隠れればいいでしょ」
絶句する僕に風紀委員が差し出したのは、ピンク色のシュノーケルだった。
「これ、私のだけど、特別に貸してあげるからさ」
いきなり腕を取られた。風紀委員が有無を言わせずに僕を川へ連れてゆく。幅3mほどの小川は、土のすぐ下を流れていた。昨日の大雨で水量が増えたようだった。
「じゃ、ちょっと隠れる練習してみて」
風紀委員に腰を蹴られた僕は、川へ落ちた。思わぬ仕打ちに小さな叫び声を上げる。水温はそれ程冷たくなかったが、川の流れは見た目以上に速かった。足が届かない。流された僕を繋ぎ止めたのはおちんちんの袋に食い込んだロープだった。おちんちんの袋に痛みが走る。川岸に寄せられた僕は必死になって土や草を掴み、食い込むロープからおちんちんの袋を庇った。
「これを咥えて、潜るんだよ」
僕の口にシュノーケルを突っ込むと、風紀委員が足で僕の頭を水中に沈める。慌てて掴まったのは、水中の岸側に突き出た岩だった。頭のてっぺんまで水中に沈むと、ようやく足先が川底に着いた。水草のぬるりとした感触があった。水中ではずっと目を瞑って、聞こえてくる音だけに神経を集中した。水の上から風紀委員の声が聞こえた。
と、ロープを引っ張り上げられた。水中から顔を出し痛みを告げる。しかし、風紀委員はロープを引く手を休めなかった。こうなればロープよりも速く自力で陸に這い上がるしかない。
「今みたいに水中に隠れたら見つからないでしょ。服を着ていたら一々脱がないといけないけど、あんたは素っ裸だから、その点、楽だね。じゃ、くれぐれも人に見つからないようにね。特にうちのお姉ちゃんたちに見つかったら、あんた自身が酷い目に遭うだろうから」
濡れた体で土の上に横たわる僕に向かって、風紀委員がそう言うと、登校時間が迫っているらしく、小走りに母屋へ戻った。
それにしても敷地の中を川が流れているだけあって、その広さは半端ではなかった。向こうに通りがあり、通学の人たちが見える。その姿に目を向けながら食パンを口に含み、コップの水で胃へ流し込む。今日も一日、服を着せてもらえず、こんな場所に一人で放置されるのかと思うと、普通に服を着て学校へ行く生活が羨ましくて仕方がなかった。
通りを行く人がこちらをしげしげと眺めれば、草の茂みの向こうの土が剥き出しになったところに素っ裸の僕がロープで繋がれているのを見つけるだろう。通りの人に見つけられ、その人が僕を不憫に思って警察に通報したら、風紀委員だけでなく、おば様にも多大な迷惑がかかり、結果的に僕の母が仕事を解雇され、僕が母との生活に戻るチャンスは激減する。だから、風紀委員に言われなくても、屈辱的な仕打ちに耐える僕の姿は、人に見られないようにしないといけないのだった。
強い日差しを避けて桜の幹に寄りかかってうつらうつらしていると、人の気配がした。灰色のシャツを着た男の人たちがこちらに向かってくる。造園事業の人たちが下見に来ると風紀委員が言っていたのを思い出した。僕は急いでそばに落ちていたシュノーケルを拾って、川にそっと入った。男の人たちは4人いた。見取り図のような紙を広げて、何か話しながら土が剥き出しのところまで来た。心臓の鼓動が高鳴る中、思い切って頭を沈める。
見つからないように祈りながら目を瞑り、岸から突き出ている水中の岩にしがみ付く。男の人たちの話し声が聞こえた。それがどれくらいの時間だったかは分からない。ものすごく長時間だったような気がする。川のことを話している声が聞こえた時は、もう見つかったかと観念した。声の近さから川岸に立っているのは間違いないと思ったのだった。その人が水面に出ているピンクのシュノーケルに目を留めたら、すぐに水面でゆらゆら揺れている僕の黒い髪にも気付くことだろう。
夏の温い水とはいえ、ずっと水中に潜んでいると体が冷える。男の人たちはなかなか去ってくれなかった。ようやく立ち去る気配を話し声から察し、そっと水面に顔を出した。別の場所へ移動する男の人たちの後ろ姿が見えた。
ほっとして気が緩んだ瞬間、岸から手が離れてしまい、たちまち流されて、ロープがピンと張り、おちんちんの袋にロープの圧力が加わった。呻き声を洩らしながらなんとか岸辺に這い上がった僕は、この忌々しいロープを解こうと試みた。
小さな雲をたくさん浮かべた青空が地上の音を吸い取っているかのように、辺りは物音ひとつしない静けさだった。風が少しも吹かない。僕は排水溝の蓋の上からロープを引っ張ったが、びくともしなかった。
ロープを解いても服がないから逃げ出すことはできない。裸のまま逃げても、閉塞したこの町の中ではどうせすぐに掴まり、おば様の怒りを買うのが関の山だろう。でも、僕としては、おちんちんからロープを取りたくて仕方なかった。日中だけでもロープの拘束から逃れて、自由に動きたかった。夕方になって風紀委員が戻る頃、ロープで元の通りに結んでおけば、ばれることはない。だが、そんな僕の気持ちをあざ笑うかのように、ロープの硬い結び目が数珠のように並び、その一つすら解くことができないのだった。もちろん、狭い輪っかの中からおちんちんの袋を抜き取ることもできない。
と、草を踏む音がした。人が歩いている。僕は急いで桜の幹に身を寄せて、そっと覗いた。二人連れの女の人だった。風紀委員のお姉さんだと直感した僕は、すぐさまシュノーケルを手に取り、まだ乾いていない濡れた体を再び川へ沈めた。
土を踏む足音が聞こえる。お姉さんたちは川に向かって伸びをしたり深呼吸したりしているようだった。会話はそれほどないが、体を動かしている気配がした。朝の体操をしているらしい。僕は水中に突き出た岩に片手で掴まり、もう片方の手で冷えた胸やお腹をさすった。足を擦り合わせて寒さを凌ぐ。お姉さんたちは念入りにストレッチをしているらしく、なかなか立ち去る気配がなかった。
川の中へ頭まですっぽり沈めて長い時間を過ごすのは辛いものだった。ストレッチが終わったと思ったら、お姉さんたちはのんびりと会話を始めた。僕の岩に掴まっている手に力が入らなくなっていた。両手で掴んでも危なくなってきた。まずいと思った時、お姉さんの声が真上が聞こえた。
「ねえ、このシュノーケル、みっちゃんのじゃないかな」
心臓の音が水中で大きく響いた。ついに僕はシュノーケルを取り上げられ、水面に顔を出すことになってしまった。
お姉さんたちは大変驚いたようだったが、出てきたのが妹の同級生の男の子と分かって、冷静さを取り戻したようだった。
「こんなところで何してんのよ」
ショートカットの髪のお姉さんが僕の顔をしげしげと見つめながら問いかけた。なんと答えてよいか分からず、しどろもどろになっている僕に、年嵩と思われるまつ毛の長いお姉さんが、
「みっちゃんにいじめられたの?」
と、にっこり微笑みながら訊ねる。
はいともいいえともつかず、曖昧に返事をする僕にショートカットのお姉さんが苛立ちを覚えたようだった。
「とにかく、川から上がりなさい」
「いや、上がれないんです」
「なんでよ」
「裸なんです」
消え入りそうな声で答えると、二人のお姉さんは顔を見合わせた。
「裸って、すっぽんぽん?」
僕は下唇を噛んで、黙って頷く。
排水溝の蓋から川に向かって伸びているロープにショートカットのお姉さんが気付いた。
「このロープ、何かしら」
「あ、やめて。引っ張らないでください」
二人のお姉さんは僕の声を無視して、ロープを引き始めた。おちんちんの袋が上に向かってぐいぐいと引っ張られる。とうとう僕は陸に上げさせられ、おちんちんを縛られた恥かしい裸の身をお姉さんたちに晒してしまった。
「いやだ。あなた、何やってんのよ」
全身から水をぽたぽた滴らせて土の上に横たわる僕は、両手でおちんちんを隠しながら、お姉さんたちの顔を見ることができずに俯いていた。お姉さんたちは口々に僕をなじった。女の子の家に素っ裸で隠れているのが非常識だと言って責めるのだった。
ショートカットのお姉さんに木の枝で背中やお尻を叩かれた僕は、泣きべそをかきながら事実を述べた。風紀委員が犬を飼う願望を叶えるために、僕が犬としてここに拘束されているのだと言うと、お姉さんたちは手を叩いて笑った。
「あの子も相当悪い子だね。男の子を素っ裸にして犬にするなんて」
「あなたもあなたよ。女の子に裸に剥かれて、おちんちんまでロープで縛られて、恥かしくないの?」
長いまつげの年嵩のお姉さんがそう言って、おちんちんを指で弾いた。
「それにしてもナオス君、ちっちゃいんだね。ほんとに中学一年生なの?」
ずっと川の中にいて冷えて小さく縮んだおちんちんが引っ張られた。ショートカットのお姉さんが僕の体のあちこちを小突く。おちんちんの袋がロープでしっかりと縛られているのを確認して、感心したように大きく息をついた。
ぎゅっとおちんちんの袋を握り締められ、反射的に痛みを訴えるものの、お姉さんたちはちらりと僕の顔を見るだけだった。指の間におちんちんを挟んでぶるぶると揺らし、面白がっている。
「ねえ、アキちゃん。見て、硬くなってきたよ」
アキちゃんと呼ばれた長いまつげのお姉さんが仰向けに寝かされた僕の股間から顔を出して、微笑んだ。
「そんなの大きくしても仕方ないじゃないの。キクちゃんたら」
ショートカットの髪のキク姉さんは、僕の上に反対向きに跨って、短パンからすらりと伸びた白い足で僕の両腕を押さえつけている。おちんちんにうんと顔を近づけているのは、息がかかるので分かった。しげしげと見つめているらしい。指で摘まんでひっくり返す。皮を捲られ、キク姉さんの吐く息が露出させられた亀頭を嬲る。本来であればそれだけでは僕の性感を高めることはないと断言できる。にもかかわらず、不覚にもおちんちんが反応してしまったのは、相応の理由があったからだった。
白い半袖のシャツを着たキク姉さんが僕に跨って腰を上げている。シャツが僕の裸の胸に垂れてキク姉さんのお臍が見えた。それだけでも体が熱くするのに十分なのに、その先には、小高く盛りあがった肉の塊があった。乳房だった。白いシャツの布地を通した光に肌理細かい肌が浮かび、乳房が内側から光を発しているような明るさだった。
キク姉さんが少しでも動くと、硬そうな乳首がシャツの布地をこする。シャツの中のむせ返る匂いの中、下側から見る乳房は、自らの張りでその豊かな肉を支えていた。それは、しなやかに揺れて、手のひらに載せたくなるような質感を醸した。おちんちんやおちんちんの袋をこねくり回されたり、裏返されたりして観察されている恥ずかしさと不快感は物の数ではなかった。僕は、シャツの裾を顎で挟み、白い光の中でゆさゆさと揺れる乳房に我を忘れた。
女の人の胸を、いつもは服の上からしか見ることのない僕は、服の中を覗き見た興奮で下半身が熱くなるのを抑えることができない。女の人の裸は、これまでにもおば様のを見ているから初めてではないけど、性的な対象としてじっくりと見つめたことはなかった。一糸まとわぬ格好で組み敷かれている僕は、肉体の反応をしっかりと表していた。姉さんたちが黄色い声を上げて喜ぶ。
息を吹きかけたり、指で触ったりしたのが原因でおちんちんが大きくなったものと思っていたらしいキク姉さんは、アキ姉さんにシャツの中が僕から丸見えになっていることを指摘されると、びっくりしたように飛びのいた。両手でシャツの上から胸を押さえて、僕を睨みつける。その表情は怒りと恥ずかしさの混ざり合わさったような朱色に染まり、小さな唇が震えていた。
「信じられない。子どものくせに人の胸見ておちんちんを立てるなんて」
明らかにプライドを傷つけられたようだった。キク姉さんはロープを引っ張り、両手でおちんちんを隠している僕を川岸まで連れて行くと、「ませた色ガキは反省しろ」と一声怒鳴って、川へ蹴り落とした。
川岸に手を伸ばした僕の髪の毛を攫むと、ぐいと川の中に押し込む。謝罪しても口先だけだと叱られ、また沈められる。ゲボゲボと水を吐きながら「申し訳ありませんでした」とほとんど絶叫に近い声を出す僕の目から涙がこぼれる。岸に上げられた僕は、髪の毛からぽたぽたと滴を垂らしつつ、土下座を繰り返した。地面に水溜りができるほど頭をこすり付ける。おちんちんが恐怖と水の冷たさでたちまち小さく縮んでいるのをキク姉さんが満足そうに見つめた。
水責めを受けている間にアキ姉さんが南京錠の鍵を持ってきたらしい。排水溝の蓋を開けて金具に縛られているロープをほどいた。素っ裸で外に放置されている僕を憐れんでくれたのかと期待した一瞬はすぐに去った。ロープの端をアキ姉さんから受け取ったキク姉さんは、それを投げて頭上の桜の枝に通した。枝の分岐した部分にロープが引っ掛かる。キク姉さんがロープをぐいぐいと引いてゆく。
しゃがんでいた僕は、おちんちんの根元に縛りつけられたロープの力で立ち上がらされ、枝の下まで来た。これ以上ローブを引かれると、爪先立ちにならざるを得ない。僕がかろうじて踵を付けて立っていられる長さに調節すると、余ったロープを桜の幹に縛りつけた。膝を曲げると、たちまちロープがぴんと張って、腰を下ろすことはおろか、半径30センチ程の範囲しか移動できない。
一体姉さんたちは何をしようとしているのか、両手でおちんちんを隠したまま、びくびくしていると、アキ姉さんが「手で隠さないのよ」と注意し、僕の足の指をサンダルで踏み付けた。そして、ロープの切れ端で僕の背中へ回した二つの手首を一つに縛り上げた。
「これで、おちんちん、丸出しだね。私の胸を覗き見した罰」
腕を組んで、勝ち誇ったようにキク姉さんが言った。
「しかし、キクちゃん、あんたもしつこいね」
横からアキ姉さんが口を出した。
「この子はさ、私たちに真っ裸を晒して、おちんちんからお尻の穴まで見られているんでしょ。ちょっと胸見られたぐらい、別にいいじゃないの?」
「いやだよ。女と男では恥ずかしさの度合が違うもの」
「そりゃ、そうだけどさ」
フンフンと頷きながらアキ姉さんがキク姉さんの背後に回った。と、いきなりキク姉さんのシャツをたくし上げ、一気に首からシャツを抜き取ってしまった。キク姉さんが悲鳴を上げる。続いてキク姉さんの短パンを引き下ろす。白い花柄のレースのパンツが表れた。キク姉さんはパンツ一枚にされた裸身を恥ずかしそうにくねらせて、アキ姉さんに抗議する。しかし、アキ姉さんはキク姉さんの衣類を後ろ手に隠して、首を横に振るばかりだった。
「せっかくだから見せてあげなさいよ。喜んでるじゃないの」
アキ姉さんが指さす方へキク姉さんが視線を向ける。恥ずかしいことに、僕の隠す術がないおちんちんはしっかり勃起していた。皮の先に露出した亀頭が夏の分厚い日差しを受けて、鈍く光っている。見てしまったためにおちんちんは自制できなくなるのだった。
自分の裸身がもたらした効果にキク姉さんも驚いているようだった。隠していた胸から手をどかして、僕の前で膝を曲げて、腰をちょっと揺すった。
恐ろしいことを思いついたのはアキ姉さんだった。勃起したおちんちんを三本の指で軽く握ると、僕にオナニーをするように命じた。
「両手を縛られているあんたのために手を添えてやるから、しっかり腰を振って。大事な妹の裸を見せてあげてるんだよ。感謝しながら、今すぐここでオナニーしなさいよ」
おちんちんに添えた指は絶対に動かさないとアキ姉さんが断言した。精液を出すまで許してもらえないようだった。目の前ではキク姉さんが微笑みながら、軽く曲げた膝に手を当て、腰を揺すっている。
憑かれたように僕は腰を前後に振り始めた。
途中何度か目が覚めたけど、起きても仕方がないので睡眠続行を選んだ。いつの間にか周囲は太陽の明るさに満ちて、目が覚めた僕は、眠りの甘美な世界から追放された悲しみに襲われた。土や小石を見つめながら、いつまでも硬い地面に横たわっていた。
ここが荒山さんという風紀委員の自宅の敷地内であることは分かっていた。昨夜おば様の運転する車の中で、風紀委員の家に僕が一晩貸し出されることが決まった。Y美と風紀委員、ヌケ子さんの三人に踏みつけられながら後部座席の床に横たわる全裸の僕を見て、風紀委員が犬に似ていると評し、親の許しが出ないばかりに犬を飼う夢が叶えられないと嘆いたことから、話が発展したのだった。
こうして朝を迎えても、僕は相変わらず素っ裸のままだし、なおかつ、おちんちんを縛られて移動の自由が制限されている。これは、昨夜からの地獄が終わっていないことの証しに他ならない。
帰りの車の中での出来事を思い出して、僕は胸が痛んだ。風紀委員の自宅に到着すると、Y美がロープを風紀委員に渡した。車から降りた風紀委員に引っ張られて、僕も車の外へ引きずり出された。風紀委員の両親は海外旅行中で、年の離れた姉が二人いるだけとのことだった。おば様が僕が世話になるのでお姉さんに挨拶したいと申し出たが、二人の姉はバイトからまだ帰ってなかった。おば様は一晩だけという条件で僕の貸与を認め、「お願いね」と言い残して、車に乗り込んだ。
走り去ろうとするおば様に駆け寄り、運転席の窓を叩いた僕は、車の中にあるはずの僕の服の返却を求めた。おば様は困った顔した。そして、言いにくそうに、
「どこかにあると思うだけど、どこに仕舞ったか、分からなくなった」
と、告げると、申し訳なさそうに頭を下げてから、窓を閉め、車を発進させた。
屋根にかかった月がミルクを容れたお皿に見えた。朝から裸で働かされ、夕方からはY美と風紀委員、N川さんの三人から酷いいじめを受けた僕は、くたくたに疲れていた。風紀委員は、家から鋏を持ってきて、僕のおちんちんの根元を縛り付けているロープを切ってくれた。おば様が風紀委員にロープの縛りが強すぎるから一旦切るように去り際に伝えたのだった。が、ほっとしたのもつかの間、風紀委員は再びロープでおちんちんの根元を縛り始めた。
今度は少し緩めにしたから、おちんちんにも優しいのだと風紀委員が説明した。確かに圧迫感はかなり軽減したが、おちんちんの袋に引っ掛かってロープを抜き取ることは、やはりできなかった。風紀委員はガラス戸から漏れる室内の明かりを頼りに、二十個以上も固い結び目を作り、そう簡単にはほどけないようにした。
そこから先のことは、よく覚えていない。確かなのは僕は一度も家に入れてもらえず、土が剥き出しの場所に連れて行かれたことだ。風紀委員はロープの端を排水溝の金具に結びつけると、格子状の蓋を閉めて南京錠をかけた。
暗闇の中で水が立ち上がってくるような気配がした。すぐ近くで小川が流れていた。幅の狭い割には豊かな水量を湛え、夜の生温かい空気を黒々とした水面が内側から圧していた。何もない夜の地面に真っ裸で放置された心細さは相当なもので、おちんちんを繋ぎ止められていることも忘れて風紀委員のいる母屋へ歩いたが、すぐにロープがぴんと張って、おちんちんにロープが食い込み、僕自身の可動範囲を知らせるのだった。
この忌々しいロープは、どうしても素手ではおちんちんから抜き取ることができない。諦めた僕は、一本の樹木に身を寄せて、横たえた体を丸めた。土は硬く、そのうえ、日中に溜め込んだ太陽の熱を早々に夜空へ奪い取られて意外な程に冷たかったが、しばらくじっと動かずにいると、僕自身の体温で土が温まるのが感じられた。
こうして朝を迎えた僕は、体のあちこちが土で汚れているのに気付きながらもそれを払う気力もなく、青葉の茂る桜の幹にもたれて、朝から感じられる夏の熱気にだらしなく包まれていた。
パジャマ姿の風紀委員が眠そうな目をして南京錠の鍵を取り出し、格子状の蓋をあけてロープを解いた。そして、そのまま何も言わずにぐいぐいと母屋の方へ引っ張ってゆく。縁側のガラス戸が朝の光に輝いていた。縁側の近辺にだけ芝生が生えていて、僕をそこまで連れてくると、風紀委員は僕に石鹸を投げて寄こした。
蛇口をひねってホースから勢いよく水を出した風紀委員は、ホースの先を僕に向けた。
「眠い眠い。あんたのために早起きしてんだからね。有難いと思ったら、さっさと洗いなさいよ」
冷たい水を全身にかけられ、小さく叫んで逃げ回る僕を風紀委員が欠伸しながら見つめる。細いロープがおちんちんの袋に食い込んで、僕の可動範囲を一層狭くした。石鹸を体じゅうに塗った僕は、渡された雑巾で体を洗った。それから、歯を磨いた。
石鹸で洗髪まで強要された僕は、びしょ濡れのまま、乾いたタオルを待った。しかし、風紀委員は僕から雑巾をひったくると、そのまま元の場所へ僕を連れて行こうとした。タオルを求める僕に激しい罵声を浴びせるのだった。
「甘ったれないでよ。どうせ真っ裸なんだから濡れてたって構わないでしょ」
「でも、学校へ行くんだし」
「寝ぼけたこと言わないで。あんたは今日も休むことになってるの」
「そんな。一日ここにいろって言うんですか」
眼鏡のレンズを光らせて風紀委員が頷く。排水溝の金具にロープを縛り付け、その上に格子状の蓋を嵌め、南京錠を掛ける。風紀委員のきびきびとした動きは、まさに僕をここに拘束するのはずっと昔から決まっていたかのような印象を与えた。濡れた体のまま剥き出しの土に座り込む僕のそばに来て、風紀委員が言った。
「おちんちん、朝は大きくなるって聞いてたのに、すごく縮んでる」
それは冷たい水を浴びせたからだと言い訳する間もなく、風紀委員の手がおちんちんに伸びてきた。いやがる僕のおちんちんを扱く。お尻を地面につけて股を開かされた僕は、風紀委員の冷たい指につままれたおちんちんが熱を帯びて、強制的に性的な欲望を駆り立てられる理不尽な思いに苦しんだ。
「男の子っておもしろい。どんな状況でも刺激を与えれば必ず反応するんだね」
とりあえず勃起だけさせてみた、という感じで風紀委員がおちんちんから手を放した。亀頭に触れた指が糸を引いていた。立ち上がると、「そろそろ支度しなくちゃ」と独り言を言いながら、風紀委員が母屋に向かった。僕は勃起させられたおちんちんを手で隠しながら、こんな場所に放置しないよう何度も風紀委員の背中に向かって呼びかけたが、ついに一度も振り向いてくれなかった。
しばらくして、制服に着替えた風紀委員が食パンと水を持ってやってきた。白いブラウスが朝の光の中で純白に輝き、中学一年らしい普通の女の子に見えた。地面にうずくまって全裸を恥かしがる僕に冷たい視線を浴びせる。
おしっこやうんちは僕のすぐ後ろを流れている川にすること、昼の食事は遅くなるので我慢すること、日中この家に出入りする人がいるけど説明が面倒なので見つからないように努力すること、特に母屋でまだ寝ている二人の姉、出入りする造園事業の大人たちには絶対見られないようにすることなどを僕に説くと、風紀委員は膝を屈めて、「いい子で留守番してるんだよ」と、耳元で囁いた。
周りには桜の木が一本あるだけで、とても隠れられるものではない。人が入って来た時に、僕がここにいる理由を説得力を持って説明できるように、何か着る物を貸してほしいと懇願したものの、風紀委員は眼鏡の奥の目を神経質そうに細めて首を横に振った。
「私は犬を飼いたいと思ってたからあんたを預かることにしたの。犬に服は必要ないでしょ。悪いけど丸裸のままでいてよ。その方がリアルだから」
「いやです。だいたい人が来たら絶対に見つかってしまいます」
いつの間にか風紀委員に対しても当たり前のように敬語を使っている自分に気付く。服を着た人たちに交じってずっと素っ裸でいると気持ちが卑屈になってくる。
「見つからないようにするのよ。川の中に隠れればいいでしょ」
絶句する僕に風紀委員が差し出したのは、ピンク色のシュノーケルだった。
「これ、私のだけど、特別に貸してあげるからさ」
いきなり腕を取られた。風紀委員が有無を言わせずに僕を川へ連れてゆく。幅3mほどの小川は、土のすぐ下を流れていた。昨日の大雨で水量が増えたようだった。
「じゃ、ちょっと隠れる練習してみて」
風紀委員に腰を蹴られた僕は、川へ落ちた。思わぬ仕打ちに小さな叫び声を上げる。水温はそれ程冷たくなかったが、川の流れは見た目以上に速かった。足が届かない。流された僕を繋ぎ止めたのはおちんちんの袋に食い込んだロープだった。おちんちんの袋に痛みが走る。川岸に寄せられた僕は必死になって土や草を掴み、食い込むロープからおちんちんの袋を庇った。
「これを咥えて、潜るんだよ」
僕の口にシュノーケルを突っ込むと、風紀委員が足で僕の頭を水中に沈める。慌てて掴まったのは、水中の岸側に突き出た岩だった。頭のてっぺんまで水中に沈むと、ようやく足先が川底に着いた。水草のぬるりとした感触があった。水中ではずっと目を瞑って、聞こえてくる音だけに神経を集中した。水の上から風紀委員の声が聞こえた。
と、ロープを引っ張り上げられた。水中から顔を出し痛みを告げる。しかし、風紀委員はロープを引く手を休めなかった。こうなればロープよりも速く自力で陸に這い上がるしかない。
「今みたいに水中に隠れたら見つからないでしょ。服を着ていたら一々脱がないといけないけど、あんたは素っ裸だから、その点、楽だね。じゃ、くれぐれも人に見つからないようにね。特にうちのお姉ちゃんたちに見つかったら、あんた自身が酷い目に遭うだろうから」
濡れた体で土の上に横たわる僕に向かって、風紀委員がそう言うと、登校時間が迫っているらしく、小走りに母屋へ戻った。
それにしても敷地の中を川が流れているだけあって、その広さは半端ではなかった。向こうに通りがあり、通学の人たちが見える。その姿に目を向けながら食パンを口に含み、コップの水で胃へ流し込む。今日も一日、服を着せてもらえず、こんな場所に一人で放置されるのかと思うと、普通に服を着て学校へ行く生活が羨ましくて仕方がなかった。
通りを行く人がこちらをしげしげと眺めれば、草の茂みの向こうの土が剥き出しになったところに素っ裸の僕がロープで繋がれているのを見つけるだろう。通りの人に見つけられ、その人が僕を不憫に思って警察に通報したら、風紀委員だけでなく、おば様にも多大な迷惑がかかり、結果的に僕の母が仕事を解雇され、僕が母との生活に戻るチャンスは激減する。だから、風紀委員に言われなくても、屈辱的な仕打ちに耐える僕の姿は、人に見られないようにしないといけないのだった。
強い日差しを避けて桜の幹に寄りかかってうつらうつらしていると、人の気配がした。灰色のシャツを着た男の人たちがこちらに向かってくる。造園事業の人たちが下見に来ると風紀委員が言っていたのを思い出した。僕は急いでそばに落ちていたシュノーケルを拾って、川にそっと入った。男の人たちは4人いた。見取り図のような紙を広げて、何か話しながら土が剥き出しのところまで来た。心臓の鼓動が高鳴る中、思い切って頭を沈める。
見つからないように祈りながら目を瞑り、岸から突き出ている水中の岩にしがみ付く。男の人たちの話し声が聞こえた。それがどれくらいの時間だったかは分からない。ものすごく長時間だったような気がする。川のことを話している声が聞こえた時は、もう見つかったかと観念した。声の近さから川岸に立っているのは間違いないと思ったのだった。その人が水面に出ているピンクのシュノーケルに目を留めたら、すぐに水面でゆらゆら揺れている僕の黒い髪にも気付くことだろう。
夏の温い水とはいえ、ずっと水中に潜んでいると体が冷える。男の人たちはなかなか去ってくれなかった。ようやく立ち去る気配を話し声から察し、そっと水面に顔を出した。別の場所へ移動する男の人たちの後ろ姿が見えた。
ほっとして気が緩んだ瞬間、岸から手が離れてしまい、たちまち流されて、ロープがピンと張り、おちんちんの袋にロープの圧力が加わった。呻き声を洩らしながらなんとか岸辺に這い上がった僕は、この忌々しいロープを解こうと試みた。
小さな雲をたくさん浮かべた青空が地上の音を吸い取っているかのように、辺りは物音ひとつしない静けさだった。風が少しも吹かない。僕は排水溝の蓋の上からロープを引っ張ったが、びくともしなかった。
ロープを解いても服がないから逃げ出すことはできない。裸のまま逃げても、閉塞したこの町の中ではどうせすぐに掴まり、おば様の怒りを買うのが関の山だろう。でも、僕としては、おちんちんからロープを取りたくて仕方なかった。日中だけでもロープの拘束から逃れて、自由に動きたかった。夕方になって風紀委員が戻る頃、ロープで元の通りに結んでおけば、ばれることはない。だが、そんな僕の気持ちをあざ笑うかのように、ロープの硬い結び目が数珠のように並び、その一つすら解くことができないのだった。もちろん、狭い輪っかの中からおちんちんの袋を抜き取ることもできない。
と、草を踏む音がした。人が歩いている。僕は急いで桜の幹に身を寄せて、そっと覗いた。二人連れの女の人だった。風紀委員のお姉さんだと直感した僕は、すぐさまシュノーケルを手に取り、まだ乾いていない濡れた体を再び川へ沈めた。
土を踏む足音が聞こえる。お姉さんたちは川に向かって伸びをしたり深呼吸したりしているようだった。会話はそれほどないが、体を動かしている気配がした。朝の体操をしているらしい。僕は水中に突き出た岩に片手で掴まり、もう片方の手で冷えた胸やお腹をさすった。足を擦り合わせて寒さを凌ぐ。お姉さんたちは念入りにストレッチをしているらしく、なかなか立ち去る気配がなかった。
川の中へ頭まですっぽり沈めて長い時間を過ごすのは辛いものだった。ストレッチが終わったと思ったら、お姉さんたちはのんびりと会話を始めた。僕の岩に掴まっている手に力が入らなくなっていた。両手で掴んでも危なくなってきた。まずいと思った時、お姉さんの声が真上が聞こえた。
「ねえ、このシュノーケル、みっちゃんのじゃないかな」
心臓の音が水中で大きく響いた。ついに僕はシュノーケルを取り上げられ、水面に顔を出すことになってしまった。
お姉さんたちは大変驚いたようだったが、出てきたのが妹の同級生の男の子と分かって、冷静さを取り戻したようだった。
「こんなところで何してんのよ」
ショートカットの髪のお姉さんが僕の顔をしげしげと見つめながら問いかけた。なんと答えてよいか分からず、しどろもどろになっている僕に、年嵩と思われるまつ毛の長いお姉さんが、
「みっちゃんにいじめられたの?」
と、にっこり微笑みながら訊ねる。
はいともいいえともつかず、曖昧に返事をする僕にショートカットのお姉さんが苛立ちを覚えたようだった。
「とにかく、川から上がりなさい」
「いや、上がれないんです」
「なんでよ」
「裸なんです」
消え入りそうな声で答えると、二人のお姉さんは顔を見合わせた。
「裸って、すっぽんぽん?」
僕は下唇を噛んで、黙って頷く。
排水溝の蓋から川に向かって伸びているロープにショートカットのお姉さんが気付いた。
「このロープ、何かしら」
「あ、やめて。引っ張らないでください」
二人のお姉さんは僕の声を無視して、ロープを引き始めた。おちんちんの袋が上に向かってぐいぐいと引っ張られる。とうとう僕は陸に上げさせられ、おちんちんを縛られた恥かしい裸の身をお姉さんたちに晒してしまった。
「いやだ。あなた、何やってんのよ」
全身から水をぽたぽた滴らせて土の上に横たわる僕は、両手でおちんちんを隠しながら、お姉さんたちの顔を見ることができずに俯いていた。お姉さんたちは口々に僕をなじった。女の子の家に素っ裸で隠れているのが非常識だと言って責めるのだった。
ショートカットのお姉さんに木の枝で背中やお尻を叩かれた僕は、泣きべそをかきながら事実を述べた。風紀委員が犬を飼う願望を叶えるために、僕が犬としてここに拘束されているのだと言うと、お姉さんたちは手を叩いて笑った。
「あの子も相当悪い子だね。男の子を素っ裸にして犬にするなんて」
「あなたもあなたよ。女の子に裸に剥かれて、おちんちんまでロープで縛られて、恥かしくないの?」
長いまつげの年嵩のお姉さんがそう言って、おちんちんを指で弾いた。
「それにしてもナオス君、ちっちゃいんだね。ほんとに中学一年生なの?」
ずっと川の中にいて冷えて小さく縮んだおちんちんが引っ張られた。ショートカットのお姉さんが僕の体のあちこちを小突く。おちんちんの袋がロープでしっかりと縛られているのを確認して、感心したように大きく息をついた。
ぎゅっとおちんちんの袋を握り締められ、反射的に痛みを訴えるものの、お姉さんたちはちらりと僕の顔を見るだけだった。指の間におちんちんを挟んでぶるぶると揺らし、面白がっている。
「ねえ、アキちゃん。見て、硬くなってきたよ」
アキちゃんと呼ばれた長いまつげのお姉さんが仰向けに寝かされた僕の股間から顔を出して、微笑んだ。
「そんなの大きくしても仕方ないじゃないの。キクちゃんたら」
ショートカットの髪のキク姉さんは、僕の上に反対向きに跨って、短パンからすらりと伸びた白い足で僕の両腕を押さえつけている。おちんちんにうんと顔を近づけているのは、息がかかるので分かった。しげしげと見つめているらしい。指で摘まんでひっくり返す。皮を捲られ、キク姉さんの吐く息が露出させられた亀頭を嬲る。本来であればそれだけでは僕の性感を高めることはないと断言できる。にもかかわらず、不覚にもおちんちんが反応してしまったのは、相応の理由があったからだった。
白い半袖のシャツを着たキク姉さんが僕に跨って腰を上げている。シャツが僕の裸の胸に垂れてキク姉さんのお臍が見えた。それだけでも体が熱くするのに十分なのに、その先には、小高く盛りあがった肉の塊があった。乳房だった。白いシャツの布地を通した光に肌理細かい肌が浮かび、乳房が内側から光を発しているような明るさだった。
キク姉さんが少しでも動くと、硬そうな乳首がシャツの布地をこする。シャツの中のむせ返る匂いの中、下側から見る乳房は、自らの張りでその豊かな肉を支えていた。それは、しなやかに揺れて、手のひらに載せたくなるような質感を醸した。おちんちんやおちんちんの袋をこねくり回されたり、裏返されたりして観察されている恥ずかしさと不快感は物の数ではなかった。僕は、シャツの裾を顎で挟み、白い光の中でゆさゆさと揺れる乳房に我を忘れた。
女の人の胸を、いつもは服の上からしか見ることのない僕は、服の中を覗き見た興奮で下半身が熱くなるのを抑えることができない。女の人の裸は、これまでにもおば様のを見ているから初めてではないけど、性的な対象としてじっくりと見つめたことはなかった。一糸まとわぬ格好で組み敷かれている僕は、肉体の反応をしっかりと表していた。姉さんたちが黄色い声を上げて喜ぶ。
息を吹きかけたり、指で触ったりしたのが原因でおちんちんが大きくなったものと思っていたらしいキク姉さんは、アキ姉さんにシャツの中が僕から丸見えになっていることを指摘されると、びっくりしたように飛びのいた。両手でシャツの上から胸を押さえて、僕を睨みつける。その表情は怒りと恥ずかしさの混ざり合わさったような朱色に染まり、小さな唇が震えていた。
「信じられない。子どものくせに人の胸見ておちんちんを立てるなんて」
明らかにプライドを傷つけられたようだった。キク姉さんはロープを引っ張り、両手でおちんちんを隠している僕を川岸まで連れて行くと、「ませた色ガキは反省しろ」と一声怒鳴って、川へ蹴り落とした。
川岸に手を伸ばした僕の髪の毛を攫むと、ぐいと川の中に押し込む。謝罪しても口先だけだと叱られ、また沈められる。ゲボゲボと水を吐きながら「申し訳ありませんでした」とほとんど絶叫に近い声を出す僕の目から涙がこぼれる。岸に上げられた僕は、髪の毛からぽたぽたと滴を垂らしつつ、土下座を繰り返した。地面に水溜りができるほど頭をこすり付ける。おちんちんが恐怖と水の冷たさでたちまち小さく縮んでいるのをキク姉さんが満足そうに見つめた。
水責めを受けている間にアキ姉さんが南京錠の鍵を持ってきたらしい。排水溝の蓋を開けて金具に縛られているロープをほどいた。素っ裸で外に放置されている僕を憐れんでくれたのかと期待した一瞬はすぐに去った。ロープの端をアキ姉さんから受け取ったキク姉さんは、それを投げて頭上の桜の枝に通した。枝の分岐した部分にロープが引っ掛かる。キク姉さんがロープをぐいぐいと引いてゆく。
しゃがんでいた僕は、おちんちんの根元に縛りつけられたロープの力で立ち上がらされ、枝の下まで来た。これ以上ローブを引かれると、爪先立ちにならざるを得ない。僕がかろうじて踵を付けて立っていられる長さに調節すると、余ったロープを桜の幹に縛りつけた。膝を曲げると、たちまちロープがぴんと張って、腰を下ろすことはおろか、半径30センチ程の範囲しか移動できない。
一体姉さんたちは何をしようとしているのか、両手でおちんちんを隠したまま、びくびくしていると、アキ姉さんが「手で隠さないのよ」と注意し、僕の足の指をサンダルで踏み付けた。そして、ロープの切れ端で僕の背中へ回した二つの手首を一つに縛り上げた。
「これで、おちんちん、丸出しだね。私の胸を覗き見した罰」
腕を組んで、勝ち誇ったようにキク姉さんが言った。
「しかし、キクちゃん、あんたもしつこいね」
横からアキ姉さんが口を出した。
「この子はさ、私たちに真っ裸を晒して、おちんちんからお尻の穴まで見られているんでしょ。ちょっと胸見られたぐらい、別にいいじゃないの?」
「いやだよ。女と男では恥ずかしさの度合が違うもの」
「そりゃ、そうだけどさ」
フンフンと頷きながらアキ姉さんがキク姉さんの背後に回った。と、いきなりキク姉さんのシャツをたくし上げ、一気に首からシャツを抜き取ってしまった。キク姉さんが悲鳴を上げる。続いてキク姉さんの短パンを引き下ろす。白い花柄のレースのパンツが表れた。キク姉さんはパンツ一枚にされた裸身を恥ずかしそうにくねらせて、アキ姉さんに抗議する。しかし、アキ姉さんはキク姉さんの衣類を後ろ手に隠して、首を横に振るばかりだった。
「せっかくだから見せてあげなさいよ。喜んでるじゃないの」
アキ姉さんが指さす方へキク姉さんが視線を向ける。恥ずかしいことに、僕の隠す術がないおちんちんはしっかり勃起していた。皮の先に露出した亀頭が夏の分厚い日差しを受けて、鈍く光っている。見てしまったためにおちんちんは自制できなくなるのだった。
自分の裸身がもたらした効果にキク姉さんも驚いているようだった。隠していた胸から手をどかして、僕の前で膝を曲げて、腰をちょっと揺すった。
恐ろしいことを思いついたのはアキ姉さんだった。勃起したおちんちんを三本の指で軽く握ると、僕にオナニーをするように命じた。
「両手を縛られているあんたのために手を添えてやるから、しっかり腰を振って。大事な妹の裸を見せてあげてるんだよ。感謝しながら、今すぐここでオナニーしなさいよ」
おちんちんに添えた指は絶対に動かさないとアキ姉さんが断言した。精液を出すまで許してもらえないようだった。目の前ではキク姉さんが微笑みながら、軽く曲げた膝に手を当て、腰を揺すっている。
憑かれたように僕は腰を前後に振り始めた。
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ち○こ見せてあげたついでにボクのち○毛あげたら2万余分に貰えました。。
前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱がすなり脇でち○ぽシゴいてきてん!!
えぇええ?思ったけど、めっちゃ気持ちよかってんよコレがな。。
ちなみに、一緒にタートルヘッド舐めてもらったらもっとヤバイでーw
俺のチン型使ってニューバ イ ブ作るって!!!
カズミちゃんは俺以上にオ ナヌー好きだから
次の鑑賞が待ち遠しい・・・(´・ω・o)