自身で種を起こして、初めて天然酵母と言えます。これをルバンと言いますが、ルバンこそが天然酵母で、市販の天然酵母を使い、図々しくも「天然酵母パン」の店などと看板を出す、これは文字通り「看板に偽りあり」です。
本来天然酵母(ルバン)はパンの老化を防止し、シットリ、風味良く、味わい深いパンを創ります。これは酵母だけでなく、乳酸菌、酢酸菌他有用微生物が繁殖し、これらがパンの風味を創り、老化を防止し、味わい深いパンを作るわけです。
しかし、市販の天然酵母と名乗る製剤は発酵力こそ強いが、酵母以外の微生物、特にその生菌数が少なく、香りと味の元になる因子が存在しません。
ある市販の天然酵母「A」を使用して焼いたパン、焼き上げて2時間で固くなる。バターロールのクラストが3日前の物かと思うくらい堅い。これでは多くのお客様は離れるでしょう。パン屋の工程を改善し、労働時間の短縮には効果がありますが、現在の需要の大半を占めるソフトなパンを好むお客様にはソッポを向かれてしまいます。菓子パン然りで、堅いクラストではアンパン本来の食感は得られません。アンパンの元祖は饅頭です。その饅頭に対抗できるソフトさを出すために加糖中種法まで考案し、ソフトなアンパンを追及して来た先輩方のご苦労を踏みにじる行為に他ありません。「H」天然酵母を祖とする「A」ですが、どちらもパン業界を弱体化させる元凶ではないでしょうか。
そもそも天然酵母のパンを好む方は多くありません。普通にイーストで発酵させたパンを好む方が如何に多いことか、認識すべきです。美味くない天然酵母パンを売り続ければ、さらに天然酵母嫌いのお客様が増えます。「A]または「H」天然酵母を使用しているベーカリーの経営状態は如何ですか。繁盛していますか。ルバン技術を持たない素人を騙していい加減な天然酵母の売上を伸ばしても、これがパン業界の発展には寄与しないことを認識すべきです。
本当の天然酵母パン(ルバン使用)と市販の天然酵母で焼いたパンの違いがどんなに大きいか、どんなに品質が異なるか、知らしめなければならないと考えています。
今は、ソフトなパンの需要が主流です。しかし、大手ホールセールのパンはソフトであるが全てが美味しいわけではない。
美味しくてソフトなパン、これを実現できるのは「ルバン」=自家製天然酵母だけです。