日本では、台風18号が沖縄を直撃し、九州に上陸しようとしている。一方、アメリカでは、ハリケーンが大きな被害を発生させている。もう一つ、よく似た言葉にサイクロンという言葉がある。私は、その区別がよく分からなかった。 気象庁によれば、台風は、次のように定義されている。
その意味では、NHKの週刊子どもニュースの「台風のわからん」で次のように述べていることの意味がよく分かる。
……熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼び,このうち北西太平洋で発達して中心付近の最大風速がおよそ17m/s(風力8)以上になったものを「台風」と呼びます。「このうち北西太平洋で発達し」といういうところが、ポイントのようだ。台風は英語では、「typhoon」と書く。台風とハリケーンは、どこが違うかについては、「山下勇の気象一口メモ」の記事がわかりやすく説明していたが、サイクロンやカリブ海で発生しているハリケーンの説明にはなっていない。
台風は上空の風に流されて動き,また地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため,通常東風が吹いている低緯度では台風は西へ流されながら次第に北上し,上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると台風は速い速度で北東へ進みます。
……ハリケーンと台風は、性質は全く同じである。北太平洋熱帯海域で発生した低気圧が強まったもの、それが台風でありハリケーンである。名前はどこで変わるかと言えば、日付変更線のある東経180度からアメリカ側はハリケーン、日本側が台風である。もし、台風が東経180度線を越えるとハリケーンになり、戻ってくると元の台風になる。いろいろ調べていたら、PEOPLE@鹿屋体育大学のWebサイトの中に「ハリケーン、サイクロン、台風の違いって何?」というコラムがあり、これは、言葉の説明としては、とてもわかりやすい。
……ハリケーン、サイクロン、台風はすべて熱帯性低気圧で、それらの性質はあまり変わらず、単に発生する場所により名前が変わるだけなのです。台風、ハリケーン、サイクロンの発生場所による違いの図などは、「台風のお話」というコラムがあり、そこが詳しい。これらを読んでいると、サイクロンだけなんだか特殊な用語のような気がしてこないだろうか。これについては、おそらく、次のような意見が正しいのだろう。しかし、この意見は誰の意見かはよくわかないが。
ハリケーンは英語ではhurricaneと表記され、西インド諸島付近で発生する熱帯性低気圧のことを言い、語源はスペイン語のhuracan(暴風の神)という語から由来していると考えられています。この熱帯性低気圧は主に北アメリカ(主にアメリカ合衆国)を襲い、多くの被害をもたらします。ちなみに、第二次世界大戦ではこのhurricaneという名の戦闘機が存在していたようです。
次に、サイクロンは英語ではcycloneと表記され、インド洋で発生した熱帯性低気圧のことを言います。cycloneを使った英単語にcyclone separatorとかcyclone cellarというものがあります。cyclone separator は遠心分離装置のことで、cyclone cellarはアメリカの住宅に設けられた暴風退避壕のことで、どちらも hurricane separatorとかhurricane cellarとは呼ばれてはいないそうです。アメリカ本土はcyclone よりもhurricaneのほうが影響されやすいはずなのに、なぜcycloneなのか?まことに不思議な話です。
最後に、台風は英語ではtyphoonと表記され、太平洋西部で発生する熱帯性低気圧のことを言います。typhoonの語源は中国語のtai fung(大風)やギリシア語のtuphoon(風の渦巻)から由来していると考えられています。
……サイクロンは確かにインド洋で発生する熱帯低気圧をさしますが、それを言うなら、どこで発生しようが、熱帯低気圧はすべてサイクロンなのです。(※辞書でCyclonを確かめてみてください。)
タイフーン、ハリケーン、どちらもその地域の言語に由来していますが、サイクロンは英語です。本来はギリシャ語で「車輪、蛇のとぐろ」を意味するとか。たまたまカリブ海では熱帯低気圧のことをハリケーンといい、北西太平洋ではタイフーンという別の名があったからで、インド洋だけ自前の呼称がなかった。そこで世界共通語としてのサイクロンがそのままインド洋で用いられている――というのが実情です。その証拠に、タイフーン、ハリケーンを含む熱帯低気圧の研究論文は、共通の概念としてCyclonを用いています。
その意味では、NHKの週刊子どもニュースの「台風のわからん」で次のように述べていることの意味がよく分かる。
……では、まず台風とは、何でしょうか。熱帯地方で発生する低気圧のうち、東経180度より西の北太平洋と南シナ海で、最大風速が毎秒17.2メートル以上になったものをいうのです。台風と同じように強い風が吹く熱帯低気圧は世界のほかの場所でもありますが、インドの南側で発生するものはサイクロン、アメリカの南部やオーストラリアの東側で発生するものはハリケーンと呼びます。このほか、フィリピンの人は「バギオ」、オーストラリアの人は「ウイリー・ウイリー」と呼んでいます。要するに、「バギオ」「ウイリー・ウイリー」は、一般化しなかったのだ。それはとにかくとして、「デジタル台風: 台風画像と台風情報」は、リアルタイムで静止気象衛星画像を掲載している。また、もう少し現実の色に近い画像が壁紙としてダウンロードできるし、台風の詳しい視覚的イメージがデータとして蓄積されていたり、雲の動きなどが動画として見られるようになっていたりと、とても参考になる。それは、とても美しい画像だ。その渦巻く雲の下で、暴風が吹き荒れ、人々が右往左往しているなどとはとても思えない、神秘的な画像だ。
ちなみに、「熱帯低気圧」と「台風」は性質は同じで風速等の強い弱いで分けられているようです。
ついでに、米国ですと、「熱帯低気圧」になっても名前は残ります。今騒がれている、フランシスも「Hurricane Frances」から「Tropical Storm Frances」に変わって、名前を失わず呼ばれ続けています。(^^;)
ですから、こやつがまた海上に出ることがあって、上昇気流などをうけてエネルギーを蓄積すると、また「Hurricane」に昇格(?)することもあるようです。
私も気になってたことなので、ちょとしらべてみました。
私の書き込みの前に「育毛1号」さんがいて、思わず笑っちゃいました。
クロサワ監督の話題、台風の話題・・・日にち違いで書いたんですね。面白いです。
ちょっと親近感沸いています。
今日は「色」の話を書きました。
もしかして書こうとか思ってました?
これからもよろしくお願いします。
コメントに感謝!!
台風と熱帯低気圧の違いは最大風速の違いにより区別されますが、温帯低気圧とは性質の違いのみで、最大風速はどちらが強いというきまりはありません。性質がかわっただけです。先日の18号などは、温帯低気圧になっても中心付近の最大風速が30mと、立派な台風よりも強かったです。台風や熱帯低気圧のエネルギー源は水温の高い海の上で水蒸気が蒸発して、それが上昇気流を作り発達した雲が出来るときに凝結熱が出て、それが中心付近に暖かい芯を作ります。これがエネルギー源です。一方、温帯低気圧のエネルギー源はというと、暖かい空気と冷たい空気がまじりあうところで暖かい空気は上に上がろうとし、冷たい空気は下にもぐりこもうとすることで生じます。だから大抵の場合前線を伴います。性質が変わるというのは、ようするに真ん中の暖かい芯がなくなってきて、北の冷たい空気と南の暖かい空気がまじりあうような渦になると。ちょっと説明がくどいわりにはわかりづらくてすみません。
by気象予報士No.3021