長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ライ・レーン』

2024-01-29 | 映画レビュー(ら)

 フレッシュでキュートな映画を求めているならイギリスからやってきた82分の小品『ライ・レーン』がうってつけだ。互いに失恋を経験したばかりの若者ヤズとドレがひょんなことからめぐり逢い、やがて恋におちていく。レイン・アレン・ミラー監督はお決まりのプロットに細部までコーディネートされた極彩色のプロダクションデザインを配し、出会いと恋の高揚を描き出す。古くは『アメリ』や劇中でも言及されるウェス・アンダーソン映画を想わせる箱庭感だが、ロンドンでもジャマイカ系が多く暮らすコミュニティのロケーションが主人公のみならず、本作の重要なアイデンティティである(劇中、同地域を描いた『スモール・アックス』の監督スティーヴ・マックイーンの名前も挙がる)。何より本作のオリジナリティを高めているのが、まるでヨルゴス・ランティモス映画のような奇妙なアングルのカメラだ(撮影監督はオラン・コラーディ)。

 英国インデペンデント映画賞では16部門にノミネート。英国アカデミー賞でも2部門で候補に挙がった。覚えておくべき新星の登場である。


『ライ・レーン』23・米
監督 レイン・アレン・ミラー
出演 ビビアン・オパラ、デビッド・ジョンソン

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