今年、主演ドラマ『サクセッション』がフィナーレを迎え、目下エミー賞の最有力候補と言われているサラ・スヌークが地元オーストラリアで出演したホラー映画。さながら継承争いに破れたシヴ・ロイが人里離れた豪州でシングルマザーとなり、再び両親と姉妹の呪縛に見舞われるかのようなプロットで、この時期のスヌークにはある種のオブセッションとなるテーマだったのではと伺える。『サクセッション』組はキャスト全員があまりにもハマリ役なため他の作品に出演している姿がイマイチ想像できないが、さすがスヌークはアクセントからガラリと変えて“母子家庭ホラー”の系譜に名を連ねる神経症演技を見せている。監督のダイナ・リードは荒涼とした豪州の大地に罪悪感を抱えたヒロインの心象を重ね、その混乱を触感的に再現しようとしていく。その果てに浮かび上がる恐ろしくも哀しい真相は「愛しているけど許せない」と言い放った『サクセッション』同様、観客の中に兄弟姉妹だけが持つ生々しい感情を呼び起こすのである。
『ラン・ラビット・ラン』23・豪
監督 ダイナ・リード
出演 サラ・スヌーク、リリー・ラトーレ、デイモン・ヘリマン、グレタ・スカッキ
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