南インド奥地にある野生動物保護区で、初めて野生の子象の飼育に成功した象使い“Elephant Whispers”を追ったアカデミー短編ドキュメンタリー賞受賞作。保護区といっても最新設備があるわけではなく、飼育員も特別な教育を受けた専門家ではない。この土地で先祖代々象を扱ってきた老人と言っていい年齢の男女であり、彼らがまるで我が子のように子象に語りかけ、古来の伝統に従って神の使いとして敬う様はほとんど“神事”と言っていい厳かさがある。過酷な仕事であり、行政の一存に左右される様子を見ているとこれも格差と労働の搾取に思えなくもないが、老境にある象使い2人が飼育を通じて再婚する様や、仕事への取り組み方には俗人では容易に計り知れない豊かな価値観を見るのである。
『エレファント・ウィスパラー 聖なる象との絆』22・印
監督 カルティキ・ゴンサルベス
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