「向田邦子全集 新版6 エッセイ二 眠る盃」 2009文芸春秋
生誕八十年記念出版
う~ん、中途半端な部分を読んでしまったのでよくわからないが、高度成長期に早くからバブルに乗っかって人生を謳歌した自立系女性の先駆けというような存在でしょうか。
さすがに文章は楽しく読みやすいです。
「差別的表現ととられかねない箇所」は見なかったよ。
なんでしょうかね、「現在の社会的規範」って。
『恩人』
ああ、わかりますよ。
痴漢の方は自分が悪い事をしていると悩んでいたんじゃないのかな。で、普段から「捕まえてくれ」って思いながら、捕まらないから犯罪を繰り返してしまっていた。それを向田さんに捕まって警察に行き、『罪の償い』を出来たとして社会復帰できた(様な気持ち)と喜んでいたのではないだろうか。だから、向田さんと顔を合わせたときに、犯罪者ではなく平等な立場の人間として笑顔をつくれたのだろう。もちろん、その人間はかなり図太いおかしな神経をしていたとは思うけど。
助けてやったのに感謝する様子のない小学生の方はですね、それは歩きながら本を読んでいた自分に非があるとわかっているわけです。歩きながらでも本を読みたいくらいの出来る子ですから、それくらいは当然わかります。ですから、それが原因で自分が怪我をする分には仕方ないと諦めますが、他人(向田さん)を怪我させてしまったことへの罪悪感を拭えなくて、だけど、それは余計なお世話だと感じてどう処理していいのかわからなかったのだろうと思います。
向田さんは如何理解したんでしょうね。そして、それを如何作品に反映して行ったのでしょうか。しなかったのでしょうか。