ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

時代劇にハマる

2025-01-16 15:09:44 | 映画

「侍タイムスリッパー」以来、ちょっとした時代劇のマイブームが到来しておりまして、

時代劇観まくり月間となっています。

まずは黒澤明監督の「七人の侍」「用心棒」「椿三十郎」と観てきまして(いずれも若い頃に観ているのですがけっこう忘れてた)その後、

「壬生義士伝」「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」と続けて観ました。

いずれも邦画の名作であります。

私自身はもっぱら洋画(主に英語圏の)が好きなのですが、邦画もなかなかのものじゃのう、などと思っております。

時代劇では、当然ですが「侍」が登場します。

「侍」って何じゃろか?

袴をはき、チョンマゲ結って、腰に刀を差した独特の姿形をした男性のことですね。

江戸時代の身分制度で上位に位置する特権階級です。武士とも言います。

しかし、当時は士農工商の身分制度よりもはるかに下の階級がありまして、それが、

女性です。

男女間の身分格差は激しく、女は生まれながらに男より下の身分、男性に従属する者として扱われていました。

今もその名残が色濃く残っているのは残念なことですが、時代劇に登場する人々は、この厳しい男女間格差を当然のこととして受け入れて生きていました。

それが悲劇を生み、物語の陰影を濃くしているともいえます。

まあ、言ってみれば浪花節みたいなものですが、この浪花節、日本人にはなじみが深く共感しやすい心理構造で、私の中にも色濃く染みついております。

藤沢周平の文学などを読むと心揺さぶられるわけですね。

藤沢周平の原作による時代劇は数多く、今回観た中では

「たそがれ清兵衛」「隠し剣鬼の爪」がそうです。

この二作品、とてもいいです。心に響きます。

でも、この時代、女はここまで貶められていたのかと思うとやるせなくなりますし、今だにそれを引きずっている社会のありようにもやるせなくなりますね。

1月から始まったNHKの大河ドラマ「べらぼう」なんて、あろうことか吉原をテーマにした作品だというし。

吉原といったら江戸時代の風俗。この時代、お上公認の風俗店を集めた街があったわけです。

戦争中に、韓国の女性が日本兵により慰安婦として扱われたことが問題になっていますが、それを政府公認のもとで開業していたのが江戸時代の吉原という街なのです。

吉原には吉原の文化がある、などといいますが、その文化は大勢の気の毒な女性たちの犠牲のもとに育まれたものだということを忘れてはならないと思います。

さて、吉原はともかく、時代劇に登場する侍たちは皆、当時の社会の慣習に従って生きてきたわけで、

女性を蔑視するという発想すらなく、そういうものだと思い込んでいたわけです。

侍には侍の悲劇があり、農民には農民の、女性には女性の悲劇がある、というわけ。

まあ、理屈はともかく、こうした女性を男性より一段下に見る風潮というか、しきたりというか、慣習というか、文化というか・・は今も根強く残っているわけで、

それが物語に陰影を与えると同時に、私たちを少し前の時代に引き戻し、純粋に涙した後で、ハッと我にかえり、ああ、あの時代じゃなくてよかったと思ったり、逆に、あの時代に生きていたとしたら、私はどうしていただろうかと思ったりするわけです。

男性はこういうこと、思わないだろうなあ・・

同情はするかもしれないけれど、我が身のこととして痛切に感じることはないでしょう。

逆もまたしかり、なのですが。切腹とか、想像を絶する。

そこに、なんだか深くて暗い川があるような気がしないでも・・・

また、侍は常に腰に刀を差していますが、現代で言えば銃刀法違反、侍が二人以上集まれば凶器準備集合罪に当たるわけです。

しかし、江戸時代に実際に人を切ったことのある侍がどれくらいいたか、おそらく大半は一度も人を切ることなく、無事人生を終えたのではないでしょうか。

だとすると、

常に凶器を持ち歩く「侍」と言う存在は、実に大した人たちである、ともいえるかもしれませんね。

とまあ、時代劇を見ながらいろんなことを想像したり考えたりしています。

まだ観てない時代劇たくさんあるので、もうしばらく時代劇を観ようかと思っています。

 

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「侍タイムスリッパー」が日刊スポーツ映画大賞で3冠に輝いた。

2025-01-09 19:45:57 | 映画

またまた「侍タイムスリッパー」ですが、

今日3回目を観てきました。

何度観ても同じところで笑い、同じところで泣きます。

そして、最後は涙のうちに終わります。

3回目ともなるとさすがに飽きるんじゃないかと思ったけど、全然飽きなくて、もう一回観たいと思ってしまった。

特に最後の殺陣のシーンは圧巻で何回観ても感動的です。

会津藩の行く末を知ってしまった高坂新左衛門の胸中が、痛いほど伝わってきて、

それはもう号泣ものでしたね。

ところで、帰宅後YouYubeを見ていたら、「侍タイムスリッパー」が日刊スポーツ映画大賞で3冠授賞という快挙を成し遂げた、とありました。

日刊スポーツ映画大賞があったなんて知らなかった。去年の暮に授賞式があったようです。

これは本格的な映画賞で、ノミネートされた作品も一流の映画ばかり。

その中で「侍タイムスリッパー」は「八犬伝」や「PERFECT DAYS」など話題の新作映画を押しのけて、堂々の3冠に輝いたというのです!

主演男優賞:山口馬木也(高坂新左衛門役)

監督賞と作品賞:安田淳一

すごい快挙です!!

いやあ、本当にすごい作品です。

立川シネマシティではまだ上映されていますが、明日から夜間の上映になるようで、他でもそろそろ上映が終わるかと思われますので、まだの方はぜひ劇場に足を運んでください。

劇場で観ると、あちこちから笑い声が上がり、終わったあと自然と拍手が起きるなど、これまで映画館では味わったことのない光景が見られてとても楽しいです。

なんかね、寄席に行ったみたいな。

エンターテイメントって本来こういうものよね、という気がします。

関西の笑いのツボも私にはピッタリだしなあ。

もう一回観てもいいくらい。大好きな映画になりました。

日本アカデミー賞も取るといいなあ。

 

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あけましておめでとうございます!!

2025-01-02 21:35:29 | 日記

あけましておめでとうございます!!

本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

2025年が始まりました。

年々時間のたつスピードが速くなってきて、このままだと来年は来週あたりにやってくるんじゃないか、

なんて思ったりもする今日この頃ですが、

皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

なにはともあれ、無事新しい年を迎えることができたのは何よりの幸せであります。

毎朝、目が覚めると布団の中で「ああ、今日も生きてる・・」と思うのですが、

その直前にどこか別の場所にいたような気がして、でも詳しいことは何も覚えてなくて、ただ何となく別の場所にいて、知らない人と話していたなあ・・

というおぼろげな記憶は残るものの、目覚めて一分もたたないうちに淡雪のごとく消えていくのは、あれはなんなんだろうか。

さて、

今年、私が決めたのは、人生の棚卸と新たな旅の計画です。

旅といっても、もしかすると机上の旅になるかもしれないのですが、今のところ実際にどこかに行こうとは思っています。

自分の足で歩けるうちに、目が見え、耳が聞こえるうちに、

世界を見ておきたいと思ってね。

それから、

断捨離(という言葉で表されている片付け一般)に再挑戦しようと思っています・・(何度目じゃろか)

今回、新年のごあいさつをするに当たって、とびきりきれいな写真をアップしようと思ったのですが、

なぜか「ピクチャ」から写真がアップできなくなっちゃって、すごく困ってます。

なぜなのか、さっぱりわからない・・

このまま写真がアップできないなら、今年は写真なしのブログになるかも。

あるいは、いっそのこと店じまいしようかとも考えたのですが、でも長年書き続けてきたので、店じまいするのは惜しいのよねえ。

もう少しあちこちいじってみますが、それでもダメならやっぱり写真なしのブログになるかも・・

今時、動画はおろか写真もないブログを誰が読むだろうか、とも思いますが、

もしかすると奇特な方がいらっしゃるかもしれませぬゆえ、やっぱりもうしばらくは続けようかと・・

あれこれ逡巡する年の初めでございます。

ともあれ、今年もどうぞよろしくお願い致します。

皆様のご多幸をお祈りしています。

いい年になるといいですねえ。

いや、いい年にしましょうね!!

 

PS
noteも書いてるので、よかったらこっちも覗いてみてくださいませ。書くことはダンスに似ている|ゆうきえみ

書くことはダンスに似ている|ゆうきえみ

あけましておめでとうございます! 書くことはダンスに似ている・・ ふと、そう思いました。 昔、陶芸家の友人がこんなことを言っていました。 「人にはそれぞれの曲線があ...

note(ノート)

 

 

 

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PERFECT DAYS

2024-12-31 14:19:22 | 映画

アマプラで配信されている映画、

「PERFECT DAYS/パーフェクトデイズ」(ヴィム・ヴェンダース監督 日本・ドイツ合作 2023年)

を観ました。

これ、役所広司主演の日本が舞台の映画なのですが、ヴィム・ヴェンダース監督作品です。

ヴィム・ヴェンダースといえば「ベルリン・天使の詩」が有名ですね。

その監督がなぜ日本を舞台にした映画を撮ろうと思ったのか・・

たしかに舞台は日本で、俳優はすべて日本人なのですが、視点がやはり外国人というか、日本人ではない視点で語られていて、面白いなあと思いました。

登場人物は多くない。ほとんど役所広司の独り舞台です。

彼は都内の公共トイレの清掃作業員。毎朝暗いうちに起きて、軽自動車で都内の公共トイレをまわってひたすら掃除して歩くのです。

それが延々と淡々と描写されます。

その合間に古いフィルム式カメラで木々や陰影を撮影するのが彼の趣味。あと神社の境内に生えているひこばえを神主の許可を得て持ち帰り、小さな器に移して育てている・・

そんな何気ない変化に乏しい日常が丹念に描写されます。でも彼の表情は落ち着いていて、時おり浮かべる微笑がいい。

彼が住んでいるのはボロい木造アパートで持ち物はごくわずか。毎日同じルーティンをこなしながらも、毎日は同じではなく、出会う人々もそれぞれ。

後半に至ってようやく、彼の来歴がそれとなく示され、

なるほど、だから彼はトイレ清掃作業員になったのねと納得はいくのですが、

映画の主眼はそこではない。

タイトルにパーフェクトデイズとあるように、彼は「今ここ」を大事にして生きているのですね。

他者と関わらないわけではないけれど、干渉はしない。苦言も呈さない。相手のためにできることはする。そうした姿勢がカッコいいといえばカッコいい。

でも、これって男の映画よね、と思った。

そして、何より外国人から見たある種の「侍魂」でもあるのかと。

日本てこんな風に見えているのか、という発見もあります。

こんな風に生きながらも、満足できる一瞬一瞬を持っているって、幸せよね、とも思う。

私たちは他人と世界を共有しながらも、それぞれが違う層を見て、違う層で生きている、

そんなことを言いたいのかなあとも思います。

いろんなメッセージが込められた映画です。

でも、やっぱり男の美学的な映画だなあ、

というのが私の感想でした。

今年の締めにちょうどいい映画でした。

私も来年はパーフェクトデイズを目指して生きていこうっと。

(おいらはいつもパーフェクトだぜ!)

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『死はすぐそばに』アンソニー・ホロヴィッツ作

2024-12-29 20:16:26 | 

久しぶりに、アンソニー・ホロヴィッツのミステリー、

『死はすぐそばに』(創元推理文庫)

を読みました。例の探偵ホーソーンのシリーズです。

今回はご近所トラブルの末の殺人事件。

ご近所トラブルの描写から始まるのですが、これが実に細かく描写されていてね、

まるで事件が起きたロンドン郊外のリッチモンドの高級住宅街に迷い込んだ気分になります。

ご近所トラブルというのはどこでもあるのだなあ、というのが最初の印象で、非常に親近感を感じました。

ところが、このミステリー一筋縄ではいきません。

今回はこれまでのホーソーンシリーズとは一味違って、時系列が二つ存在するのです。

これ以上はネタバレになるので、書かないでおきますが、事件が起きた時系列とアンソニー・ホロヴィッツ自身がこのミステリーを書いている現在という二つの時系列が交互に登場してくるのですね。

つまり、物語というのは、作家が過去のどこかの時点で考えたものであると同時に、作家がこれを書いている現在という時系列も存在するわけで、ここではそれが同時進行的に語られるのです。

こう書くとすごく複雑で読んでいて混乱しそうなのですが、それを混乱させることなく見事に読者の前にさらけ出して、しかも肝心なところは上手に隠しておく、というアクロバティックな手法は見事と言う他ありません。

アンソニー・ホロヴィッツはまた新たな手口を思いついたのね、と思いました。

いつものように最後まで一気読みでした。

しかも、今回は登場人物たちの描写がものすごく細かくて、没入感が半端ない。

面白かったなあ。

最近あまり読書しなくなったのですが(なんせ目が悪くなってきて字がよく見えないので)、やっぱり本は面白いと改めて思いました。

ながーい年末年始に暇を持て余している人は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

 

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