ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

マンダロリアン(2)

2021-04-10 13:41:05 | 映画

ドラマ「マンダロリアン」シーズン2の終わりまで見ていろんなことを考えました。

これって、スターウォーズの最も正統的な後継ドラマなんじゃないの、と思いました。他のスピンオフ作品が目に入らなくなるほど。

というのも、主人公のマンドーことディン・ジャリンってジェダイよりもジェダイらしい一匹オオカミだからです。

マンドーという戦士のマインドは明らかに、文句や泣き言ばかり言ってるアナキン・スカイウォーカーよりはるかに高潔で、潔く、かつ心根がやさしく、様々な価値観の人々を受け入れ、かつ善悪の基準をしっかり持ち、物事を多方面から検討してなすべきことを実行する、という特徴があります。

これって人間の理想よね(賞金稼ぎという職業は、それ以外に生きていく術がなかったから)

ジェダイおよびジェダイに守られた共和国が崩壊したのは、アナキン・スカイウォーカーという少年ひとりすらまともに育てられなかったジェダイたち自身の責任であるのは明らか。

たしかに、アナキンは幼くして母親から引き離され、半ば無理やりジェダイにさせられたようなものですが、少なくとも9歳までは母親の愛情を受けて育ってきた、ごく普通の少年でした。

一方、マンドーも同じ年齢の頃に両親を帝国軍に殺され孤児になります。マンドーを助けたのがマンダロリアンたちで、彼自身は生粋のマンダロリアンではないけれど、以後マンダロリアンを名乗り、マンダロリアンの教義に従います。

マンダロリアンというのは民族や国家ではなく、この教義を信じる人たちなのだとか(ユダヤ人に似てる)。

ドラマのなかでたびたびマンドーはこの少年時代を回想しますが(それは彼の生きざまの中核となっている)だからといって、そのことに対して泣き言を言ったりはしない。この高潔さがなかなか凄い。オビワンよりヨーダよりも凄いと私は思う。

もしも、マンドーがアナキンだったら、決してダークサイドには落ちなかっただろうに。

でも、それじゃスターウォーズという物語が成立しないからね。

欠点だらけの人間がジェダイになり、ダークサイドに落ちたけど、他のジェダイはそれを予見することも阻止することもできなかった。

唯一彼を救ったのは彼の息子ルーク・スカイウォーカーだった・・

というのがこの物語のキモなので。

ジェダイって一体何してたの? ヨーダってエライんじゃなかったの? パルパルが一枚上手だったって、結局ジェダイって大したことなかったってことじゃん?

「失敗した」とヨーダ自身も認めてるし。

一方で、なぜマンドーはこうした人間力を身につけることができたのだろう? 何が彼を成長させたのだろう・・?

観ている側はそう思うわけです。

もちろん理由は一つではない。

遺伝的な要素や生育環境、周囲の人々、乗り越えるべき障壁や何やかやが彼を成長させたのだとは思うのですが、基本的に彼は自分自身を信じている・・

ここが重要な点で、どうすればこんな風に自分の力を信じることができるのだろう。

マンダロリアンに登場する他のキャラたちにもそういう傾向がありますね。

たとえば、ジェダイのアソーカ・タノやキャラ・デューンもそうです。キャラ姉さん、好きだなあ。アソーカ・タノもいいよねえ。そして、死んじゃったけどマンドーを助けたクイールも実にいい。

こうしたメインキャラではない周辺のキャラたちがものすごくいいのです。

いずれも孤独な戦士たちで、逆境を乗り越えてサバイバルしてきた人たち。

まるで銀河のアウター・リムそれ自体のように、銀河の僻地に住む名もなき孤高の人たち・・それが、このドラマを魅力的にしているのだと思います。

(中央政府の影響が及ばなかった銀河のアウター・リムは、賞金稼ぎや密輸業者、犯罪者集団、シンジケートの温床になっていた・・)

そして、スターウォーズという映画のキモも実はここにあるのではないかと思うのです。

タトウィーンという辺境の砂の惑星で、奴隷の息子であったアナキンがジェダイにその才能を発見され、親元を離れてはるか銀河の中心にあるコルサントでジェダイの訓練を受ける・・

名もなき庶民として生まれ、才能を見出されて、スターダムにのし上がったハリウッドスターみたいに。

そして、スターダムにのし上がったアナキンがそれでは満足せず、台頭してきたナチスのような帝国のボスであるパルパティーンにそそのかされてジェダイを捨て、パルパルの弟子に昇格し世界支配の野望を持つ・・という感じかしら。

でも、銀河世界は多くの星々の様々な種で成り立っており、むしろ銀河世界の住人の多くはこうした辺境にすむ名もなき人たちであるということ。

マンダロリアンは、こうしたスターウォーズの原点に立ち返る物語で、そこが一番の魅力なのだと思います。

マンドーがなぜチャイルド(ちびヨーダ)に入れ込んだのかというのは、これはもう明らかですね。彼自身の幼い頃の姿をチャイルドに投影しているから。だからあそこまで優しい。もちろん基本的に優しい人なのですが。

スターウォーズがスカイウォーカ―家の家族の物語であるとすると、マンダロリアンは一匹オオカミたちの物語です。その中でマンドーとちびヨーダの関係は数少ない家族のストーリーといってもいいでしょう。

今後、シーズン3に登場するマンダロリアンたちがどのような家族(疑似家族)を形成しているかは注目すべき点だと思います。

シーズン3に期待したいです。

ああ、早く見たいなあ。
チャイルドはまた出てくるのかしら。そして、ルークは? R2D2は?

ああ、楽しみ~

 

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