越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

大正区を舞台にしたドキュメンタリー

2010年03月03日 | 映画
大阪の大正区を舞台にしたドキュメンタリー映画、小谷忠典監督『LINE(ライン)』(2008)を見ました。

沖縄生まれでアルコール中毒の父、大正区生まれの「僕」の曖昧なアイデンティティ。「僕」の恋人には、「僕」の子ではない、小学生の息子がいます。

監督自身の内なる「オキナワ」に迫った佳作です。

沖縄の遊郭地帯(コザ吉原)で撮った娼婦たちの肉体の傷痕や刺青、大正区のクズ山、「僕」と父の散らかったアパートなど、けっして綺麗とはいえないモノを撮りながら、血のつながったり、つながらなかったりする親子の絆(ライン)をさぐります。

冒頭の、川の水にたゆたうビルの影のシーン、最後のベランダに立つ父の顔のショットが秀逸です。と同時に、カメラによって娼婦の裸体や顔を撮りながら、それが「暴力」にならないのは、監督自身が自らの「恥部」をこの映画でさらしているからだろう。

5月中旬、東中野ポレポレにて、レイトショーの予定。