越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

スペイン語の歌「ラ・ジョローナ」

2008年04月09日 | 音楽、踊り、祭り
チャベラ・バルガス「ラ・ジョローナ」(映画「フリーダ」より)

Todos me dicen el Negro, Llorona 皆が僕を黒人と呼ぶよジョローナ
negro pero cariñoso.    黒いけど やさしいよ
Yo soy como el chile verde, Llorona 緑の唐辛子みたいだよジョローナ
picante pero sabroso.    辛いけど 美味しいよ

Aye de mi, Llorona, Llorona     ああジョローナ ジョローナ 
Llorona, llévame al río.     ジョローナ 川へ連れて行って
Tápame con tu rebozo, Llorona.  きみのショールで僕を包んで
porque me muerto de frió    寒くて死にそうだから




「ラ・ジョローナ」のお話はいろいろバリエーションあるが、共通する特徴は、次の二つだ。①ある女性が結婚後、子供を産むが、夫がどこかへ行ってしまい(たぶんよそに別の女をつくり)、そのため女は狂気に陥り、子供を川に投げ捨てて死なせる。②その後、女はみずからも川に身を投げて死ぬが、その魂は夕方になると子供を求めて泣き叫びながら、川べりをうろつく子供を捕まえようとする。

 ボーダー版<屋根裏の狂女>ともいうべきこの大衆伝説を、ジェンダー理論を応用して、チカーノ社会の家父長制の産物として読み直すチカーナ・フェミニストたちがいるが、リラ・ダウンズも、通常チカーノ文化においてネガティヴな<悪女>として語り継がれている<ラ・ジョローナ>を、魅力的な、慈悲深い<聖母>に大胆に喩える。
( 拙著『ギターを抱いた渡り鳥』より)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 海外の長編小説ベスト10 ヴ... | トップ | リラ・ダウンズ「ラ・ジョロ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽、踊り、祭り」カテゴリの最新記事