透水の 『俳句ワールド』

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石田波郷・「波郷句自解」(十二)(十三)         高橋透水

2014年08月05日 | 俳句・短歌・評論・俳句誌・俳句の歴史

犬若し一瞬朱欒園を抜け        波郷

虚子に「われが来し南の国の朱欒かな」の句がある。さういふ南の国の朱欒園の一家族を連作にした一句。子供に大きな乳房を与へてゐる母の背景に緑濃い一樹が朱欒をちりばめてゐる。


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 雪嶺よ女ひらりと船に乗る        波郷

前句を絵画的とするとこの句は映画的といふところか。この「女」がどんな女か、雪嶺せまる河に、今一隻の汽動船が煙をあげ纜を解かうとしてゐる。雪嶺よの「よ」が面白い。この年は創作が多い。

「波郷句自解―無用のことながら―」(有)梁塵社 より

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