第138回(2007年下半期)芥川賞・直木賞の選考委員会が16日、新喜楽(東京都中央区築地)で開かれ、 芥川賞・直木賞の受賞作を発表した。芥川賞には川上未映子氏(31)の「乳(ちち)と卵(らん)」、直木賞には桜庭一樹氏(36)の「私の男」がそれぞれ選ばれた。
川上未映子氏「乳と卵」の受賞理由について、芥川賞選考委員の池澤夏樹氏は「文章がよい。読んでいて声が聞こえてくるような、なめらかな大阪弁がらみ、それでいて抑制が効いた文体だった。また、母に対して口を利かない娘、その壊れた母娘が東京に来て母の妹と暮らし、最後は娘が口を利くようになり大阪に帰るというカタルシスにいたるまでの、短編としての構造が巧みだった」とした。また、直木賞選考委員の北方謙三氏は桜庭一樹氏「私の男」の受賞理由について、「近親相姦という反社会的なテーマや、小説としてのリアリティや整合性が批評の対象にもなったが、それを押さえ込む神話性があった。作家としての比類なき存在感を選考委員が感じてしまった」と語った。
芥川賞作家の仲間入りを果たした川上氏は大阪府出身。歌手でもあり、「未映子」として2004年にアルバム『夢みる機械』、2005年に『頭の中と世界の結婚』をビクターエンタテインメントより発表する。音楽活動と同時に「ダ・ヴィンチ」、「クイックジャパン」、「早稲田文学」、「ユリイカ」などに、詩、散文、随筆、小説等を寄稿。「先端で、さすわ ささされるわ そらええわ」「感じる専門家 採用試験」などがある。一方、直木賞を受賞した桜庭氏は鳥取県出身。1999年に「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞佳作入選し、「AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン」と改題し刊行、デビューする。2007年「赤朽葉家の伝説」で第137回直木賞候補となり、2度目の挑戦で直木賞受賞となった。
選考会後に東京會舘(東京都千代田区)にて行われた記者発表会では、両氏ともに喜びのコメントを発表。「びっくりしていますがめっちゃうれしい。小説を書くのは苦しいけれど、これから書き続けていく励みになる」(川上氏)、「母に電話をしたら、『本当なのかまわりの人に確認しなさい』と言われました(笑)。今回は新しいものにチャレンジして"書き散った"という自負があったので、それを評価してもらえてうれしい。受賞したことが間違いにならないようにいい作品を書いていきたい」(桜庭氏)と語り、今後の活躍を誓った。
(マイコミジャーナルより引用)
曲目リスト
1. 夜の果ての旅
2. 悲しみを撃つ手
3. 私の為に生まれてきたんじゃないなら
4. 麒麟児の世界
5. 僕はもう,うきうきしない
6. 人は歌をうたいます
7. 結ぼれ
商品の説明
内容(「CDジャーナル」データベースより)
大阪出身のシンガー・ソングライター、未映子のアルバム。すべての頑張っている人たちへ、歌を通してエールをおくっている彼女。彼女から紡がれる言葉は独特の視点ながら、真摯な気持ちに満ちたものだ。
著者からのコメント
みなさん、鳥取県紅緑村から、こんにちは。桜庭一樹です。
この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。
実家での執筆中、気分転換にと庭に出たら、犬に噛まれました。(甘噛みではありません)屋内では猫に踏まれました。あと、小腹がすいたと台所で冷蔵庫の中を物色していたら、父に「こら、ゴン!」と、犬と呼び間違えられました。執筆のあいだ、いろいろなことがあり、いまではなつかしい思い出です。
桜庭一樹
出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!
なかなか「賞」を取っても書き続けられる作家は少ない。一定以上のレベルの小説を書き続けられるのが「作家」だ。その「作家」がなかなか出てこない。




川上未映子氏「乳と卵」の受賞理由について、芥川賞選考委員の池澤夏樹氏は「文章がよい。読んでいて声が聞こえてくるような、なめらかな大阪弁がらみ、それでいて抑制が効いた文体だった。また、母に対して口を利かない娘、その壊れた母娘が東京に来て母の妹と暮らし、最後は娘が口を利くようになり大阪に帰るというカタルシスにいたるまでの、短編としての構造が巧みだった」とした。また、直木賞選考委員の北方謙三氏は桜庭一樹氏「私の男」の受賞理由について、「近親相姦という反社会的なテーマや、小説としてのリアリティや整合性が批評の対象にもなったが、それを押さえ込む神話性があった。作家としての比類なき存在感を選考委員が感じてしまった」と語った。
芥川賞作家の仲間入りを果たした川上氏は大阪府出身。歌手でもあり、「未映子」として2004年にアルバム『夢みる機械』、2005年に『頭の中と世界の結婚』をビクターエンタテインメントより発表する。音楽活動と同時に「ダ・ヴィンチ」、「クイックジャパン」、「早稲田文学」、「ユリイカ」などに、詩、散文、随筆、小説等を寄稿。「先端で、さすわ ささされるわ そらええわ」「感じる専門家 採用試験」などがある。一方、直木賞を受賞した桜庭氏は鳥取県出身。1999年に「夜空に、満天の星」で第1回ファミ通エンタテインメント大賞佳作入選し、「AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン」と改題し刊行、デビューする。2007年「赤朽葉家の伝説」で第137回直木賞候補となり、2度目の挑戦で直木賞受賞となった。
選考会後に東京會舘(東京都千代田区)にて行われた記者発表会では、両氏ともに喜びのコメントを発表。「びっくりしていますがめっちゃうれしい。小説を書くのは苦しいけれど、これから書き続けていく励みになる」(川上氏)、「母に電話をしたら、『本当なのかまわりの人に確認しなさい』と言われました(笑)。今回は新しいものにチャレンジして"書き散った"という自負があったので、それを評価してもらえてうれしい。受賞したことが間違いにならないようにいい作品を書いていきたい」(桜庭氏)と語り、今後の活躍を誓った。
(マイコミジャーナルより引用)
頭の中と世界の結婚未映子,木村玲,佐藤研二ビクターエンタテインメントこのアイテムの詳細を見る |
曲目リスト
1. 夜の果ての旅
2. 悲しみを撃つ手
3. 私の為に生まれてきたんじゃないなら
4. 麒麟児の世界
5. 僕はもう,うきうきしない
6. 人は歌をうたいます
7. 結ぼれ
商品の説明
内容(「CDジャーナル」データベースより)
大阪出身のシンガー・ソングライター、未映子のアルバム。すべての頑張っている人たちへ、歌を通してエールをおくっている彼女。彼女から紡がれる言葉は独特の視点ながら、真摯な気持ちに満ちたものだ。
![]() | わたくし率イン歯ー、または世界川上 未映子講談社このアイテムの詳細を見る |
![]() | 赤朽葉家の伝説桜庭 一樹東京創元社このアイテムの詳細を見る |
著者からのコメント
みなさん、鳥取県紅緑村から、こんにちは。桜庭一樹です。
この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。
実家での執筆中、気分転換にと庭に出たら、犬に噛まれました。(甘噛みではありません)屋内では猫に踏まれました。あと、小腹がすいたと台所で冷蔵庫の中を物色していたら、父に「こら、ゴン!」と、犬と呼び間違えられました。執筆のあいだ、いろいろなことがあり、いまではなつかしい思い出です。
桜庭一樹
出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!
なかなか「賞」を取っても書き続けられる作家は少ない。一定以上のレベルの小説を書き続けられるのが「作家」だ。その「作家」がなかなか出てこない。





