旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

Alta Velocidad Españolaで往く

2017-01-09 | 日記・エッセイ・コラム

 バルセロナ、バレンシア、アンダルシア方面行きのAVEが出発するアトーチャ駅、改札でパスポートチェックを済ませると、クラブ(特等)、プレフェレンテ(1等)の乗客は「AVEラウンジ」を利用できるので、駅へは時間に余裕をもって向かうと良い。

 深いソファーに腰を沈め、読めもしない西語新聞を広げてセルベッサを愉しむ。赤ラベルの Cruzcampo(クルスカンポ)がお気に入りだ。スペイン高速鉄道の旅には日本の新幹線にはない「旅情」がある。

 荷物置き場にスーツケースを収め、プレフェレンテの革張りシートに自分の座席を見つけた頃、セビーリャ行きはごく軽い振動を残してプラットフォームを静かに滑り出す。そう云えば駅構内でも車内でもアナウンスが響くことはなかった。

 白い14両編成は最初こそ実力を出し惜しんでいたものの、市街地を抜けるとぐんぐんと速度を上げ、窓の景色が猛烈なスピードで流れはじめる。1時間もすれば左右の車窓に満開のヒマワリ畑が広がるはずだ。

2013.06.20