旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

浪花情緒あふれるお不動さんに詣でたら 阪神なんば線を完乗!

2021-10-16 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

 西日を浴びた6両編成の普通電車が、轟音を響かせて新淀川橋梁を渡って来る。
大阪への出張を終えたら、新幹線に乗る前に阪神なんば線を呑み鉄、法善寺横丁をめざそうと思う。

尼崎駅前は噴水を中心とした中央公園と、バスターミナルに蓋をする空中庭園が憩いの空間となっている。
阪神なんば線は本線の尼崎から大阪難波までの10キロを駆け抜け近鉄難波線と接続している。

3番ホームに入線してきた普通・東花園行きは近鉄の1026系だね。当然ながら半分は近鉄の車両だ。
尼崎を発った6両編成は大物(だいもつ)駅まで本線と並走した後、進路を南東に転じてミナミをめざす。

750mの長い新淀川橋梁を渡り終えると環状線と接続する西九条に滑り込む。反対ホームにも近鉄車両だね。
西九条から九条にかけて下り勾配が続いて、いつしか鉄路は地下に潜っていく。

西九条〜大阪難波の区間は2009年開業、なるほど地下駅となったドーム前駅は近代的な造りだ。

長い長いエスカレーターを上ると、銀の屋根を夕陽に輝かせた京セラドーム大阪の巨体が眼前に現れた。

ラストランナーはGo!Go!灘五郷!、日本酒の楽しみをかわいいいネコのイラストで飾った車両は、

阪神の1000系車両だ。神戸三宮と近鉄奈良を結ぶ快速急行を見送って阪神なんば線の旅は終わる。

 阪神と近鉄の結節点・大阪難波駅から300m、都会の喧騒を逃れるように一歩路地に足を踏み入れると、
風情たっぷりの石畳、ほのかな提灯の灯り、辺りには線香の香りが漂っている。
苔むしたお不動さんに水を掛けて手を合わせたら、さっそく狭い横丁の酒処の一軒に吸い込まれてみる。

キンキンに冷えた生ビールが女将の「おつかれさまです」の一言を添えて供される。なんだかホッとするね。
今日の刺身盛合せは、ブリ、マグロ、サーモン、ホタテ。炙った貝柱が美味い。

おとなり奈良は御所市の酒 “篠峯 超辛口” はドライでキリっとした爽快な飲み口の純米酒だ。
“里芋唐揚げ” は、ぬるっと里芋特有の食感そのままに、カラッと熱々に揚がって、岩塩をまぶして美味しい。

“伊勢赤鶏塩焼き” に合わせるのは広島の “雨後の月”、吟醸香控えめキレのあるシャープな辛口純米。
ジューシーで柔らかな赤鶏はすだちをたっぷり絞って、半分は岩塩で、半分はおろしポン酢で楽しむ。
いずれも甲乙つけ難い。そして辛口の食中酒が料理を引き立ててくれる。満足だ。
さてと20時台の新幹線には乗りたいから、でっとっぷりと暮れて情緒のある「法善寺横丁」を後にするのだ。

阪神なんば線 尼崎〜大阪難波 10.1km 完乗

ガラスの恋人 / 杉真理 1981
     



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