電車はゆるりと高架を下ると、春の千曲川に架かる赤い鉄橋をガタゴトと渡る。
上田盆地のうち千曲川左岸の河岸段丘は塩田平、"信州の鎌倉" とよばれる。
国宝の安楽寺三重塔をはじめ古い神社仏閣が点在していて散策が愉しい。
上田電鉄別所線の起点は上田駅、北陸新幹線、しなの鉄道と3線が乗り入れる。
駅前広場では真田幸村騎馬像が迎えてくれる。六文銭の幟も誇らしげだ。
今回の「呑み鉄」番外編は塩田平を丸窓電車に揺られて別所の湯をめざす。
別所線の電車は、車両の戸袋窓が楕円形だったことから「丸窓電車」と愛称された。
東急の譲渡車両も、そのイメージに改装され「まるまどりーむ号」として塩田平を走る。
丸窓に流れる風景を眺めつつ、沿線の若林酒造の "つきよしの" をちびりちびり愉しむ。
アイドルグループのPVロケ地となった八木沢駅を過ぎると、やや急な上り勾配になる。
小さな終着駅・別所温泉は信州最古の温泉地・別所温泉、北向観音や安楽寺の玄関口だ。
大正時代の面影を残すレトロな駅舎は、嘗て寅さんや裸の大将も訪れている。
女性駅長さんが駅舎の雰囲気にあわせて "ハイカラさん" の装いで迎えてくれた。
平安時代初期に建立された北向観音堂は、数十キロを隔てて善光寺と向き合う。
北向の千手観音は現世利益を願い、南向きの阿弥陀如来は未来往生を願う。
向き合う両方をお詣りすると良いとされ、善光寺詣りとあわせ訪れる善男善女は多い。
別所温泉には石湯、大師湯、大湯と3つの外湯が源泉かけ流しで湯を溢れさせている。
真田幸村隠しの湯「石湯」に浸かったら、その向かい側にある昔ながらの日野出食堂へ。
お通しの野沢菜炒めと、おろしキノコを肴に湯上りのビールを呷る。
名物の「馬肉うどん」はパスして手打ち蕎麦をいただく。素朴な田舎蕎麦が美味しい。
別所温泉駅には元祖「丸窓電車」モハ5250が保存されている。見るからに愛らしい。
別所の湯と信州蕎麦を堪能して再び別所線に揺られる。GW前半の小さな旅なのだ。
上田電鉄・別所線 上田~別所温泉 11.6km 完乗
真田丸
別所線の沿線ではなかったので、そんなに利用はしませんでしたが、子供の頃、「元祖」丸窓電車には何度も乗りました。
JR(子供の頃は国鉄)の電車に慣れていた私は、ちょっと時代遅れの雰囲気の車両に、これが電車?となんだか不思議な気分で乗っていた覚えがあります。床も木材で、黒い滑り止め?かなにかが塗ってあり、白い靴だと黒く汚れが付いた記憶があります。
懐かしいですね~。
メッセージありがとうございます。
体感の記憶があるって素敵ですね。
青とクリームの電車は上田平を縦横に走っていましたね。
私は幼い頃、真田線とバスを継いで菅平へスキーに行った記憶が薄っすら有ります。
今回はとっても懐かしい別所線の旅でした。