旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

名水と城の町で蕎麦と酒を愉しむ 久留里線を完乗!

2021-10-09 | 呑み鉄放浪記

 木更津駅の東側には小さな車両所があって、気動車やディーゼル機関車が佇んでいる。
大型の台風が過ぎ去った翌日、ローカル線に乗って房総半島を深く分け入ってみようとやって来た。

旅の前に駅周辺を歩く。駅舎を背に中心商店街を西へ5分も歩くと視界が広がる。
「津」が示すとおり木更津は古くから港が開け、中世には房総から鎌倉に上る渡船場として栄えた。
大型バラ積み貨物船が入港する重要港も、最奥部のこの辺りは釣船やレジャーボートが小さく揺れている。

駅前広場に戻ってくると「逆さ狸の“きぬ太”君」に気付く。月夜の晩に和尚さんとおはやしの競争をした
「狸ばやしの伝説」が残る本願寺派證誠寺(しょうじょうじ)は木更津駅の近くにある。

15両編成の快速が止まるホーム反対側に、たた1両の気動車がディーゼルエンジンを響かせている。
久留里線は木更津から久留里、大多喜を経由して大原に至る計画だったが、現実には上総亀山までの盲腸線だ。

木更津駅を出発した単行気動車はが大きく東へカーブすると、まもなく豊かな田圃の風景が広がった。
京葉工業地域のコンビナートをイメージしていた木更津、この風景はちょっと意外な発見になった。

田園風景の中、単行気動車は小櫃川に付かず離れずと東へと走る。
小櫃川を跨いで最初の横田駅で列車交換、信号システムの関係?上り列車が構内を出るのを待ってから出発だ。

反対側ホームへ渡る構内踏切を挟み、上り列車と向き合う形で10:03、927Dは久留里駅に終着する。
この先の上総亀山まで走る列車は約4時間後になる。

 久留里は “名水と城の町”、町中には200本を超える井戸が自噴している。
こうした名水で淹れたコーヒーを楽しめる古民家カフェが点在しているというからドライブで寄るのもいい。

名水が湧くのなら当然に酒造りも、狭い国道を挟んで向き合うのは吉崎酒造と藤平酒造だ。
今回訪ねた藤平酒造さんの店先にも自噴井戸が軟水を滴らせているね。
この時期だから “福祝 辛口純米 秋あがり” を求める。秋野菜や秋刀魚を肴に家呑みを愉しみたいものだ。

 久留里城(模擬天守)は堅牢な尾根筋に築かれた天然の要塞・連郭式山城で、戦国時代には滝沢馬琴が著した
「南総里見八犬伝」のモデルになった里見氏の拠点であった。二の丸跡からの眺望が素晴らしい。

名水が湧くならば蕎麦も美味いに違いない。っで「手打ちそば処 藤美」を訪ねる。
宣言解除後の真新しい樽から注がれた生ビールを片手に、まずは野菜天ぷらををいただく。
たっぷり刻み海苔を散らした手打ちは太さが不揃いな田舎そば、少し濃いめのそばつゆでズズっと美味しい。

13:53、933Dで旅のラストスパート。っと今度の上総亀山行きは2両編成だ。
久留里を出た気動車は山間地に入る。車窓には小櫃川の深くなっていく谷や急流が展開する。

車内は閑散としているから、ロングシートだけどワンカップを開けるのにも躊躇いはいらない。
藤平酒造で仕込んでおいた “福祝ひやおろし” は口当たりが柔らかい旨酒だ。

終点の上総亀山は引込線もないどん詰りの無人駅、錆びた線路は100mほど延びて車止めに塞がれる。
駅から5分も歩くと小櫃川を堰止めた亀山ダムにより出来た亀山湖畔に出る。
ひと暴れした台風の影響で多少の濁りはあるけれど、どこまでも穏やかな湖面を眺めて久留里線の旅は終わる。

久留里線 木更津〜上総亀山 32.2km

破れたハートを売り物に / 甲斐バンド 1981
     



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3 コメント

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Unknown (chiyo6213)
2021-10-11 04:44:21
訪ねてみたいですね。情報ありがとうございました😊
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Unknown (呑み人)
2021-10-11 06:19:06
@chiyo6213 chiyo様、おはようございます。
湘南からですと、久里浜からフェリーで渡るのも楽しいですね。
コメントありがとうございます。
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Unknown (chiyo6213)
2021-10-12 04:52:32
ありがとうございます♪久里浜からですね♪フェリー🚢良いですねー〜
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