赤が基調の名鉄にあって、異質なスカイブルーを纏うのがミュースカイ。
岐阜あるいは新鵜沼から名古屋を経て、中部国際空港を結んでいる空港特急なのだ。
名鉄・常滑線は神宮前で名古屋本線から分離して知多半島を南下する。
ミュースカイはここ神宮前から中部国際空港まで、ノンストップ、20分で結んでいる。
缶ビール1本分の旅だけれど、新舞子からは右手に伊勢湾が広がりテンションが上がる。
ミュースカイはあくまでもしなやかに、エアポートに向けて快走する。
空港まで2駅を残して常滑駅で途中下車、と云うか空港駅から戻って来た。
常滑線はここまで、この先は2005年、中部国際空港開港に併せて開通した空港線となる。
段丘の上から巨大な猫が手招きしている。親分を見上げる二匹の焼き物が愛らしい。
常滑は平安末期から生産が続く六古窯の一つ "常滑焼" の町なのだ。今回は窯の町で呑む。
風情のある工房が連なる風景の中「登窯」が残る。1887年(明治20年)頃に築かれた窯だ。
壁面に明治期の土管と昭和初期の焼酎瓶が埋められたフォトジェニックな「土管坂」だ。
この坂を上った丘の頂、「手打ち蕎麦 古窯庵」からは伊勢湾が眼下に望める。
地元常滑は澤田酒造の "白老純米"、濃醇でコクがある地元オヤジの晩酌の酒が旨い。
アテのひと皿 "さつま揚げ" は、たっぷりの生姜とおろし、濃厚×濃厚な酒と肴なのだ。
〆は粗挽き細打ちの "辛味大根せいろ"、濃厚になった喉にさっぱり辛味そばが美味しい。
古民家風の小上がり、使い込んだ卓袱台、品のある酒器と皿、心地よいひと時でした。
登窯の煉瓦煙突のオブジェ越しの常滑駅、ここから2駅、空港線を往く。
高架の鉄路は1,414mのセントレア大橋に続き、4分の乗車で中部国際空港駅に滑り込む。
駅のコンコースは緩やかなスロープでそのままチェックインカウンターへと続く。
スカイデッキに出ると眼前に伊勢湾が広がり、その先に見えるのは鈴鹿山脈か。
名古屋港へと向かうコンテナ船の手前を航空機が舞い降りてきた。
ここが高度なものづくり中京圏の人流物流の要衝と実感して、常滑・空港線の旅は終わる。
名古屋鉄道・常滑線 神宮前~常滑 29.3km
名古屋鉄道・空港線 常滑~中部国際空港 4.2km 完乗
<40年前に街で流れたJ-POP>
しなやかに歌って / 山口百恵 1979