紅葉と果実、八頭町の美しい秋を表現したというロイヤルレッドに塗られた「八頭号」が入ってきた。
インテリアは木の温もりを感じる木材を使用したデザイン、これは間違いな水戸岡鋭治氏の仕業だな。
鳥取から因美線で3つ目、郡家から八東川に沿って国鉄特定地方交通線を引き継いだ若桜線が延びる。
昭和5年、郡家〜若桜まで開通した国鉄若桜線は県境を越えることはなく今に至っている。
鳥取駅で仕込んできた “いかすみ弁当 黒めし” を開ける。脇を固めるのは “アサヒ生ビールマルエフ”だ。
イカ墨で炊き込んだ真っ黒めしが美味。盛り付けされたイカとイカ団子は絶妙な酒の肴になる。
八東駅では対向列車と交換する。踏切の警報機が鳴り始めると、前照灯を煌かせてブルーの車両がやってきた。
なんともノスタルジックな「昭和号」という名称は、懐かしい日本の原風景を走る列車にはピッタリかな。
列車は徳丸駅の手前で「第二八東川橋りょう」を渡る。10連のプレートガーダーがガタガタと音を立てる。
田圃には薄らと緑に雑草が生えて、日本海側の谷間にも春の到来を感じる。
っと思いきや、次の丹比駅を過ぎるあたりから、田圃に一面の雪の風景が広がっていた。
張り出す尾根、それによる日照や風通しでこんなにも違うものか、改めて自然の大きさを感じる。
構内に雪を残して終着の若桜駅、古びた庇の下には直ぐにも動かせる状態で除雪機が置かれている。
行手には名も知らない山塊の白い屏風が立ちはだかり、この先が未成線に終わった理由が知れるようだ。
若桜駅は昭和5年開業当時の姿をとどめる木造駅舎、レトロな良さを活かしてリニューアルされた駅舎は、
磨りガラスの切符売り場、モダンなカフェ、暖かみのある待合室がいい。コーヒー片手に文庫本でも読みたい。
構内には給水塔や転車台など蒸気時代の終着駅の機能を残し、若桜線を走ったC12-167号機も動態保存される。
近いうちに、条件が整えば、観光列車として蒸気機関車が走るのではないかと期待される。
駅周辺にはかつての城下町・宿場町の面影を今に残す町割り、蔵や町家が残っていて情緒たっぷり。
そんな通りの中に太田酒造場を訪ねる。全量を若桜産の米で “辨天娘” を醸す小さな蔵元だ。
折り返しの鳥取行きがガクンと動き出す。っと呑み人は先ほど仕込んだ300mlのスクリューキャップを着る。
雪のようにうっすらとオリが入った玉栄の純米中垂れをmyちょこに注いで、しばし雪見酒と洒落込むのだ。
ところでこの車両、SUZUKIが誇る究極のスポーツバイク「隼」のラッピングをしている。なぜ?って。
答えは帰り道で見つかった。若桜鉄道には「隼」駅があって、隼ライダーの「聖地」となっているらしい。
レトロモダンなこの鉄道に異端のように斬新な「隼ラッピング列車」に揺られて、若桜線の旅を終えるのだ。
若桜鉄道・若桜線 郡家〜若桜 19.2km 完乗
檸檬 / 岩崎宏美 1982
車窓を堪能されながら地酒を味会う幸せ、拝読しながらわたしもほろ酔った感です😊ありがとうございました。良い旅を!
こんばんは。
ほとんど呑みのレポートですが、
リラックスいただければ幸いです。
私もお邪魔させていただきます。
よろしくお願いします。