立ち飲み "鶴の蔵" は札幌唯一の地酒「千歳鶴」の蔵元が直営する店。
札幌駅にほど近いオフィスビルの一角にあるので案外と洗練されている。
日本酒の店に来たって、枕詞はとりあえずのビール、冷たい一番搾りを呷る。
三点盛は "鮭とば"、"わさび味噌"、"にしん燻製" と申し分ないラインナップだ。
一杯目の "純米吟醸 千歳鶴" は、華やかな香りの酒。
肴は "鰊の切り込み"、塩と米麹で漬け込んだこの一品、絶品だね。
この小鉢ひとつで2~3杯は飲めそうだ。
二杯目からの "吟醸 蔵" はふくよかな香りの酒、焼き物にも揚げ物にも合いそう。
肴は "おでん盛合せ"、これからの北海道では恋しくなる一品だと思う。
前日からの雨が上がった早朝の札幌駅、これから旭川までの140キロをラストスパート。
7番手のランナーは06:00発、始発の旭川行きは意外にも気動車が登場。
2大都市を結ぶには寂しい2両編成は札幌~旭川間を走りきる唯一の鈍行列車なのだ。
札幌都市圏は案外広く、江別辺りまでは住宅街が延々と続いている。
山の際まで田圃が続く風景が見られるのは、岩見沢を過ぎてからだった。
滝川を過ぎると車内も閑散として、昨日仕込んだ小樽の酒 "純米大吟醸 寶川" に酔う。
それにしても車齢40年にはなるこの車両、JR北海道では幅広の窓枠があって旅情がある。
なにしろ酒やつまみが載るからね。ただ油断すると瓶が滑るのが玉に瑕ですが。
同じ石狩川の流域だけど、石狩平野と上川盆地は繋がっていない。
15キロ程の山間部を幾つかのトンネルで抜けると旭川の町が広がった。
140キロ、3時間を駆け抜けてた2両編成は高架になった旭川駅に終着する。
さて稚内方面に向かう列車までは3時間半の待ち時間、少なからず街を巡る余裕がある。
まずは旭川ラーメン、豊岡1条のラーメンよし乃で "味噌ラーメン" をいただく。
濃厚で辛みのあるスープにしゃきしゃきのモヤシ、バターを落として絶妙な旨さだ。
函館で飲んだ "法螺吹" の高砂酒造はここ旭川の蔵元。
明治42年に建てられた明治酒蔵では工場見学と試飲が楽しめる。
車中酒には "吟醸生貯蔵酒 國士無双" を仕込んで、午後は宗谷本線を行く。
函館本線 函館~旭川 423.1km
(藤城線) 七飯~大沼 13.2km
(砂原線) 大沼~森 35.3km
THE NUMBER / The Square 1978