個人情報の漏えいを多数引き起こした同庁が指導を受け、改善を求められるのは当然です。しかし遅すぎます。

2023-09-25 11:50:18 | マイナンバー、急ぐ必要がどこにあるのか、答えない岸田氏

 

デジ庁に行政指導

岸田政権の責任問われている

 マイナンバーに本人以外の公金受取口座の情報が誤登録されていた問題で、デジタル庁が個人情報保護委員会の行政指導を受けました。個人情報の漏えいを多数引き起こした同庁が指導を受け、改善を求められるのは当然です。しかし遅すぎます。担当官庁を追及して済むことでもありません。個人情報保護をないがしろにして、マイナンバーの利用範囲の拡大やマイナンバーカードの普及を強引な手法で急ぐ岸田文雄政権の責任が問われています。

個人情報保護ないがしろ

 プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権の一つです。個人情報保護法は「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきもの」と明記しています。行政機関が保有する個人情報を漏えいすることなど絶対にあってはなりません。

 公金受取口座の誤登録は全国で940件確認されています。口座番号などを他人が見られるようになっていました。誤登録が自治体からデジタル庁に報告されたにもかかわらず、担当部署以外に情報が共有されなかったことを個人情報保護委員会は問題視しました。デジタル庁に個人情報の漏えいであるとの意識が欠如していたと指摘しました。

 しかし原因を職員の意識の欠如だけに帰すわけにはいきません。

 デジタル庁は、2021年5月に成立したデジタル関連法に基づいて同年9月に発足しました。「デジタル時代の官民インフラを今後5年で一気呵成(かせい)に作り上げる」(同庁ホームページ)ための官庁です。安倍晋三政権から進めてきた個人情報の利活用を一気に実現させることを使命としています。

 職員約1000人の4割は大手IT企業などの民間出身者です。ほとんどが非常勤で、兼業や出身企業からの給与補填(ほてん)も容認されています。これら大企業は個人情報ビジネスで利益をあげています。出身企業の意向が反映され、利益誘導の恐れが強いことが発足前から指摘されていました。

 その一方、個人情報を守るルールは緩められています。デジタル関連法は行政、民間、独立行政法人のそれぞれに分かれていた個人情報保護法制を一元化し、国が関与して個人情報を利活用する方向に道を開きました。

 デジタル庁が、政権のこうした意向でつくられた官庁であることに問題の根源があります。官民癒着の温床となりかねないデジタル庁は必要ありません。

 しかも個人情報保護委員会の担当閣僚は河野太郎デジタル相です。個人情報の利活用も保護も同じ閣僚に担当させるところに、個人情報保護に逆行する岸田政権の姿勢があらわれています。

マイナカード強制やめよ

 岸田首相は先の内閣改造にあたって河野氏を新たに「デジタル行財政改革会議」の担当相に任命しました。「国と地方の行財政の仕組みを変えていく」としています。健康保険証のマイナカードへの一体化が大混乱を招いていることに反省がありません。保険証を24年秋に廃止する方針も変えません。これでは国民の信頼回復など不可能です。

 マイナカードの押し付けをやめ、個人情報保護を強める立場で行政のあり方を全面的に見直すことが求められています。

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マイナンバーカードをめぐるトラブルについて、「朝日」の調査で、岸田文雄首相が指導力を「発揮していない」が79%、「共同」の調査で79・8%に上りました。

2023-08-22 15:48:45 | マイナンバー、急ぐ必要がどこにあるのか、答えない岸田氏

2023年8月22日(火)

内閣支持率 続落

首相マイナ指導力不満8割

「朝日」「共同」

 「朝日」と共同通信の世論調査(いずれも19、20両日実施)で、岸田内閣の支持率が続落しています。トラブルが相次ぐマイナンバー制度をめぐる政府の対応などに対し、国民の厳しい評価が表れています。

 「朝日」の調査で、内閣支持率は前回調査(7月)から4ポイント下落して、33%となりました。岸田内閣発足以降最低だった22年12月の31%に次ぐ低さです。不支持率は54%でした。「共同」の調査では、前回(7月)の支持率から0・7ポイント減の33・6%で最低水準が続きました。不支持率は50%となりました。

 マイナンバーカードをめぐるトラブルについて、「朝日」の調査で、岸田文雄首相が指導力を「発揮していない」が79%、「共同」の調査で79・8%に上りました。マイナンバーカード一体化に伴う健康保険証の廃止について、「朝日」の調査では、「反対」55%が、「賛成」38%を上回りました。「共同」の調査では、保険証廃止を「延期するべきだ」が38・4%、「撤回するべきだ」が38・6%となり、いずれも「予定通り廃止するべきだ」の20・5%を上回りました。

 東京電力福島第1原発事故の処理水放出について、「朝日」の調査で、日本の水産物への風評被害を防ぐ政府の取り組みは「十分ではない」が75%となりました。「共同」の調査で、処理水放出に関する政府の説明は「不十分だ」が81・9%に上りました。

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国民の懸念を無視し改定マイナンバー法を強行成立させたと批判。松本剛明総務相に対し、マイナンバーカードの運用停止と問題の全容解明を求めました。

2023-06-22 11:08:18 | マイナンバー、急ぐ必要がどこにあるのか、答えない岸田氏

2023年6月22日(木)

マイナ運用停止を

紙議員 全容解明 総務相に迫る

参院本会議

写真

(写真)質問する紙智子議員=21日、参院本会議

 日本共産党の紙智子議員は21日の参院本会議で、政策評価などの報告について質疑を行い、国民の声に耳を傾けない岸田政権の姿勢をただしました。

 紙氏は、マイナンバーカードに別人の情報がひも付けられていた問題で、国民の懸念を無視し改定マイナンバー法を強行成立させたと批判。松本剛明総務相に対し、マイナンバーカードの運用停止と問題の全容解明を求めました。

 また、マイナ保険証は、医療・投薬情報の誤登録が続いています。命にもかかわる問題を一方的にマイナ保険証に『一本化』してはならないとし、「来年秋の健康保険証廃止は中止すべきだ」と迫りました。加藤勝信厚労相は、「一本化」のメリットだけを強弁し、「来年秋に円滑に実施できるよう取り組んでいく」と国民の声に背を向けました。

 紙氏は、10月に実施が狙われるインボイスについて、免税事業者への増税が、倒産、廃業に追い込むことにつながると指摘。中小業者や農家、文化人らが反対し、オンライン署名は20万人を超えたとし、生業(なりわい)、くらし、文化を壊す増税の中止を求めました。

 また、東京電力福島第1原発事故による汚染水の海洋放出について、福島と茨城の漁連会長が改めて「反対」の意思を示したことや、政府が「関係者の理解なくしていかなる処分もおこなわない」と約束したことを守るよう求めた、いわき市議会の意見書を示し、海洋放出方針は撤回すべきとただしました。西村康稔経産相は、海洋放出ありきの風評被害対応を列挙するだけで、方針撤回に言及しませんでした。

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