誰も予想できなかったハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞というK文学の成果に国中が喜びに沸いたのもつかの間、45年ぶりの非常戒厳と布告令宣布という開いた口が塞がらない現実に向き合わなければならなかった。

2024-12-31 14:52:13 | 韓国を知ろう
 

非常戒厳がすべて飲み込んだ2024年

【今年の韓国10大ニュース】(1)

登録:2024-12-27 07:38 修正:2024-12-31 07:14
 
 
尹錫悦大統領が12月3日夜、緊急国民向け談話を通じて「憲政秩序のために非常戒厳を宣布する」と述べている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

「何を想像してもそれ以上を見ることになるだろう」

 約20年前に公開されたある映画のキャッチコピーほど、2024年の韓国をよく説明するものが他にあるだろうか。誰も予想できなかったハン・ガンさんのノーベル文学賞受賞というK文学の成果に国中が喜びに沸いたのもつかの間、45年ぶりの非常戒厳と布告令宣布という開いた口が塞がらない現実に向き合わなければならなかった。しかし、危機はチャンスと共に訪れるもの。妄想と呪術の霧の中に陥っている指導者を退かせ、K民主主義の回復力を示すきっかけにし、気候危機と人口危機の克服など未来に備える2025年になることを願う。

■45年ぶりの戒厳…内乱の渦に巻き込まれた韓国

 12月3日午後10時28分、韓国社会の時計はあっという間に45年前に巻き戻った。極右陰謀論に陥って野党と自分を批判する人々をまとめて「反国家勢力」とみなした尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の暴走に、韓国社会が積み上げたすべてが一瞬にして崩れるところだった。6時間後の4日未明、非常戒厳令が正式に解除されるまで、驚愕と衝撃、怒りが交差した夜だった。

 要件も手続きもまともに備えていない違憲・違法的な非常戒厳宣布であり、「処断する」という恐ろしい表現があふれた戒厳布告令は、国会、報道機関、労働者、専攻医などに対する敵対感をあらわにしたものだった。国会と中央選挙管理委員会の掌握「作戦」に投入された特殊部隊員を指揮した特殊戦司令官と首都防衛司令官などは、尹大統領とキム・ヨンヒョン前国防長官から「議員を引きずり出せ」、「選管のサーバーを手に入れろ」といった指示を数回受けたと暴露した。

 非常戒厳を全身で阻止した市民たちは、憲政秩序を破壊し、民主主義を踏みにじった者は大統領の資格がないと宣言した。国会は非常戒厳宣言から11日後に弾劾訴追議決で内乱の首謀者である大統領の職務を停止させた。

 「12・3内乱事態」は現在進行形だ。性犯罪で不名誉除隊した後に占い店を運営していたという予備役将軍が、一部の現役軍人たちを糾合して戒厳計画を立て、北朝鮮の軍事挑発を誘引するという「北風」工作を試みた情況まで、捜査を通じて続々と明らかになっている。大統領は憲法裁判所の弾劾審判の手続き、内乱捜査などに応じず、与党は謝罪と反省はおろか、内乱特検の発足と憲法裁判官の任命まで阻止している。ハン・ドクス大統領権限代行も、これに合わせて民主主義回復のための最小限の措置すらも拒んだ。民主主義を守り、日常に戻るための戦いは終わっていない.

イ・スンジュン記者

 
 
2024ノーベル文学賞受賞者のハン・ガンさんが10日(現地時間)、スウェーデン・ストックホルムのコンサートホールで開かれた授賞式で、スウェーデンの国王カール・グスタフ16世からノーベル文学賞のメダルと証書を受け取っている/聯合ニュース

■ハン・ガンさん、アジア女性初のノーベル文学賞受賞

 韓国文学は2024年10月10日午後8時以前と以後に分けられる。作家ハン・ガンさん(54)がノーベル文学賞受賞者として全世界に発表された韓国時間だ。1970年代生まれの作家としても、アジア人女性作家としても初の受賞だ。スウェーデン王立アカデミーは「歴史的トラウマに対抗し、人間が生きていくうえでの柔弱さをあらわにする強烈な詩的散文」だとし、ハンさんの作品を賞賛した。5・18光州(クァンジュ)民主化運動が背景の『少年が来る』、4・3済州(チェジュ)事件が背景の『別れを告げない』、狂暴な暴力と繊弱な人間に向き合った『菜食主義者』、来年初めて西欧圏に紹介される詩集『引き出しに夕方をしまっておいた』などで、第4四半期の出版市場は圧倒された。ノーベル賞は予想だにしないものだったが、韓国文学の存在感は近年高まっている。今年3月、詩人のキム・ヘスンさんが全米図書批評家協会賞(詩部門)を国内で初めて受賞しており、今年まで3年連続でブッカー国際賞の最終候補(通算5回)に韓国作家がノミネートされた。「尹錫悦内乱事態」に「大きな衝撃」を受けたと告白したというハン・ガンさんは、このように語った。「暴力の反対側」に「文学」があると。

イム・インテク記者

(2に続く)

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非常戒厳がすべて飲み込んだ2024年

【今年の韓国10大ニュース】(2)

登録:2024-12-27 07:36 修正:2024-12-31 07:14
 
 
6月17日午前、ソウル鍾路区のソウル大学医学部ヤン・ユンソンホールで、ソウル大学病院の無期限休診宣言の記者会見が開かれる前、医師のガウンが机の上に置かれている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

■医学部定員2000人増員、医療騒乱の長期化

 韓国政府は2月、医師不足問題を解決するとして、医学部の入学定員を3058人から5058人へと2千人増やす医学部増員計画を発表した。予想を上回る破格の規模だった。医師らは拙速な推進だと激しく反発し、大型病院に勤めていた専攻医(インターン・レジデント)1万人余りが集団辞職した。医学部生たちも集団休学に入った。政府は専攻医に業務開始命令を下すなど強硬に対応し、医療界と政府の対立は極限まで進んだ。専攻医に依存して運営してきた大型病院には医療空白が発生し、患者は大型病院で診療を受けるのが難しくなった。医療改革の撤廃を要求する専攻医らはまだ戻っておらず、政府も退いていない。来年度の医学部増員規模は1509人に減り、現在募集中だ。集団辞職と休学の余波で、医師国家試験、専攻医に志願する人材が昨年の10分の1以下に減ったが、医療界と政府の対立は出口が見つけらないまま年をまたごうとしている。

イ・ギョンミ記者

 
 
尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史の公認介入疑惑と未来韓国研究所の違法世論調査疑惑などの事件の中心人物であるミョン・テギュン氏が14日午後、慶尚南道の昌原地裁に拘束前被疑者尋問(令状実質審査)を受けるために出頭している=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■パンドラの箱になった「ミョン・テギュンゲート」

 9月、「(尹錫悦大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史が4月の総選挙における与党候補公認に介入した」という初めての報道が出てきた。続く報道を通じて、慶尚南道地域の政治ブローカー、ミョン・テギュン氏が大統領選挙の時から非公開の世論調査などを通じて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫妻と深い関係を結んでおり、世論調査費用の代わりに2022年6月の補欠選挙の際にキム・ヨンソン前議員(国民の力)が公認を受けたという情況がさらに確認された。それ以降、尹大統領夫妻との親交を利用したミョン氏関連の疑惑は、各種選挙への介入と世論調査操作、公認・就職斡旋を名目とした金品授受、昌原(チャンウォン)第2国家産業団地の選定過程への介入など、多方面に次々と広がった。この過程でオ・セフン、ホン・ジュンピョ、パク・ヒョンジュン、パク・ワンス、キム・ジンテ、イ・ジュンソク、ユン・サンヒョン、チョ・ウンヒ、ユン・ハンホン、クォン・ソンドン、キム・ジョンインなど有力政治家たちの名前が取りざれた。昨年12月、慶尚南道選管委からキム前議員とミョン氏などの捜査依頼を受けたにもかかわらず捜査を先送りしてきた昌原地検は、ようやく捜査に着手し、今月3日に政治資金法違反疑惑でミョン氏を拘束起訴した。

チェ・サンウォン記者

 
 
秋夕連休の最終日である9月18日午後、ソウル鍾路区の景福宮で、韓服を着た子どもが上着をはだけて暑さをしのいでいる。気象庁は同日午前、江原道と京畿道北部を除いた全国ほとんどの地域に猛暑特報を発令した=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

■暑すぎた秋夕、秋を襲った猛暑

 今年は史上最悪の猛暑が猛威を振るった1994年、2018年に匹敵する年だった。特に9月の「秋の猛暑」は初めての体験だった。秋夕(チュソク、旧暦8月15日の節句)の連休(9月16~18日)の気温は平年より8~9度高く、秋夕当日の最高気温の記録を塗り替えたところが全国で21カ所に達した。ソンピョン(秋夕に食べる韓国のおもち)が腐り、屋外プールがにぎわっていた。連休直後には、ソウルに観測史上最も遅い猛暑警報が出された。2010年以来14年ぶりのことで、特報の基準を体感温度に変えた2020年以降、一度もなかったことだ。欧州連合(EU)の気候監視機構は、今年の地球の気温が産業化以前より1.6度上がり、「歴史上最も暑い年」になるとの見通しを報告した。2015年のパリ協定で立てた目標値1.5度を越えた初めての年となった。一方、8月29日に韓国憲法裁判所は、2030年までに国の温室ガス削減目標を定めた現行法は未来世代の基本権を侵害しているという趣旨の憲法不合致決定を下した。アジアで初の「気候訴訟」判決だった。

パク・キヨン記者

 
 
12月19日午後、ソウルのハナ銀行のディーリングルームにウォン・ドル相場が示されている。同日のウォン相場(始値)の1453.0ウォンは、世界金融危機の2009年3月16日の1488.0ウォン(取引中)以来、約15年9カ月ぶりの最高値=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■物価に続き為替相場まで不安…1ドル1450ウォン

 今年初めから不安な物価が庶民経済を締め付けた。上半期の物価上昇率は一時3%を上回り、特に2~4月は、野菜類など生鮮食品の物価上昇率が20%前後に達した。このような現実を知るや知らずや、大統領は「(長ネギ一束が)875ウォン(約94円)ならリーズナブルだと思う」という世間知らずの発言をし、これは4月の総選挙で与党が惨敗した原因の一つに挙げられた。幸い、下半期に入って物価は安定を取り戻した。

 その代わり、ドルあたりのウォン相場をめぐる不安が広がった。外国人投資家の相次ぐ売り注文がウォン安を煽った。一律関税の導入など一層厳しくなった保護貿易主義を前面に掲げたドナルド・トランプ共和党候補の米大統領選勝利の結果も、ウォンの価値を揺さぶった。そんな中で起きた「12・3内乱事態」は為替市場を直撃した。政治的な不確実性が経済リスクに転移しかねないという懸念が高まり、ウォン相場は一気に1450ウォン台まで急落した。世界金融危機直後の2009年と同じ水準だ。

キム・ギョンラク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
 

非常戒厳がすべて飲み込んだ2024年

【今年の韓国10大ニュース】(3)

登録:2024-12-27 07:30 修正:2024-12-31 07:14
 
 
共に民主党のチョ・ジョンシク事務総長が4月10日、国会議員会館の第22代国会議員選挙状況室で開票序盤に早くも当選した議員の名札に当選ステッカーを貼っている//ハンギョレ新聞社

(2の続き)

■総選挙「共に民主党175議席」…政権に審判下した民意

 民意は厳しかった。「野党192議席、与党108議席」。4月10日の総選挙で与党「国民の力」は大韓民国憲政史で与党がかつて味わったことのない惨敗を記録した。第1野党である「共に民主党」は公認をめぐり物議を醸したにもかかわらず、175席を獲得し、政権審判の全面に出た。尹大統領夫人のキム・ゴンヒ女史のブランドバッグ受け取り疑惑、(海兵隊員)C上等兵殉職事件とイ・ジョンソプ元国防部長官のオーストラリア大使任命の波紋、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「長ネギ1束875ウォン(約94円)はリーズナブル」発言などが重なった結果だった。「尹錫悦検察」の様々な捜査で2年間政治生命を脅かされてきた民主党のイ・ジェミョン代表は、総選挙の圧勝で党内の地位を確固たるものにし、次期大統領選挙への足場を作った。

 政権2年目に迎えた記録的な惨敗は、尹錫悦政権に対する国民の怒りが臨界点に達したことを示す先行指標だった。しかし、尹大統領と与党は最後のシグナルまで無視した。「総選挙で現れた国民の意思を謙虚に受け止め、国政を刷新する」と言った尹大統領は、刷新の代わりに「戒厳」を選んだ。

オム・ジウォン記者

 
 
6月24日、京畿道華城市西新面所在の一次電池製造業者アリセルの工場で火災が発生し、消防関係者たちが鎮火作業にあたっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

■アリセルの火災で移住労働者などが惨事

 6月24日、京畿道華城市(ファソンシ)のリチウム電池メーカー「アリセル」の工場で火災が発生し、移住労働者18人など計23人が亡くなった。パク・スングァン代表が重大災害処罰法違反などの疑いで、息子のパク・ジュンオン総括本部長など役員が業務上過失致死傷などの疑いで裁判にかけられ、現在1審裁判を受けている。遺族の葬儀手続きは事故発生から132日後の11月3日に終わったが、会社と遺族間の補償協議は進展がないことが分かった。

 アリセル惨事は違法派遣・偽装請負を通じた「危険の外注化」と、移住労働者に危険を転嫁する「危険の移住化」が同時に明らかになった事件だった。後続捜査で確認された事故原因は、安全義務を疎かにしたことによる「人災」だった。無許可の派遣業者から労働者を大勢派遣され、安全教育などもまともにせず、熟練が必要な電池製造工程に投入しており、国防部に電池を納品する過程で品質検査の試験データを捏造した事実なども明らかになった。

イ・ジョンハ記者

 
 
8月30日夕方、ソウル江南駅10番出口前で「#ディープフェイク性犯罪アウト(OUT)スピーチ大会」が開かれ、参加者たちがスローガンを叫んでいる=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

■小中高にまで広がるディープフェイク性犯罪

 人工知能(AI)を基盤にイメージや音声を合成する技術「ディープフェイク」による性犯罪が、8月末に社会問題として浮上した。加害者は被害女性たちの写真を盗み、他人の裸体写真と合成して性犯罪物を作り、個人情報も一緒に流布した。小中高校にまでこのような性犯罪が蔓延しているという衝撃的な事実が明らかになってから、ようやく国会、政府が対策作りに乗り出した。合成性犯罪物を所持・購入・保存・視聴したり、流布目的が立証されていない作成行為を処罰する法が10月16日から施行され、テレグラムなど海外のプラットフォーム事業者の性犯罪物流通防止責任も強化することにした。2018年の盗撮拡散、2019年のテレグラム基盤の児童・青少年性搾取「n番部屋」事件に続き、ディープフェイク性犯罪まで、被害が深刻になった後になってやっとその場しのぎの対処が繰り返されている。ジェンダー暴力が技術発展と共に変化する様相を考慮した、総合的な対策準備が引き続き課題になっている。

キム・ヒョシル記者

 
 
「報道機関掌握を阻止する共同行動」の会員たちが7月25日午前、ソウル汝矣島の国会前で「イ・ジンスク放送通信委員長候補の撤退を求める記者会見」を行っている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

■ピークに達した尹政権の放送掌握の試み

 尹錫悦政権の放送掌握の試みがピークに達した一年だった。ファン・サンム前大統領室市民社会首席は「文化放送(MBC)」の記者の前で「MBCはよく聞いておけ」として、かつての「情報司令部による記者テロ事件」に言及し(3月14日)、事実上脅しをかけたことで波紋を呼んだ。放送通信委員会は報道専門チャンネル「YTN」の民営化を一方的に処理(2月7日)し、「リュ・ヒリム放送通信審議委員会」が設けた第22代国会議員選挙放送審議委員会は、MBCだけに17件もの法定制裁を下した。MBCの大株主である「放送文化振興会」の理事の任期満了(8月12日)を控えて任命されたイ・ジンスク放送通信委員長は、就任当日(7月31日)に放送文化振興会など公共放送の理事の交替に乗り出したが、2日後に国会の弾劾訴追案可決で職務が停止された。放送文化振興会の新たな理事任命は裁判所によってブレーキ(8月26日)がかかった。尹錫悦大統領は非常戒厳令を宣布(12月3日)し、「すべての報道機関と出版は戒厳司令部の統制を受ける」と宣言したが、これも志半ばで終わった。

チェ・ソンジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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乗務員2人を除いた179人が死亡する大惨事が発生した。生存した乗務員は「(飛行機の機尾にある)片方のエンジンから煙が出て爆発した」と政府当局に供述した。

2024-12-30 11:37:11 | 韓国を知ろう
 

チェジュ航空惨事、

死亡179人…韓国で発生した旅客機事故で最大の被害

登録:2024-12-30 07:28 修正:2024-12-30 10:58

 

搭乗客181人のうち生存者は乗務員2人
 
 
9日午前9時3分頃、務安空港に着陸する途中でチェジュ航空7C2216便の旅客機が墜落し、火災が発生した=読者提供//ハンギョレ新聞社

 務安(ムアン)国際空港で乗客181人を乗せたチェジュ航空の旅客機が着陸中に滑走路「ローカライザー」(着陸誘導安全施設)と外壁に衝突、火災が発生し、乗務員2人を除いた179人が死亡する大惨事が発生した。今回の惨事は、韓国国内で発生した航空機事故のうち最も多くの人命被害を出した事故として記録されることになった。

 29日の国土交通部と消防庁などの説明を総合すると、この日の事故は午前9時3分頃、務安空港に着陸途中、チェジュ航空7C2216便の航空機が滑走路を離脱した後、ローカライザーと衝突して火災が発生。この旅客機はタイのバンコクから出発して務安に入国した旅客機で、乗客175人と乗務員6人の計181人が乗っていた。

 今回の事故は航空機のエンジンや胴体に鳥の群れが衝突する「バードストライク」で発生した可能性が提起されている。務安空港の管制塔がチェジュ航空の旅客機に着陸直前の午前8時57分頃、バードストライクに注意するよう警告信号を送り、そのわずか2分後に機長が緊急遭難信号の「メーデー」を要請をしたと国土交通部は明らかにした。事故機は当初着陸予定だった1番滑走路から方向を逆に変え、19番滑走路の方向で着陸を試み、わずか3分後の9時3分頃にランディングギアなしで着陸途中に衝突した。

 務安空港は、滑走路を拡張する工事の環境アセスメント(環境影響評価)の協議過程で、バードストライクの懸念が提起されていた。全羅南道は大型旅客機も離着陸できるよう、従来の滑走路2800メートルをさらに360メートル増設し、3160メートルに拡張する工事を2023年1月に着工、来年12月末の完工を目標に進めている。滑走路の拡張工事に関する環境部の環境アセスメントの協議で「絶滅危惧種(ヒシクイ・コウノトリ)など多様な鳥類が確認されており、航空機のバードストライクおよび鳥類の棲息地低減への対策を樹立、履行しなければならない」と摘示されている。

 しかし、ランディングギアがまともに作動しなかったという点で、機器の故障と運行の不備などの可能性も排除できない。国土交通部傘下の航空鉄道事故調査委員会(航鉄委)は、飛行記録装置を回収して分析するなど、正確な事故原因を把握している。

 胴体着陸をした事故機は機尾を除いて全焼した。搭乗者181人のうち、30代の男性乗務員と20代の女性乗務員の2人を除いた179人が死亡。生存した乗務員は「(飛行機の機尾にある)片方のエンジンから煙が出て爆発した」と政府当局に供述した。

 チェジュ航空は、8日に務安空港からタイのバンコクを行き来する定期国際線の運航を開始してから21日で大型事故が起きた。2007年に開港した務安空港には17年ぶりに定期国際線が復活し、今月に入って格安航空会社のジンエアーとチェジュ航空の2社が9カ国に18本の国際線を運航している。

 当局は事故への対応に乗り出した。チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官は、全羅南道務安郡を特別災害地域に指定した。国土部は政府世宗庁舎6階に中央事故収拾対策本部を設置し、全羅南道も災害安全対策本部を稼動している。

チョン・デハ、パク・スジ、キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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習主席は「アゼルバイジャン航空旅客機の墜落事故により死傷者が出たことを知り驚いている。中国の政府と国民を謹んで代表し、犠牲者に深い哀悼の意を表し、遺族に心からのお悔みを申し上げる

2024-12-29 21:56:15 | 中国を知らなければ世界はわからない
 

アゼルバイジャン機墜落事故 

習近平国家主席が関係国首脳に見舞い電報

人民網日本語版 2024年12月27日11:10
 

習近平国家主席は26日、アゼルバイジャン旅客機の墜落事故により死傷者が出たことについて、アゼルバイジャンのアリエフ大統領、ロシアのプーチン大統領、カザフスタンのトカエフ大統領宛てに見舞い電報を送った。新華社が伝えた。

習主席は「アゼルバイジャン航空旅客機の墜落事故により死傷者が出たことを知り驚いている。中国の政府と国民を謹んで代表し、犠牲者に深い哀悼の意を表し、遺族に心からのお悔みを申し上げるとともに、負傷者の一日も早い快復を祈る」とした。(編集NA)

「人民網日本語版」2024年12月27日

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失敗すればほとんどは死刑になるか、あるいはその前に極端な選択をする(自ら死を選ぶ)ケースが多い」として、「世の中に『警告するための戒厳』などというものがどこにあるのか」と声を強めた。

2024-12-28 15:04:03 | 韓国を知ろう
 

韓国の保守論客

「尹錫悦弾劾事由は朴槿恵の1万倍…世の中をなめているのか」

登録:2024-12-28 09:23 修正:2024-12-28 09:39
 
 
                          チョ・ガプチェ元月刊朝鮮編集長=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 月刊朝鮮のチョ・ガプチェ元編集長が「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は特捜部の検事を長く務めていたため、国民を容疑者だと考えて世の中をなめていたようだ」、「だから命をかけるべき事案(非常戒厳の宣布)を『だめならそれでいい』的にやったのだ」と主張した。

 チョ元編集長は27日午前、SBSラジオの番組「キム・テヒョンの政治ショー」に出演し、このように述べた。同氏は「この方(尹大統領)がいくら高い地位にのぼっても、銃を手にして国を守った経験がないと銃のことはよく分からない」とし、「銃を持った集団である軍隊を動員するというのは途方もないことであり、しかも憲法に合わない行動をするというのは命をかけなければならないこと」だと述べた。続けて「(戒厳に)失敗すればほとんどは死刑になるか、あるいはその前に極端な選択をする(自ら死を選ぶ)ケースが多い」として、「世の中に『警告するための戒厳』などというものがどこにあるのか」と声を強めた。

 同氏は、尹大統領は保守の「もっとも反対側にいる人物」だと表現した。チョ元編集長は「保守は有能で礼儀正しい」とし、「(尹大統領は)だまされやすく、国民に対する礼儀がなく、無能だ」と述べた。さらに「軍隊に行っていない大統領が今回非常戒厳を宣布することで見せてくれたのはコメディーではないか。無能なら保守ではない」と述べた。

 尹大統領が非常戒厳宣布の大義名分とした「不正選挙疑惑」についても、「(国民の)一部の中でもかなり知能やそういう部分に問題のある少数集団だけの疑惑」だとし、「(尹大統領は)この疑惑を完全に誇張して戒厳を合理化している」と述べた。さらに「(尹大統領が疑惑を提起したせいで)静かだった不正選挙陰謀論者たちが、やりやすくなったと言って騒ぎだしている」として、「ここ(不正選挙論者たち)にこの方(尹大統領)は最後の希望をかけている」と付け加えた。

 にもかかわらず与党「国民の力」が尹大統領を完全に切れないのは、「公認権という既得権」のせいだと述べた。同氏は「次の地方選挙、次の国会議員選挙で議席を守ろうという計算なのではないか」とし、「だから私は(国民の力を)ウェルビーイング土豪党と呼んでいるのだ」と語った。そして「(尹政権の発足後)国民の力は拍手部隊の役割を果たしてきただけ」と述べた。

 チョ元編集長は「朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾事由と比べると、尹大統領の弾劾事由は1万倍も重い」として、「朴槿恵大統領を弾劾してくれと要求したクォン・ソンドン議員が今、それより1万倍も罪の重い尹大統領を守ろうと乗り出しているのはコメディー」だと話した。朴槿恵元大統領の弾劾政局時にクォン議員は法司委員長で、弾劾訴追委員長を務めている。

チェ・ユナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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今のところ、ハン代行は弾劾訴追を受け入れてでも憲法裁判官を任命しない可能性が高く、「権限代行の権限代行」が発生する史上初の事態が現実化する可能性もあるとみられている。

2024-12-27 13:05:10 | 韓国を知ろう
 

憲法裁判官の任命、

「大統領権限代行の弾劾」にかかっている=韓国

登録:2024-12-26 00:03 修正:2024-12-27 01:21
 
 
ハン・ドクス大統領権限代行兼首相が24日、ソウル三清洞の首相公館で開かれたソウルジャパンクラブ(SJC)の昼食懇談会で、通訳の発言を聞きながら考え込んでいる/聯合ニュース

 ハン・ドクス大統領権限代行兼首相が、憲法裁判官を任命するかどうかで「弾劾の岐路」に立たされている。最大野党「共に民主党」は、ハン代行が憲法裁判官候補のマ・ウンヒョク、チョン・ゲソン、チョ・ハンチャン氏を任命しない場合、早ければ28日にハン代行の弾劾訴追案を国会に報告する方針だ。今のところ、ハン代行は弾劾訴追を受け入れてでも憲法裁判官を任命しない可能性が高く、「権限代行の権限代行」が発生する史上初の事態が現実化する可能性もあるとみられている。与党「国民の力」のクォン・ヨンセ非常対策委員長内定者は、憲法裁判官の任命同意案が国会で可決されれば、憲法訴願を出す意向を示した。「12・3内乱事態」に責任があるハン代行が、内乱を否定する与党の庇護のもと、国政の混乱をより一層深めているという批判が高まっている。

 民主党のハン・ミンス報道担当は25日、国会で記者団に対し、「26日に憲法裁判官候補者3人の国会承認手続きが終われば速やかに任命することをハン代行に求める」と述べた。 国会は26日の本会議で、3人の憲法裁判官候補者の任命同意案を表決するが、在籍議員の過半数の出席、出席議員の過半数の賛成が可決定足数であるため、民主党議員(170人)だけでも可決できる。民主党院内関係者は、「罷免されていない大統領は捜査も逮捕も容易ではない。憲法裁判所の『9人体制』を完成させ、弾劾審判を早く完了するのが最も急がれる課題」だと述べた。

 27日の本会議でハン代行弾劾案を報告すると前日に予告した民主党はこの日、早ければ28日にも弾劾案を議決すると述べた。弾劾案は、本会議の報告の24時間後から72時間以内に表決しなければならない。ウ・ウォンシク国会議長も憲法裁判官の任命を重要視しており、与党が反対しても28日または30日に本会議を開いて弾劾案を表決する意思が強いという。民主党役員のある議員は、「ハン代行は任命を拒否する意志が明確なのだから、わざわざ時間を無駄にする必要はない。ウ議長が週末でも本会議を開く意向があるようなので、土曜日(28日)にも表決ができるとみられる」と語った。

 前日の国務会議で「法理解釈と政治的見解が衝突する懸案」だとし、憲法裁判官任命拒否の意向を示したハン代行の考えにはまだ変化がないとみられる。首相室関係者はこの日「ハン代行は外部日程もなく苦心中」だとし、「熟考する時間が必要であり、与野党協議の状況なども考慮しなければならない」と語った。与党が任命に反対している状況で「与野党の協議」は期待できない。民主党のある重鎮議員は「首相として大統領をきちんと補佐することも説得することもできず、国政が崩れたのに、ハン代行の思い通りに国を牛耳ろうとするなんてとんでもない」と批判した。

 ハン代行は、憲法裁判所の尹大統領弾劾審判で「検事」の役割を引き受けた国会が、「判事」に該当する憲法裁判官の任命に介入することは問題だとみている。マ・ウンヒョク、チョン・ゲソン、チョ・ハンチャン候補者は国会が推薦した人たちだという点を問題視しているということだが、これは尹大統領をかばっている与党のクォン・ソンドン院内代表の主張と一致する。

 同党のクォン・ヨンセ非常対策委員長内定者は同日、憲法裁判官任命同意案が国会で可決された場合、ハン代行が彼らを任命できるかどうか、憲法訴願審判を請求すると述べた。さらに「弾劾が流行し、どの党でも大統領を弾劾しようとする可能性がある。憲法に基づき明確にしておく必要がある」と述べた。一方、憲法裁判所のキム・ジョンウォン事務処長は17日、国会法制司法委員会に対する懸案質疑で、民主党のペク・ヘリョン議員の質問に対し、「国会枠の憲法裁判官3人を任命することは憲法の原則に反しない」という趣旨で答弁した。

 ハン代行のこのような態度は、民主党の要求どおり憲法裁判官を任命しても、内乱罪による処罰などは免れないとみて、与党と保守層を頼りに行動した方が良いという政治的思惑によるものだという指摘もある。民主党のパク・ソンジュン院内首席副代表は同日、「文化放送」(MBC)のラジオ番組で、「(ハン代行には)今の政治地形に対する判断もあっただろう」とし、「内乱と関連し、今後の捜査で明らかになる部分まで考えたのだろう」と主張した。

 ハン代行の弾劾案可決の定足数が、大統領基準の在籍議員3分の2(200人)以上なのか、首相基準の在籍議員過半数(151人)なのかをめぐる論議も、ハン代行の「何もしない戦略」の背景とみられる。民主党はハン代行が「首相」として「12・3内乱事態」に介入したことなどを弾劾理由に挙げ、151人の賛成で弾劾が可能だとみている。一方、ハン代行は(大統領基準の)「200人」に重きを置いているという。200人を満たすには、国民の力から少なくとも8人の造反が必要だ。

 ただし、ハン代行が最終的に憲法裁判官を任命する可能性も残っているとみられる。もしハン代行まで弾劾訴追されれば、チェ・サンモク経済副首相が再び権限代行を引き継ぐ史上初の事態となる。可決定足数をめぐる議論が法的争いにつながり、さらに混乱を極める状況になりかねない。このため、与党内部からも憲法裁判官は任命すべきという声があがっている。親ハン・ドンフン派のパク・サンス報道担当はこの日「仏教放送」(BBS)のラジオ番組で、「憲法裁判官を任命せずに来年4月18日が過ぎれば、今の2人の憲法裁判官の任期が終了する。その事態になれば憲法裁判官の数が4人になるため、憲法裁判所が完全にマヒする」と述べた。内乱罪の捜査対象であるハン代行としても、憲法裁判所の弾劾審判まで進めるのは負担になるとみられている。

チャン・ナレ、コ・ハンソル、ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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