自・公・維・国「悪政4党連合」
VS 共産党・市民 鮮明に
悪法のひどさ・矛盾浮き彫り
終盤国会
(写真)入管法改悪に反対しデモ行進する人たち?21日?東京都渋谷区
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6月21日の会期末まで1カ月を切った国会は、いま参院で悪法とのたたかいが正念場を迎えています。自民、公明、維新、国民民主の「悪政4党連合」によって悪法が衆院で次々と強行される一方で、悪法に反対する市民の怒りや専門家の批判、日本共産党の国会論戦などで悪法のひどさや矛盾が浮き彫りになっています。参院で廃案にとさまざまな分野での新しい世論と運動の広がりが起きています。
軍拡財源法案
岸田政権が進める大軍拡に関わって、医療や年金の積立金などを流用し、「防衛力強化資金」という特別のプールをつくって軍拡の財源をねん出する軍拡財源法案の中身に国民の批判が広がっています。
共同通信の世論調査(6日)では、岸田政権が狙う5年間で43兆円の大軍拡は「適切ではない」との回答が58%と多数を占めました。軍拡財源として増税を行うことを「支持しない」との回答も80%と圧倒的多数を占めています。
24日の参院本会議で日本共産党の小池晃書記局長は、外務省は「専守防衛」の具体的内容として「防衛費の対GDP(国内総生産)比は1%程度」をあげていたことを指摘。「政府の見解に照らしても軍事費2倍化は『専守防衛』に反する」と追及しました。岸田文雄首相はまともに答えられませんでした。
維新・国民は衆院で同法案に反対しましたが、大軍拡と軍事費の大幅な増額をあおり、軍拡財源は「増税ありき」ではなく「まずは行財政改革を」「増え続ける社会保障関係費の抜本的な見直しを」(維新)、「法案の内容が不完全」(国民)などと主張しているのが実態です。両党は衆院では、立憲民主党が提出した財務相の不信任決議案に反対。与党の採決日程の提案に賛成し、廃案を求める野党の行動を、維新が「昭和のやり方だ」とののしるなど法案の強行に手を貸しています。
入管法改悪案
難民認定申請中は送還が停止される規定に例外を設けるなど、難民・外国人の命を危険にさらす入管法改悪案に対しては、日本共産党、立憲民主・社民、れいわ、沖縄の風の野党4会派が対案となる難民等保護法案と入管法改正案を参院に共同提出。政府案と並行して審議され、野党案が国際人権法と憲法にかなう、入管制度の根本的是正の道筋を照らし出しています。
政府の改悪案は「難民申請者の中に難民はほとんどいない」と発言した難民審査参与員の柳瀬房子氏の発言が前提とされています。ところが、同氏が関与した審査件数が年間30日ほどの勤務日数で1000件を超えるなど異常で、審査の適切さに重大な疑問が生じるなど法案の土台が崩れつつあります。
移住者や外国にルーツをもつ人たちと連帯しながら、法改悪に反対し、すべての人の尊厳を守れと求める運動が日増しに大きくなっています。
マイナンバー法等改定案
健康保険証を廃止してマイナンバーカードを強要するマイナンバー法等改定案をめぐっては、「マイナ保険証」に別人の情報がひもづけられていた事例が7312件もあったのに、岸田政権がこの重大事実を5月まで国会に説明していなかったことが発覚しました。マイナンバーカードの普及を最優先にして個人情報保護をないがしろにする政府の姿勢があらわれています。
政府は、「マイナ保険証」への一体化は誤入力を防ぐためだと説明してきましたが、参院特別委員会の審議でも「マイナ保険証こそ誤入力で別人の情報にひもづく」(19日、日本共産党の伊藤岳議員)ことが浮き彫りになりました。日本共産党は、法案の審議は中止し、事態の解明を最優先で行うべきだと求めています。
軍需産業支援法案
軍需産業に国民の血税をつぎこむ軍需産業支援法案の参院審議も26日から始まりました。同日の本会議で日本共産党の山添拓議員は、政府の「安保3文書」と法案は、企業などに軍需産業への一層の適応を求め、至れり尽くせりの支援メニューを用意し、空前の大軍拡で莫大(ばくだい)な利益を保証しようとするものだと批判しました。
山添氏は、一方では今年度予算で中小企業や農業の予算が連続して削減されていると指摘。社会保障費も削られ、国立病院や年金の積立金まで軍事費に充てられようとしているが、「くらしの予算を削り軍事費に充てるのは言語道断だ」と強調しました。
原発推進等5法案
原発回帰への大転換を進める原発推進等5法案(GX電源法案)とのたたかいも参院で正念場を迎えています。同法案は、原発の「60年超」運転を可能にするため、運転期間を制限する条文を原子炉等規制法から削除し、推進側である経済産業省が所管する電気事業法に移します。
日本共産党の岩渕友議員は参院で審議入りした10日の本会議で、脱炭素やエネルギー危機を口実に、原発事故の反省も教訓も投げ捨て原発回帰に突き進む政府を厳しく批判。首相に「安全神話に陥り、再び事故を起こしたら責任をとれるのか」と迫りました。原発優先の政策が再生可能エネルギーの導入を阻んでいると指摘し、「原発からの撤退、石炭火力発電所の全廃と徹底した省エネ、再エネの大量導入で脱炭素を実現するべきだ」と求めました。
同法案をめぐっては、福島大学名誉教授ら9人が22日、福島県での地方公聴会開催を求める要望書を参院経済産業委員会に送付するなど、原発事故の被害者を置き去りにしたまま、審議をすすめることに抗議の声が高まっています。