日・イスラエル関係
ガザ攻撃加担の行為をやめよ
米国や英国などの各地の大学で、パレスチナ・ガザ地区へのイスラエル侵攻に抗議する学生の運動が大規模に広がっています。学生らは、大学の基金などによるイスラエル関連企業への投資をやめるよう求めています。所属する大学がガザへの攻撃に加担しないようにするためです。
ところが、岸田・自公政権は、イスラエルとの経済連携協定(EPA)の締結に向け、産官学による両国の共同研究を行っています。イスラエルの軍需企業が製造する攻撃型無人機の自衛隊への導入も検討しています。イスラエルの国際法違反を事実上追認し、同国の軍需産業を利する行為は一切やめるべきです。
■経済協力促進狙う
EPAの問題は、日本共産党の穀田恵二議員が4月5日の衆院外務委員会で取り上げました。
日本とイスラエルは2017年に投資協定を締結しています。そのこと自体問題ですが、EPAは投資の促進や貿易の自由化にとどまらず、「ヒト・モノ・カネ」の自由な移動を可能にし、より幅の広い経済関係の強化を目指すものです。
両政府は22年、産業界や学界からも参加するEPAの共同研究を始めました。これまで会合を3回開き、現在、報告書作成に向けて調整中とされます。穀田氏は具体的な参加者をただしましたが、上川陽子外相は公表を拒否しました。
穀田氏は、イスラエルがガザへの攻撃後、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区への入植活動を格段に強めていることを指摘しました。その上で、日本政府が入植活動を「国際法違反」として凍結を求めている立場と、EPAの締結で経済協力を促進しようとする立場は矛盾すると述べ、共同研究の即時中止、EPAの締結交渉はしないことを強く求めました。上川外相は「適時適切に判断する」と述べるにとどまりました。きっぱりと中止すべきです。
■軍需産業を利する
イスラエルの軍需企業から攻撃型無人機を購入しようとする動きは、日本共産党の山添拓議員が3月12日と5月14日の参院外交防衛委員会で追及しました。
防衛省とイスラエル国防省は19年に「防衛装備・技術に関する秘密情報保護の覚書」を結んでいます。岸田・自公政権が22年に決めた安保3文書は、無人機や無人車両など「無人アセット防衛能力」を整備するとしており、総事業費は5年間で1兆円に上ります。
防衛省はその一環として、多用途・攻撃用無人機と小型攻撃用無人機の選定に向け、実物を使った実証試験の契約を結んでいます。契約した7機種中5機種がイスラエルの軍需企業が製造しているものです。
このうち、イスラエルの軍需企業エルビット・システムズは伊藤忠商事と協力覚書を結んでいました。しかし、伊藤忠商事は2月、国際司法裁判所(ICJ)がガザでのジェノサイド(集団殺害)防止の暫定措置命令をイスラエルに出したことを踏まえ、協力を打ち切ると発表しました。
山添氏はこうした動きにも触れ、イスラエル製無人機を導入し、イスラエルの軍需企業を支えることは絶対にやってはならないと訴えました。政府は導入の検討をやめるべきです。