共に民主党のパク・チャンデ院内代表は31日午前9時30分、ソウル汝矣島の国会院内代表室で緊急記者会見を行い、尹大統領と公認・国政介入疑惑の中心人物であるミョン・テギュン氏の通話録音を公開した。

2024-11-01 22:59:35 | 韓国を知ろう
 

大統領「公認指示し任期中に実行」…朴槿恵元大統領は共謀だけで有罪

登録:2024-11-01 06:24 修正:2024-11-01 09:11

 

【集中分析】公職選挙法違反の有無、公訴時効、判例
 
 
(左から)ミョン・テギュン氏、尹錫悦大統領、キム・ヨンソン前議員=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が2022年5月9日、キム・ヨンソン前議員の補欠選挙での公認を巡り、自ら公認を指示したという内容が含まれた肉声の録音が公開された。録音内容によると、大統領当選者時代に公認介入が行われ、大統領任期中に実行(公認確定)された。当選者の法的地位、公職選挙法に違反するかどうか、公訴時効などを、関連法令と憲法裁判所・裁判所の判例をもとに分析した。

 共に民主党のパク・チャンデ院内代表は31日午前9時30分、ソウル汝矣島の国会院内代表室で緊急記者会見を行い、尹大統領と公認・国政介入疑惑の中心人物であるミョン・テギュン氏の通話録音を公開した。

 この対話で尹大統領はミョン氏に「公管委(公認管理委員会)が私に持ってきたので、『キム・ヨンソンが(大統領選挙候補を選ぶための)党内予備選挙の時も一生懸命やってくれたから、それ(公認)はキム・ヨンソンに決めてほしい』と言った」と語った。2021年の「国民の力」の大統領選候補選びの過程で、キム・ヨンソン前議員が積極的に協力したから、同党の公認管理委員会にキム前議員を公認するよう指示したということだ。国民の力の6・1再・補欠選挙の公認管理委員会は、尹大統領の発言があった翌日の5月10日、キム前議員をまったくゆかりのない慶尚南道昌原市義昌区(チャンウォンシ・ウィチャング)の補欠選挙の公認候補に確定した。

 民主党は尹大統領とミョン氏が電話で話したのは2022年5月9日だと発表した。尹大統領の就任前日だ。「大統領当選者」の地位と権限については、大統領職引継ぎに関する法律で礼遇と権限が定められている。「大統領当選者は大統領職引き継ぎのために必要な権限を持つ」となっており、その権限で任期開始前に首相および国務委員候補の指名権限を有する。国務委員指名の権限、任期5年の国政の下絵を描くための大統領職引継ぎ委員会の設置など、現職大統領に準ずる礼遇と一定の権限が与えられる。ただし、当選者はまだ選出職公務員ではない。

 しかし、実際に公認が確定したのは、大統領の任期開始初日の5月10日だ。民主党の「ミョン・テギュンゲート真相調査団」団長のソ・ヨンギョ議員は「(公認指示の)行為が影響を及ぼした公認発表が任期中に行われた」と述べた。公認の指示は大統領当選者だった時に行われたが、実際に実行(公認の確定)されたのは、現職の大統領になってからということだ。

 公職選挙法は「政党の公認は民主的手続きに従わなければならない」と定めている。このため、政党民主主義を害する公認への介入は、重大な公職選挙法違反で処罰の対象になってきた。

 公職選挙法の公訴時効は選挙日基準で6カ月。ところが、公務員の地位を利用して公職選挙法に違反した場合は、公訴時効が10年に増える。憲法裁判所は、朴槿恵(パク・クネ)元大統領の公職選挙法違反と関連し、「公務員が地位を利用して選挙犯罪を犯した場合、一般人に比べて選挙の公正と自由を大きく阻害し、それによる影響と弊害が大きい。このような犯罪は公権力によって組織的に隠蔽され、短期間に明らかになりにくいこともあり、短期の公訴時効を適用した場合、処罰規定の実効性を確保できない恐れもある」として、「公訴時効10年」の条項に合憲決定を下した。

 尹大統領は党員として公認について公認管理委員会に「個人の意見」を明らかにしただけだと主張することもできる。しかし尹大統領は検事時代、朴槿恵氏が大統領時代に公認への介入を承認・共謀したという容疑だけで起訴した。

 第20代総選挙を控え、親朴槿恵派の議員らが公認を受けられるよう指示し、親朴(槿恵)リストと公認規則関連の対応資料などを公認管理委員会に伝え、親朴候補の出馬地域区選びなどに関与し、非朴派の排除と親朴派の単数公認などの指示に関与した疑いだ。裁判所は同事件の裁判で、大統領が公認に直接介入せず、公認管理委員会の構成に影響を及ぼしただけでも有罪を言い渡した。

 元祖「尹核関(尹大統領の核心関係者)」であるクォン・ソンドン議員(国民の力)は31日、尹大統領の肉声が公開された後、「党の第1号党員である大統領や大統領当選者として自分の政治的な意見を言える」と援護した。

 これに対する判断基準になりうる裁判所の判例も、尹大統領が起訴した朴槿恵氏事件から見つけることができる。裁判所は選挙運動企画行為など公職選挙法違反の疑いで起訴したこの事件で、大統領の「単なる意見開陳」と「能動的な意見開陳」を区分した。

 裁判所は「大統領も党員であるため、公職選挙法で許す通常の政党活動の一つとして選挙に関する意見を開陳することができる。しかし、非朴派候補の排除と親朴派候補の多数当選という明確な目的意識を持って計画的かつ能動的に実行したため、政党員としてできる単なる意見開陳とは言い難い」と有罪を宣告した。

 憲法裁判所は、大統領弾劾が可能になるためには「憲法と法律の重大な違反」という基準を提示している。公認への介入は、憲法と公職選挙法などが規定する政治的中立などの大統領の義務に対する重大な違反に当たる。国会が当時朴槿恵大統領を弾劾訴追した時点では、公認への介入は含まれていなかった。その後、尹錫悦ソウル中央地検長時代に公認への介入疑惑で追加起訴され、2018年11月に懲役2年が確定した。

キム・ナミル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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大統領室高官は同日、記者団に「我々にはウクライナという友好国に(対して)、北朝鮮軍の活動の戦況を調べ、分析し、モニタリングする義務が与えられている」と述べた。

2024-10-31 17:47:42 | 韓国を知ろう
 

違憲論議にも…国会の同意なしに

「戦況分析チームのウクライナ派遣」進める尹政権

登録:2024-10-31 06:24 修正:2024-10-31 08:31

 

大統領室、戦況分析チームをウクライナに送る方針を表明
 
 
15日(現地時間)、ウクライナのミコライウ村で、ロシア軍の攻撃により現地の市場が燃えている=ミコライウ/AP・聯合ニュース

 韓国大統領室が30日、ロシアに派兵された北朝鮮軍の活動をモニタリングすることは「政府の義務」だとし、戦況分析チームを現地に送る意向を明らかにした。これに先立ち、キム・ヨンヒョン国防部長官は24日、国防部の訓令を根拠に「個別レベルの派兵」は国会の同意なしに自分の政策決定だけで可能だと主張したが、法律専門家はこの訓令に違憲の素地があると指摘した。野党は「国会の同意なしに一人でもウクライナに送るなら、キム・ヨンヒョン国防部長官を弾劾する」と警告した。

 大統領室高官は同日、記者団に「我々にはウクライナという友好国に(対して)、北朝鮮軍の活動の戦況を調べ、分析し、モニタリングする義務が与えられている」と述べた。さらに「北朝鮮がウクライナとの戦争を通じて現地で実戦経験を積み、現代的な戦術を習得することは、韓国に対する直接的な軍事的脅威になる。韓国も防衛的に正当に彼らの活動を分析する必要がある」とし、「今後(北朝鮮軍の)活動と戦況をモニタリングするチームをあらかじめ作って送る準備をする必要性を感じている」と説明した。

 国情院も前日、国会情報委員会による国政監査で、ウクライナ参観団の派遣と北朝鮮軍捕虜の尋問への参加に肯定的な立場を示した。これらを踏まえると、戦況分析チーム(参観団)の任務には、北朝鮮軍の兵器体系と戦術、ウクライナ戦争の教訓の分析や、北朝鮮軍捕虜の尋問への参加などが含まれる見通しだ。この場合、軍の兵器体系の専門家や軍情報要員などが参加する可能性が高い。

 国防部は、戦況分析チームは国会の同意なしに派遣できるとみている。キム長官は24日、国会国防委員会による国政監査で「規模、期間、任務を考慮し、個別的な派兵は国会の同意なしに長官の承認のもとで進めることができる」と答えた。

 キム長官の主張は「国軍の海外派兵業務訓令」に基づいたものだ。同訓令は、海外派兵を「部隊単位」と「個人単位」に分け、個人単位の海外派兵は国会の同意なしに国防部長官の政策決定によって行われると明示している。この訓令は、李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2009年8月に施行された。

 法律専門家らはこの訓令が「派兵をする時、国会の同意を得るよう強制」した憲法第60条2項の趣旨を無視しており、違憲だと指摘する。西江大学法科大学院のイム・ジボン教授は「憲法条項に根拠のないことをするのも違憲だが、憲法で明示した内容に逆らうものであれば、より明白な違憲」だと語った。法務法人「ヘマル」のイム・ジェソン弁護士は「韓国憲法が国軍の海外派遣を国会の同意事項にしたのは、軍事領域に対する行政府の権限を立法府が適切に牽制する憲法的決断であり、三権分立を象徴する代表的な規定」だとしたうえで、「この国会同意手続きは法律でも制限できないのに、これを長官が定める行政規則に過ぎない訓令で(国会の同意を)避けられるという主張は違憲そのもの」だと批判した。

 共に民主党のキム・ビョンジュ最高委員はこの日午前、最高委員会議で「参観団という名前で国会同意を避けるために派兵する姑息な手」だとし、「国軍を一人でも送れば派兵であり、国会の同意事項だ」と述べた。また「民主党はもし尹錫悦政権が国会同意なしにウクライナに参観団を送るならば、国防部長官の弾劾など様々な法的手段を講じる」と語った。市民団体では、憲法裁判所にこの訓令の権限争議審判を請求し、効力停止仮処分申し立てなども準備している。

 
 
チョ・テヨン国家情報院長、キム・ナムウ国家情報院基調室長、ファン・ウォンジン国家情報院第2次長、ユン・オジュン国家情報院第3次長が29日午前、ソウル瑞草区の国家情報院で開かれた国会情報委員会による国政監査に参加している=国会写真記者団//ハンギョレ新聞社
シン・ヒョンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「非道な政権の下で、その政権の代表である大統領の名前が入った勲章・褒章を、到底受けることができない」とし、勲章・褒章を拒否する理由を説明した。

2024-10-29 14:50:30 | 韓国を知ろう
 

尹政権の勲章を拒否した教授

「検察共和国のトップが与える賞に何の意味があるのか」

登録:2024-10-29 06:29 修正:2024-10-29 07:53

 

勤政勲章「未申請確認書」を提出した仁川大学のキム・チョルホン教授
 
 
 
                                        キム・チョルホン教授=本人提供//ハンギョレ新聞社

 仁川大学のキム・チョルホン教授が定年退任を控えて政府が与える勲章・褒章を受けないという「退職教員政府褒賞未申請者確認書」を大学に提出した。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領の名前の入った勲章を受けたくないという趣旨だ。

 仁川大学産業経営工学科のキム・チョルホン教授は28日、ハンギョレとの電話インタビューで、「非道な政権の下で、その政権の代表である大統領の名前が入った勲章・褒章を、到底受けることができない」とし、勲章・褒章を拒否する理由を説明した。キム教授は「国民の安全を守るのが国の基本義務だ。その義務のために選出職の公務員である大統領を選ぶわけだが、今の大統領はこの国が自分のものであると考えているようだ」とし、「弾劾まで取りざたされている人から勲章を受けるのは理にかなっていないと考え、拒否感もあった」と述べた。

 キム教授は、作家ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞をまともに祝うことができない雰囲気を作った点、研究開発(R&D)予算を大幅に削減する一方、外遊に予備費まで使った点、検察共和国を作った点なども勲章・褒章を拒否する理由に挙げた。

 
尹錫悦大統領が8月29日、ソウル龍山大統領室のブリーフィングルームで開かれた国政ブリーフィングと記者会見で、記者団の質問に答えている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 キム教授は1993年3月1日に仁川大学助教授に任用された後、32年(退任時期の2025年2月まで)間教授として在職した。勤政勲章は33年以上の経歴があれば受けることができるが、キム教授は3年間の軍経歴も含め、勤政勲章の対象者に分類された。キム教授は1990年代から仁川の労働現場を訪ね、労働災害、労働者の健康権と関連した研究を続けてきた。2002年に「健康な労働世界」を創立して2023年まで初代代表を務め、2001年には仁川大労働科学研究所の創立にも関わった。さらに全国教授労働組合では2000年から2023年まで国公立大学委員長を担った。

 以下は、キム教授の勲章放棄趣旨の文章全文。

こんな勲章、要らないから、持っていけ!

キム・チョルホン(仁川大学教授、前教授労組国公立大学委員長)

 数日前、大学本部から定年を控えて勲章・褒章を授与するため、教育部に提出する功績調書を作成してほしいと言われた。功績調書の文書を前にして、様々な考えが頭をよぎった。まず、これまで大学の先生として自分がやってきたことにどんな価値があって、勲章の対象になるのかをじっくり考えてみた。

 勲章とは国家のために犠牲を払ったり明確な功績を立てた者に授与され、功績の程度と基準によって授与される勲章が違うという。大学の教授といえば、以前より社会的地位やプライドが大分低くなったとはいえ、まだ一定のレベルの経済社会的既得権層に含まれる。すでに社会的既得権で多くの恩恵を受けた人が、一定以上の時間が経てば受け取ることのできる、まるで皆勤賞のような勲章・褒章に何の意味があるのかと思った。

 また、勲章・褒章の証書に書かれる授与者の名前に強い拒否感があった。勲章・褒章の授与者がなぜ大韓民国または職責上の大統領ではなく、「大統領尹錫悦」にならなければならないのかだ。尹錫悦は選出された5年任期の政務公務員だ。もし勲章・褒章を受けるとしても、祖国の大韓民国の名前ならまだしも、まともに国を代表する価値と資格のない大統領から授かりたくない。勲章や褒賞をするに当たっては、受け取る人にもそれに値する資格が必要であるが、授与する人にも十分な資格が備わっていなければならない。

 ノーベル文学賞の受賞をまともに祝うこともできない雰囲気を作ったのはもちろん、イデオロギーと地域感情で罵倒し、ついに有害図書に指定する無知な政権だ。国家の未来のための基本となるべき研究関連のR&D予算は大幅に削減し、外遊を口実にした海外旅行には国家の緊急予備費まで惜しみなくつぎ込む非道な政権だ。法務部の公務員に過ぎない検事たちが司法機関を僭称し、恐怖政治の先鋒隊に転落した検察共和国のトップである尹錫悦の名前が付けられた勲章に、何の意味と価値があるだろうか。

 国を両極端に切り裂き、陣営間の政治的利益だけを狙う、人間の住む世界を獣の世界にして、民衆の暮らしのことは無視したまま、自分の家族と一部支持層だけを気にする大統領にもらった勲章・褒章が、わが家の居間に置かれることを想像するだけでおぞましい。

 毎週末、(集会のために)龍山(ヨンサン)と光化門(クァンファムン)に向かうことのないよう、支持率20%なら恥ずかしいと思って自ら退くべきだ。国をうまく率いる能力も意志もないなら、(大統領の座から)降りてきて、長くない秋の日に夫人の手を握って紅葉でも楽しむことを勧める。勲章を拒んだ憂さ晴らしと言ってもいいし、勇気のない世間知らずの学者の小さな抵抗と言われてもかまわない。

「こんな勲章、要らないから、持っていけ!」

イ・スンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「体格が大きな動物は、成熟が遅く繁殖率が低いが、頭脳が大きければ生存率が高まる」とし、「大きな頭脳を保有した動物だけが、ヒトの圧力に対処し、急激な気候変動に適応できた」と

2024-10-26 13:27:14 | 韓国を知ろう
 

小型バスの大きさの「オオナマケモノ」、なぜ絶滅したのか

登録:2022-04-05 05:59 修正:2022-04-05 10:03

 

[アニマルピープル] 
新生代末期の哺乳類の大量絶滅……生存動物、脳の大きさが53%大きい 
大きな頭脳、気候変動と人類の狩りに対応する柔軟性を提供
 
 
小型バスの大きさのオオナマケモノの骨格化石。巨大動物は気候変動や人類の狩りに脆弱だったが、頭脳が大きな動物は生き残った=ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 マンモスをはじめ、小型バスの大きさのオオナマケモノ(メガテリウム)や、乗用車の大きさのアルマジロなどの巨大動物が絶滅した理由の一つが、脳が小さく、当時の環境変化に柔軟に適応できなかったからだとする研究結果が出た。

 イスラエルのテルアビブ大学の動物学者ジャイコブ・デンビッツァー氏らは、科学ジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ」 最新号に掲載した論文で、「大量絶滅が発生した新生代第四紀末期(11万5000年~500年前)では、脳が大きい動物ほど生存確率が高く、生き残った哺乳類の脳は、絶滅した動物より53%大きかった」と明らかにした。

 大型哺乳類の半分近くが消えた新生代末期の大量絶滅の主要原因は、気候変動と人類の拡散だとされている。最後の氷河期が2万5000~1万2000年の間に地球の相当部分を氷で覆った後、突然、急速に間氷期がやってきて、動物たちは生息地を急いで移さなければならなかった。人類がユーラシアから初めてアメリカとオーストラリア大陸に急速に広まっていき、ヒトを初めて見た動物を容易に獲物にした。

 
 
氷河期のスペインの巨大動物を描いた想像図。マンモスやケブカサイなどがみえる=ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 このような環境変化に最も脆弱なのは、体格が大きな動物だった。巨大動物はさほど個体数が多くないうえ、寿命が長くて出産率が低く、もとから絶滅のリスクが高い。

 ならば、なぜ、ゾウやホッキョクグマのような大きな動物は生き残ったのだろうか。研究者らは「現生の哺乳類291種と絶滅した50種の頭脳の大きさを分析した結果、体の大きさに続き頭脳の大きさも巨大動物の生死を分けた要因だった」と明らかにした。

 体格が大きな動物がいかに脆弱であるかは、市内バスの大きさの4.6トンのオオナマケモノが絶滅し、それより重さが200分の1のオオアリクイ(24キログラム)が生き残ったことがよく示している。絶滅したアンティクウスゾウは、重さがアフリカゾウの3倍近い11トンに達した。

 
 
アフリカゾウより3倍も大きかったアンティクウスゾウの模型=ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 研究者らは「同じ大きさの動物のうち、相対的に小さな頭脳の分類群で絶滅率が高かった」とし、ナマケモノやアリクイなどが属する有毛目、アルマジロが唯一生き残った被甲目、1トンサイズの巨大有袋類が消えたカンガルー目が、そのような分類群だと明らかにした。

 大きな頭脳を持つ動物は、変化する環境に柔軟に適応できる。水と餌をどこかで見つけ、新たに出現したヒトの狩猟術に対応する方法を探しだす。研究者らは「4000年前の原住民がオーストラリアから連れてきた犬が野生化したディンゴが、当時、その地位を独占していた捕食者のフクロオオカミやタスマニアデビルを圧倒したのも、大きな頭脳のおかげ」だと明らかにした。

 しかし、大きな頭脳は必ずしも動物の生存に有利なわけではない。頭脳の維持にエネルギーを多く使い、頭脳が大きい場合、妊娠期間が長くなり、次の子どもを産むまでの期間が広がり、子どもを少なく産むことになって、かえって絶滅しやすくなる。

 
 
強力な装甲で数千万年を生きたが人類の出現とともに絶滅した重さ2トンのグリプトドンの想像図。脳が非常に小さい=ノブ・タムラ/ウィキメディア・コモンズ提供//ハンギョレ新聞社

 アルマジロの親戚であるグリプトドンは、大きな頭脳が進化に必ずしも有利ではないことの証拠だ。固い装甲ととげで武装した装甲車のような重さ2トンのグリプトドンは、捕食者を心配することなく、小さな頭脳で2300万年を生きてきた。しかし、1万5000年前、アメリカ大陸にヒトが入ってくると、まもなく絶滅の道に入り込んでいった。

 研究者らは「体格が大きな動物は、成熟が遅く繁殖率が低いが、頭脳が大きければ生存率が高まる」とし、「大きな頭脳を保有した動物だけが、ヒトの圧力に対処し、急激な気候変動に適応できた」と明らかにした。また、「今日まで生き残った大型動物を説明できるのは、頭脳の大きさ」だとし、「体が大きいほど、脳の大きさが小さければ絶滅の確率は高くなる」と明らかにした。

引用論文: Scientific Reports, DOI: 10.1038/s41598-022-07327-9

チョ・ホンソプ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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現在の慶尚南道金海(キムヘ)地域で約1500年前に栄えた金官伽耶国の人々が、貝殻を混ぜて土を積み上げ城を築いていた痕跡が明らかになった。

2024-10-24 19:00:17 | 韓国を知ろう
 

1500年前の金官伽耶王城跡に…

貝殻を土に混ぜて積み上げた痕跡=韓国

登録:2024-10-22 21:19 修正:2024-10-22 21:54
 
金海市の国家史跡、鳳凰台古墳を発掘調査中に確認 
 
 
貝殻の破片を混ぜて土層を固めて積み上げた発掘断面の細部。考古学の専門用語で「貝殻盛土層」と呼ばれる=韓国国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社

 現在の慶尚南道金海(キムヘ)地域で約1500年前に栄えた金官伽耶国の人々が、貝殻を混ぜて土を積み上げ城を築いていた痕跡が明らかになった。

 国立文化遺産研究院・国立伽耶文化遺産研究所(オ・チュンヨン所長)は、金官伽耶王城跡とされてきた金海の鳳凰洞(ポンファンドン)遺跡(国家指定史跡)の一部である鳳凰台の丘一帯を発掘調査した結果、5世紀頃に実施された大規模な敷地造成工事の痕跡を確認したと、22日発表した。

 研究所側は、鳳凰台の丘の東側の傾斜した地点と平地を調査する過程で、伽耶の人々が大規模に貝殻を混ぜて積んだ土層(盛土層)を発見したと明らかにした。この土層は、丘の北東側の低い地帯を埋めて作ったもので、地盤を丈夫にするためにたくさんの貝殻片を混ぜて斜めに重ね合わせて積み上げたもの。最大深さは4メートル、長さは周辺の鳳凰土城の城壁一帯まで含めて100メートル以上とみられる。5世紀頃、鳳凰台の丘を囲んで繰り広げられた土城の城壁(周囲約1.5キロメートルと推定)築造工事の一部の跡であると推定されるという。

 
 
              貝殻盛土層が露出した発掘遺跡の西側断面=国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社

 傾斜した土地の周囲に土を重ねて固め積み上げる工法は、古代朝鮮半島の人々が広い土地を造成する際に主に使われた。慶州の皇龍寺跡(ファンリョンサジ)、扶余の金剛寺跡(クムガンサジ)など三国時代の寺跡に先例があるが、鳳凰台の発掘遺跡はもっと早い時期に造成されており、貝殻を混ぜて積み上げた点が特異だ。研究所側は「底径6~8メートル前後、高さ1メートル前後の盛り土を積み、これを中心にいくつか同心円状に土地を固めて積み上げた盛土作業がなされたことを示す平面構造が新たに明らかになったことに意味がある」として「完全には明らかになっていない金官伽耶王城跡の面貌を究明するのに役立つだろう」と期待した。

 調査現場の公開説明会は24日午後2時に開かれる。研究所側はこの席で、これまで鳳凰台一帯で発掘した生活土器類や鹿・鯨・鮫などの動物の骨、儀礼に使われたと推定される卜骨や土偶、模型土器、動物の骨矢じり、鉄鉱石、送風管なども見せる予定だ。

 
 
人工敷地の造成工事の痕跡が明らかになった発掘現場。貝殻片を大規模に混ぜて土層を固めて積み上げた様子が発掘した断面に表れている=国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社

 鳳凰洞遺跡は1963年に国家指定史跡に指定された金海の会ヒョン里(フェヒョンニ)貝塚遺跡と、1990年代に本格的な発掘が行われた鳳凰台丘一帯の遺跡を、2001年に一つにまとめて拡大指定された国家史跡だ。昔から金官伽耶の王城と伝えられ、日本による植民地時代から最近まで鳳凰台の丘と周辺一帯に対する発掘調査が続いてきた。調査を通じて船を浦口に置いた接岸施設跡や倉庫建物跡、鉄を掘る冶鉄跡、貝塚、土城、支石墓など紀元前の青銅器時代から4~5世紀の金官伽耶時代に至る多期な遺跡が明らかになっている。

 
 
遠方から見下ろした金海市の鳳凰洞遺跡の全景。写真の中で下の方に青色のシートで区画したところが、伽耶時代の大型工事跡が出てきた発掘現場=国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社
 
 
発掘調査で明らかになった貝殻盛土層の平面構造を上から見下ろした姿=国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社
 
 
発掘過程で明らかになった建物跡の様子=国立伽耶文化遺産研究所提供//ハンギョレ新聞社
ノ・ヒョンソク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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