軍事費だけは前年度比9・4%増の8・7兆円と異常に突出しているのが「最大の問題だ」と強調しました。

2025-03-05 19:43:46 | 世界平和を実現するために

2025年3月5日(水)

大軍拡予算案 自公維可決 衆院通過

暮らし冷遇 大企業優遇 田村貴昭氏が反対討論

日本共産党が組み替え動議

 大軍拡と大企業へのばらまきを推進する一方、国民の暮らしに極めて冷たい2025年度予算案が4日、衆院本会議で採決され、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決、衆院を通過しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、れいわ新選組などは反対しました。


写真

(写真)反対討論に立つ田村貴昭議員=4日、衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭議員は反対討論(要旨)で、暮らしの予算は物価上昇に追いつかず実質マイナスだと指摘。一方、軍事費だけは前年度比9・4%増の8・7兆円と異常に突出しているのが「最大の問題だ」と強調しました。

 安保3文書に基づく5年間で43兆円の大軍拡計画で、軍事費はこの3年で3・3兆円増えています。田村氏は「長射程ミサイルをはじめ、違憲の『敵基地攻撃』態勢を新たな段階に進めるもので戦争の危険を増大させる」と警告。米軍辺野古新基地建設の中止と基地建設強化予算の削除を求めました。さらに石破茂首相が日米首脳会談で27年度以降の抜本的な防衛力の強化を約束し、軍事費のGDP(国内総生産)比2%超えもあると答弁したことは「極めて重大だ」と批判しました。

 安倍政権下での法人税率引き下げや大企業への優遇税制による減税額は、11・1兆円にまで膨張しています。田村氏は、大企業優遇税制にメスを入れ、研究開発減税や連結・通算納税制度などを廃止・縮減し、法人税率は安倍政権以前の28%に引き上げ(中小企業を除く)、富裕層の税負担が軽くなる「1億円の壁」を是正するよう要求。所得の低い人ほど負担が大きくなる消費税を緊急に5%に減税するよう求めました。

 田村氏は、暮らしに冷たい石破政権の姿勢を端的に示しているのが高額療養費制度の改悪だと強調。患者団体や医療学会の声を無視した負担の引き上げは許されないと主張しました。

 予算委員会で日本共産党は、予算案を抜本的に組み替える動議を提出しましたが、共産党以外の各党の反対で否決されました。立民提出の予算修正案については、財源での考え方が異なる点もあるとした上で、学校無償化やケア労働者の処遇改善などは共産党も要求してきたとして賛成。しかし他の各党の反対で否決されました。

 本会議では、所得税法、地方税法、地方交付税法の改定案が、自公維などの賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。

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第2次トランプ政権の主導者たちは、米国の対外政策の失敗と悲劇は世界各地に介入した強硬な「ネオコン」に振り回されたせいで起きたと考え、彼らと断固として一線を引くことを主張する。

2025-01-29 09:41:02 | 世界平和を実現するために
トランプ2.0の
朝米首脳会談と危うい世界【寄稿】
登録:2025-01-25 08:46 修正:2025-01-29 06:59
 
ペク・スンウク|中央大学社会学科教授、『つながる危機』著者
 
 
2018年6月12日のシンガポールでの第1回朝米首脳会談での、金正恩国務委員長とアメリカのドナルド・トランプ大統領/ロイター・聯合ニュース

 トランプ大統領の2度目の任期開始後、私たちは今までの馴染みある世界とは違い過ぎる世界を経験するだろう。トランプの掲げる「米国第一主義(America First!)」というスローガンが、それ以前の馴染み深い「米国ナンバーワン」というスローガンとどれほど異なるかをみれば、その違いは推察できる。「米国ナンバーワン」が世界を共通の基準でまとめ、そこに例外なく従うことを強制するものだったとすれば、「米国第一主義」は、米国を偉大にする道なら例外が一般になるよう米国がいつでも変身し、それを世界に強制するという宣言だ。第2次トランプ政権の主導者たちは、米国の対外政策の失敗と悲劇は世界各地に介入した強硬な「ネオコン」に振り回されたせいで起きたと考え、彼らと断固として一線を引くことを主張する。今や米国は、世界に対する武力介入から脱し、「平和」の守護者へと変身しようとしているのだろうか。そうではない。第2次世界大戦後に米国が主導してきた世界秩序の共通の基準は、米国自身も制約されるせいで負担が重いため、これからは「米国第一主義」という独自の基準を掲げ、「無原則の世界」へと乗り出すという宣言に他ならない。その意味するところを米国の国内政治の視点と国際秩序の視点からみてみよう。

 トランプ2期目の米国政治の変化をみる際のポイントは3つある。一つ目は、相次ぐトランプの「奇異な人選」だ。トランプが指名した長官たちの役割は、各自の省庁をきちんと守ることではなく、その省庁を「壊すこと」だ。二つ目のポイントは、トランプ-マスク連合だ。連合に参加したマスクにとって重要なのは脱規制だが、これは自動運転車、ツイッターの後身であるX、そしてスペースXのいずれも該当する。マスクなら、宇宙産業の非効率性を打破するためにNASAの機能を大幅に調整し、その機能の一部をスペースXが買収することを中身とする民営化も推進しうる。前の2つと関係する三つ目のポイントは「ディープステート」に対する攻撃だが、第1次トランプ政権はこの「ディープステート」のせいで自分たちの目標が挫折したと彼らは考える。国が企業であったなら、新たな主力産業を推進するためには、あえてそれまでの省庁をそのままにしておく必要もなく、流動的な市場の要求に合わせて、いかなる省庁であれ、改編を随時柔軟に行うべきなのではないか。

 20世紀の米国自由主義の核心構図だった法人企業の経営に対する「公正な管理者」としての行政府、集団的権利の形成と管理の仲裁者としての行政府という枠組みは、こうして終わりを告げるだろう。

 予想される国際秩序の再編を考えてみよう。トランプは北朝鮮の核問題、ウクライナ戦争、パレスチナ-イスラエル戦争を同時に解決するとともに、この3カ所から手を引いて負担を現地勢力に移転しようとするだろう。韓国にとって現実的な北朝鮮の核問題をまずみてみよう。トランプの再選を予想し、朝米首脳会談を再推進するという北朝鮮の立場は、ロシアを支援してウクライナ戦線に派兵したことではっきりした。北朝鮮の対米交渉と核戦略の重大な転換点は、2019年初めの「ハノイ・ノーディール」で、これを機として「韓国パッシング(韓国外し)」と韓国に対する戦術核による威嚇の拡大、および米国を標的とした戦略核による威嚇の増強という大きな変化があった。2025年に朝米首脳会談が再推進されれば、韓国を排除して合意の保証者としてプーチンを登場させるというやり方になる可能性がある。その会談は米国を標的とした戦略核の凍結・縮小が主な議題となり、韓国を標的とした戦術核は議論の対象から外される可能性がある。北朝鮮がウクライナ派兵の見返りとしてロシアからミサイル防衛システムの支援を受けたということも重要だ。朝米首脳会談の議題で扱われなかった北朝鮮の戦術核の脅威に対する対応コストは、その後、韓国に対する防衛費分担金協定の請求書に記載される可能性がある。

 プーチンを朝米首脳会談に登場させることができれば、それはトランプがウクライナ終戦交渉を主導するうえでも有利な条件になる。米国は終戦後、ウクライナの長大な「非武装地帯」の維持から手を引いて、その軍事的責任を「欧州」に押し付けるだろうが、負担を抱え込む欧州は安保不安が高まるうえ、国内的には極右勢力の主張がよりいっそう激しくなるだろう。パレスチナ問題の解決は、2020年の「アブラハム合意」の道に沿うだろうが、これもまた紛争の終息ではなく紛争責任を現地に押し付ける方式の一時しのぎの対策であろう。

 第2次世界大戦後の世界秩序を「ヤルタ体制」と呼ぶとすれば、ヤルタ体制解体後の世界は「米国第一主義」の新たな秩序へと再編されるだろうが、世界全体に適用される「多国間主義的秩序」が崩壊したこの世界においては、大国ではない国々、そして力なき民衆は、生存を支える共通規範の喪失で苦しむ可能性が高い。

 
//ハンギョレ新聞社

ペク・スンウク|中央大学社会学科教授、『つながる危機』著者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1179566.html韓国語原文入力:2025-01-24 07:00
訳D.K
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 BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、2024年1月1日からイラン、エジプト、アラブ首長国連邦、エチオピアが新たに加盟し、計9カ国で構成されている。世界人口の約40%、

2025-01-04 14:28:42 | 世界平和を実現するために
 
ブラジル日報

ベネズエラのマドゥーロ大統領も正々堂々と出席(RSvia Fotos Publicas)

カザンBRICS会議の様子(Kremlin)

G7に対抗する形で拡大するのか

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中東でイスラエルとイランの衝突が日増しに深刻化しつつあることで、米大統領選挙では珍しく外交政策が注目されている。

2024-10-03 20:54:13 | 世界平和を実現するために
 

イスラエルばかりに肩入れ…

米民主党にとって大統領選挙の悪材料となった中東

登録:2024-10-03 08:12 修正:2024-10-03 09:16
 
 
ホワイトハウスは1日(現地時間)、ハリス副大統領がバイデン大統領とともにホワイトハウスでイランのミサイル攻撃と米国の対応をモニタリングしている様子を公開した=ホワイトハウスのインスタグラムをキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 中東でイスラエルとイランの衝突が日増しに深刻化しつつあることで、米大統領選挙では珍しく外交政策が注目されている。イスラエルのネタニヤフ首相と完全に歩調を合わせる共和党とは異なり、イスラエルを支持しつつも批判的な有権者の顔色をうかかがわなければならない民主党は、難しいかじ取りを迫られている。このような状況にあって、中東危機の高まりは民主党にとって悪材料になると評価される。

 ホワイトハウスは1日(現地時間)、ハリス副大統領がバイデン大統領とともにホワイトハウス内でイランのミサイル攻撃と米国の対応をモニタリングする様子を公開した。国家安保を扱える候補であることをアピールするための布石とみられる。

 その後、ハリス副大統領は記者会見を行い、イスラエルの安全保障に対する確固たる支持を約束した。大規模な民間人の被害を伴ったイスラエル軍のハマスやヒズボラに対する攻撃の際とは異なり、イランがイスラエルを攻撃したということで、断固たる外交行動を取れたとみられる。

 しかし、基本的に中東危機の高まりは民主党にとっては悪材料だ。バイデン政権は昨年10月のハマスのイスラエルに対する攻撃以降、一貫してイスラエルを支持してきたが、ガザ地区で多くの民間人が犠牲になってからは、民主党内の進歩派、ムスリム、若い有権者から激しく非難されてきた。

 その後、バイデン大統領はイスラエルのガザ地区攻撃を穏健に批判し、ハリス副大統領も候補になってからは同情的な口調だ。だが、「イスラエルを支援しつつ、同時にイスラエルの攻撃による民間人の被害を防ぐ」という矛盾した態度の限界は明らかだ。

 民主党には、激戦州のアラブ系米国人を振り向かせる大義名分が必要だった。それが休戦協定だ。ハリス副大統領は、11月の大統領選の前にガザ地区での休戦協定が締結され、アラブ系米国人の怒りがおさまることを期待した。しかし、中東情勢の悪化で可能性は次第に薄れつつある。これも民主党にとって悪材料だ。

 トランプ前大統領は批判していれば済む立場だ。イランのミサイル攻撃についても、トゥルース・ソーシャルのアカウントに「この戦争は完全に防止できた。絶対に起きてはならなかった。私が大統領だったなら起きていなかっただろう」と記している。

 この日行われた副大統領候補同士のテレビ討論会でも、共和党候補のバンス上院議員は中東紛争について、「トランプは効果的な抑止力によって安定をもたらした」と援護した。一方、民主党候補であるミネソタ州のウォルズ知事は、トランプ前大統領は在任中にイランとの核合意から脱退したとして、「気まぐれなリーダーシップのせいでイランは以前より核兵器(保有)に近づいている」と批判した。

キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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 著者は各時期ごとに事実にもとづいてドライに叙述しているが、その事実に従っていくと国民全体がこのように異常なまでに戦争に没入しうるのかという衝撃が押し寄せてくる。

2024-08-31 16:53:26 | 世界平和を実現するために
 

【レビュー】

「帝国日本」の国民はなぜ戦争を熱烈に支持したのか

登録:2024-08-30 09:16 修正:2024-08-31 08:15

 

『帝国日本のプロパガンダ―日本はどうして絶えず戦争を繰り返せたのか』 
貴志俊彦著、チョン・ムンジュ訳、チョ・ミョンチョル監修|タカース|2万2000ウォン
  

1894年の日清戦争から1945年の太平洋戦争まで 
「帝国日本」、視覚メディアを利用して戦争熱あおる
 
 
1944年に児童向けに制作された絵本『ダイトウアキョウドウセンゲン』。連合国に対抗するための国防強化策として、帝国日本は「大東亜共栄圏」という構想を流布した。同書の出版元は大日本雄弁会講談社=タカース提供//ハンギョレ新聞社

 東アジアは19世紀末から20世紀まで激動期だった。特に、1854年に米国と和親条約を結び、西洋と本格的に交流を開始した日本は、西欧式の近代化を追求しつつ急激な変化を遂げる。この時期、日本は明治維新を通じて西欧化を追求するが、単に西欧の文物と制度を導入するだけでなく、天皇制を復活させるなど、日本独自の特殊なかたちで近代化を構築していった。日本はまた、この時期に「日本は韓国、満州、東南アジアなどを占領すべきだ」という軍国主義論理で武装し、他国を絶えず侵略して領土拡張を図った。

 『帝国日本のプロパガンダ』(原書は『帝国日本のプロパガンダー「戦争熱」を煽った宣伝と報道』中央公論新社)は、1894年の日清戦争で始まり、1945年の太平洋戦争の敗北で終わった「帝国日本」に注目する。この時期、日本は1894年の日清戦争、1904年の日露戦争、1914年の第1次世界大戦、1931年の満州事変、1937年の日中戦争、1941年の太平洋戦争と、ほぼ10年に1度の割合で戦争を繰り広げた。本書の監修を務めたチョ・ミョンチョル元日本史学会会長(高麗大学名誉教授)は、「日本が絶えず戦争を繰り返せた背景には戦争好きの指導層がいたが、それに劣らず過度な軍事費予算を快く容認し、戦争を熱烈に支持した世論も欠くことができなかった」と指摘する。では、当時の日本国民はなぜそのように戦争を熱烈に支持したのだろうか。

 
 
『帝国日本のプロパガンダ―日本はどうして絶えず戦争を繰り返せたのか』貴志俊彦著、チョン・ムンジュ訳、チョ・ミョンチョル監修、タカース刊//ハンギョレ新聞社

 本書の著者である京都大学地域研究統合情報センターの貴志俊彦教授は、戦争とプロパガンダの相関関係にその答えを見出す。20年間、東アジアの図画像を研究してきた著者は、帝国日本が強烈な視覚イメージを利用して国民の「戦争熱」をあおり、戦争に対する肯定的イメージを植え付けたとする。情報メディアを通じたイメージと情報の伝達は、単なる情報伝達にとどまらず、自国の世論を統制する手段であるプロパガンダの機能を持ったということだ。著者は、1890年代以降に帝国日本がどのようなメディアをプロパガンダに用いたのかを時代を追って検討しつつ、メディアとジャーナリズムが当時の日本国民の時代認識にどのような影響を及ぼしたのかを探る。

 
 
日清戦争を題材にした演劇用戦争錦絵「川上演劇日清戦争」=タカース提供//ハンギョレ新聞社

 1890年代の日清戦争期には版画報道が流行した。石版画やコロタイプなどの版画技術のせいで衰退の道を歩んでいた多色刷りの木版画(錦絵)は、「戦争錦絵」で生き残りの道を模索する。日清戦争の開始とともに日本は「新聞検閲緊急勅令」を公布し、外交や軍事に関する事件を新聞や出版物に掲載しようとする時は行政庁または内務大臣の検閲許可を得ることを義務付けた。しかし、錦絵は検閲に時間がかかると販売に支障をきたす恐れがあるため、検閲結果がすぐに得られた。速報性を帯びた錦絵は大衆の人気を集めた。錦絵は戦争物の芝居の上演ポスターとして用いられたことで大衆文化として浸透し、プロパガンダとして作用する。当時の日本国民がどれほど戦争に酔っていたかというと、おもちゃ屋でも銃、軍帽などのおもちゃを売っており、酒場では「皇国」、「大勝利」、「百戦百勝」のような商標を付けた酒を販売していたという。

 
 
      「帝国日本のプロパガンダ」の著者、貴志俊彦=@Miyuki Nakajima//ハンギョレ新聞社

 1904~1905年の日露戦争では、印刷技術の目覚ましい発展に伴い、「写真」を載せた新聞や「日露戦争写真集」のような画報雑誌が人気を集めた。絵葉書も人気で、戦場の将兵たちに41種の「慰問絵葉書」が無料で配布されたり、逓信省から「戦争記念絵葉書」などが登場したりした。官と民で絵葉書が作られたため、戦争絵葉書を収集する人々も現れた。それだけではない。19世紀末には白黒の無声映画(活動写真)が登場し、日露戦争を扱ったショートフィルムは公開前にチケットが売り切れるほど人気を博した。

 1910年代に第1次世界大戦が起きた時、戦争のための総動員体制が整えられたが、読売新聞のような報道機関はプロパガンダの役割を自ら買って出た。同紙は「戦時の婦人の心構え」などの報道もおこなった。また、進歩系といわれる朝日新聞でさえ「青島(チンタオ)陥落」を祝う企業広告を掲載したり、戦況を報道したりした。このように帝国日本期には、報道機関もやはり戦争の「火付け役」を果たした。

 
 
        『支那事変聖戦博覧会画報』(1938年)=タカース提供//ハンギョレ新聞社

 国家プロパガンダは1930年代に頂点に達した。中国との戦争を遂行するために軍官民産が密接に結びついた。この時代、すべての戦争報道は軍部の許可を受けなければならなかった。当時の内閣情報部は「写真週報」も作ったが、それには「愛国行進曲」を歌う少年少女の姿が掲載されるという具合だった。さらに朝日新聞社に至っては、陸軍省と海軍省の後援で「支那事変聖戦博覧会」を主催した。大衆に日中戦争が「聖戦」であることを刻印するための宣伝活動の一環だった。1943年、帝国日本は連合国に対抗するための国防強化策として「大東亜共栄圏」を構想し流布するが、「ダイトウアキョウドウセンゲン」という児童向けの絵本まで出版されている。

 著者は各時期ごとに事実にもとづいてドライに叙述しているが、その事実に従っていくと国民全体がこのように異常なまでに戦争に没入しうるのかという衝撃が押し寄せてくる。特に当時の大人たちが、幼い子どもたちに対してさえ平和ではなく戦争を刻印するために、戦争に関する漫画やゲーム、芝居を作って流布したという事実には、ぞっとするばかりだ。そして、改めてイメージの持つ強い力を認識する。イメージをなぜプロパガンダとして利用するのかも理解できる。

 今もロシアとウクライナの戦争は終わっておらず、イスラエルのガザ地区侵攻も続いている。戦争写真と戦況を伝える速報は、かつてないほど急速に全世界に伝えられている。本書を読んでからは、戦争に関するイメージに接する時、そのイメージはどのような主体によって、どのような目的で作られたのかをみなければならないという思いがする。著者もやはり「帝国日本期の姿が現代を考える契機になればとの思いで本書を執筆した」と述べている。

ヤン・ソナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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