米当局者たちは、北朝鮮軍のロシア派兵に対応する措置として、米国が供与したミサイルが北朝鮮軍の打撃にも使われる見通しだと述べた。

2024-11-19 22:00:34 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!
 

「北朝鮮の追加派兵を阻止」…バイデン大統領、

ロシアへの長距離ミサイル攻撃を容認

登録:2024-11-19 06:28 修正:2024-11-19 07:25
 
「クルスク州の北朝鮮軍も標的になり得る」
 
 
米陸軍が2021年12月、ニューメキシコ州でATACMSミサイル射撃訓練を行っている/AFP・聯合ニュース

 ジョー・バイデン米大統領が、自国の供与した長距離ミサイルをウクライナ軍がロシア領土の攻撃に使用することを許可した。米当局者たちは、北朝鮮軍のロシア派兵に対応する措置として、米国が供与したミサイルが北朝鮮軍の打撃にも使われる見通しだと述べた。

 ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなど米国のマスコミは17日(現地時間)、バイデン大統領が強い破壊力を持つミサイル「ATACMS」をウクライナがロシア領土攻撃に使うことを容認したと報道した。米国がウクライナに供与したATACMSは射程距離が300キロメートルに達する。米国は当初、ロシア領土の攻撃に利用されロシアを過度に刺激する恐れがあるとの理由で、射程距離の短い旧型ATACMSのみ供与していたが、今年4月から新型ATACMSをウクライナに供与し始めた。ただし、同ミサイルをロシア領土への攻撃に使用することは引き続き禁止してきた。

 米当局者たちは、今回の決定はロシア軍が北朝鮮兵1万人を含む5万の兵力でクルスク奪還戦に乗り出したことへの対応だと説明した。ロシアはウクライナ軍が8月に電撃的に占領した自国西側の領土クルスク州の一部地域を取り戻すため、大規模な作戦を始めており、米国は現地の北朝鮮軍も戦闘に加担していると最近明らかにした。

 ニューヨーク・タイムズの報道によると、米当局者たちは北朝鮮軍もATACMSの標的になり得ると語った。ウクライナ軍のATACMSは、クルスク州に投入されたロシア軍および北朝鮮軍に対抗してウクライナ軍を防衛するのに優先的に使われるものと予想され、その後バイデン大統領が他の地域での使用も許可する見込みだと当局者たちは伝えた。

 任期が2カ月しか残っていないバイデン大統領が重要な決定を下した背景には、北朝鮮軍の参戦が決定的な契機になったと、米当局者たちは説明した。米政府の中でもロシアを刺激して戦争拡大を誘発しかねないという声が依然として残っているが、バイデン大統領は北朝鮮に「代償」を払わせ、さらなる派兵を防ぐ必要性に重きを置いているという。米国側は北朝鮮軍が戦闘に加担すればウクライナ軍の「適法な標的」になると警告してきた。ウクライナ側では、北朝鮮軍の派兵規模が10万人まで増える可能性があるという見通しも示されている。バイデン大統領は前日、中国の習近平国家主席との首脳会談で、北朝鮮のさらなる派兵を阻止するため影響力を行使してほしいと要請した。自国が供与したミサイルを使ったロシア領土への攻撃を禁じてきた英国やフランスが、米国と同様の決定を下す可能性もある。

 米国側はバイデン大統領の今回の決定が戦勢を変えることはできないとみている。しかし、北朝鮮軍のさらなる派兵を牽制するとともに、ウクライナ軍がクルスク州の一部地域を掌握し続け、終戦交渉に有利な状況を作ることが狙いという見方もある。ドナルド・トランプ次期米大統領は、「就任すれば24時間以内に戦争を終わらせる」としながらも、その方法は示していない。 J・D・バンス次期米副大統領は、ロシア軍が占領した領土をウクライナが譲歩することを条件として示したことがある。しかし、ウクライナ軍がクルスク州を占領し続けることができれば、ロシア軍に奪われた自国の東部や東南部の領土と交換する方式が可能になる。

 バイデン大統領の決定は、軍事援助に懐疑的なトランプ次期大統領の政権獲得を控え、任期最後までウクライナを支援するという意志を明らかにしたものともいえる。

ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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大統領室の関係者はこの日のハンギョレの取材に「全世界が北朝鮮軍の派兵をまだ公式に確認したわけではない」とし、「当然、我々はそのように発表するが、国ごとに立場がある」と語った。

2024-10-21 12:50:10 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!
 

北朝鮮軍を密着監視も…米・NATO

「北朝鮮の派兵確認できない」なぜ?

登録:2024-10-21 08:58 修正:2024-10-21 09:45
 
韓米の「派兵」への反応は異例 
特殊部隊ではなく参観団の可能性 
米・NATO、米大統領選挙を意識か 
尹政権「国内政治に利用」疑いも
 
 
                                       軍事パレードを行う北朝鮮軍/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 国家情報院が18日に、北朝鮮が1万2千人規模の兵力をウクライナ戦争に派兵すると発表した中、米国と西側は「事実なら」という但し書きを付けつつも強い懸念を表明した。ただし、派兵が事実かどうかは「確認できない」との態度を保っているため、その背景に関心が集まっている。

 米国のオースティン国防長官は19日(現地時間)、イタリアのナポリで開催されたG7国防相会合の終了後、北朝鮮軍のウクライナ戦争への派兵について問われ、「もし事実なら、そのような動きは憂慮される」としつつも、事実かどうかは確認できないと答えた。ロイター通信が伝えた。北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は18日(現地時間)、国情院の発表について問われ、「現在までの我々の公式の立場は『確認できない』だ」と述べた。

 これまで韓米情報当局が軍事衛星などで北朝鮮軍の動きを密着監視し、情報を共有するとともに緊密に情報協力をおこなってきたことを考慮すると、これは異例だ。韓国の発表を誇張だと考えているか、情報に対する評価を異にしていることを意味すると解釈しうる。ワシントン・ポストは19日、NATOの高官の話として、特殊部隊ではなくロシアに支援した北朝鮮製の兵器を扱う参観団が配置された可能性があると伝えた。

 
 
国情院は「北朝鮮軍は、容姿の似ているシベリアの住民の偽造身分証も発給されている」と説明しつつ、「戦場投入の事実を隠すために、ロシア軍に偽装したとみられる」と分析した。写真は北朝鮮軍が偽装したと推定されるサハ共和国、ブリヤート共和国の住民=国家情報院提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮による派兵が来月5日の米大統領選挙に及ぼす影響を意識して、「公式確認」を先送りしている、との観測も示されている。北朝鮮の参戦を公式に認めてしまうと、米国やNATOとしてはそれに対応する行動を取らなければならないということが負担となりうる。米国とNATOは今後、北朝鮮の兵力が直接戦闘に投入されるか後方支援に集中するかによって「北朝鮮軍の参戦」を判断する可能性がある。大統領室の関係者はこの日のハンギョレの取材に「全世界が北朝鮮軍の派兵をまだ公式に確認したわけではない」とし、「当然、我々はそのように発表するが、国ごとに立場がある」と語った。

 
 
国情院は「北朝鮮軍の動向を密着監視していたところ、今月8日から13日にかけてロシア海軍の輸送艦が特殊部隊をロシア地域に輸送するのを捉え、北朝鮮軍の参戦開始を確認した」と説明した。グラフィックは、東海上のロシア上陸艦の北朝鮮兵力輸送活動の略図=国家情報院提供//ハンギョレ新聞社

 今月18日に尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が国家安全保障会議(NSC)を主宰し、続いて国情院が「北朝鮮軍の参戦確認」とする報道資料を発表したことについては、北朝鮮の情報を国内政治に利用しているとの疑問も呈されている。大統領室の関係者は「なにしろ事案が厳しいものなので行われた」と反論した。統一部は2016年2月10日、国情院から受け取った情報として「北朝鮮のリ・ヨンギル総参謀長、2月初めに電撃粛清」と題する資料を出入記者に配布したが、3カ月後にでたらめな情報だったことが判明している。当時の朴槿恵(パク・クネ)政権による開城(ケソン)工業団地閉鎖発表後に予想された世論の悪化を、国情院が薄めようとしたことで起きた「情報惨事」だった。

 一方、CNNは19日、ウクライナ文化情報政策省傘下の戦略通信情報セキュリティーセンター(SPRAVDI)を通じて入手したとして、普及品支給のためのアンケート用紙のコピーを報道した。アンケート用紙には「帽子のサイズ(周囲)、体幅/軍服の寸法と靴の文書を作成してください」という文言がロシア語とハングルで記されている。同センターは前日の18日、ロシア極東の「セルギエフスキー訓練所」で北朝鮮兵たちがロシア軍の装備の支給を受ける映像を入手したとして、それをXのアカウントに公開している。長さ27秒のこの映像には「越えるな」などの声も録音されている。

 統一部のキム・スギョン次官はこの日のチャンネルAのインタビューで、「近いうちに北朝鮮の(部隊の)第2次輸送作戦が行われるだろう」とし、「ロシアが奪還に努めているクルスク地域になるのではないかと思う」と語った。

クォン・ヒョクチョル記者、チョン・ウィギル先任記者、キム・ウォンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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日本は安全保障における脅威を理由に北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接打撃する敵基地攻撃能力の保有について、2022年から防衛白書で取り上げている。

2024-07-15 12:43:07 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!
 

日本の防衛白書「韓国はパートナー」初の明記…

20年間変わらぬ「竹島は日本の領土」

登録:2024-07-13 06:29 修正:2024-07-13 07:12

 

韓日防衛相会談で「哨戒機問題」防止対策に合意 
「火器管制レーダー、再発防止が図られたと判断」と記述
 
 
                                    日本の2024年版防衛白書の表紙=日本防衛省//ハンギョレ新聞社

 日本が今年の防衛白書に初めて韓国を「パートナーとして協力していくべき重要な隣国」と記述した。一方、20年間続けてきた独島(トクト)が日本固有の領土だという主張を今年も繰り返した。

 日本防衛省は12日、「韓国は国際社会の様々な課題へのパートナーとして協力していくべき重要な隣国」と初めて記述した「2024年版防衛白書」を閣議了承した。日本は昨年の防衛白書には「日韓の連携は益々重要となっている」と記し、解決されなければならない懸案として哨戒機(レーダー照射)問題を挙げた。

 防衛省は今年の防衛白書で、先月シンガポールで開かれた韓日防衛相会談の際、両国が「哨戒機問題」の再発防止対策に5年半ぶりに合意したことについて、「防衛省・自衛隊としては、長年の懸案であった火器管制レーダー照射事案の再発防止および部隊の安全確保が図られたと判断している」と記述した。

 会談で韓日国防当局は、遭難した艦艇あるいは航空機の方向に艦砲・ミサイル・火器管制レーダー・魚雷発射管などを照準して攻撃を謀議する行為を避けるという内容の国際規範「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準(CUES : Code for Unplanned Encounters at Sea)」を順守することで合意した。

 哨戒機問題は文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2018年12月20日、東海で遭難した北朝鮮漁船を救助した韓国海軍駆逐艦「広開土大王」に日本の海上自衛隊の哨戒機が接近して発生。当時韓国は日本の哨戒機が広開土大王に近接威嚇飛行をしたと批判した。一方、日本は広開土大王が日本の哨戒機に向けて火器管制レーダーを照射したと主張した。韓国政府は2019年2月「日本の自衛隊機が2度の警告にもかかわらず、通信に応じず、近接飛行した場合は火器管制レーダーを照準する」という内容の「日本哨戒機対応指針」まで作ったが、先月の合意で日本の謝罪もなくそれを撤回することになったわけだ。

 日本は先月の合意で、自分たちの主張が一定程度受け入れられたと判断したものとみられる。毎日新聞は、防衛白書はその年の3月までに起きた出来事を記載することになっているが、先月の合意を記述したのは異例のことだと指摘した。同紙に報道によると、防衛省は「大きな進展が見られたため、重要性を鑑みて述した」と説明したという。

 一方、今年の防衛白書でも、独島の領有権など日本政府の従来の主張は続いた。「わが国固有の領土である『北方領土』(クリル列島)と『竹島』(日本が主張する独島の名称)の領土問題が依然として未解決状態で存在する」とし、2005年以後20年にわたり独島関連の強弁を続けた。

 韓国国防部は、日本政府が12日に発表した防衛白書で、独島を自国固有の領土と表現したことに対し、在韓日本大使館の防衛駐在官を呼んで抗議した。

 国防部は同日、イ・スンボム国際政策官が日本大使館の防衛駐在官の武田洋平陸上自衛隊自衛官を国防部に呼び、即時の是正と今後の記載をやめることを求めたと発表した。

 イ国際政策官は、独島が歴史・地理・国際法的に韓国固有の領土であることを改めて確認し、独島領有権を侵害しようとするいかなる試みに対しても断固として対応すると強調した。

 一方、日本は今年の防衛白書に北朝鮮の核・ミサイル開発に関しては「保有する装備体系の多様化や、核・ミサイル運用能力を補完する情報収集・警戒監視・偵察手段の確保といった、質的な意味での核・ミサイル能力の向上に注力している」と記述した。また、北朝鮮の核・ミサイル開発が「わが国の安全保障にとって、従前よりも一層重大で差し迫った脅威」だと明示したが、「従前よりも一層」という表現は昨年初めて使われた。

 中国の軍事活動については昨年と同様に「これまでにない最大の戦略的挑戦」という表現を使い警戒した。台湾の頼清徳総統が副総統在任当時だった昨年8月、経由地として米国を訪問した際、中国が台湾周辺を包囲する軍事訓練を行ったことについて、「対台湾侵攻作戦の一部が演練された可能性がある」と分析した。ロシアのウクライナ侵攻と関連し、「同様の深刻な事態が、東アジアで発生する可能性は排除できない」とも記した。

 日本は安全保障における脅威を理由に北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接打撃する敵基地攻撃能力の保有について、2022年から防衛白書で取り上げている。今年の防衛白書には日本政府が「反撃能力」と呼ぶ敵基地攻撃能力をより詳しく記述した。スタンドオフ(遠距離打撃)能力と統合防空ミサイル防御能力の強化、自衛隊統合作戦司令部の設置、英国やイタリアとともに進めている次世代戦闘機の開発などが紹介された。

チョ・ギウォン記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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日本は1988年に発効した日米原子力協定にもとづいて使用済み核燃料の再処理ができ、20%未満の低濃縮が可能だ。有事の際にはそれを用いて短期間で核兵器を保有する能力を備えているわけだ。

2024-06-30 17:37:28 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!
 

「トランプが認める」という核武装論…

朝ロ条約後に再登場も(1)=韓国

登録:2024-06-28 01:54 修正:2024-06-29 09:14
 
ナ・ギョンウォン、オ・セフンら積極主張 
トランプ陣営関係者の発言も火種 
「外交失敗から目をそらすもの」指摘
 
 
24年ぶりに北朝鮮を訪問したロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩国務委員長が19日、平壌の錦繍山迎賓館で行われた包括的戦略パートナーシップ条約調印式で記念撮影をおこなっている=平壌/タス・聯合ニュース

 19日に北朝鮮とロシアが同盟の復元に準ずる条約を締結したことを受け、保守陣営を中心として核武装論が改めて噴出している。

 朝鮮戦争から74年を迎えた25日、国民の力の代表候補たちが韓国の核武装論をめぐって論争を繰り広げた。この日、保守系団体「新たな未来準備委員会」のセミナーに参加したナ・ギョンウォン議員は、「今や韓国も核武装すべきだ」と述べた。ソウル市のオ・セフン市長は同セミナーで、「今日、5回目の汚物風船を見て、我々も核を開発すべきだと考えざるを得ない」と述べた。ナ議員は26日にもフェイスブックで、自身が党代表となれば「核武装」を党の方針として採択すると表明している。

 もう一つの「導火線」は、21日に国家情報院傘下の国家安保戦略研究院が発表した報告書だ。「ロ朝首脳会談の結果の評価および朝鮮半島に波及する影響」と題するこの報告書は、朝ロ条約の意味を分析しつつ、最後の部分で「(韓国の)独自の核武装、または潜在的な核能力の具備など、様々な代案についての政府レベルでの検討および戦略的公論化を推進すべきだ」としている。朝鮮日報をはじめとする保守メディアはこの一節を取り上げつつ、「核武装論」に改めて火をつけた。朝鮮日報は25日の社説で同報告書を引用した後、「これまでに国策研究所は、北朝鮮の核の脅威に対抗して米国の戦術核の再配備やNATO式の核共有に言及したことはあるが、独自の核武装と再処理権限の確保にまで言及したことはほぼなかった」とし、「もはや韓国政府も核武装論議をタブー視してはならない」と述べた。

核武装に現実性はあるのか

 北朝鮮の核能力の強化や朝ロ密着などで、韓国の安保環境が大きく悪化しているのは明らかな現実だ。問題は、韓国の核武装が現実的に可能なのかだ。核開発は核拡散防止条約(NPT)の脱退によって始まる。NPT第10条1項は、異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、3カ月前に国連安全保障理事会(安保理)などに通知のうえ、脱退できるとしている。韓国がNPT第10条1項を根拠に脱退を宣言したとしたら、安保理の韓国制裁決議案に米国は拒否権を行使してくれるだろうか。米国は、韓国の核武装を容認した際に日本、台湾、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコなどでもNPT脱退と「核ドミノ」が起きることを懸念するだろう。韓国が制裁を免れるのも困難だ。

 慶南大学軍事学科のチョ・ソンニョル招へい教授(元大阪総領事)は、「韓国が核武装するためにNPTを脱退すると、国連安保理の経済制裁を受けることになる。貿易に依存する韓国が持ちこたえるのは困難だ。しかも、韓国は電力生産の29%を原子力発電に依存しており、原子力供給国グループ(NSG)からの核燃料(MOX)の供給が断たれるため、大きな困難に直面することになる」と語る。

 そのうえ、米国の同意と黙認なき核開発は韓米同盟の破綻を招くということは、専門家が共通して指摘するところだ。昨年4月、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とバイデン大統領はワシントンでの首脳会談で、米国が朝鮮半島の拡大抑止を強化する代わりに韓国は独自の核武装を行わないとする「ワシントン宣言」を発表した。米国はこれによって、韓国が核武装に言及するのを遮断した。朝ロ条約後、韓国の核武装論が改めて噴出すると、キャンベル国務副長官は24日(現地時間)の米国外交問題評議会(CFR)の行事で、朝鮮半島において核抑止力を強化するために「ワシントン宣言」以外の措置が必要だと思うかと問われ、「(ワシントン宣言が)我々が今対応するのに必要なものを提供したと思う」と答えた。韓国の核武装論に反対するバイデン政権の明確な立場を改めて強調したのだ。

 
 
2023年4月、米国を国賓訪問した尹錫悦大統領がホワイトハウスでの歓迎行事でバイデン大統領と共に立っている。尹大統領とバイデン大統領はワシントン宣言を発表し、米国が拡大抑止を強化する代わりに、韓国の核武装論議を遮断した=ワシントン/ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

トランプが再選されれば韓国の核武装を認めるか

 核武装論のもう一つの背景は、11月の米大統領選挙におけるドナルド・トランプ再選の可能性だ。トランプが再選されれば在韓米軍削減、韓米合同訓練の縮小などが予想されるため、韓国も核開発が必要だというわけだ。トランプ2期目が現実のものとなった際の国家安保担当大統領補佐官の候補と言われているエルブリッジ・コルビー元国防副次官補をはじめとするトランプ陣営の関係者の、相次ぐ「韓国の核武装容認」示唆発言が、韓国核武装論の重要な背景となっている。トランプ政権時代に朝鮮半島政策の実務担当者だったアリソン・フッカー元ホワイトハウス国家安保会議(NSC)アジア担当上級補佐官は今月21日、「我々は韓国が独自の核武装に向かって進み続けており、もしかしたらより急速に進むということを排除できない」と語った。代表的な保守系シンクタンクであるケイトー研究所のダグ・バンドー上級研究員も、21日の外交専門誌「フォーリン・ポリシー(FP)」への寄稿で、「米国の政策立案者たちは、韓国と日本が独自に核兵器を開発することもありうると心配している」とし、「良くないことではあるが、米国人を北朝鮮の(核)能力の人質にしておくことの方がはるかに悪いこと」だと述べた。

 しかし、実際に第2期トランプ政権となった時、彼らが実際に韓国の核武装を容認するとは考えにくいという意見は強い。国立外交院のチョン・ボングン名誉教授(韓国核政策学会会長)は、「今、トランプ陣営の中で競争しているこれらの人物は、韓国人の関心に合わせてリップサービスしているが、実際に政府に入って働くことになった時、韓国の核武装を容認する可能性はほとんどない」とし、「米国の外交安保の主流においては核不拡散原則が依然として非常に強力だという現実を直視しなければならない」と述べた。ダグ・バンドーをはじめとする韓国の核武装の可能性を示唆する人々は在韓米軍の撤退を一貫して主張してきた、ということも特に留意する必要がある。(2に続く)

 

「トランプが認める」という核武装論…

朝ロ条約後に再登場も(2)=韓国

登録:2024-06-28 01:53 修正:2024-06-29 09:14
 
 
                            六ヶ所再処理工場=NHKの番組の画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

「潜在的核能力」と韓日の違い

 このように現実的な困難が存在するため、ひとまず日本のように「潜在的核能力」を確保しようという主張も強い。国民の力のハン・ドンフン元非常対策委員長は25日、「核戦力を用いた安保の強化は絶対に必要だ」としながらも、NPTを脱退した場合の制裁などを考慮し、ひとまず「核武装の潜在的力量を持つところまでは行こう」と主張した。ソン・ミンスン元外交長官も潜在的な核能力の保有を主張している。

 日本は1988年に発効した日米原子力協定にもとづいて使用済み核燃料の再処理ができ、20%未満の低濃縮が可能だ。有事の際にはそれを用いて短期間で核兵器を保有する能力を備えているわけだ。韓国が日本のように「潜在的核能力」を確保しようとしても、2035年に有効期間が満了する「韓米原子力協定」を事前に改正しておかなければ、それは不可能だ。チョ・ソンニョル教授は、「2015年に韓米原子力協定を改正する際、朴槿恵(パク・クネ)政権は米国に再処理技術を認めるよう要求し続けた。後にはせめてパイロプロセッシングを認めてほしいと主張したが、米国はそれにも同意しなかった」と語った。パイロプロセッシングとは、原発で使用したウランなどの核燃料を回収し、次世代原子炉の核燃料として再利用する技術だが、米国はそれも結局のところ核兵器の製造につながる可能性が排除できないと判断し、韓国の要求に同意しなかった。

「保守層を結集させるための無責任な核武装論はむしろ安保を脅かす」

 では、このように独自の核武装はもちろん、潜在的な核能力の保有も容易ではないという現実にあって、またしても核保有論が噴出しているのはなぜなのだろうか。ロシアとの外交を放置していたため朝ロ条約が締結されてしまったという政府の外交の失敗から人々の目をそらすとともに、保守層を結集させるための、保守層の政治的メッセージだという分析が示されている。チョ・ソンニョル教授は、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がウクライナを訪問してから韓ロ関係は悪化し続けたにもかかわらず、外交安保の責任者たちは『韓ロ関係はレッドラインを越えないようにうまく管理されている』と言い続け、韓ロ関係を放置してきた」とし、「このたび朝ロが条約を結ぶと、慌てた保守勢力は議論の焦点を核武装へと移している」と指摘した。

 政界の核武装論は実体があるわけでもない。尹錫悦政権が米国と真剣に交渉し、韓米原子力協定の改正などを要求しているわけでもないからだ。昨年4月の尹錫悦大統領の米国国賓訪問でバイデン政権と「ワシントン宣言」を発表して以降、政府はその結果である核協議グループ(NCG)で核の傘の強化策を議論しているに過ぎない。尹錫悦政権に実際に韓米原子力協定改正の意思があるのなら、昨年の「キャンプデービッド宣言」の交渉過程でこれらの問題について要求すべきだったということだ。

 政界で保守層を結集させるために核武装の声を強めることは、むしろ韓国にとっては大きな不利益になるという懸念もある。

 チョン・ボングン教授は、「今、次世代小型モジュール原子炉(SMR)や核燃料用濃縮技術など、韓国が米国と協力しなければならない先端技術は多いが、韓国で核武装の声が高まるほど米国は韓国の意図に不信を抱くようになり、先端技術協力でも韓国を疎外する懸念が高まる」と語る。

 専門家は、政府と政界が真剣に韓国の安保状況を憂いたうえで、在韓米軍の撤退などで核武装を考慮せざるを得ない万が一のケースに備えるためには、より慎重でなければならないと強調する。日本が使用済み核燃料の再処理の権利を確保してからも、公には「核潜在力」に言及しておらず、非核三原則を一貫して強調することで国際社会の信頼を得ていることの意味を考えるべきだということだ。チョン・ボングン教授は、「韓国が本当に安保のために核潜在力を保有するためには、与野党が真剣に協議して明確な戦略を立て、『静かな外交』を展開していかなければならない」とし、「政界がこのように核保有を騒げば騒ぐほど、一歩も進めなくなるし不利になる」と懸念を示した。

パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
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第30回アジア太平洋経済協力(APEC・APEC)首脳会談が15日から17日まで、韓国や米国、中国、ロシアなど21の加盟国代表が参加し、米国サンフランシスコで開催される。

2023-11-16 10:09:13 | 米国は、「世界の憲兵」をやめろ!

砲声が止まない世界…神聖な「韓米同盟」だけで安全だろうか

登録:2023-11-16 07:38 修正:2023-11-16 09:47
 
[ハンギョレS]尹政権の外交政策を診断 
 
価値外交・グローバル中枢国家…尹政権「誇大妄想の理念外交」 
米日密着の後、中国と疎遠に…安全保障・経済の国益の積集合を
 
 
昨年11月、ASEAN+3首脳会議に参加した尹錫悦大統領と米国のジョー・バイデン大統領、日本の岸田文雄首相がカンボジアのプノンペンにあるホテルで韓米日首脳会議を行っている=プノンペン/ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 パレスチナとウクライナ、ミャンマーなど世界各地で砲声と悲鳴が止まらない。朝鮮半島と台湾海峡からも、かなり前からミサイルと戦闘機の轟音が聞こえている。深刻化する米中対立は、朝鮮半島の安定と平和に長く暗い影を落としている。こうしたカオスな状況のもと、第30回アジア太平洋経済協力(APEC・APEC)首脳会談が15日から17日まで、韓国や米国、中国、ロシアなど21の加盟国代表が参加し、米国サンフランシスコで開催される。世界のすべてのメディアが今回のAPEC首脳会議に注目している。

__________
米中対決のなか「一貫性を失った外交政策」

 韓国は、ユーラシア大陸の東の果ての朝鮮半島の南側に位置する面積10万400平方キロメートル▽人口5160万人▽国民総生産(GDP)1兆7200億ドルの分断国だ。こうした地政学的な状況が、韓国の過去と現在、未来に多大な影響を及ぼしてきたし、及ぼすことは間違いない事実だ。進歩と保守のどちら側が政権を握ろうと、韓国が有する地政学的な現実を無視した対内外政策を行うことは不可能だ。韓国の現在および未来と最も密接な関係を持っている国は、もちろん「世界帝国」(World Empire)米国と、隣接する強大国中国だ。米国は2万8000人あまりの兵力を韓国の領土に駐留させている同盟国で、中国は第1の貿易相手国だ。同じ山に2頭の虎が一緒に生きていくことはできないように、世界の覇権を追求する米国と中国が共存することは難しい。韓国の存在論的な危機は、まさにそこから始まる。米国は、民主党と共和党との間の極端な政争のもとでも、中国をけん制し続けている。来年11月の大統領選挙で共和党候補が民主党候補に勝利する場合、中国けん制は強度を増すだろう。

 韓国は現在、経済危機に陥っている。こうした状況のもと、国際情勢がどのように変わるのかについて深刻に悩んだことはなく、人生を韓国という井の中の蛙としてだけで生きてきた人たちが、相次いで大統領に当選した。それによって韓国外交は、一部の例外を除き、米国式の世界観の洗礼を受けた要人が大統領府(龍山(ヨンサン))の安保室を主導し、自分の理念とアイデアを現実の外交に適用する実習場として機能してきた。進歩と保守を区別する必要はなく、政権を掌握した勢力は、一般の国民はもちろん、国会、さらには職業外交官たちにも、当該政府の外交政策についての適切な説明なしに、一方的な外交を追求した。筆者が外交部課長だった2009年の外交政策説明会や、駐中大使館の総領事として在任中だった2013年の海外公館長会議をきっかけとする外交政策説明会を主催した当時の政権の外交安保首席でさえ、その政権の外交政策をまともに説明できなかった。政権交替のたびに外交・対北朝鮮政策の基調が正反対に変わることによって、野党はもちろん、異なる見解を持つ報道機関や国民の反発をかい、政策の受容性が大幅に低下した。前政権と180度違う方向の外交安全保障政策の注文を受ける外交部や統一部、国防部、国家情報院などの外交安全保障担当の省庁の公務員たちは、特に新政権の初期に集団で“メンタル崩壊”(激しいショック)に陥ったりする。2006~2008年に駐ジュネーブ韓国代表部で人道支援担当官を勤めた筆者も同じだった。筆者は、廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権から李明博(イ・ミョンバク)政権に政権交代した直後、ジュネーブとニューヨークで相次いで開催された「対北朝鮮人道的支援に関する国際連合主催の会議」で、昨日と今日で異なる韓国政府の対北朝鮮政策を発表しなければならなくなり、困惑した記憶を持っている。今でも顔が赤くなる。政権が変わるたびに完全に違った方向の政策を遂行しなければならない韓国外交は、時間が経過するにつれ、米国や中国、日本、北朝鮮などの相手国(勢力)を含む国際社会からますます信頼を失った。

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現政権、洪範図などを歴史的に斬殺

 現政権は、ロマンチックな民族主義的な傾向を持っていた文在寅(ムン・ジェイン)政権の外交・対北朝鮮政策に対する敵対心に近い反作用から、文在寅政権よりはるかに深刻な理念的指向をみせている。現政権は、「価値(自由)外交」とともに「グローバル中枢国家」を提唱するなど、経済力基準で世界13位に過ぎない韓国の国力を大きく越えた「誇大妄想(megalomaniac)外交」を推進しているという評も聞こえてくる。尹錫悦大統領が最近訪問したサウジアラビアとカタールはいずれも絶対王政の国であり、以前訪問したベトナムは共産主義国だ。価値外交が組み込まれるほどの国ではない。米国の価値外交も、米国に対抗する中国とロシアに対する同盟国の団結を維持するためだけに適用される。そして、グローバルな安全保障問題などに対する積極的に対応を要旨とする「グローバル中枢国家」は、米国以外にはない。また、韓米日の協力体制強化と、そのために、日本の福島第一原発の汚染水および強制動員問題の解決と、対中・対ロシア政策を含む現政権の外交には、李明博政権期に横行した日帝の植民地支配を肯定的にみるニューライト的な要素が溶け込んでいる。現政権は、日本政府よりもさらに強く、福島第一原発の汚染水の放出は海洋生態系に格別な影響を与えないと大々的に広報することさえした。政府内外のニューライトの人たちは、朝鮮の独立活動家の業績をさげすむのはもちろん、やむをえない事情でレーニン政権期のソ連と協力せざるをえなかった洪範図(ホン・ボムド)を含む無政府主義や社会主義系列の独立活動家を「共産主義者」と称し、歴史的に斬殺することさえした。ニューライトの世界観に影響された人たちは、韓国は、日本・北朝鮮・台湾とともに日本帝国の解体の結果、1948年8月15日に建国された新生国家だという。古代に建国され何千年を受け継いできた大韓民国の国家アイデンティティを全面否定する、いわゆる「建国節」の主張だ。

 現政権の外交・対北朝鮮政策が過去回帰的な性格を帯びる根本的な理由は、現政権の勢力が国政目標と方向に対する明確なビジョンを持てないことが主因だと思われる。明確な国政ビジョンを持つことができない場合、哲学・政策的なアノミー(無規範状態、無規則状態)に陥りやすい。現政権は「韓米同盟」を神聖な国家目標にまで格上げさせた。宋時烈(ソン・シヨル)などの性理学者らが、「明国崇拝」を国王も手出しできない絶対価値にしたことに似ている。現政権は韓米日3カ国の軍事同盟を追求しているのではないかという話も聞こえてくる。これは、韓国を中国に対する最前線の国家にする副作用を引き起こす可能性がある。

 一方、韓国内の保守主義者たちは、文在寅政権の外交政策、対北朝鮮政策が「中国重視」「北朝鮮友好的」だったとみている。文在寅政権が急進的な対北朝鮮政策を進め、中国に対しては低姿勢外交、日本に対しては非友好的な態度で一貫していたというのだ。これらの人たちは、前政権が主導した「対北朝鮮ビラ禁止法」の制定と「新経済構想が入ったUSB」を北朝鮮側に渡したことなどを根拠にする。特に、中国に対して「明国に対する朝鮮の限りない忠誠心」を意味する「万折必東」や「中国夢に賛同」などの表現は屈従的な態度をとったものだと批判する。文在寅政権の外交に対して懸念する見方があったことも事実で、急変する国際情勢に合う総合的な外交戦略が不足していたことも事実だ。しかし、それを根拠にして、文在寅政権の反対側にだけ進む、すなわち極端外交を追求することは望ましくない。

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第1の貿易相手国である中国との「最前線」は避けよ

 米国が、対中貿易政策をデカップリング(脱同調化)からデリスキング(リスク回避)に切り替える一方、サンフランシスコでのAPEC首脳会議を前に、政府高官や要人を中国に派遣するなど和解のジェスチャーをとっていることからも、米中間の根本的な対立緩和の兆しはみられない。APEC首脳会議をきっかけに米中首脳会談が開催されるが、対立が全面的に解消されるだろうと期待することは難しい。韓国は、デリスキングへの転換においても大きな被害を受けるものとみられる。国際通貨基金(IMF)は、10月18日に発表した報告書で、デリスキングが本格化する場合、韓国の国内総生産額は4%減少すると予想した。日本と欧州連合(EU)、米国の損失額を大きく凌駕する水準だ。米国は10月17日、低性能の人工知能(AI)半導体の中国輸出も禁止した。中国はこれに対抗し10月20日、電気自動車の重要な素材である天然黒鉛の輸出を12月から制限すると発表した。これは、全世界の電気自動車業界にかなりの悪影響を及ぼすだろう。米中両国の新たな輸出制限措置は、APEC首脳会議の直前に出てきた。APEC首脳会議をきっかけに首脳会談が開催されても、米中対立が大幅に緩和されることはないように思われる理由の一つだ。米中の戦略的な競争、または新冷戦は、未来の覇権を決める科学技術競争はもちろん、台湾海峡、東シナ海、南シナ海などの東アジアから西太平洋地域に対する主導権など、両国の核心的な利益と密接に関連しているためだ。

 貿易依存度がきわめて高い韓国は、安全保障と経済の利益の積集合を必ず探しださなければならない。韓国は卵をすべて一つのかごに入れる愚かなことをしてはならない。米中対立の継続とあわせて北朝鮮の核の脅威が高まる状況のもと、東アジアでの軍事衝突の可能性を低めるためにも、韓米同盟強化は避けられない。日本との協力も増進しなければならない。しかし、日本に現在と同じ低姿勢をとってはならない。中国との関係もこれ以上放置してはならない。韓国が中国に対する最前線に立つことを自ら要望してはならない。中国は第1の貿易相手国だ。経済力が弱まる場合、韓国は、韓米日協力体制において、米国と日本を敬う形の二重の下位パートナーに転落する可能性がある。中国だけでなく、ロシア、さらには北朝鮮との対立も減らし、協力空間を広げることによって、安定した関係を構築しなければならない。政権によって日本との協力体制と中国重視のどちらか一方に過度に傾くことを防くならば、徹底して国益に基づく外交を行わなければならない。そして、一貫性のある外交を追求しなければならない。地政学的な断層線上の国家である韓国では、人々は口を開けば互いを噛みちぎりあっている。相手に向けた敵対心と憎悪は天を突き刺す。孟子は「国が自らを傷つけたあと、人がその国を滅亡させる」と言った。外交の理念化は国家社会の分裂を加速化する。理念を前面に出して国民間の対立を扇動する言葉と行動は、今すぐやめなければならない。

ペク・ポムフン|ソウル大学招聘教授・元駐フランクフルト総領事 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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