わが購読紙に週1回掲載されるコラム「ふる里の風景」。先日は『1ドル=360円』というタイトルだった。
「このハンドルいくら?」「答えは180円。1ドルの半分だから」。僕らが子どものころ、友達と遊んだなぞなぞの一つである。
今は何のことか分からない人が多いかもしれない。当時は1ドルが360円と決められていた(1949~1971年)。いわゆる「固定相場制」である。
僕らは生まれた時からそうで、学校でもそのように教わったから、それはもう不変の真理のように思っていた。ところがある日、360円ではなくなり、さらにその後「変動相場制」に移行したという話を聞いて、耳を疑ったものだ。もっとも海外旅行に行くわけでも、舶来品を買うわけでもない僕らにはどうでもいいことだった。しかしその後、海外旅行が盛んになって、初めてその意味が実感として分かったのである。
ちなみに、変動相場制に移行したのは、1973年2月からである。1973年といえば第1次オイルショックの年で、日本中の人がトイレットペーパーや灯油の買い占めに走り回った年でもある。私はすでに32歳になっていたが、その頃は海外旅行や舶来品を買うことなど考えたこともなかったから、1ドルがいくらだろうとまったく関心がなかった。大体、いつ変動相場制に移行したのか、それさえも知らなかったと思う。
為替相場に関心を持ったのは、生まれて初めて友人3人でハワイへ行くことになって、銀行でドル紙幣に換えたときである。今から30年ほど前で、はっきりしないが、たしかレートは1ドル=140円台だったように思う。まさか自分が海外旅行に行く時代がくるなんて思っても見なかったが、1ドル=360円だったらとても行けなかっただろう。たしか、ツアー代金は4泊6日で20万円弱だったと思う。旅行代金そのものは現在と比べてもそれほど高額ではなく、むしろ今より安かったのではないかと思う。
先日、1ドル=107円台後半、1年5カ月ぶりの円高ドル安水準に達したという。円高になればお土産もたくさん買えるし、現地でもお小遣いがしっかり使えるので得した気分になるが、円高は経済に深刻な影響を与えるそうだから困ったことである。
このところ、円高が続いて株価を下げているが、なぜ円高になると株価が下がるのか、円高や株価の低迷が日常生活にどう影響するのか、日本経済にとって望ましい為替レートとは? などなど、ど素人の私は知りたいことばかりである。が、たとえ知ってもどうしようもない。バブルがはじけてからほとんどの株は処分して手痛い目にあったが、今ある持ち株が何とかならないか、それだけに一喜一憂している情けないババである。
理由は説明受けてもさっぱり!理解不可能
複雑怪奇な経済界を牛耳る一握りの怪物たち
ややこしいカラクリを知るより、星空を眺めて宇宙の不思議に思いを馳せるほうがずっと健康的と思える老女です。
昔も為替相場がこんなに経済に影響していたのでしょうか。マスコミも今ほどにぎにぎしく報道はしなかったし、知らなくても日常生活に困ったということもなかったけど…。
いつになったら景気がよくなるのでしょうね。しょせん人間がやっていること、世界の首脳が雁首並べてもどうにもならないなんて変ですよね。