29日、日本相撲協会は春場所中の支度部屋で付け人を暴行した十両・貴公俊(貴乃花部屋)を1場所の出場停止。師匠の貴乃花親方は、弟子の監督責任や場所中の無断欠勤などを問われて、委員から7階級で一番下の「年寄」へ降格とした。
「年寄」に降格されると、役員待遇以上にしか認められない国技館の地下駐車場使用もできなくなる、国技館の通用門から人混みのなかを出退勤する、現場の雑用をやらなくてはならない。まさに「ゼロからのスタート」である。
年寄会が事前に用意していた質問は、以下の6つだったそうである。
1. なぜ協会に無断でテレビの特番に出演したのか
2. 3月9日の理事会を『所用のため』と言って欠席したが、どういう用事があったのか
3. なぜ無断欠勤のような行動をするのか
4. 日馬富士と貴ノ岩は暴力事件があった翌日に握手をして和解している。どうしてあのような大問題にする必要があったのか
5. 告発状が提出された3月9日は理事会と年寄総会を欠席している。そんなことが許されるのか
6. なぜ協会の中では意見を言わず、外に向けてばかり発信するのか
これらの親方衆の疑問に対して、貴乃花親方は具体的な説明はほとんどなく、「深く反省しております」「申し訳ありませんでした」「すべて私の不徳の致すところです」と、ひたすら謝罪や反省の言葉を繰り返しただけだったという。
日馬富士暴行事件での貴乃花の行動は常軌を逸していた。何かを発進するでもなくただ無言、組織への反抗心むき出しの姿勢は、時には傲慢にさえ見えて、詳しい事情を知らない私でも、いささか不快感を覚えた。
貴乃花のいう「相撲道」とは何ぞや? そもそも人としての道、礼儀・礼節、道理をわきまえずして「相撲道」を語る資格はない。己の立場もわきまえず組織を無視して、何が「相撲道」か、何が相撲協会の改革か。言うこととすることが違うだろう。
結局、貴乃花は全く妥協の姿勢を見せず、日馬富士を引退に追い込んだ。それでも一件落着とはならず、貴乃花は内閣府へ告発状を提出するなど、ご乱行は続いた。
相撲協会としては我慢の限界だったろう。が、抜群の知名度を誇る貴乃花に厳罰を下せば世間から強い反発をくらう。困り果てていたところに貴公俊の暴力事件である。
日馬富士の暴力は絶対に許そうとしなかった貴乃花だが、わが弟子の貴公俊の暴力行為には穏便な処置をと平身低頭。虫がいいといえば言えなくもない。結局、振り上げた拳の落としどころが弟子の暴力事件で、天に唾して己が面にかかってしまったのだ。
「平成の大横綱」ともてはやされ、若くして貴乃花一門を率いる親方になった。が、しょせん相撲しか知らない世間知らずの若者だ。人生には頭を打ってみなければ分からないことも多い。まあこれで少しはおとなしくなるかな?
貴乃花の協会への不信感、また協会の貴乃花への不信感、両者間のわだかまりはそう簡単に消えるものではあるまい。が、相撲界で生きるには辛抱するよりない。ファンが注目していることを肝に銘じて、まだ若いのだから最下級からテッペン目指して頑張れ! だが、何事もほどほどに…だよ!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます