老いらくの恋？・・・

　昨日の午後、昨年9月末まで3年間入居していたケアハウスを半年振りに訪れた。入居中親しくして頂いた93歳のＩさん、83歳のＴさん、79歳のＫさんたちは、みんなお元気な人生の大先輩で、私とは大きな年齢の隔たりはあってもなぜかうまが合い、今でも細く長いお付合いを続けている。

　私が入居した当時は、特別に目立つ嫌なタイプの一人を除いては、おとなしい物静かな人たちばかりで、静かないい雰囲気であった。しかし年を経るうちに亡くなられたり、退居したりで、少しずつ顔ぶれも変ってきた。そんな中、78歳のちょっと風変わりというか、常識外れというか、見た目にもウーン？と思うような女性Ｙ子さんが入居して来た。そして、その少しあとに、73歳の男性Ｋ男さんが入居してきてからがおもしろくなった。Ｙ子さんがこのＫ男さんに急接近して、人前もはばからず何かと世話を焼き、色々面白くバカらしい話題を提供してくれて、おかげで退屈せずにすんだ。しかし、この蜜月関係もＹ子さんの常識はずれな言動が原因で、Ｋ男さんを怒らせることになり、あえなく消滅したが、相変わらずＹ子さんの傍若無人な振る舞いには閉口していた。

　その後、私は9月末に退居、浮世へ還俗してからも、時々電話でＩさんたちから話は聞いていたが、半年の間に人間関係は大きく様変わりしていったらしい。最近、新しく入居した男性をめぐり、またもやＹ子さんとＪ子さん(83歳)との三角関係の恋のさや当てが始まり、出るの出ないのと大喧嘩の末、未だに冷戦状態が続いているという。いくら歳をとっても男女の仲は別らしいが、バカバカしくてみっともないとしか言いようがない。
　そして、今度はＫ男さんにも新たに春が来たらしく、彼女ができたという。うそかまことか知らぬが部屋に泊まりこんでいるとか。これもお元気で結構ネとしか言えない。
　又、新しく入居してきたＴ子さんは93歳だそうだが、男性とだけ話をして、女性とは一切口を利かないそうで、ご夫婦で入居しているご主人にも、奥さんに見えないように手を振ってアタックするそうである。

　歳をとっても若さを保つためには恋をするのがいいと言うが、加齢するごとにすてきに枯れて、性別を超えた人間としての付き合いができないものだろうか。今までも新聞などで、老人ホームでの男女関係のもつれから起きた刃傷沙汰が報道されることは度々あったが、こんな間近でそういう生々しい話を聞くとは思わなかった。季節は春、老いらくの恋の季節とでもいうか、それにしても実際に当人を知ってるだけに、そんなきれいな言葉で表現できるものではなく、みっともないからいいかげんにしたらって思ったが、これってヤキモチ？