子どものケンカで親と加害少年、Ｗ逮捕！・・・

　なんともあきれた話だが、自分の長男（１７）を暴行した少年（１８）が治療費を払わないことに立腹し、包丁を持って少年宅に乗り込んだ父親がいた。
　銃刀法違反容疑で逮捕された父親は名古屋市の清掃作業員だそうだ。名東署によると、容疑者の高校生の長男が先月、中学時代の先輩であるアルバイトの少年から暴行を受けたという。治療費を支払うことを条件に示談にしていたのだが、約束が履行されないことに激怒して、１６日に１７センチの包丁を持って少年宅に乗り込んだというのだ。しかし少年は不在で、代わって応対した少年の兄が包丁を取り上げ１１０番通報して逮捕。ここで事件が終息するのかと思いきや、第２の仕返し事件が起きてしまった。
　それを聞いた少年は反省どころか逆ギレして、軽トラックで容疑者宅を訪れ「お前のオヤジが何をやったか分かっとるんか」と長男を脅迫し車で連れ出し、両目と両手足を粘着テープでグルグル巻きにして「とりあえず頑張って生きて帰れよ」と、区内の公園で置き去りにしたというのだ。
　この間、容疑者と少年の兄は警察で事情を聴かれていたが、これを知った少年はノコノコ名東署に現れ、ことの顛末を説明しているうちに、ついさっき自分がやったばかりの長男への事件についてポロリと口をすべらしご用となったという。お粗末な話であるが、そこが未成年で智恵の働かないところか、兄を救いたいばかりにノコノコ出頭してボロを出してしまったという。だが、兄弟愛だけは強かったらしい。

　子どものけんかで親が逮捕された事件は過去にもないわけではない。しかし、怒鳴り込んできた親にギャク切れして、相手の少年に報復するとはあきれた話だ。昔は子どものケンカに親が出るなんて笑われたものだが、それでもわが子可愛さになくはなかった。だが、親が怒鳴り込んできたら、平謝りして事は収まったものだが、今は自分の親もよその親も怖くはないのだろう。今の若者には大人への畏怖などさらさらないのである。
　ここ最近、夫婦、親子、友人、そして隣人間での殺人事件が多いことに驚く。また、独居老人を狙った犯罪も多発している。こうした殺伐とした社会にへきへきしているから、「三丁目の夕日」のような映画に人々の関心が集まるのであろう。
　テレビで放映された前作しか見ていないが、あの映画のなかには犯罪とか、悪とかが感じられない。人はみんなのびのびと、ゆったりと暮らしていて、親子も夫婦もお隣さんもみんな一つ社会で生きているという連帯感が感じられる。信頼感や人情、やさしさが満ち溢れている毎日の暮らしに、なつかしい郷愁を覚えるのである。あの時代を知らない今の若者にぜひ見てもらいたい映画である。
　今、政治家や経済界のいい年をした大人たちのもろもろの不祥事に、若者の大人への不信感は募る一方である。あの時代を生きてきた大人がもっと強く正しくあらねばならないと思うのだが、どうも手本にしたいような大人がいないことが情けない。