つれづれに 

老いてゆく日々、興味ある出来事に私見を添えた、オールドレディーの雑記帳です。

将来への不安を抱えるプロ野球選手・・・

2010-02-10 | お気の毒です
 沖縄・宮古島でキャンプ中のオリックスに突然の悲報。小瀬浩之外野手が選手宿舎から転落、死亡したという。沖縄県警は自殺とみて調べを進めているそうだが、若干24歳、それも昨年12月に結婚したばかりだという。彼は、俊足好打の外野手として活躍が期待されていたというから、将来を悲観してなどというのではあるまい。が、この若さで自ら命を絶つ選択をするとは、どんな苦しみを抱えていたのであろうか。

 少し前にネットにあった記事だが、昨年10月、野球機構(NPB)は、秋季教育リーグ「宮崎フェニックスリーグ」に参加した選手217人(平均年齢23.44歳)を対象に、プロ引退後の「セカンドキャリア」について選手に対してアンケートを行ったという。
 アンケートは、主に「引退後の生活」と「引退後の希望進路」で、生活に不安があると答えた選手は74%にのぼったという。希望進路の1位は高校野球指導者で、「最もやってみたい仕事」としてあげた選手は24%、「興味がある」という答えを含めると、その率は73%にのぼるという。これをみると、あこがれの職業であるはずのプロ野球選手の4人に3人が将来に不安を抱えているという。

 プロ選手は実力の世界、昨年活躍したからといって今年も同じ成績が残せる保証はない。阪神のトップ選手・金本知憲さんでさえ、今年の年俸は昨年より1億円ダウンという厳しい世界である。ましてや自分の体一つが資本で、大ケガでもすれば戦力外通告も覚悟しなければならない。もちろんトップ選手は、サラリーマンの平均生涯賃金(大卒で約2億8千万円)を1年で稼いでしまう。また2009年の日本人全選手の平均年俸は3千793万円だそうだが、それも1年1年が綱渡りのようなものだろう。さらに、働ける期間は短く、今年、古巣の西部に戻った工藤選手のように46歳になってもまだ現役でいられる選手は本当に稀で、ほとんどの選手が実働6~7年、よくもって10年働ければいいほうだという。
 しかし、若くして高給をもらうものだから贅沢になれ、生活は華美になる。一度味わった贅沢暮らしはなかなかやめられず、引退後に備えて貯蓄に励むという堅実的な選手は少ないという。30歳半ばで引退して、その後の何十年をどうやって暮らせばいいか。過去にも、切羽詰って犯罪に走った者も少なくない。
 それでも堅実に蓄えた選手は引退後、飲食店やスポーツショップなどを始める者もいるが、成功している例は少ないようである。あの元阪神の掛布さんは、現在、多額の借金返済をめぐって係争中だというし、先日急逝した小林繁さんも飲食店を経営していたが、失敗して巨額の負債を負い自己破産していたという。

 また、引退後の保障となる年金制度だが、MLBではメジャーに5年在籍すると年金の受給資格が得られ、10年在籍すると45歳から年間約2千万円もの年金がもらえるという。あのマリナーズのイチローは、5年延長契約の年俸(約100億円)の一部を引退後から25年の分割で受け取ることにしているとかで、この年金と合わせると一生裕福に暮らせるという、なんともうらやましい話である。
 しかし、日本のプロ野球は10年以上の選手登録が受給資格であり、もらえる額は月額10万円程度、受給が始まるのも55歳からだという。これではとても引退後の生活の保障にはならない。しかも現行の年金制度は2012年に廃止されるそうで、こうしたことも選手の不安につながっているのであろう。

 今回のアンケートの対象者の多くは二軍暮らしで年俸も少ない若者が多く、それだけに将来への不安感が大きいのも当然であろう。引退した後に野球解説者やコーチになれる人はほんの一握りで、ほとんどの選手が現実の厳しさに直面するのである。プロ野球が日本の人気ナンバー1だったころの時代とは違って、昨今は不景気もあってか、プロ野球選手も夢を売る商売ではなくなったといえよう。明日が見えない選手たちに将来の明るい希望が語れるわけもないが、それでもプロの世界に身を投じたからには夢は持ち続けてもらいたいと思う。
コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 増え続ける「国の借金」に憂... | トップ | 「検察は再び小沢案件に着手... »

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
プロ野球選手 (おくだっち)
2010-02-12 10:27:46
トップクラスは一般会社の重役並みの年俸を貰いますが、殆どは一般役職くらいでしょう。

そしてその給料を貰いながら働ける期間は多くの選手が10年程
引退して有給の指導者になれるのは一握り。

将来が不安になって当然でしょうね。
夢を実現できなかった球児のほうが、会社勤めで将来が明るいかも知れません。

夢を開花させる可能性が僅かでも、それを目指すよう子供たちを指導している自分に、よく矛盾を感じます。
返信する
そうなんですねー。 (みそ猫堂)
2010-02-12 11:17:58
私はプロ野球には興味が無いので、全然観ないのですが、それでも掛布さんや小林さんは分かる位の有名人ですよね。
それほどの人達でもそんな状況なのには驚きです。

ただ、日本はプロ野球選手ばかりもてはやし過ぎだとも思います。
バイクレースのプロライダーやボクシングの選手は、日本一になったところでそんなに稼げるわけではないですもんね。

また、この平成大不況で堅実に自分の人生を生きて来た大手企業のサラリーマンが、突然職を失うさまを目の当たりにすると、どんな人生も生きて行くのは大変だなーとつくづく思います。
もちろん、自分も含めてですが・・・。
返信する
Unknown (オールドレディー)
2010-02-12 15:27:21
♠おくだっちさま
日本のプロ野球界も若いうちから選手に少々掛金が高くてもきっちり掛けさせて、将来に不安がないように年金制度を充実させるべきだと思います。が、その制度が廃止されるとはなぜなのでしょうか。
スター選手だけでチームが勝利できるわけではないと思います。そもそもあまりに年俸に差がありすぎます。
若いうちから贅沢に慣れるとろくなことがありませんよね。



♠みそ猫堂さま
今回の朝青龍の功労金や退職金などの金額を見ても、プロの世界では優秀な者、強い者しかいい目は見られないということですね。

今の不景気な時代ではプロスポーツの世界で生きようと思うのは難しいのですね。
でも、将来が不安だからといって夢をあきらめていてはプロスポーツは成り立ちませんし、やはり将来の保障をきちんと制度化すべきです。

返信する

コメントを投稿

お気の毒です」カテゴリの最新記事