先ごろの世論調査で、野田内閣の支持率は47.1%で、前回調査より7.5ポイント下がった。また、環太平洋連携協定(TPP)問題では「参加した方がよい」は38.7%、「参加しない方がよい」は36.1%と拮抗。参加した場合の影響を政府が十分説明していないとの回答が78.2%だったという。
野田内閣になって2ヶ月、“ぶら下がり取材”を拒否しているせいか、国民に対する野田首相の肉声が聞こえてこない。また、「安全運転」を心がける首相には強いリーダという印象が薄く、少々、物足りなさを覚える。
TPP交渉参加の是非を巡っては国会を二分して論議が続いている。が、なぜか民主党内からはTPP反対派の声ばかりが聞こえてくる。政府が推し進める方針にこれだけ反対が多いということは、日本の不利益になる可能性が高いということなのか。それが知りたい。
下図はTPPの主な交渉分野の論点を示したものである。これを見ると、それぞれの分野で期待できる点と懸念される点があり、全体的には丸印と×印の数は拮抗している。しかし、これで参加するのがいいか、参加しないほうがいいのかの判断は、私の頭では無理である。
経済界は賛成、農業団体は反対というように、それぞれ分野別に意見は分かれており、それをまとめることは不可能であろう。しかし、関税の撤廃で影響が出るコメ農家の中にも、日本の農業を強くするチャンスだという人もいて、必ずしも農業関係者全員が反対しているわけでもないという。
7日には超党派を超えた議員150人が参加してTPP交渉参加反対集会が開かれたそうだ。野党である自民党内にはTPP交渉参加に賛成という人もいるようだが、賛成にしろ反対にしろ、純粋に日本の将来を考えた上で判断したのだと信じたい。
しかし、今の状況を見ていると、過去の自民党政権下での族議員(特定の利益団体などと人脈を持ち、特定の政治分野において権力を持つ国会議員のこと。「建設族」「郵政族」「運輸族」「大蔵族」「農林族」「商工族」など)のように、既得権益を守るために行動しているように見えなくもない。多かれ少なかれ、次の選挙を意識しない議員はいないだろうから、腹の中は誰にも分からないが、政治家としての矜持は捨てないでもらいたい。
話は変わるが、東日本大震災の復興財源に充てる復興債の償還期間について、民主・自民・公明3党は、政府案の10年を25年に延長することで合意した。これで2011年度第3次補正予算案と復興財源法案が月内に成立する見通しとなり、震災後8ヶ月にしてようやく本格的な復興が始まる。
償還期間については、民主党は当初は10年を提示したが、公明党が15~20年、自民党が建設国債並みの60年を主張したため、10年から15年、25年と譲歩せざるを得なかったようである。10年で返す借金を25年で返すとなると単年の負担額は少なくなるが、それだけ長い期間ローンを抱えるのと同じ事で、次世代へツケを回すことにもなりかねない。が、早期に法案を成立させるためには譲歩も仕方のないことだろう。
いよいよ日本の借金は1000兆円を超えそうである。日本の借金は、家庭内でお父さんがお母さんから借金したようなものだから、ギリシャのようにはならないとテレビで誰かが言っていたが、はたして本当に大丈夫なのだろうか。
野田首相はG20で「2010年代半ばまでに段階的に消費税率を10%まで引き上げる」と公約した。冒頭の同世論調査では消費税率引き上げに賛成は50.4%、反対は48.1%だったという。いずれは消費税引き上げもやむを得ないだろうが、復興再の償還期間が25年となれば増税時期が長期にわたって重なり、消費や経済全体への悪影響も懸念されるという識者もいる。これから寒い冬がやってくるが、一番にふところが風邪をひきそうだ。
自公の時みたいになるのかなぁ?
事業仕分け は どうなったんだろうか?
国会どころか与党をも二分してもめにもめているTPP。決定を1日延ばただけでどうなるものでもなく、野田首相のリーダーシップを問われるだけです。
与党内でさえ抑えきれず、野党には譲歩、「安全運転」ばかりしていては国民からも見放されます。やるべきことはやるという強い意思を見せて欲しい。でも、やはり誰が首相になっても難しいようですね。
事業仕分けはやるようですが、あまり期待はしません。