運輸業界の闇カルテルを内部告発したため、約30年間閑職に追いやられたとして、トナミ運輸(富山県高岡市)社員の串岡弘昭さんが2002年、同社に損害賠償を求め提訴。富山地裁は2005年2月、報復人事を認定し、同社に約1360万円の支払いを命じたが、謝罪請求は退けた。同年3月、串岡さんが控訴。2006年2月、同社がさらに約1800万円支払うことや、適正で公正な業務運営を心掛けること、串岡さんの適法な言論活動を制約、妨害しないことなどで和解した。
内部告発した1974年以降、報復人事で窓際族となって32年、様々な思いを胸に、串岡さんは20日、定年退職を迎えた。
自宅に来て午前4時まで退職を説得する重役。突然押しかける暴力団組員らしい男…。 しかし、後に続く内部告発者のためにも圧力に屈したという前例を残したくなかったという。「密告者」とささやかれ、同僚に無視され孤独だった。告発後は狭い個室に移され、草むしり、雪かきぐらいしか仕事がない。自分が責任ある仕事をこなす姿を夢に見ては、現実とのギャップにむなしさと怒りがこみ上げたという。昇格もずっとなく、給料も新入社員程度だった。長男や長女が大学を卒業できたのは、一審判決後に亡くなった義父の支援があったからで、裁判で勝ち取った慰謝料や和解金は、罪滅ぼしのつもりで妻順子さんの口座に振り込んだそうである。
「彼には強い信念があった。わたしはついていこう。それだけでした」と順子さん。提訴の時は「思う通りやればいい」と背中を押した。とかく事なかれ主義で、平穏無事を望む者の多い中、こういう妻もめずらしい。まさに、夫唱婦随といえよう。
心の安定を保てたのは22年前、出勤途中にラジオで募集を聞いて飛び付いた近代美術館の解説ボランティアのおかげだ。抽象画を分かりやすく説明するのが得意で、来訪者に「ありがとう」と言われると、仕事では得られなかった充実感があったという。
退職後は、裁判の記録をまとめた本を出版するつもりだとか。長かった窓際族の生活を振り返り「運輸業界に自由競争の機運を持ち込み、報復人事を認定した判決を残せた。頑張ったと言えるかな」と感無量の様子。最近は大学での講演も頼まれるとか。若者には会社の利益だけを追ってほしくない。「不正に立ち向かう本当の社会人であれ」と繰り返している。
20日のお昼のワイドショーでも取り上げ、ご夫婦で登場していたが、筆舌に表せない苦悩の日々であったろうと同情する。めでたく定年の日を向かえ、一番喜んでいるのは妻の順子さんだろう。熟年離婚の多い今、このように強い絆で結ばれた夫婦のいることが珍しくも感じる。世のご主人方にとっては、このような糟糠の妻をもつ串岡さんをうらやましく思う人も多いのではないか。
内部告発した1974年以降、報復人事で窓際族となって32年、様々な思いを胸に、串岡さんは20日、定年退職を迎えた。
自宅に来て午前4時まで退職を説得する重役。突然押しかける暴力団組員らしい男…。 しかし、後に続く内部告発者のためにも圧力に屈したという前例を残したくなかったという。「密告者」とささやかれ、同僚に無視され孤独だった。告発後は狭い個室に移され、草むしり、雪かきぐらいしか仕事がない。自分が責任ある仕事をこなす姿を夢に見ては、現実とのギャップにむなしさと怒りがこみ上げたという。昇格もずっとなく、給料も新入社員程度だった。長男や長女が大学を卒業できたのは、一審判決後に亡くなった義父の支援があったからで、裁判で勝ち取った慰謝料や和解金は、罪滅ぼしのつもりで妻順子さんの口座に振り込んだそうである。
「彼には強い信念があった。わたしはついていこう。それだけでした」と順子さん。提訴の時は「思う通りやればいい」と背中を押した。とかく事なかれ主義で、平穏無事を望む者の多い中、こういう妻もめずらしい。まさに、夫唱婦随といえよう。
心の安定を保てたのは22年前、出勤途中にラジオで募集を聞いて飛び付いた近代美術館の解説ボランティアのおかげだ。抽象画を分かりやすく説明するのが得意で、来訪者に「ありがとう」と言われると、仕事では得られなかった充実感があったという。
退職後は、裁判の記録をまとめた本を出版するつもりだとか。長かった窓際族の生活を振り返り「運輸業界に自由競争の機運を持ち込み、報復人事を認定した判決を残せた。頑張ったと言えるかな」と感無量の様子。最近は大学での講演も頼まれるとか。若者には会社の利益だけを追ってほしくない。「不正に立ち向かう本当の社会人であれ」と繰り返している。
20日のお昼のワイドショーでも取り上げ、ご夫婦で登場していたが、筆舌に表せない苦悩の日々であったろうと同情する。めでたく定年の日を向かえ、一番喜んでいるのは妻の順子さんだろう。熟年離婚の多い今、このように強い絆で結ばれた夫婦のいることが珍しくも感じる。世のご主人方にとっては、このような糟糠の妻をもつ串岡さんをうらやましく思う人も多いのではないか。
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