最近の傾向として、寄らば大樹の陰、と言うことなのでしょう、大学病院とか分院展開している診療所が患者さんを集め、どんどん強くなっていると言う反面、私とかの市井の一個人開業医は小さくなって行っている、と言う傾向なのだそうです。
何でもかんでも大きければ安心出来る、と感じるのが人の習性、と言うもののようです。
因みに、私は大規模医療法人の出身で、一番大きくなった時には歯科医師数30人以上、診療所の数も8院以上と言うかなり大きな法人に在籍していました。
それで実際にどうだったのかと言うと、私自身は限界があると感じて、自分の理想とする診療所、患者さんの夢、スタッフの夢、そして院長である私の夢が叶う診療所にする、と標榜して開業しました。
開業した当初は、私も法人化して分院展開をすることを考えたりしましたが、断念しました。
何故かと言えば、自分が理想と考える医療を提供するには、余り大きくしないで自分の目が届く範囲内で仕事をする方が良い、と判断したのです。
つまり、大きな展開をすればするほど、治療レベルを揃えることが非常に難しい、何でもかんでもマニュアル化してその作業通りに進めば良いのでしょうが、患者さんは一人一人全く違いますし、その個人個人に合わせた治療計画、材料とかを揃えるとしたら、それは非常に大変であろう、と言う判断だったのです。
医療、特に歯科医療は現実的に必ず何かを弄るものであり、それに使う材料、やり方には無数の方法があって、それをマニュアル化するのは、私には出来ない、と感じて止めたのです。
私の経験ですが、法人時代、使う材料とか器具とかまでこれを使うとか徹底的に合理化されていて、決められた方法にしないといけない、と言うのはお題目で、実際にはそれぞれの先生がこれを使いたい、あれじゃないといけない、と言う感じで、統一的な方法で材料費を節約するなんていうのは不可能で、凄く大変であった、と覚えています。
又、法人化していて何人も歯科医がいれば相乗効果があるのか、と言うと、たいていの場合歯科医は皆さん自分の受けて来た教育で染まっていて、それ以外のものには中々取り入れない、バラバラである、と言うのが現実であったのです。
このことは、大学病院とかの場合でもっと顕著で、担当医によって全く治療方針、方法が異なると言う状況が起き、実際の診療レベルに関しては不明、と言うのが最も正しい、と言う状態でしょう。
勿論、このような見解は私個人の能力の限界でしかなく、もっと人物の大きな方なら大きな医療法人を率いて立派な医療を実現しているのかも知れません、否きっとそうなのでしょう。
但し、患者さんは常にトップである院長先生に診て欲しい、と思っているでしょうが、大きな法人になればなるほどそれは不可能になります。
どう言うことかといえば、それだけ患者さんが来てくれるなら、その場その場で別の担当医が見ることになり、例えばインプラント手術だけ院長で、後は又別歯科医と言う形か、もしくは担当医制にしてその個人の責任で行う、と言うスタイルが法人のスタイルになる、と言うことなんです。
私が所属していたのは、個人責任型の法人でしたので、私の好きなように仕事させていただいていて、私的には幸せでしたが。
患者さん側として、賢くなるなる為には、HPとか読まれる時にその反面の欠点を補っているのをさりげなく書いているのを裏読みされると良いでしょう。
手術は院長がします、と書いているということは、それ以外のことは院長じゃないんだ、と言う読み方です。
沢山の歯科医が勤務していて、診療に当たっています、と言うことは、担当医制で院長に会うことはない、と言う、そう言う読み方です。
患者さん達は、何となくの感覚で大きい所が安心出来る、と感じるのかも知れませんが、大きい所はその分小回りは効かない、本当にその患者さんが望んでいる医療は提供されているのかどうかが全く不明である、と言うのが、大きな医療法人に勤めていた私自身の個人的な経験です。
大きければ良い、と言う幻想から患者さんが覚めた時、大きな法人はかなり厳しい時を迎えることでしょう。
私は、私自身がそうしたいように、個人開業医で腕の立つ、ネットワークを持っている、情報通の先生が良い、と考えています。
そして、私自身もそうありたいと願って、世界の学会まで単身で出掛けます。
それでも、あなたは大きな所に通いますか?
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