部分的に歯がない所への、直ぐに綺麗に歯を入れるインプラント治療、部分即時荷重インプラント治療を、私は2000年の秋から始めました。
2000年のホノルルのAAPアメリカ歯周病学会で恩師DR,ラムの即時荷重インプラントの最終講演を聞き大感動して、そこでの示唆をそのまま信じきって帰国したら、不思議なことに部分的な部位へのインプラント治療で直ぐに綺麗に歯を入れてくれないと絶対に嫌だ、と言う患者さんが紹介されて来られ、やることになったのです。
その当時、私が恩師DR,ラムから学んだのは実は総義歯患者さんへの即時荷重インプラント治療でした。
つまり、歯が1本もない状態の患者さんへの直ぐにインプラントで綺麗な歯を入れるインプラント治療でした。
私の元に来られたのは部分的に半分近く歯がない、と言う状態の患者さんでした。
歯の治療のことをご存知ない方は、1本も歯がない場合の方が、部分的に歯がないものよりも難しいだろう、と思われることでしょう。
しかし、咬み合せの安定とかバランスを考えると、全ての歯がない場合の方が、人工的にバランスを取りやすくそれによって安定を獲得しやすく、治しやすいのです。
部分的にすれ違い状態で歯が残っている方が、天然歯とインプラント部位のバランスを取るのが難しく、咬み合せの歯も残っていたりすると、更にバランスが取りづらくなり、歯周病の揺れている鳩がが絡んで来ると、訳が分からない状態に陥って難しくなるのです。
そう言う状況が分かっている中、私の前に現れたのは、そう言う治療を求める患者さんでした。
歯周病で歯が揺れているし、咬み合せの落ち着く所すら安定していない、インプラント植立なんてしたら横揺れの力が加わり続け、収拾がつかなくなるんじゃないか、と思えるような患者さんでした。
そんな患者さんを治す為に、私は即時荷重インプラント治療を世界でも前例のない半分近く歯がない、部分的に歯がない症例の中でも最も難しいと予測される患者さんに行うことを決意したのです。
私の不勉強かも知れませんが、私の知る限りに置いて2000~2012年現在でも尚、類する部分的に半分近く歯がない部位への即時荷重インプラント治療の報告は見たことがありません。
あれから12年以上も経ちましたが、国内は勿論世界の学会、セミナーまで出掛けて行っても、まだ見たことがないです。
それを12年も前の2000年の秋、私は行いました。
そんなことをやろう、何とかしよう、と思うだけで、とんでもないことである、と怒られる時代でした。
世界のT,N先生、N,S先生、Y,K先生、その他の先生方皆さん、その当時即時荷重の質問をしただけで出来る訳がない、と大層叱られて、絶対にするんじゃない、と釘を刺されました。
そんな中、私はやりました。
裏話をすると、スタッフ、勤務医、身内と思っていた皆も猛反対していました。
絶対に危ない、全てのインプラントがグラグラになって、骨がなくなって大変なことになる、と反対されました。
実力のある勤務医も、首をかけて止めさせる、と忠告してくれました。
そうです、世界中で私たった1人だけが、やろう、出来るはずだ、頑張ろう、と言っていたのです。
半分近く歯がない部分欠損への即時荷重インプラント治療と同時のGBR骨造成、前代未聞の手術を、私1人だけがやる気になって、何としてでもやろう、と決めていたのです。
結果から言えば、無事に大成功することが出来、そこから私のキャリアは始まり、今では550症例以上を数えるまでになったのです。
あんな無謀なことを、何故する気になったんですか?とかどうして出来ると思ったんですか?と質問を受けることが良くあります。
正直、良く分かりません。
ただ一つ言えることは、そうして差し上げないと患者さんが救えない、だからやろう、と言う気持ちしかありませんでした。
勿論、失敗した場合へのリスクマネジメントも考えの中に入れていて、何かがあったら次はこう、又何かがあったらその時にはこう、と言う手筈のことだけは必死で考えていた事は良く覚えています。
皆が想像している最悪の事態にだけは至らないだろうな、1~2本は失う事になるかも知れないけれど、2~3本はくっ付いてくれて、脱落した部位へ最手術で乗り越えられるだろうな、と考えていました。
幸いにも、こちらの予測を上回る全てのインプラントが成功する、と言う言葉に尽くせない喜びを経験出来ました。
何故、世界にも類例のないことを市井の一開業医にしか過ぎない私がすることになったのか。
分かりません。
そして、私は一つだけ言えることがあります。
それは、私が大馬鹿者であった、と言うことです。
まともな神経の持ち主だったら、多分しなかったし、出来なかった、でしょう。
ですから、私は自分が大馬鹿者であることを誇らしく思っています。
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