患者さんは、腕の良い安い早い歯医者を探すのだろうが、それは無理と言うモノ、と私は思う。
保険診療で国から守られている、とか勘違いしている方々が多いようだが、そんなことはない。
薄利多売が保険診療の本質であり、そこには医療人の体を酷使する、と言うボランティア的精神によって支えられている犠牲によって成り立っているのだ、と明言する。
大体、大臼歯のクラウン1個7760円でしかなくて、形成料3660円、型取り620円、噛み合わせの記録160円、接着剤170円、維持管理料1000円、合計13370円。(患者さんの負担は3割で4010円)
昨年新しく導入されたCAD/CAM1本16840円にも届かない。
おかしくないですか?
何より、この値段だったら普段着ている衣料品とかで直ぐに消費しているのでは?
まともなスーツ1着すら買えない。
美容院に行けば、毎月使って整えている、とかの値段ではないですか?
それで2年補償とか、型取りし直したり、手順追って何度にも分けながら整えてったりとかの丁寧な治療したらコストとのバランス考えると有り得ないでしょう。
衣料品なら、毎日1日中着る筈もなく、歯は毎日1日中口の中で酷使されている訳で、そう言う事情鑑みれば、異常なほどに安く見積もられている、と感じます。
髪型なら月に1回ちゃんとする為に使ってとかでしょう・・・
なのに耐久品で、それなりの品質求められるのなら、それなりの金額になるのが通常ではないでしょうか?
かつて、歯科医療に関しては、お上側から点数を上げようか、と言うお話が来た時に、歯科業界側が断った、と言う経緯があったことを、私は師匠から教えられました。
馬鹿なことしたものです。
それが現在の禍根となっているんですから。
歯科医療の価値観を下げる一因になった、と言っても間違いはないでしょう。
安ければ価値がそれなり、としか受けとめられないのは当たり前のこと、です。
そして何より問題なのが、問題起こしても治せば良いや、と言う意識になってしまって、予防の観念が根付かないこと、です。
馬鹿な話です。
削ってしまった歯は決して元には戻らないのに…
残念ながら、日本人は10代の永久歯が生えたての時に、親の手を離れてしまって、勉強、クラブ活動、遊びに夢中になって、口の中のことなんか疎かになります。
そして、その時に虫歯の種が振り撒かれ、20代30代とかでいよいよ駄目に成って治療、になっているらしいです。
本当は、10代が一番大事な時期なのに。
それはお口のことだけじゃなく、人生でもそうでしょうが、もっともっと口の中に、歯のことに、親知らずのことに関心持ってキチンと予防、早期治療を出来たらなら、どれ程その人は人生の中で歯の治療、口の中の治療とかの、無駄としか言いようのない時間の浪費をしないで済むのか?
そのことを考えて欲しい。
そして、歯の治療費は、そう言う予防とかに取り組めなかったことへの反省とか気付く切っ掛けと考えて、それなりの価格設定を、と私は考えます。
牛丼屋じゃないんですよ!と分かっていただきたい私です。
又、叱られそうですね…