歯がなくなった顎堤と総義歯人工歯排列の関係の話、続編です。
今朝わざわざいただいた写真です。
この上顎を見て下さい。
説明するまでもなく、人工歯排列によるアーチの状態と残存顎堤には、著しくアンバランスなのが分かります。
これを歯槽頂だけを見て、インプラントを埋めることの難しさ。
インプラントの外側、頬唇側に骨を残すことを考えて埋めてしまうと、必然的にインプラントのプラットフォームは内側、口蓋側に来てしまいます。
良く見て下さい。
上顎の人工歯排列のアーチはかなり外側ですよね。
上顎の模型に描かれている黒い線は、仕上がった総義歯の後縁です。
それを理解して下さい。
頭の中でスーパーインポーズして眼を見開いて見て下さい。
そうです。
この模型と総義歯から見ると、かなり人工歯排列は前に外側に突出されている、と言うことです。
総義歯を、ちゃんと機能的に審美的に満足できる歯並びにするにはここに来るのです。
しかし、骨しか見ないでインプラントを埋めてしまうと、しかも頬唇側に骨を残すように建ててしまうと?
明らかに、理想的な歯並びよりも内側に口蓋側に来てしまう、舌房の領域を侵してしまう人工歯を、排列をしてしまう、のが分かります。
これに対する正しい処方箋を、具体的に説明してくれてるモノ、先生に私は出会ったことがありません。
できると言うなら、写真を出して欲しい。
咬合面観、仕上がりの補綴物、インプラント埋入写真。
海外のサイトは、誰でもアクセスして見れるようにしてます。
その事実は立派だと思います。
事実を明らかにせず、出来るとだけ言われても、私には信じられません。
例の海外のサイトの仕上がりは、案の定奥歯の仕上がりはやっと交叉咬合で仕上げてて、それでも頑張ってるな、と私も思います。
しかし、日本人の場合は、いただいたこの模型のようなお口の状態の患者さんが普通です。
だから、全顎的インプラントを経験した患者さん、術者は、鼻唇溝が目立つようになったとか、口元が年寄りくさくなった、と言うことが起きてるんです。
更に、舌房も狭くなって、咀嚼、吸引、嚥下にまでやり難いなってしまったら?
何のために、固定式の義歯をわざわざインプラントの大変な手術を受けてまでしたのでしょう…
インプラントは、顎口腔機能を助ける、復活させるためになければならない、と私は確信しています。
それには、このいただいた写真のような人工歯排列、歯冠の位置を再現しなければならない、と私は主張します。
そのためにこそインプラントを使わなければならない、と明言します。
それを皆さんに理解して欲しい、と心からお願い申し上げます。
もう一度繰り返します。
この模型と総義歯を良く見て下さい。
この範囲外にはみ出るような補綴物が入るようなインプラント治療をしてはならない、と個人的責任でお願いします。