今日は朝から大きな予約を入れていた患者さんが、キャンセルになって、果どうしましょう、と言う時に、2~3日前から急に歯が痛くなって、と言う馴染みの患者さんが再来院され、神経の処置かなと麻酔して削って見たら、歯髄の所で水平にヒビが。
これは治せる状況ではない、この歯は申し訳ないのですが抜歯するしかないです、と申し訳ない気持ちで説明させていただいて、お話し合いをさせていただいて、緊急でじゃあインプラントまでやってっちゃおうと言うことで、緊急抜歯即時植立即時荷重インプラント手術になりました。
上の写真が以前撮影させていただいたもので、下が本日の手術直後のレントゲン写真です。
一番奥歯がインプラントでセラックが入っている状態で、その手前も虫歯でセラミック冠になっていて、手前はレジンで修復している程度だったのですが、噛む力が強かったようで、水平にヒビが入り、そこから細菌感染を起こしたか何かで急に激痛がし出して、今日急患で来られたのです。
この患者さんは幸いなことに、私のインプラント治療経験者でしたので、腫れたり痛んだりする恐怖感とかは全くなく、こちらが恐縮するくらい爽やかな顔で、インプラントにしよう、と決断されました。
日頃から真面目に来て下さっている患者さんでしたので、口腔清掃も良い状態で、直ぐに抜歯即時植立に行けました。
そして、植立トルク力も70Nと言う強いシッカリとした状態で処置が出来、綺麗に仮歯を入れられました。
それはそれで良かったのですが、どうも患者さん達を診ていると、インプラントを入れたことで良く噛めるようになって、強い力が加わると手前の歯とか近くの歯がヒビが入ってしまってダメになる、と言う経験を時々してしまいます。
インプラントはチャンと治ると、困るくらい強い力が加わってしまうことがあるのです。
そうすると、インプラントが大丈夫でも、近辺にある天然歯が壊れて来てしまう、と言う問題が起こることがあるんです。
今回の患者さんでは、幸い非常に理解の早い患者さんでしたから、すぐにご決断いただけ、緊急手術になり解決することが出来ましたが、他の患者さんたち皆さんがこうは素早くは判断出来ないでしょう。
しかし、現実問題として、今後こう言う問題が起きて来るのがインプラント治療の後々の問題として頭を悩ませられることになることでしょう。
これも、いわゆる自傷咬合と私が呼ぶ、強過ぎる咬合の力からくる問題なんです。
人の嗜好はそうそうは変えられません。
歯応えのある食べ物が好きな患者さんは、どうしても歯が治って快適になると、昔の嗜好を取り戻そうとされるんです。
そして、それが又次の問題を引き起こす。
習癖からもたらされる疾病、それを日常生活習慣病、と呼びます。
しかも、この病気は患者さん自身は全く気が付いてない、問題がある筈がない、と考えているので改善が難しいのです。
今回の患者さんは、ご理解の早い、おおらかな方だったから良かったです。
日常生活習慣病は、患者さんの普段の生活に病気の原因が潜んでいます。
分かり易い例で言えば、甘いものばかり食べていたらいつかは糖尿病になり体を壊すことでしょう。
食事をして、歯を磨くのが出来なければ、虫歯や歯周病になるでしょう。
それと同じで、強い力を掛け続けていれば、必ずモノは壊れます。
インプラントになるような歯が悪くなってしまった患者さんは、実は歯を悪くしてしまうこういう習慣を持っていたのかも知れません。
インプラントが入ると言うことは、痛くも何ともなく噛める状態が復活する、と言うことなのです。
それが本当に良いことなのかどうか。
我々はもう一度考え直さないといけないのだと思います。
インプラントにしたから、歯を壊す習慣があった時のように歯応えの強すぎるものを何でもバリバリ噛んで良い、と言うのは実は間違っているんだ、と言うことなんです。
インプラントが出現する前は、こんなに力掛けて噛んでも大丈夫、と言う治療方法は現実にはありませんでした。
それも、加齢問題と絡んで当たり前と言う感じで諦めていたのが現実でした。
それがインプラントの出現でガラリと変わり始めているのです。
痛くも何ともなく噛める、それがインプラントの最大の利点なのは確かです。
しかし、それに伴う次の時代の問題が今始まっている、と私は警鐘を鳴らしたいと思います。
自傷咬合、と言う日常生活習慣病。
新しい病気が起き始めているのです。
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