星とか日々とか

ブログはじめました/2011/12/10

ミュシャ展と大エルミタージュ美術館展 2017年5月7日

2017-05-07 00:45:18 | 音楽 絵画 芸術

連休中の黒姫高原の様子と前後してしまい恐縮ですが、4月28日にミュシャ展(国立新美術館)大エルミタージュ美術館展(森アーツセンターギャラリ)を観てきました。

☆ミュシャ(アルフォンス・ムハ)展

チェコ国外で、「スラヴ叙事詩」の全20作品が展示されるのは今回が初めてで、期待に胸を膨らませて乃木坂に向かいました。
平日だったこともあり、チケット売り場は数分待ち程度、入場の待ち時間はありませんでした。

会場の入口でチケットを提示し、中に入った瞬間に、「うわーっ」と声を上げるほどの迫力の叙事詩数点が、巨大な壁面を覆うかのように展示されています。
最初の作品は、「 原故郷のスラヴ民族」、怯えた表情で身を隠しながらこちらを見る女性、遠景の丘には、恐ろしい形相の侵略者の集団が迫り、そして神に
慈悲を乞うスラヴ民族の司祭が描かれています。NHK特番で見た時の感動をさらに大きく超えるものでした。ここだけでもほかに5点、隣の部屋には9点、
その奥の「撮影可能エリア」では5点が迎えてくれます。スラブ叙事詩の展示エリアだけでも恐らく300名近い人がいたと思いますが、それでも狭いという感
覚は無いほど作品と展示空間が巨大です。作品の天井に近い部分は6メートルもの高さがあるため、持参した小型双眼鏡が作品上部の人物の表情などを見る
時に役立ってくれました。

撮影可能エリアでは、本当に撮っても良いのだろうかと戸惑うような5つの作品が展示されています。勿論全景や部分など沢山撮らせていただきました。持参
したカメラとレンズ(星空撮影に常用しているα7SとFE16-35mm)は、高感度特性の良さと色再現の豊かさを発揮し、薄暗い美術館の展示場での臨場感を遺憾
なく写し取ってくれました。また多くの人が、いわゆるスマートフォンで静かに撮る中、一眼レフのシャッタとミラーの音は静寂を破る耳障りなものとなりが
ちですが、これもサイレントモード撮影で気兼ね無く撮影することが出来ました。
このような世界的に大変貴重な大作を撮影する機会を与えて下さったことに、改めてチェコの皆さま、ならびに主催者に感謝いたします。

スラヴ叙事詩は、見る者に強く訴え、しかし決して恐怖を与えることがない(描かれていることは深い恐怖と苦悩であっても)、特番などでも出演者が同様の
意見を述べていましたが、そのことを実際に作品を見ることで実感し、また最も大切なことだと感じました。

スラヴ叙事詩を見終えたときには既に入場してから2時間以上が過ぎており、帰りの電車の時間が迫ってきていたため、その後のアール・ヌーヴォーや世紀末
の祝祭などまだまだ展示が沢山あったのに、さあーっ、と流すくらいにしか見ることが出来なかったのが少し残念でした。出口のショップで図録としおりを購入
して足早に会場を後にしました。外は気持の良い快晴の夕暮れでした。 帰りの電車の中で作品を思い起こしながら、「パリでのアール・ヌーヴォーの作品も
叙事詩も決して別のものではなく、一つの源流、スラヴ人ムハの心から溢れているものだ」と強く感じました。

図録は作品と詳細な解説が記載されていてお奨めです。掲載されている作品(写真)はどれも素晴らしいものですが、スラヴ叙事詩に関していうと、展示場の
明かりの中で本物と向き合う臨場感は、やはりその場ならではのものです。 勿論あの大きく精緻な作品と、見開きでもA3の本を比較するのはフェアではあ
りませんし、また図録上の叙事詩も十分に素晴らしいものです。加えて思いっきり目を近づけてじっくりと明るいところで解説を読みながら見れるのも本の良
いところですので、まず図録で下調べをしてから(朝日新聞SHOPなどで購入可)現地で実際の作品を観るのもよいかもしれません。

ちなみに当方が行った4月28日に来場者が30万人を超えたそうです。

国立新美術館アトリウムのポスター

撮影可能エリア

☆大エルミタージュ美術館展

ミュシャ展は昼食後の午後からでしたが、午前中は森ビル52階でこちらの展示を観ました。入口で迎えてくれたのは、「戴冠式のローブを着たエカテリーナ2世
の肖像」しかもこの日まで、特別にこの肖像の写真撮影が可能で、勿論撮らせていただきました。
展覧会のタイトルに「大」と付くだけあって、作品点数は相当です。またルネサンス、バロック、オランダ市民絵画時代など3世紀以上に跨り多岐にわたるため、
じっくりひとつずつ観ていても決して飽きは来ず、集中して楽しめます。どの作品も素晴らしいのですが、その中でも特に印象に残ったのは、

《手袋を持つ男の肖像》 フランス・ハルス (昨年に続き、思いがけずハルスの作品にまた出会えた)
《聖母マリアの少女時代》 フランシスコ・デ・スルバラン(表情を見ているだけで心が安らぐ)
《牧童の女性》 ダーフィット・テニールス2世(遠い過去の人のようでもあり、ついこの間町中で会った人のようでもあり不思議な女性と首飾り)

こちらも約2時間鑑賞してから(時間に制限がなければ何時間でも見ていたい)、出口のショップで図録を購入しました。 この図録は各作品の色彩や質感も良く
再現されていると思います。

普段暮らしている北信濃は、自然豊かで星空が綺麗でよいところですが、けれどこういった世界の美術品の名作を気軽に拝見できるのは、やはり東京ですね。

森ビルエントランス

エカテリーナ2世 この日は撮影可能日、オリジナルはもっと色彩豊かですが、意図的に彩度を低くして装飾の輝きを際立たせてみました。

 

 


 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする