おとといのこと。
義母ヨシコが電話を取ると、いきなり泣き声が聞こえたという。
「ヨシコさん!私よ、ゆみ子よ!
息子が死んじゃったの!
嫁に殺されたのよぉ~!」
殺人事件かと、驚いたヨシコ。
私がヨシコの所へ行ったのは、その電話の直後だった。
電話の相手は、40年前、近所に住んでいた
3歳年下のゆみ子さん。
ご主人が出張の多い人だったので、いつもヨシコ一家を頼りにして
仲良く行き来していたそうだ。
ヨシコの昔話は、ほとんど聞きつくし
往復も何回かしていると自負する私だが
ゆみ子という名前が出るのは、初めてだった。
当時、ゆみ子さんは二人目の男の子を生んだ。
生後10日を過ぎても、赤ちゃんに名前をつけないので
イライラしたヨシコが「信治」はどうかと提案。
ゆみ子さんは、赤ちゃんにその名前をつけた。
やがて、ふとしたことから絶縁状態となる。
2~3年後、ヨシコは、今の家に引っ越したため
それきり、ゆみ子さんとは会っていなかった。
そしてその日、ゆみ子さんから、40年ぶりに電話がかかってきたのだ。
「ヨシコさんが名前をつけてくれた、あの信治が、自殺したのよ!」
ゆみ子さんは、そう言って泣くのだという。
「こんなのどう?って言ったら、いつの間にか、それで届けを出してたのよ」
ヨシコの解説が入る。
人情家のヨシコが、いつになく冷ややかだ。
信治君は何年も前から、奧さんの浮気に悩んでいた。
自分さえ黙っていれば、子供を泣かせることはない…と
何年も辛抱していたそうだ。
しかし、ある日とうとう我慢出来なくなって、問いただした。
向こうも妻子ある人だったので、奧さんは「二度としません」と
泣いて謝り、元のさやに収まった。
が、信治君の目を盗んで、また会うようになっていた。
奧さんの携帯を見て、それが発覚した。
信治君は、奧さんの浮気相手が勤務する会社の駐車場で
排ガスにて、亡くなっていたそうである。
間男に対する、無言の抗議であろう。
男性の方がダメージが大きく、思い切ったことをする。
女でよかったわい…と言い合うヨシコと私。
でもね…ヨシコは言った。
「ゆみ子さんは、旦那さんと同じ会社の人と、ずっと浮気してたの。
旦那さんの留守に、家に泊まりに来たのも何回も見たわ。
信治君はその人に生き写しなの。
名前をなかなかつけなかったのも
今思えば、ご主人も何かは知っていたからだと思う」
元々正義感が強く、亭主の浮気に早くから苦しんでいたヨシコ。
「子供のために、浮気はやめなさい」
と、ゆみ子さんに苦言を呈さずにはいられなかった。
ゆみ子さんは逆上し、口論の末に絶交の運びとなった。
「浮気なんてする人はね、なんでも人のせいなのよ。
“信治の名前は、ヨシコさんがつけたんだから…”なんて言われたら
自殺したのが私のせいみたいじゃないの」
ヨシコは不機嫌だ。
「信治君、かわいそうに…まだ43歳だったのよ。
因果応報よ…母親の罪を、息子がかぶらされたのよ」
宗教に傾倒して久しいヨシコは、そう言う。
何十年も経って、忘れた頃に上映される、自分の行いの再現フィルム。
しかも、自分の時より深刻になってるし。
しかしまあ、そんなのはよくあること。
私が軽くうなったのは、絶交して40年のヨシコにまで
連絡を取らなければ気がすまない、ゆみ子さんだ。
信治君が亡くなったのは、4月というから
あちこちに電話をかけては、嫁の罪状を訴えるうち
ヨシコにもたどりついたのだろう。
「嫁が遺体の引き取りを拒否したのが、一番悔しい…。
主人に頼んで、うちで葬式を出したのよ」
ゆみ子さんは嫁の冷酷を強調するが、ヨシコのように事情を知る者には
頼まないと引き取れないなんて、ご主人はやっぱり全部知ってたのね…
などと後でささやかれ、因果応報なんて無責任なことを言われる。
本人は永遠に気づかないだろうが、これはみじめだ。
それでも、ゆみ子さんはまだいい。
生きている。
だが、決定的な罪を犯していない信治君はどうなる。
因果応報で片付けられたら、たまったもんじゃないのではなかろうか。
信治君の冥福を祈るばかりである。
義母ヨシコが電話を取ると、いきなり泣き声が聞こえたという。
「ヨシコさん!私よ、ゆみ子よ!
息子が死んじゃったの!
嫁に殺されたのよぉ~!」
殺人事件かと、驚いたヨシコ。
私がヨシコの所へ行ったのは、その電話の直後だった。
電話の相手は、40年前、近所に住んでいた
3歳年下のゆみ子さん。
ご主人が出張の多い人だったので、いつもヨシコ一家を頼りにして
仲良く行き来していたそうだ。
ヨシコの昔話は、ほとんど聞きつくし
往復も何回かしていると自負する私だが
ゆみ子という名前が出るのは、初めてだった。
当時、ゆみ子さんは二人目の男の子を生んだ。
生後10日を過ぎても、赤ちゃんに名前をつけないので
イライラしたヨシコが「信治」はどうかと提案。
ゆみ子さんは、赤ちゃんにその名前をつけた。
やがて、ふとしたことから絶縁状態となる。
2~3年後、ヨシコは、今の家に引っ越したため
それきり、ゆみ子さんとは会っていなかった。
そしてその日、ゆみ子さんから、40年ぶりに電話がかかってきたのだ。
「ヨシコさんが名前をつけてくれた、あの信治が、自殺したのよ!」
ゆみ子さんは、そう言って泣くのだという。
「こんなのどう?って言ったら、いつの間にか、それで届けを出してたのよ」
ヨシコの解説が入る。
人情家のヨシコが、いつになく冷ややかだ。
信治君は何年も前から、奧さんの浮気に悩んでいた。
自分さえ黙っていれば、子供を泣かせることはない…と
何年も辛抱していたそうだ。
しかし、ある日とうとう我慢出来なくなって、問いただした。
向こうも妻子ある人だったので、奧さんは「二度としません」と
泣いて謝り、元のさやに収まった。
が、信治君の目を盗んで、また会うようになっていた。
奧さんの携帯を見て、それが発覚した。
信治君は、奧さんの浮気相手が勤務する会社の駐車場で
排ガスにて、亡くなっていたそうである。
間男に対する、無言の抗議であろう。
男性の方がダメージが大きく、思い切ったことをする。
女でよかったわい…と言い合うヨシコと私。
でもね…ヨシコは言った。
「ゆみ子さんは、旦那さんと同じ会社の人と、ずっと浮気してたの。
旦那さんの留守に、家に泊まりに来たのも何回も見たわ。
信治君はその人に生き写しなの。
名前をなかなかつけなかったのも
今思えば、ご主人も何かは知っていたからだと思う」
元々正義感が強く、亭主の浮気に早くから苦しんでいたヨシコ。
「子供のために、浮気はやめなさい」
と、ゆみ子さんに苦言を呈さずにはいられなかった。
ゆみ子さんは逆上し、口論の末に絶交の運びとなった。
「浮気なんてする人はね、なんでも人のせいなのよ。
“信治の名前は、ヨシコさんがつけたんだから…”なんて言われたら
自殺したのが私のせいみたいじゃないの」
ヨシコは不機嫌だ。
「信治君、かわいそうに…まだ43歳だったのよ。
因果応報よ…母親の罪を、息子がかぶらされたのよ」
宗教に傾倒して久しいヨシコは、そう言う。
何十年も経って、忘れた頃に上映される、自分の行いの再現フィルム。
しかも、自分の時より深刻になってるし。
しかしまあ、そんなのはよくあること。
私が軽くうなったのは、絶交して40年のヨシコにまで
連絡を取らなければ気がすまない、ゆみ子さんだ。
信治君が亡くなったのは、4月というから
あちこちに電話をかけては、嫁の罪状を訴えるうち
ヨシコにもたどりついたのだろう。
「嫁が遺体の引き取りを拒否したのが、一番悔しい…。
主人に頼んで、うちで葬式を出したのよ」
ゆみ子さんは嫁の冷酷を強調するが、ヨシコのように事情を知る者には
頼まないと引き取れないなんて、ご主人はやっぱり全部知ってたのね…
などと後でささやかれ、因果応報なんて無責任なことを言われる。
本人は永遠に気づかないだろうが、これはみじめだ。
それでも、ゆみ子さんはまだいい。
生きている。
だが、決定的な罪を犯していない信治君はどうなる。
因果応報で片付けられたら、たまったもんじゃないのではなかろうか。
信治君の冥福を祈るばかりである。
それも、自分自身じゃなく、自分の愛しい罪の無い者へと、忘れた頃に、やって来る…
そのゆみ子さん、いつか、気が付かれるのかも知れませんね。
まだ、生きて学ばなければならない…。
気が付かれたら、生きるも地獄、と思われるのかも…。
信治さんのご冥福を、お祈り致します。
忘れた頃に、やって来る…
同じことをしても、母親の場合が一番請求書が高いようですね。
母って、あなどれないと思います。
気づかなければ、そのまま因果の渦の中に投入…
なんて思ったら、怖いじゃんけ。
最近このあたりでは自殺が多いです。
生きてさえいれば、いつでも仕切り直しが出来ますから
死なないでほしいと思いますね。
愛情に対して臆病な部分があったと思う。
捨てられるのが怖かったから何でも下手に出た。
浮気した妻にさえ・・・
本人に責任のないことで苦しむことは本当に悲しいことですね。
人生に浮気などありそうにないほど面倒くさがりの私には想像もつきませんが・・・
不倫する人はまめです。男も女も・・
霜降りのおいしい肉になるかどうかはほぼ100%お父さんで決まるそうです。だから、種牛は重要だ。馬の速く走るは父母両方の遺伝らしいです。
性の能力 というか恋愛力はどうなのでしょうね。調査してほしいものです。
ちなみに私は粗食に耐え、よく太り。多産、安産です。豚なら優秀です。産んだ子は父の特徴をうまくそこそこ反映しています。髪の毛フサフサはラッキーの一言です。
本人にはどうにもならない力が働くことはたくさんあると思うこのごろです。
確かにそうだね~
こういうケースってきっとその人にとって一番大切な人が被害をうけちゃうんだろうね~
なくなった信治さんは自分が死ななければならなかった意味を天国に行ってわかったかもしれないねぇ~
とりあえずさぁ~、どんなことをしてもちゃんと誰か(高いところの人)は見てるのよ~
って思うなぁ~。
ほら、昔から悪いことはしたらダメよ。
お天道様が見てるわよ
とか言うじゃない。。。。
本当にそうね~
何が(どんなことが)正しいのか
ちゃんとバレてるわよ~
バカがついたらイヤだけど
人間ちゃんと正直に生きていくのが
一番ってことだと思うわ~
ますます救われん…。
不倫する人は、ほんと、まめですね。
そこそこ気が利いて、体力のある人が多いように思います。
浮気は素質、性格もありますが、内部よりあふれる体力の
使い道という面もあるかも。
>粗食に耐え(笑)
私もそうなんですけど、豚として優秀でしょうか…(笑)
自分に来るなら、まだあきらめもつきますけど
ね。
大事なものを失っても、こういうタイプの人は
「なぜ?」のままでしょうね。
そのかわりと言っては変ですけど、立ち直りも早いのが特徴。
死んでからのほうが長いと思う人と、生きてる間がすべてと思う人とで
考え方は違ってくると思いますね。
でも、この方・・・
その時には気づかずに・・・
息子さんが亡くなっても未だに・・・
自分のせいだとしてもそれに気付かず人の行いだけを恨んで、
いろんな意味で可哀想な人だなと思いました。
私は 逆側の立場なので 聞くとどうしてもイラつきます。
イラつきを隠し、話をきくとダブル不倫語録の言葉に近いことをみなさん 仰るんですよね…(--;)
そして なんと言葉をかけたらよいか考えます。どうしたら気づいてくれるのか…。
みりこん姉様はこんな時 どのように見守ってらしたのですか?
母ちゃん方は 自分たちだけは違うと思ってて 子供たちが大きくなったらお互い離婚して一緒になる 妻に気持ちはないと言ってます。
今 離婚できないヤツが 将来 離婚できるのか!と言いますが 聞く耳なし!
大きなツケが回っても 気づかないゆみ子さんのようになっても 気づかないんですかね…。
夫が命を落としても 保険金と遺族年金を湯水のように使い、自分をブランド品で着飾ってまでする気づかない母ちゃんもいます…。未亡人には浮気と言わないか…(>_<)
そういう反応ができるのがすごいなぁ…と思います。
気づきって大事ですね。
気づくか気づかないかよりも、気づこうとする気持ちが
重要なんだと思います。
悪いことに限らず、良いことでも、その最中には
たまたま起きなかった「その先」を見せてくれるのが
因果応報の本当の意味かもしれませんね。
笑えるくらい、判で押したように同じですね。
人前でしゃべりたいのも同じ。
自分の恋だけは素晴らしくて、人のはショボく見えるのも同じ。
浮気する人は、みんなそうなるのかと思っていましたが
違いましたね。
同じランクの人が、同じことするようになってるんですね。
反応も、行き先も、似たようなもんです。
気づいてもらおうなんて、だいそれたことを
考えないほうがいいです。
目と耳をふさがれているんですから、どうにもなりません。
特に弱ってる時なんて、感染しますよ。
弱ってる時ほど、人のことが気になるもんですけどね。
ほっときゃいいんですよ(笑)