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『海外特派員』

2010年05月04日 | 映像

1940年 アルフレッド・ヒッチコック



《あらすじ》
1938年、ニューヨーク・モーニング・グローブ紙の記者ジョン・ジョーンズは、不穏なヨーロッパ情勢を取材する特派員としてロンドンへ向かう。戦争防止の立役者オランダの元老政治家ヴァン・メアの歓迎パーティーの会場で、ジョーンズは、美しい娘キャロルと知り合う。アムステルダムで平和会議が開かれることになり、雨が激しく降りつけるなか、ジョーンズも取材のために出かけたが、彼の目前でヴァン・メアがカメラマンを装った男に拳銃で撃たれ――。





なにげなく観始めて、ついつい最後まで一生懸命になって観終えてしまいました。昔の映画なのでてっきり1時間半くらいの分量かと思っていましたが、たっぷり2時間というボリュームでした。結構長い。しかし、内容はスリリングかつスピーディー、意外と先の読めない展開で、かなり面白かったです。さすがはヒッチコックということなのでしょうか。


いくつか印象的な場面がありました。まずは、暗殺者が群衆の黒い傘のなかを逃げ、主人公がそれを追いかける場面。勢いのあるカーチェイスへと続いていきます。
それから風車小屋の場面もいいですね。
また、沢山の照明に照らされ白いベッドに横たわるヴァン・メアと、それを見つめる男たちが部屋の暗がりに立っている、というコントラスト。(一緒に観ていたK氏が言うには、この場面のこのコントラストは、ここに登場する人物たちの戦争突入という事態に対する心理的対立感をうまく表現しているのではないのか、ということでしたが、なるほど納得)
誤って攻撃され、海へ墜落する飛行機。一連のパニック描写。などなど、始めから終わりまで、いくつもいくつもインパクトのある場面が続くので引きこまれました。うーん、すごい。

画面が素晴らしいだけでなく、登場人物の設定もなかなか魅力的です。主人公のジョンはアメリカ人らしさを表現しているのかなんなのかわかりませんが、有能なはずなのに結構間抜けで、物語のクライマックス周辺ではほとんど「空気」と化し、かわりにジョンと同じく特派員記者の男(名前を忘れてしまいましたが、ffで始まる名前の人)の優秀さが際立っていました。そのあたりが面白かったです。
唯一理解できなかったのは、ヒロインのキャロルとジョンとのラブ・ロマンス部分ですが、あの唐突さと強引さは、それはそれで面白かったかもしれません。



やっぱり昔の映画はよくできているなぁ。
と、改めて思わされた名作。


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