「物語は無力であるか」ということについて、実はもうずっと長いこと考え続けていて、記事にしようとしてはうまく結論がつかずにすでに7回くらい途中まで書いたのを破棄してきました。で、まあ、今もよく分からないでいます。
しかし、最近になってひとつ気がついたこととしては、物語は全ての人にとって必ずしも必要なものではないかもしれないけれど、ある種の人々にとって物語とは目の前にいる誰か生身の人間の発言よりもはるかに重く響く言葉の繋がりであるようだ、ということがあります。
たとえば私の息子。
私やK氏がいくら「今日はさっき1個食べちゃったから、もうゼリーは食べられないよ」と言っても絶対に納得しませんが、ゼリーを食べて膨らんだ息子の腹に耳をあてて、「あ、たっちゃんのお腹の中でゼリーさんがこう言ってるよ。《今日はもうお腹の中がギューギューになってて、これ以上入れないよ~! ちゃんとご飯も食べてくれたら、ぼくもそれを食べて一生懸命走って遠くまで行くよ、そしたらまた明日あたらしいゼリーがお腹に入れるようになるよ~》って」
すると息子は納得して、「がんばって~、ゼリーさ~ん! はやく出てって~~」などと自分のお腹に話しかけながら、もうゼリーを要求して来なくなるのでした。なんでやねん。父と母の言うことは聞けなくてもゼリーの言うことなら聞くんかい。私とK氏としては、そのへんがとても納得いかないところではありますが、しかし私とK氏自身もかなり息子と同じタイプの人間なのでありました。生きている人間の言うことなんてほとんど聞く耳持たない。持論は曲げない。頑固が服着て歩いてます。けど、小説を読んで泣きながらあっさり改心したりする。
そんな両親の性質を受け継いでか、息子もおはなしが大好きです。おはなし仕立てにすると面白いほどに言うことを聞いてくれるので、私は毎日あらゆる作り話をして息子を操っています。「暗くなるまで外で遊んでいると、猫ちゃんが来るよ…」とか(息子は猫が怖い)、「夜おそくまで起きていると鬼さんが来るよ…ほら! なんか外から鬼さんがガリガリする音が聞こえない!? 近くまで来てるよ! はやく寝なきゃ!!」とか(息子は鬼が死ぬほど怖い)、「エレベータのボタンをむやみに押すと、上の階でお仕事をしている大勢の猫ちゃんが降りてきて、たっちゃんのお顔をペロペロしにくるんだよ…そしたらお顔に猫ちゃんみたいなヒゲがはえてくるんだよ…あそこにいる猫ちゃんもね、前はたっちゃんみたいな男の子だったんだよ、悪いことばっかりして猫ちゃんに舐められてるうちに、その子も猫ちゃんになっちゃったんだって、こわいねー…あれっ!? たっちゃんにも猫ヒゲが生えてきてないっ!!??」などなど。いまは猫ネタと鬼ネタしか思い出せませんが、私は日常的にこんな嘘ばかりついて息子を脅かしています。教育に悪いでしょうか^^; かもしれないけど、息子がいちいち神妙な顔つきをするのが面白くて、つい。。。
なんだかよく分からない話になってしまいましたが、なんでもおはなしにすると面白くなるということです。私の貧弱な創作物にさえ息子は耳を傾けてしまうほどに、物語にはどこか不思議なほどの魅力があって、そこに物語があるというだけで心が震えたりするものです。なんだか分からない力で、ついつい納得させられてしまうことだってあるんです。なにがどうしてそうなるのか、いつか私にも分かる日が来るでしょうか。
いずれにしても、息子にはおはなしからたくさんのものを汲み取れるようになってもらいたいものです。喜びも悲しみも、楽しさも不思議も、たくさんのものが物語には詰まっている。自分が欲しいだけ、必要なだけいくらでもそこから得られるんだ、ということをいつか知ってもらいたい。君がもう立てないというその時に、必要なのは一口の水かもしれないし、ひとかけのパンかもしれない、あるいはほんの一節のメロディかもしれないし、誰かの握り返してくれる手か、痛みを和らげる薬品か、なにかもっと別のものであるかもしれない。もう駄目だというその時に、たぶん物語もまた心を支えてくれるひとつのものとしてあるんじゃないかな、と私は思っているのです。
物語に力はあるのか。あります。それは間違いない。あの子を脅かすばかりでなく、もっと素敵で愉快な物語も話して聞かせてやりたいですね。反省、反省! ついでに、息子も自分なりにおはなしを作って聞かせてくれるまでに成長してきたので、それについてはまたいずれ書ければいいなと思っております^^
物語には人の心にスッと入る力があると思います。
人の言う事をおとなしく聞くのは癪にさわるけれど、物語で聞いた事なら自分が経験した事のように自分の糧にできるといった感じでしょうか。
親が言って聞かせると説教じみてしまうので、子供に伝えたい事が描かれた絵本を求めて図書館に足を運んでいます。
そして子供より先に泣くのだけはいかんと思いつつ、たまに先に感動して泣いちゃったりしてますσ(^_^;)
素敵な絵本にであったら是非教えてください(^ ^)
お話の方が受け入れやすいというのは本当に不思議ですね。「おままごと」のほうが「リアルな炊事」よりも楽しいのと似ているんでしょうか…^^;?
それはさておき、我が家では読み聞かせはあまりうまくいかず、絵本は完全に息子のペースでめくられてしまって読む暇がありません;
でも、絵だけで楽しめる素敵な絵本はあるので、今度はそれを記事にしますね~~~♩ すっごく美味しそうなんですよ!