― The Abominable Bride : 『忌まわしき花嫁』感想と検証 (5) ―

こんなに長くなるとは予定していなかったのですが、ついつい思いが噴出してきまして
止まらなくなりました。
そろそろ駆け足で少し端折って行きます。
ので、又続きです。
引き続きネタばれしておりますのでお含みおき下さいませ。
再び19世紀に戻ったシャーロックは221Bで倒れていた所をジョンに見つけられ 問いただされます。
(モルヒネか? コカインか?)に対するシャーロックのセリフ ”Cocain・・・7% solution. Care to try it ?”
(7%溶液だ。試してみるかい?)は正典 ”The Sign of Four” 『4つの署名』の中のセリフですが、再び
”The Hounds of the Baskerville” でも引用され シャーロックが(紅茶より 7%刺激がある物を・・・)
と言っていました。
メアリーに電報で呼び出されて馬車でジョンと駆けつけた古い邸宅には怪しいフード付きマントを纏った
人々が集っているのですが、この姿が前に書きました様にKKKのフード付きマントと似ているのです。
集まっていたのはモリー、ジャニーン、ワトソン家のメイド等を含めリコレッティ―夫人と親しい女性
ばかりでした。


↑ KKKのマント&フード姿です。
ここが今回の大きなテーマの1つである この時代の『女性の立場、権利』に触れる事になるのですが、
これが制作発表の時モファティスが語っていた『今回は女性が重要な役割だ』と言っていた点なんでしょう。
ただ、シャーロックにとっては最も遠い所にある(多分関心も薄いであろうと思われる)女性問題に関して
ここで「これは戦争だ。イングランドが負けなけれがならない戦いだ」と誠に正論ではあるけど、大上段に
振りかぶってシャーロックにフェミニズムを語らせるのはどうなんだろう?と悩ましい点でもあります。
しかし、これまで都合の良い様に利用してきたモリーやジャニーンの姿をフラッシュバックさせる事で
シャーロックの深層心理に潜んでいる若干の後ろめたさとか罪悪感を表しているのでしょう。
ここにも花嫁姿でのモリアーティ―が又もや現れ、混乱するシャーロック。

再び現在に戻ったシャーロックがリコレッティ―夫人の墓を暴くと勇んで出かけて行き墓を掘り返そうと
するも ジョンはこれ以上遊びに付き合っている暇はないとメアリーと帰ってします。 これだもん、
現実のジョンはツレナイんですねぇ。

結局付き合ってくれたのはマイクロフトとレストレード。
こんな風だから マインドパレス(潜在意識)の中でシャーロックは献身的で何処までもシャーロックに
着いて来てくれるジョンを思い描いているのかと思うと切ないです。

ここでマイクロフトが ”Cherchez la femme ”(フランス語で ”女を探せ、事件の陰に女あり”)と言って
います。 これはミステリー小説等でも良く使われるフレーズで、”The Hounds of the Baskerville”
では、シャーロックが ”Cherchez le chien” (犬を探せ)で引用していました。
次に再び19世紀に戻ると そこはライヘンバッハの滝だったんです。
BBC版でライヘンバッハのシーンが観られるとはかなりの感動モノです。
パジェット版そっくりでねぇ・・・。合わせ鏡の様に左右反転構図になっていますが。

ここでのモリアーティーは何故か少し卑屈で、シャーロックもモリアーティーを貶める様な言葉を吐いている。
”short-arse”(ちびすけ or 取るに足らないヤツ)とか。
シャーロックの中でのモリアーティーの存在が次第に弱くなってきている様に思われます。
そして、何より感動は、銃を持ったジョンがカッコ良く現れて 最後はモリアーティーを足蹴にして滝から落下
させる。

ここでの3人の会話が色々凄く面白いんです。
夢の中(潜在意識)の中の出来事である事に気付いているシャーロックがモリアーティーの口を借りて自分の弱みを
暴き出している。
”I am your weakness. When you are weak, I am there” (僕は君の弱さなんだよ。君が弱いと僕が出て来るんだ)
そして ここでジョンが初めてモリアーティーの事を正典通り ”プロフェッサー” と呼び、”The Napoleon of
crime”(犯罪界のナポレオンだ)と言っています。
これは正典 ”The Final Problem” 『最後の事件』でホームズがモリアーティーの事を表していた言葉で、これを
引用してS3E3の ”His Last Vow”ではマグヌッセンの事を ”The Napoleon of blackmail" (恐喝界のナポレオン)
と呼んでいました。
又、ここでシャーロックは ”ジョン” と呼び、ジョンは(一体何時から僕の事をジョンと呼ぶ様になったんだ?)
← 19世紀のジョンですから・・・
これを見ると益々シャーロックの潜在意識化でのジョンの立場、役割がはっきり見えてきます。あの場にも居て
欲しかった、何時もそばにいて欲しいってね。 泣けてきますよ。
そして、”Time to wake up,Sherlock" (もう目を覚ますんだ、シャーロック)と現代のジョンの呼びかけと、
(どうやって目を覚ますつもりだ?)に、ここで又あの、”Elementary, my dear Watson “、(初歩的な事だよ)
モリアーティーの居る悪夢を終わらせるためには・・・と滝から落下するシャーロックの表情が何処か嬉しそう
なのです。 これでマインドパレスの奥底に潜み続けるモリアーティーの存在が消せるんだろうか・・・

ここで又目を覚ましたシャーロックは未だジェット機の中。・・・って事はお墓の場面も又『マインドパレス』の中での
出来事だったんだろうか?と、あー、もうゴチャゴチャで訳わかんなくなって来た。
現在に戻ったシャーロックが引き裂いたメモを大切にノートに挟むマイクロフトですが、
そのノートに書いて有るのが、又しても ”Redbeard 赤ひげ”、又ですか? 未だ何かあるんですか?
レッドビアードに関しても次作で明らかにされるんでしょうか?
レッドビアード出されると、もう勘弁して!又泣かせるんですか? と言いたいワタクシです。

そして、その下にある ”Vernet” (ヴェルネ)は正典 “The Greek Interpreter" 『ギリシャ語通訳』にある、
”But, none the less, my tern that way is my veins, and may have come with my grandmother,who was the
sister of Venet, the French artists” (だがやはり、僕の血管を流れる才能は祖母から譲り受けたのかも
知れないな。祖母はフランスの芸術家ヴェルネの妹だ)。ホームズ家にはフランス人の血が混じっているんですね。
この ”Verne" は今度(S4? で?)何らかの形に引用されるのかな?
3回位で終わらせるつもりだったのが ズルズル長引いてしまいました。
次の回で最終回に致します。
・・・・・to be continued です。
← Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (4)
→ Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : 最後です

こんなに長くなるとは予定していなかったのですが、ついつい思いが噴出してきまして
止まらなくなりました。
そろそろ駆け足で少し端折って行きます。
ので、又続きです。
引き続きネタばれしておりますのでお含みおき下さいませ。
再び19世紀に戻ったシャーロックは221Bで倒れていた所をジョンに見つけられ 問いただされます。
(モルヒネか? コカインか?)に対するシャーロックのセリフ ”Cocain・・・7% solution. Care to try it ?”
(7%溶液だ。試してみるかい?)は正典 ”The Sign of Four” 『4つの署名』の中のセリフですが、再び
”The Hounds of the Baskerville” でも引用され シャーロックが(紅茶より 7%刺激がある物を・・・)
と言っていました。
メアリーに電報で呼び出されて馬車でジョンと駆けつけた古い邸宅には怪しいフード付きマントを纏った
人々が集っているのですが、この姿が前に書きました様にKKKのフード付きマントと似ているのです。
集まっていたのはモリー、ジャニーン、ワトソン家のメイド等を含めリコレッティ―夫人と親しい女性
ばかりでした。


↑ KKKのマント&フード姿です。
ここが今回の大きなテーマの1つである この時代の『女性の立場、権利』に触れる事になるのですが、
これが制作発表の時モファティスが語っていた『今回は女性が重要な役割だ』と言っていた点なんでしょう。
ただ、シャーロックにとっては最も遠い所にある(多分関心も薄いであろうと思われる)女性問題に関して
ここで「これは戦争だ。イングランドが負けなけれがならない戦いだ」と誠に正論ではあるけど、大上段に
振りかぶってシャーロックにフェミニズムを語らせるのはどうなんだろう?と悩ましい点でもあります。
しかし、これまで都合の良い様に利用してきたモリーやジャニーンの姿をフラッシュバックさせる事で
シャーロックの深層心理に潜んでいる若干の後ろめたさとか罪悪感を表しているのでしょう。
ここにも花嫁姿でのモリアーティ―が又もや現れ、混乱するシャーロック。

再び現在に戻ったシャーロックがリコレッティ―夫人の墓を暴くと勇んで出かけて行き墓を掘り返そうと
するも ジョンはこれ以上遊びに付き合っている暇はないとメアリーと帰ってします。 これだもん、
現実のジョンはツレナイんですねぇ。

結局付き合ってくれたのはマイクロフトとレストレード。
こんな風だから マインドパレス(潜在意識)の中でシャーロックは献身的で何処までもシャーロックに
着いて来てくれるジョンを思い描いているのかと思うと切ないです。

ここでマイクロフトが ”Cherchez la femme ”(フランス語で ”女を探せ、事件の陰に女あり”)と言って
います。 これはミステリー小説等でも良く使われるフレーズで、”The Hounds of the Baskerville”
では、シャーロックが ”Cherchez le chien” (犬を探せ)で引用していました。
次に再び19世紀に戻ると そこはライヘンバッハの滝だったんです。
BBC版でライヘンバッハのシーンが観られるとはかなりの感動モノです。
パジェット版そっくりでねぇ・・・。合わせ鏡の様に左右反転構図になっていますが。

ここでのモリアーティーは何故か少し卑屈で、シャーロックもモリアーティーを貶める様な言葉を吐いている。
”short-arse”(ちびすけ or 取るに足らないヤツ)とか。
シャーロックの中でのモリアーティーの存在が次第に弱くなってきている様に思われます。
そして、何より感動は、銃を持ったジョンがカッコ良く現れて 最後はモリアーティーを足蹴にして滝から落下
させる。

ここでの3人の会話が色々凄く面白いんです。
夢の中(潜在意識)の中の出来事である事に気付いているシャーロックがモリアーティーの口を借りて自分の弱みを
暴き出している。
”I am your weakness. When you are weak, I am there” (僕は君の弱さなんだよ。君が弱いと僕が出て来るんだ)
そして ここでジョンが初めてモリアーティーの事を正典通り ”プロフェッサー” と呼び、”The Napoleon of
crime”(犯罪界のナポレオンだ)と言っています。
これは正典 ”The Final Problem” 『最後の事件』でホームズがモリアーティーの事を表していた言葉で、これを
引用してS3E3の ”His Last Vow”ではマグヌッセンの事を ”The Napoleon of blackmail" (恐喝界のナポレオン)
と呼んでいました。
又、ここでシャーロックは ”ジョン” と呼び、ジョンは(一体何時から僕の事をジョンと呼ぶ様になったんだ?)
← 19世紀のジョンですから・・・
これを見ると益々シャーロックの潜在意識化でのジョンの立場、役割がはっきり見えてきます。あの場にも居て
欲しかった、何時もそばにいて欲しいってね。 泣けてきますよ。
そして、”Time to wake up,Sherlock" (もう目を覚ますんだ、シャーロック)と現代のジョンの呼びかけと、
(どうやって目を覚ますつもりだ?)に、ここで又あの、”Elementary, my dear Watson “、(初歩的な事だよ)
モリアーティーの居る悪夢を終わらせるためには・・・と滝から落下するシャーロックの表情が何処か嬉しそう
なのです。 これでマインドパレスの奥底に潜み続けるモリアーティーの存在が消せるんだろうか・・・

ここで又目を覚ましたシャーロックは未だジェット機の中。・・・って事はお墓の場面も又『マインドパレス』の中での
出来事だったんだろうか?と、あー、もうゴチャゴチャで訳わかんなくなって来た。
現在に戻ったシャーロックが引き裂いたメモを大切にノートに挟むマイクロフトですが、
そのノートに書いて有るのが、又しても ”Redbeard 赤ひげ”、又ですか? 未だ何かあるんですか?
レッドビアードに関しても次作で明らかにされるんでしょうか?
レッドビアード出されると、もう勘弁して!又泣かせるんですか? と言いたいワタクシです。

そして、その下にある ”Vernet” (ヴェルネ)は正典 “The Greek Interpreter" 『ギリシャ語通訳』にある、
”But, none the less, my tern that way is my veins, and may have come with my grandmother,who was the
sister of Venet, the French artists” (だがやはり、僕の血管を流れる才能は祖母から譲り受けたのかも
知れないな。祖母はフランスの芸術家ヴェルネの妹だ)。ホームズ家にはフランス人の血が混じっているんですね。
この ”Verne" は今度(S4? で?)何らかの形に引用されるのかな?
3回位で終わらせるつもりだったのが ズルズル長引いてしまいました。
次の回で最終回に致します。
・・・・・to be continued です。
← Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : (4)
→ Sherlock : The Abominable Bride 感想と検証 : 最後です