The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

BBCドラマ『月長石』

2020-09-02 | 海外ドラマ
”The Moon Stone”

2016年10月 BBC One初放送
5エピソード

原作は、1968年出版された英国人作家ウィルキ―・コリンズの長編探偵小説である『月長石』で、
T.S.エリオットが『最初の、最長の、最上の探偵小説。 最大にして最良の推理小説』と褒め称え
ている作品です。

随分大昔に読み始めた記憶は有るのですが、何しろ長くて・・・で、結局途中で挫折し、そのま
まになっていて、その後何度か再挑戦してものの、なにしろ霧の彼方の事(恒例のフレーズ)で
細部は覚えていないという状況でした。
なので、原作と比較することなく、ドラマ自体を楽しむ事にした次第です。

キャスト:
フランクリン・ブレ―ク:ジョシュア・シルバー
ミスター・ブラフ:デヴィッド・コールダー
ゴドフリー・エーベルホワイト:スチュワート・クラーク
レイチェル・ヴェリンダ―:テレニア・エドワーズ
ガブリエル・ベターレッジ:レオ・リンガー
ペネロープ・ベターレッジ:ニサ・コール
カフ刑事:ジョン・トムソン



このドラマの出演者は殆どが舞台で活躍している俳優さん達ばかりなので、普段ドラマで見かけ
る方達ではありません。
ただ、そのせいもあり 俳優視点で観る事なく、ドラマ自体を舞台劇の様に観る事が出来る気が
します。

本作には、密室や、アナグラムといった難解なトリックは登場しない。しかし、ストーリーの中に
数々の伏線が張り巡らされていて、最後まで「誰が盗んだか?」の謎で視る者をひきつけていく。
レイチェルの誕生日に屋敷に居た各人の存在、それぞれの主張、秘めた想いが複雑に絡み合い、人物
描写も丁寧に描かれる。謎解きとともにロマンスが描かれるのも本作の魅力のひとつ。
《AXNミステリー番組案内より引用》

ドラマの概略は、
18世紀の最後の年、ハーンカスル大佐がインドから神聖な黄色いダイヤを略奪。大佐は、姪であるレ
イチェル・ヴェリンダーにこのダイヤを遺贈し、それを彼女の従兄弟のフランクリンが届けることに
なるが、レイチェルの18歳の誕生日に受け継がれたダイヤは何者かによって盗まれてしまう。
果たしてダイヤを盗んだのは誰なのか?



念のためAXNミステリーの番組案内にある各エピソードの概略を引用しておきます。

エピソード1:
父の死でイタリアから呼び戻されたフランクリン。彼は叔父であるハーンカスル大佐の遺志に従
い、大佐がレイチェルに遺贈したダイヤを彼女へと届ける。しかし、そのダイヤは、その昔、大佐
がインドから盗んだ神聖なる“ムーンストーン”だった。そしてその頃から、彼女の周囲に謎のイン
ド人たちが姿を現すようになる…。

エピソード2:
レイチェルがダイヤを受け取った翌朝、そのダイヤが突如消えてしまう。失意のレイチェルは警察
の捜査にも協力せず部屋に引きこもる。そんな中、捜査に参加したカッフ巡査部長が、ドアに付
いた“シミ”を基に推理を働かせる。やがてその推理がある人物に向けられるのだが…。

エピソード3 :
ダイヤの行方を追い、捜査を再開したカッフ巡査部長とフランクリンは、疑わしき使用人ロザンナ
が残した手紙の行方を追っていた。そん中、レイチェルの従姉クラックがフランクリンの前に現れ、
レイチェルの家で見聞きしたことを彼に話し始める。一方、カッフはロザンナの手紙を持つルー
シーを捜し出すのだが…。

エピソード4 :
ロザンナの手紙を手に入れたフランクリンは、彼女の残した地図からダイヤの入った箱を見つける
が、箱の中は予想もしないものだった。一方、ゴドフリーの求婚に応じたレイチェルは、結婚式当
日の朝、顧問弁護士のブラッフからある真実を告げられる。そして、レイチェルがフランクリンに
語ったダイヤを盗んだ真犯人とは…。

エピソード5 :
レイチェルが語った真実。それはフランクリンがダイヤを盗んだ真犯人だということ。だが、事件当
日の夜、キャンディ医師から睡眠薬を盛られていたフランクリンには身に覚えのないこと。ところが、
急死したキャンディ医師の後を継ぐジェニングスによると、フランクリンはアヘンを盛られていたの
だった。

~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~

長大な原作に比べ、5話構成なので途中でメゲる事なくすんなり そして分かりやすく楽しめます。
謎解きもさることながら、レイチェルとフランクリンのロマンス、家族の確執等が絡み目が離せな
い内容です。



事件のあと係わった現地の警官のいい加減な捜査で疑いを持たれたフランクリンですが、スコット
ランド・ヤードからやって来たカフ部長刑事の捜査により意外な方向に向かっていきます。



このカフ部長刑事をみていてついウィッチャー警部を思い浮かべてしまったのですが、どうやら実
際に ”最初の刑事”と言われた ジョナサン・ウィッチャー氏がモデルになっている様です。

※ 以前書きました、『ウィッチャーの事件簿』E1 : ”ロード・ヒル・ハウス殺人事件』をご参照下さい。


舞台劇を観るように、『月長石』の世界を衣装、背景、等と共に楽しめる贅沢な作品だと感じました。

原作は、
『月長石』(創元推理文庫):1970年1月16日

ウィルキ―・コリンズ(著)、中村能三(翻訳)
(因みに、779ページです)
まだ未読で興味のある方は挑戦してみて下さい。

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